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カヌー難民、端野の山でホタテを食する

耳慣れないエゾ梅雨なる空模様が続き、どうにも今年の夏は足が遅いようだ。京極の小川で釣ったニジマスも思うように風乾ができず、スモークの仕上がりがパッとしない。タモですくい上げたビックサイズのブラウントラウト(50cm/1.5kg)も、自賛できる味にはほど遠い。納得のいかぬまま、スモーク作りは秋までお預けだ。
庭のサクランボが色づき始め、果実酒作りのシーズンを向かえた。去年はサッパリ実りが悪かったが、今年は枝が垂れるほどの豊作だ。それぞれの割合を3等分したものと、氷砂糖を控えめにしたのを仕込む。10月の連休頃には唸るような味わいになることを願って、薄暗い押入れの隅にソッと2本並べる。


7月に暦が変わると俗にいう繁忙期に入り、雑多な仕事に追われて休みがままならない。なんとか海の日に連休をとり、勇んでカヌーの計画をあれこれ練る。天塩川でほぼ決まりかと思ったら、ダウン・ザ・テシオッペと見事にバッティング。マヌケなことに気付いたのが金曜の夜だから話にならない。川の渋滞は避けられるが、キャンプ地の混雑は必死だ。ならば夏の歴舟川にしようと思ったら、ウイルダネスがここで7月の例会。カムイコタンの河原サイトに張れないとなると二の足を踏んでしまう。ん〜?困った。美瑛川・鵡川・湧別川?と買い出し中も大いに思い悩む。とりあえず、旭川を分岐点に決めて国道275号を北上する。まぁ!こんなアバウトな感じもたまにはイイでしょう。ビールもタップリと冷やしたことだし、何の心配もありゃしない(笑)

「確か今時期はホタテが旬だよね」。移動中のバハとの会話で、川よりも先に食の方が決まってしまう。「そうそう!北海シマエビも最盛期よね」。深夜に関わらずバハの目の色が変わる。進路をオホーツクに取り、常宿の道の駅しらたきでP泊。早速、主人のキタキツネが出迎えに現われる。やせっぽちだが貰いエサで、この冬を越えたようだ。気温15℃。ここで二桁の数字を見るのは初めてだ。明けて翌朝。電光掲示の気温は深夜と変わらず15℃。ひょっとして壊れてる?。深い緑に覆われた山々から、野鳥のさえずりが絶えまなく聞こえてくる。辺りの霧が少しずつはれて、清々しい山の朝が訪れる。
市街地の遠軽橋下に車を入れて湧別川の流れを覗き込む。荒々しい岩場の落ち込みに流れが集中し、とてもじゃないが私の技量じゃ下れない。整備された河畔公園のあちこちに蚊柱が立つ。犬を散歩させる人の往来はあるので、別段珍しい光景ではないようだが・・。



お目当てのホタテを購入するまでの間、サロマ湖周辺をブラブラと探索。景勝地・竜宮台から寒々としたオホーツク海を眺める。夜に備えて流木の確保も怠らない。個人的には一押しだった計呂地の円山キャンプ場が、今シーズンから閉鎖された。野営場の趣がある所が、また一つ消えてしまい残念だ。市町村合併の推進で、今後もこの傾向に変わりはないだろう。キムアネップ岬のキャンプ場を覗く。ハマナスの濃厚な香りが出迎えてくれる。すでに花は盛りを過ぎ、実を結び始めているものも多い。手前のサンゴ草群生地では、沢山の野鳥が羽根を休めている。荒れ気味のサイトには2張りだけが設営し、曇空も手伝って妙に寂しい雰囲気が漂う。付近の牧場には早くも牧草ロールが並び、駆け抜ける北国の短い夏を感じさせる。サロマ湖をぐるっと半周して常呂の町に入る。一目散にスーパーAg呂に向かい、勝手知ったる店内を迷わず鮮魚売場へ。

アッ!貝付きのホタテが店頭にない。焦っておばちゃんにつめ寄ると、事なく裏から持って来てくれた。1枚60円で15枚、〆て900円のお値打ち価格でお買上げ。ニヤケ顔がナカナカ元に戻らない。こうなるともうカヌーどころじゃない。どこでホタテをさばいて、貝柱を丸ごと頬張るかが大問題となる。6年前のキャンプ場ガイドを開き、どうせなら行ったことのない所と指でなぞる。止まった先は端野町・森と木の里キャンプ場。まったりと流れる常呂川沿いを走り、忠志橋を渡って一気に山にかけ登る。車に積んだカヤックがとっても不自然に思うのは気のせいかしら。無事に森と木の里キャンプ場に到着。急な斜面に段々畑のようにサイトが点在する、見晴しの良いキャンプ場だ。管理人さんからお好きな場所にどうぞと促され、馬○と煙りの法則通りに最上段の広めのサイトに設営する。おかげでトイレからの帰り道は、ゼーゼーと息を荒げる坂道に音をあげる。見事に馬○を証明する格好となる(笑)

