
2004年9月5日以降の歌を収録しています。
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2004.9.5
消印のない手紙でのやりとりは「永遠に有効」という意味
2004.9.5
手紙でもいえぬ気持ちがあるように波は黙って平面となる
2004.9.5
見たものを見たままに描く 単純なことが今では一番難解
2004.9.5
目の前に居る君にさえ触れられぬ 弱き心に言い訳をして
2004.9.5
ぜんまいを誰かが巻いて立ち去りし 知らずに泣いているオルゴール
2004.9.12
君からの電話の後に飲むお茶はやっぱりミルクティーだと思う
2004.9.12
数秒間だけ至近距離にいた君は我を捕らえた 瞳の奥で
2004.9.12
メニューにはない恋をしている我に「ココアでいい?」とマスターは聞く
2004.9.13
噴水は水を巻き上げ宙に舞う その循環を空は味わう
2004.9.13
「食べるのは人か鳥か」と色づいた柿は行き交う風に尋ねる
2004.9.13
真空の世界に居るか 我の声届くことなく君と対峙す
2004.9.13
君までの空気をそっとたぐり寄せても縮まらぬ君までの距離
2004.9.13
雲ひとつない秋空に居る鳥は黙ったままで自己主張する
2004.9.13
心には蛇口がなくて本当に言いたい言葉を湛えたままで
2004.9.18
君に包まれた証拠は影の濃さでは見えなくてただ不安増す
2004.9.18
信じるって何?訊ねて重なる君の手は我の心に探りを入れる
2004.9.18
夕暮れの非常階段 影ふたつ恋の灯燃やし佇んでいる
2004.9.18
駅に入る電車のように慎重で繊細な恋選ばれており
2004.9.18
明日こそは一歩進もう 振り返り苦笑ばかりの恋の道中
2004.9.25
千枚の嘘を重ねて押し込めば過ぎた思いも層となるらし
2004.9.25
一冬に二度か三度の雪なれば貞淑な白は泥に紛れる
2004.9.25
物言わぬサンドバッグに物言わぬまま体当たり 逃げもできずに
2004.9.25
どれほどに愛し合えども夕暮れの空には溶け込めぬ君と我
2004.9.25
黒い紙に黒いペンで書くような恋には覚悟が必要である
2004.9.25
灯台が放つ光は誰からも疑われずにまっすぐに在る
2004.9.25
君と会う日は風ばかり強くなる 寄り添うように仕向けられてる
2004.9.25
風に身を隠して君に会いに行く スケジュール帳も携帯も捨て
2004.9.25
我が道を邪魔も入れずに行けばひとり 他人の道とは立体交差
2004.10.3
人は皆孤独であると気づいても気づかなくても地球はまわる
2004.10.3
天空をほどいた糸で織る夢に彦星役の君現れる
2004.10.3
偽の笑みや争いばかり見下ろして空よあなたは何をのたまう
2004.10.3
○○戦争、○○事件と名が付けば継がれる浅ましき意思
2004.10.3
満月の向こうに何かを見ようとし目を細めれば欠けゆく夜空
2004.10.19
三日月の尖ったところで君を傷つけてみようか 泣き顔見たくて
2004.10.23
忘れたい過去は隠して 灰色の空に浮かんだ雲のごとくに
2004.10.23
真夜中に目が覚め心に思う人のいる幸せと 闘う孤独
2004.10.23
「陽に当たるから枯れるのだ」そう言って目立たぬ道を選んで生きる
2004.10.23
チャンネルを次々変えていくように君の気持ちを計ってみたい
2004.10.23
化粧して塞ぐ全ての呼吸器官 思い出だけで生きていくのか
2004.10.28
君に抱かれ早鐘を打つ左胸 抑えきれない闇の出来事
2004.10.28
風を纏いて愉しげに翻る君のマフラー編んだのわたし
2004.11.1
雷を怖がる我の目も耳も唇も塞ごうとする君
2004.11.1
人間の全ての行為を知りながら 墜ちることなく在り続ける空
2004.11.6
守秘義務を遂行せよと空に告げ 君との愛を深めようとする
