
岡田史子単行本未収録リスト
岡田史子は昭和40年代前半に手塚治虫主宰の「COM」で活躍した漫画家であり、萩尾望都に影響を与えた漫画家としても有名です。彼女は漫画に、西洋の文学、哲学、美術などを導入し、抽象的に表現したため、その作品はどれも難解です。また、絵柄を作品ごとに変えたり、時にはペンの替わりに割り箸を使うなど、当時の漫画の限界を超える実験を繰り返しました。
当時は劇画全盛の時代であり、同じくCOMを中心に活動していた宮谷一彦が、漫画をいかにして写真に近づけるかと試行錯誤する中で、それとは正反対の抽象的な絵柄を用いて、漫画の向かうべき別の方向を提示した岡田史子に、私は深い感銘を受けました。
岡田史子がどういう漫画家なのかを知るためには実際に漫画を読むことが一番なのですが、この人の漫画本はどれも絶版で、古本屋を回ったとしても入手するのは困難だと思います。この現状は非常に残念なことです。

COM昭和43年4月号掲載「春のふしぎ」より
岡田史子は昭和42年から昭和45年にかけてCOMを中心として作品を多数発表し、突如筆を折ります。その後、何本かの漫画を描きますが、それらの多くが単行本未収録となっています。未収録の理由は、はっきり言ってあまりおもしろくないからだと思います。執筆をやめてから、彼女の漫画に対する意識がどのように変わったかはわかりませんが、作品からはCOMの頃のような病的な暗さや張り詰めた緊張感といったものは感じられません。1992年にNTT出版から発売された全集的な意味合いを持つ「岡田史子作品集」にCOMの頃の作品しか収録されていないのも、そのような理由なのかなあと勝手に推測しています。
注)COMでの執筆をやめた経緯については「消えたマンガ家3」(大泉実成)に詳しく載っています。
| 単行本未収録リスト |
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単行本
・「ガラス玉」 朝日ソノラマ 1976年
・「ほんのすこしの水」朝日ソノラマ 1978年
・「ダンス・パーティー」朝日ソノラマ 1979年
・「岡田史子作品集」全2巻 NTT出版 1992年
・「岡田史子未発表作品集」限定200部 まんだらけ 1999年
・太田出版より予約のみで発売されたもの(未確認)

ワードナさんのサイト。岡田史子についてはこちらを参考にしてください。
| 「タンタ・リンドの場所」 月刊マンガ少年1979年9月号 12ページ |
タンタ・リンドは長い間、さまざまな場所を彷徨ったが安らげる場所はどこにもなかった。チルチルミチルみたいに身近な場所にあるのに気づかず徒労を重ねたのではないかと考え、故郷に帰ってみたがそうではなかった。幼なじみのマミラリアは彼が生活するための場所を用意したが、それは病人が暮らすブタ小屋だったため、タンタ・リンドは激怒する。二人の目の前で病人は倒れて死ぬのだが、マミラリアの陰謀によりタンタ・リンドは病人殺しの犯人に仕立て上げられてしまう。そして、タンタ・リンドに最後に用意された場所は絞首台だった。 |
| 「球状ガラス」 少年少女SFマンガ競作大全集PART7 1980年 4ページ |
![]() この号はオール描き下ろしショート・ショートという実験的な作りとなっていて、総勢39名の漫画家の一人として岡田史子もショート・ショートを描いている。また、SFマンガにこだわった雑誌ということで、岡田史子が商業誌に発表した漫画としては初のSFマンガとなっている。 内容は、コマの構成がなかなか実験的。ページは右と左に分けられ、それぞれが独立したストーリーを展開する。右部分は球状ガラスを見つけた主人公の家庭内の話で、左部分は宇宙からやってきたスピルバーグ星人の大使が行方不明となっており、大使は球状ガラス様のカプセルに入っているので全人類は戦争も止めて探すようにとテレビのニュースが伝えている内容。 この号には漫画以外に、岡田史子へのインタビューが入っているのだが、それによると岡田史子は「地獄の黙示録」を見てウィラード大尉役のマーティン・シーンに惚れ込んでしまったという。マーティン・シーンは、その後「輝うつばめ」で主人公の名前として用いられるので、この点は注目したい。 |
| 「ゾンネン・ぱるたい」 少年少女SFマンガ競作大全集PART14 1982年 34ページ |
![]() 紀元前二千三百年頃シュメールのルーガルザデジを倒し、地球上はじめての領土国家を築き、周辺都市を征服した史上最初の帝国主義者サルゴン王・・・の子孫、第百三十七代目アッガド王のマーティは宇宙から太陽の光に乗ってやってきたゾンネン・ぱるたいと接触することで「変質」され触れるだけで人を殺せる体となってしまい、宇宙意志により生きとし生けるものすべてを殺すという使命を与えられてしまう。 結局、母親や友人を殺してしまい、その後は開き直って人を殺しまくるのだが、そのへんのセリフやら表情やらがギャグっぽくて面白い。岡田史子の漫画にしては異色な感じがする。 |
| 「コリドー」 SFマンガ競作大全集PART21 1983年 4ページ |
![]() この号もショート・ショート大特集ということで、36名の漫画家がショート・ショートを描いている。 少女が絵画をみていると、絵の中の少年に引きずり込まれて、襲われそうになる。少女は今はダメだから、また後で来ると約束して絵の外に出してもらう。 彼女は自分の子供が大きくなってから再び彼に会いに行くのだが、年月が経ち彼女は変わってしまったために少年は彼女のことに気がつかない。絵の中の少年はいつまでも少年のままである。 |
| 「輝うつばめ」 アメージングコミックス第1号 1988年 18ページ |
![]() 社会とのつながりは窓の外に見える空だけという檻の中に閉じ込められたマーティン・シーンは部屋へとやってくるつばめに食事に出されたパンをちぎって与えていた。つばめは部屋へ入るとマーティンには人間に見えた。 つばめはシャーロット・ランプリングと名のった。自分はアンデルセンの童話の「パンをふんだ娘」であり、沼の底に沈んだ後につばめとなって、踏んづけたパンと同じ分のパンくずを探しにやってきたと語った。シャーロットはパンくずを集め終わると再びつばめとなって飛んでいった。そんな彼女を見ているうちに、マーティンは大空への憧れを抱き始める。その数日後、マーティンはシャーロットといっしょにつばめとなって大空へと旅立つ。 注)「パンをふんだ娘」とは、沼を渡るのに汚れたくないと考えた娘が、パンを踏んづけて渡ろうとしたところ、パンといっしょに沼の底に沈んでしまうという話。あと、マーティン・シーンとシャーロット・ランプリングというのは実在の映画俳優の名前。この手のことをモチーフにするのは、いかにも岡田史子らしい。 |
最終更新日 2002/03/14