-----タリハ通信4 南米の医療事情
皆様
お元気ですか。
毎週発行しようと思っていたタリハ通信ですが、実際はなかなか忙しく、思ったようにはなりませんね。
世の中、思ったようには事が進まないこと、人生どうしようもないことがあることは、この仕事を始めて痛感したことのひとつで、以来どんなことがあっても、いい意味で「焦らず、あわてず、あきらめず」を座右の銘として生きてきたつもりでも、人間いざとなるとパニックに陥ったりするものです。が、あまりにも波乱万丈の人生であり、ここで42歳のお誕生日を迎え、ますます人間万事塞翁が馬という心境で、しなやかに生きていこうと、再決意している次第です。
実は1週間ばかり、高熱が続き、体はだるくて、部屋から一歩もでられないベッドで死んでいる日々が続きました。おととい、やっと這いつくばって、地元の病院といっても診療所しかありませんが、わらをもつかむ気持ちで行ったところ、のどに炎症を起こしており、それが原因だろうと言われました。最初はどうせたいしたこと無い診療所だろうと当てにはしていませんでしたが、なんのなんの、ジェネラル・ドクターと言われるいわゆる何でも屋のお医者さんは、若いのにてきぱきと診療をしてくれ、薬を処方してもらい、今は熱も下がり、食欲も出てきて、なんとか、来週には仕事に復帰できそうです。
途上国では、どんな病気でも対処できるような医療教育がなされているのか、日本のように、「それは専門ではありませんから」などと断られることはなく、かえって総合技術は上なのではないかと思います。
われわれ海外で仕事をしていると、様々な感染症や原因不明の病気、銃で撃たれたり等々の被害に巻き込まれることは日常茶飯事ですが、マラリア他の熱帯病、感染症、銃で撃たれたときの弾の処理は、途上国の医者の方が数段上です。日本でこんなことにあったら、おそらく死んでいただろうな、と思うことも、見事にやってのけます。
ボリビアには医療援助が多く、日本の医者も専門家等でたくさんくるのですが、彼らがオペでびっくりしたことは、手術後の縫製の後、傷口に蜂蜜を塗るのだそうです。すると、早く回復し、しかも傷跡が殆ど残らないということを知り、関心して、日本で実践をしているお医者さんもいます。
蜂蜜の効用は、ここ南米ではつとに有名で、ローヤルゼリーや、プロポリスは、万病に効くと、私もずっと愛用しており、今もローヤルゼリーとプロポリスは欠かせません。特にブラジル物の品質が一番です。
南米は薬草の宝庫で、今盛んなハーブとか、ナチュラルメディシンは、ヨーロッパ人が南米を植民地化した時代にヨーロッパに渡り、持ち込んで、世界に広がったものです。特に、南米最大インディオのグアラニー族は薬草の大専門家で、一般の人は自宅の庭に何千種類もの薬草をガーデニング感覚で植えており、ある日下宿で、扁桃腺がはれて高熱を出していたときに、セニョーラが、「ちょっと待ってて」といって、ある木の皮をちょこっと剥いでそれを煮詰め、煎じて、「これでうがいしてごらん」と、だまされた気持ちでやってみたら、一瞬のうちに腫れが引いて、元気になりました。以後、薬局の薬よりも薬草で治した病気の方が多いです。
ブラジルでは、アマゾンが薬草の宝庫で、今薬草を使ったエイズ薬等の研究が極秘に進められているということです。アメリカなんかに内容を知れたら、たちまち盗られてしまうので、徹底的に秘密主義でやっているそうです。成功することを祈っています。
ところで、仕事の方は現地調査も順調にすすんでおり、現場調査は同僚の方が詳しいのでまかせっきりで、わたしはデータ解析プログラムを数日間ホテルにこもって作成し、後は来週の調査が終わり、データインプットが終わるのを待つだけです。セクレタリーで、わたしの親友のアメリアがすごい優秀なので、あっという間にミスもなくデータをどんどん入力してくれるので助かります。
私の本当の出番はこれからで、データ解析と分析、報告書の作成、今後の住民参加型造林計画の策定を行います。これからが本番勝負です。まだ、現地調査を一緒にやってる頃、農民のスペイン語が全くわからず、わかっても背景がよくわからないので、うそをついているのか、本当のことを言っているのかも見当がつかず、困りましたが、同僚が、見るに見かねて、みなこはもういいから、と彼らに任せることにしましたが、行く先々で名物ソパ・デ・ポジョというチキンスープを出してくれるのですが、毎回それをやられるので、断わるのは絶対にできない社会ですから、1日に何度も食べることになり、おなかがはちきれそうになり、またまた太って帰りそうです。
しかしこれが最高においしく、日本に帰ったら、是非みなさんに食べさせてあげたいな、と思っています。
それで、来週からスクレ県の森林保護国際会議に出張なので、今日久々に事務所に行ったら、なんと、このプロジェクトのボリビア側のコーディネーターのホルヘが、2日前にやめ、コチャバンバと呼ばれる県のFAOのコカイン関係の仕事に就いたと聞き、激しいショックと無念さで心が一杯になりました。この機関、プロジェクト全て彼でもっていたような、すごい優秀な森林エンジニアでした。問題が生じると彼に相談し、彼が解決するというパタンで一緒にかなり深い部分で、お互い本音で付き合ってきた唯一の同僚だったので、さよならも言えず、寂しい限りです。
しかし、安い給料で働き続け、やはり日本のプロジェクトよりも、国連機関のFAOで彼ならば実力も発揮できるし、給料もアップなので、彼にとってはそれがいいのでしょう。みんなで、がっかりし、涙涙でした。しかも、コカイン関係の仕事はすごい危険で、今、コチャバンバではものすごい闘争が繰り広げられており、毎日何人も殺されているので、みんなで、彼が無事に働けることを心から願っています。
この仕事で、もう何十人という仲間を殺されてきた私としては、彼の安全を祈るのみです。
常に死の危険と隣り合わせているこの仕事、本当に過酷です。そして、いつかは私もそうやって、どこかの地の骨になっていくのかな、でも、そういう人生の最後もいいかな、なんて思っています。
では、今度はボリビアでもかたくなに伝統を守っている、ほんまもんのインカ文明を保持するスクレ県の報告をしましょう。お楽しみに。恐竜の足跡の化石があるらしく、実は大の化石ファンの私としては、とても楽しみにしています。伝統のスクレ織の工房も訪ねることにしています。会議よりも、そちらがメインの目的ですが。は、は。
とうとう、3月に入り、もう春ですねえ。こちらは相変わらず、1日のうちに春夏秋冬が来ており、必死に体調をととのえていくつもりです。では。
チャウチャウ
みなこ