2004.11.6
殴る蹴るまた殴る それでも空は傷ひとつなく空として在る
2004.11.6
もう切れてしまっていいよ蜘蛛の糸 我を待つのは逃げ道だから
2004.11.6
目を閉じて我待つ君に空の青などを伝えてその後抱こう
2004.11.6
「熱中する時代じゃない」と量り売りされるのを怖がらぬ十代
2004.11.6
ため息で視界は霞む 前だけを見て進むしか道はない現代(いま)
2004.11.6
過去は今以上にリアル ポケットに針の動かぬ時計忍ばせ
2004.11.6
前菜を食べ終え皿に残りたる華やかなるが名も知らぬ魚
2004.11.6
泣きそうな心を溶かしカクテルの隙間を埋める 溢さぬように
2004.11.6
水際を進む我らの淡き恋 どちらが先に濡れるだろうか
2004.11.23
太陽を遮りたくて地に潜る 成長なんて望んでいないよ
2004.11.23
一人きりで部屋で過ごせば振り返る意味も静かに泣く意味もなく
2004.11.23
北風が指先かすめにじむ赤 乾かすために君の手握る
2004.11.23
同情をする余地もなく暮れていく 冬の陽射しは闇への引き金
2004.11.23
我がままと知っていながら君の香を纏っていたい真冬の夜は
2004.11.23
過去を使い果たして今を生きている 拠り所なき一本勝負
2004.11.23
「あなたには笑顔が似合う」と誰が決めた? 心で木枯らし吹き荒れている
2004.11.23
時間・人・自然・また人 人間は常に駆け引きしながら生きる
2004.11.23
斜め前から見てほしい 誤魔化して生きる自分を知られたくない
2004.11.23
喋らずに居れば飽きられなかったか? 恋の結末いつも同じで
2004.11.23
「愛してる」その一言を呑み込んで君の手を取り強く強く握る
2004.11.23
俊敏に飛び攻撃を繰り返す 我のプライドやがて落ちゆく
2004.11.23
風景を白く覆って朝霧は命を燃やす ひっそり燃やす
2004.11.23
秋風に揺れる黄葉の木々の中 君と我との花いちもんめ
2004.11.23
網膜に君をとらえた瞬間に熱が心を駆け抜けてゆく
2004.11.23
収穫を終えた田畑は鳥さえも寄らぬ 背景の一部となりて
2004.11.23
絵筆持ち白紙抱きて姿見の前に立ちても我描けぬ我
2004.11.23
欲張りになってもいいよ 恋だもの 陽が落ちるまでそばにいようか
2004.11.23
テーブルの下の昂揚気づかれぬように爪先踏んづけてみる
2004.11.23
ラッピングが丁寧すぎて開けない君の心を奪って逃げる
2004.11.23
君が来るのをただ待って夜を越す 闇にくっきり浮かぶ三日月
2004.11.23
光り輝くためでなく生きるため 太陽を待つミトコンドリア
2004.11.30
からっぽのベンチのそばで君を待つ 照らし出す月 探し出す星
2004.11.30
鉛筆で書いているのに消しゴムで消せないような恋をしてます
2004.11.30
哀しみの塊をただ造作なく抉ってゆくのは未来そのもの
2004.11.30
昨年も一昨年も空白の三年日記は我を疑う
2004.11.30
「逃げたい」と思う心に比例して足裏を引く強き重力
2004.11.30
青信号でも進めない臆病な我を追い越す年老いた犬
2004.11.30
ページ繰る指に迫ってくる影の正体知るも気がつかぬ振り
2004.11.30
地球という箱舟はどこに向かうのだろう それぞれの運命乗せて
2004.11.30
「この坂がどれだけきついか走るまでわからないよ」と言い退ける君
2004.11.30
一瞬の沈黙さえも待てなくて 始めたばかりの恋はせっかち
2004.11.30
美しいものを一緒に見ていれば沈黙は気にならないかしら
2004.11.30
沈黙をさえぎるように手をつなぐ 目を合わせればこれでいいよね
2004.11.30
なぜ影はあるの?何も感じないのに なぜここに私も居るの?