板前の丁稚のごとくホタテをさばき始めると、常連客よろしくバハが丸ごと頬張る。七輪の上ではジュワと音をたてて貝が開き、磯の香りが食欲をさそう。冷えたビールをノドを鳴らして飲み干し、まるでCMの一場面のような光景だ。ん〜!満足々々。最近気付いたことだが、活ホタテは何も付けずに食べた方が断然に旨い。本来の潮の風味だけで食するのが一番のようだといっぱしの通を気取る。タープしか遮るものがない炎天下で、椅子に腰掛けて力一杯に陽を浴びる。さすがに山の中だけあって虫の宝庫だが、不思議なことに吸血虫の攻撃は全くない。嬌声を上げながらアミを持って駆けまわる少年。正しい日本の夏風景を微笑ましく眺める。頭の片隅には常呂川がチラチラと顔を覗かせるが、強い夏の陽射しを受けてマッタリモードに拍車がかかる。明日も天気良さそうだし〜、と日陰に場所を移動して昼寝を決めこむ。あれもこれもと欲張らなくなったのは、思慮深くなったのか年のせいなのかはよく分らない(笑)


10kmの道のりを経て、端野温泉のんたの湯に向かう。町政100年の記念事業でお湯を掘り当てた、ナントもおめでたい温泉らしい。ヌルッとした浴感が、いかにも肌に良さそうなお湯だ。一軒宿の温泉ファンとしては風情に欠けるが、里に下りた山師の気分で汗を流す。車の内窓をくもらせて、真っ暗な山道を登りキャンプ場に戻る。森の奥からはホォーホォーと、猛禽類の鳴声が聞こえてくる。もののけ達の集いが開かれていても、まったく不思議じゃない雰囲気だ。道の駅サロマ湖で買ったハッカ焼酎を、焚火のはぜる音を肴に飲む。鼻にぬける爽快な味わいについつい杯を重ね、不覚にも腰掛けたままの姿で眠ってしまった。目の前の焚火はおきびとなり、バハはテントに引き上げている。これまたリラックスしたせいなのか、年のせいなのかはよく分らない。正確には飲み過ぎ!というのが一番正しい?

山のサイトに爽やかな朝が訪れる。簡単な朝食を済ませて、サイトのはるか上にある展望台を目指す。つづら折れの散策道をゆっくりと歩くが、日頃の運動不足はてきめんで2人揃って足どりが重い。何度も息を整えながら黙々と歩き続ける。傍らにはオガッタわらびがのび、うっそうとした笹が森の奥まで茂る。春先には手軽な山菜取りが楽しめそうだ。ようやく坂道の上に東屋の屋根が見えた。ふぅ〜、ホッと肩をなで下ろす。展望台からは北海道らしい雄大な景観を望むことができる。緑濃い山あいにライステラスが広がり、傍らを常呂川がゆったりと蛇行する。ちょっとしたトレッキングを堪能して得した気分。それにしても足腰の衰えは目に余る(苦笑)

まわりのキャンパーが撤収する様子を、管理棟のベンチに寝そべり眺める。トンビが頭上をゆったりと旋回する、ナントものんびりとした夏の日だ。などと呑気に構えていると雲行きが急に怪しくなり、黒く重たい雨雲が勢力を広げ始める。最後のタープをたたみ終えると、ついにポツポツと降り出した。山道から国道に入ると、突然目の前に稲妻が走る。続けざまに空に閃光が浮かび、一気に大粒の雨が音をたてて降り出す。天気の急変は凄ましく、バケツ百杯ひっくり返すドシャ降りだ。北見市内ではタライ百杯に変わり、その後も旭川までバケツとタライを繰り返す。川の上でこんなことになったら!と思うとゾッとする。雨の止みまに愛別の協和温泉でひとっ風呂浴びる。さっぱりとした炭酸泉で人心地。ハハハァ、これで最後もお気楽モードで終了だ。ふぅ〜、極楽極楽(笑)



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