2004.11.30
次々と車に轢かれ薄くなる空き缶にもう逃げ場はないの
2004.11.30
目標は見えたよ 遠くへ飛びたくて錆びたブランコこぎ出してゆく
2004.11.30
白煙あげてゆらゆら燃えてゆく 枯葉さらさらもう灰になる
2004.12.13
オリオンは制限速度で追ってくる 夢も追えないわたしの後を
2004.12.13
新しいページならすぐ開けるよ 解けないパズルに未練はなくて
2004.12.13
「あの人は変わった」なんて思うとき 自分はもっと変化している
2004.12.13
関係を全て断ち切りロケットの速さで逃げていきたい夜明け
2004.12.13
夜が明けるスピードよりも我に降る君の想いは速く激しく
2004.12.13
君の名を唱えた後の空白は孤独を増して虚しく寂し
2004.12.13
静寂の中でゆらめく分子たち 時は確かに刻まれている
2004.12.13
膝抱え無音分子の中に居る我は声なく涙を流す
2004.12.13
雪の白とミルクの白を食卓に並べどちらが白いか競う
2004.12.19
いつもより少し長めに見つめよう 君への気持ちが強まる夜更け
2004.12.19
絡まった視線を解き目を閉じる ただ君の愛だけ待っている
2004.12.19
受け入れることはパワーが要ることと初めて知った厳冬の夜
2004.12.19
闇に咲く白木蓮の花の弁 月を妬んで星を妬まず
2004.12.19
走り出したら先を見て進むだけ ゴールは空の果てにあるから
2004.12.19
「メモリーがいっぱいです」と表示され取捨する思い出 携帯メール
2004.12.19
旅に出る気持ちで歩く通勤路 自ずと背筋が伸びていく朝
2004.12.19
カラフルな金平糖を2つ3つ落としたようなあなたの涙
2004.12.19
強引にさらいたいのに微笑んでついてくる君に今日も完敗
2004.12.19
願い事があるかないかと問われれば「ない」と答えた方が幸せ
2004.12.19
参道をのぼる人にも微笑みて「心の平和」の願い叶えり
2004.12.19
君を呼ぶ声をかき消すクラクション 募っていくのは寂しさばかり
2004.12.19
オリオンやカシオペアにはわからない 君と見たあの夏の夜の夢
2004.12.19
孤独色の小石見つけて手に取れば我のセーターの色と同じで
2004.12.19
駅前に佇む我は誰も何も待っていないよ 夕陽見つめて
2004.12.19
水晶を覗き込みても見えぬものありて 夜風に行き先尋ねる
2004.12.19
四時過ぎて急激に風冷える冬 君の温もりただ恋しくて
2004.12.19
コツコツと近づきてまた遠くなる足音の所有者は君じゃない
2004.12.19
灯り点く部屋には君がいるはずで 立ち寄れぬまま思い募らす
2004.12.19
今ここにいるのは偶然 我の影どこに行っても黒いままなり
2004.12.19
蒼い月 天の外から見られれば裏の黒さを隠せないはず
2004.12.19
幾度も「好き」と言われたはずなのに 持ちえぬ自信 拭えぬ不安
2004.12.19
意思を持ち強く生きれば吹く風の冷たさがより心にしみる
2004.12.19
旅先で栞買う癖まだ続く 読書時間は失われども
2004.12.19
醜さは受け入れるけど隠したい 自分の鏡に他人映して
2004.12.19
空席を求める夕の電車にて駅ごと展開する心理戦
2004.12.29
冷め切ったはずの記憶が蘇る 壁の時計は動かないのに
2004.12.29
青い目の人形を妙に怖がって泣いた頃にはもう戻れない
2004.12.29
右上がりの傾斜がきついグラフには恋をあてはめないほうがいい
2004.12.29
「昨日より今日が良くなる生き方をしたい」と唱える 振り返りつつ
2004.12.29
凛として桔梗は佇む 空でさえ合わせるように秋色になる
2004.12.29
誠実に居ようと思う 孤独さえ遠ざけられなくなったとしても
2004.12.29
空を切るように鋭く届く音 君のピアノは魂受けて
2004.12.29
ソナタ「悲愴」弾く君の指追う どんな音も想いも逃さぬように
2004.12.29
ずぶ濡れの嘘を乾かす灼熱の太陽 真夏の恋は幻
2004.12.29
嘘を寄せ固めたゼリーを切り分ける 欺瞞の味をおひとついかが?
2004.12.29
君を待つ傘に降り積む雪 我の熱い想いで溶けてしまえり
2004.12.29
好きという気持ちはいつも「追伸」の後の言葉に託す作戦
2004.12.29
ブラインドを下ろして闇に君を置く 瞳の光を独り占めする
2004.12.29
手探りで進む恋なら大胆でいいよね? 箍も外してしまおう
2004.12.29
落ち葉でも必要とする人がいて 喉渇くまで乾かそうかな
2004.12.29
もう照らさなくていいのよ 枯れ木には月の光は似合わないから
2004.12.29
霧かかる道を進めばゆっくりと視界ひらけて まだ歩けるよ
2004.12.29
県境ここまで来れば見つからぬ 我がひっそり泣いていようと
2004.12.29
赤いリボン落としていこう 我が来た証としよう 誰も見ずとも
2004.12.29
ブロックを4階から投げてみようか 粉々の身に我もなるかな
2004.12.29
夕闇が降りると我の影は消え 夢を見るのも見ぬのもひとり
2004.12.29
夜を待ち薄化粧する夕の空 数十分輝くためだけに
2004.12.29
雨は寒さに耐え切れず雪になる 君住む街はまだ雨だという
2004.12.29
明日にはまた立ち並ぶ霜柱 また壊されるガラスのビル群
2004.12.29
今年一番に冷え込む朝に踏む霜柱 崩れぬ強き意思
2005.1.2
玄関のドアに朝露連なりており 開けるのを暫しためらう
2005.1.2
君の手を握る前には一瞬の間があり それは見えないアース
2005.1.2
冷たさをやさしさとして受け止める それは勇気か臆病なのか
2005.1.2
冬の野にひとり立ち居て枯れ色に染まってしまおう 見つからぬように
2005.1.9
エンジェルの羽ひとかけら草原に在り さっきまで君が居た場所に
2005.1.9
南風が海辺の旗をなびかせているから 君の北側に立つ
2005.1.9
程々の贅沢と優しさを持ち生活すれば近づく平和
2005.1.9
君と我が惹かれあうのは引力のためと言い訳 君引き寄せる
2005.1.9
今日もまた地球は廻る その上で走り争い苦しむ人類
2005.1.14
弱音吐く暇も強さもない我は冷たい雨にただ濡れるだけ
2005.2.5
君の目を見られないのは何故なのか考えるほど愛しさ募り
2005.2.5
近頃の君の瞳にいる我はあまり笑顔でなくなっている
2005.2.5
来週はもっと笑顔で君と会おう 目で伝えよう 愛してるよ、と
2005.2.5
距離感を悟らないまま付き合えば友といえども毒針ちくり
2005.2.20
散歩道にふと現れた曲がり角 選ぶ余裕のない木曜日
2005.2.20
体力も耐える力もない我は近道ばかり選んで歩く
2005.2.20
コーヒーの湯気は真白でやがて消え 我に取り込まれることもなく
2005.2.20
冷蔵庫にて忠実に留守守る炭の塊「お帰り」とは言わず
2005.2.20
三連休の中日は無意味に過ごそうと決める 時間の意義を知るため
2005.2.20
「神経の使いすぎです」名医より君の言葉に安らぎ感ず
2005.2.20
悲しみをとらえる心のセンサーは我より他人に敏感であれ
2005.2.20
新品のノートの最初に書くように 君への思いを吟味している
2005.2.20
削られぬ白色鉛筆 六年も端に居るだけ ただ長いだけ
2005.2.20
感情を隠して生きれば思い出は必然的に白黒になる
2005.2.20
「デジタルの時代」は「過去を鮮明に残す時代」である 未来暗し
2005.2.20
思い出はデジタルになり消すことも簡単である 今を生きよ、我
2005.2.20
抱かれて守られている 我よりもはるかに軽い羽毛布団に
2005.2.20
定型の一日終えて寝に入れば定形外の夢で目覚める
2005.2.20
白は白くあり続けるため様々な色に寄り添い己を映す
2005.2.20
窓際に君と我との定位置があり 陽だまりに身を任せゆく
2005.3.11
葛藤は繰り返されていくばかり 「なりたい」自分と「できない」自分で
2005.3.11
感情の波は夕日と共に沈み また明日ね、と作り笑いする
2005.3.11
偶然に生きている者死んだ者 時は黙って生を見送る
2005.3.11
一日を振り返り書く○か× 明日のわたしへ影響はない
2005.3.11
夢を見る力が弱くなっている 風を頼りに行くのはよそう
2005.3.11
アスファルトばかり歩いているために自分の重さを時に忘れる
2005.3.11
四面楚歌ならば見上げてみよう まだ空は味方でいてくれるかな
2005.3.11
優しさを求めて心を掘り出せど苦汁ばかりが沁み出してくる
2005.3.11
喜びの種に涙を注げども根は悲しみに耐えて伸びゆく
2005.3.11
人参を桜の型で飾り抜く 桜の形の穴を食そう
2005.3.11
狡猾な世とは知らずに黙々と芽吹き散りゆく水仙の花
2005.3.11
土を巻く風は枯葉を吸い込んで天へと上る 葉の命燃ゆ
2005.3.11
皆同じ生のベクトル持つならばぶつからないが交わりもない
2005.3.11
悲しみは鈍色だから視界には入らぬように背負ってしまおう
2005.3.13
一団の雀が夕の空に舞う 斑模様をつけては消して
2005.3.13
蒲公英の花を見つけて君をすぐ想った 春だよ どこか行こうよ
2005.3.21
鍵盤の上跳ね回るしあわせに我は「笑顔」の保険をかける
2005.5.4
迷ってもいいよ ゆっくり行けばいい 恋のゴールは場所さえ不定
2005.5.4
暗闇で息継ぎをする 生きている証拠を残さぬようひっそりと
2005.5.4
呑み込んだ不満が消化されるまで笑顔はしばらくお待ちください
2005.5.4
過ぎ去った幸を利息に生きていく 不満ばかりの毎日だから
2005.5.4
目印につけていたキーホルダーを取れば鞄は我を失う
2005.5.4
鋏では切れない縁があることを知ってひたすら空気層を砥ぐ
2005.5.4
Tシャツが肌に馴染んでくる午後に君と会うのは少し気まずい
2005.5.4
正確に君の温度を測ろうとすれば二枚の布が邪魔する
2005.5.4
寂しさを紛らす日暮れの散歩道 等身大の影引き連れて
2005.5.4
歯車でいられることの喜びを否定しようと野心は燃える
2005.5.4
「無理です」と言えればもっと楽になる ひとりため息 休日出勤
2005.5.4
愛だけでなく哀だって優しいと多忙な日々は教えてくれる
2005.5.4
冬の浜に浮かぶ模様は「さっきまで風が居ました」と告げ眠りおり
2005.5.4
これ以上後にも先にも進めない我等に似ている波の戯れ
2005.5.4
この人はもう要らないと削除する PC管理の人間関係
2005.5.4
君が居てくれさえすればいいんだ、と言い切れもせず夢は夢のまま
2005.5.4
帰りたくない我の背を月が押し 君は夕陽の中へ溶け込む
2005.5.4
君の背を包みふたりで仰ぐ空 星が出るまでこのまま居よう
2005.5.4
意思なんて流れる川に捨ててしまえ 空洞となる心は軽い
2005.5.4
焦点を合わせることができなくて我は心の地図を描けず
2005.5.4
「忙しい」と感じることは幸せか 紙一重なり仕事中毒
2005.5.4
二種類の味噌を選んでいる母の瞳の奥には家族が住めり
2005.5.4
手袋で覆われている母の手は指の先まで家族の誇り
2005.7.17
思い出は小さな箱に片付けて依存防止に鍵をかけよう
2005.7.17
熱々のシチューを口に含むとき思い出される猫舌の君
2005.7.17
火傷した舌をかばって一ヶ月 新しい恋にまだ踏み込めず
2005.7.17
細々と生き永らえている花火 無難にすごす我に似ており
2005.7.17
存在の証は消せず 故に我は調和の海に身を任せゆく
2005.7.17
痛みにも慣れてしまえば薬など要らぬ やがては治る傷なら
2005.7.17
青白い炎見つめて許し乞う ものも言わずにくゆらす煙
2005.7.17
チカチカと灯ろうとする 切れかけた蛍光灯の最期の叫び
2005.7.17
感情を制御できずに泣き笑い AB型の血のせいにする
2005.7.17
溶けかけのチョコレートひとつ放り込みメール打つ指ラストスパート
2005.7.17
名も知らぬ星が生まれて消えてゆく 燃え尽きることの意義もわからず
2005.7.17
どうにでもなれ、と目を閉じ飛び込んだ ただ沈みゆく我は意気地なし
2005.7.17
新しい我になろうとするものの記憶はちぎり捨ててしまえず
2005.7.17
どの願いを叶えましょうかと笹の葉はさらさら揺れて夢援護する
2005.7.17
生乾きの白いシャツ着て外に出る 青空色に染められたくて
2005.7.17
手のひらで光を受けて目に見えぬ人形作る 「希望」と名づけ
2005.7.21
赦されはしないと知りつつ祈るのは君との恋のハッピーエンド
2005.7.21
階段を下りてゆく音止んだ時 一人の部屋は寂しさを増す
2005.7.21
夕焼けの赤に紛れる赤とんぼ 声もなく去る 羽振るわせて
2005.7.21
バックミラーばかり気にする恋なんかしないで 前には急カーブあり
2005.7.26
飲み込んだ愚痴がちくりと刺さる喉 楽しいことでも食べて流そう
2005.7.26
下を向く向日葵をそっと抱き起こす 曇り続きの八月の朝
2005.7.26
言い訳を重ねてばかりの我自身 歪んだ鏡で見ればまっすぐ
2005.7.26
回転の速度を上げて生き急ぐ 地球の上の生物は愚か
2005.7.26
さびしさにちりゆくさくら はるの夜をいびつなかたちのなみだで飾る
2005.7.26
青空に狙い定めて矢を放つ 特に意味なく 願いさえなく
2005.7.26
月に住むうさぎの影のその黒さ 我の瞳とどちらが濃いか
2005.7.26
どこまでもついて来る気か 三日月は尖った先でリズムをとって
2005.7.26
三日月の端に乗ってよ ゆらゆらとふたりで揺れていよう シーソー
2005.8.3
ドーナツの穴のぞきこむ この中で溺れるような恋がしたいな
2005.8.3
モニターに居座りつづける数式と勝負のつかないにらめっこする
2005.8.3
唇で証を残す 君の手に溶かし込むようゆっくりきつく
2005.8.3
闇を身にまとって踊る我は愚者 喜怒哀楽を全て打ち消し
2005.8.3
できるだけ小さな灯りで夜を過ごす 誰も想わぬ努力をするため