
それは忘れもしない、2002年3月9日のことだった。
図書館の児童書のコーナーで、はなくそをほじっている男の子を見た。
きたないからやめろ、と言おうかと思ったときに、ふと横を見ると、
本棚に、舟崎克彦の「ハナクソ太郎のぼうけん」があった。
思わず、手にとってぱらぱらと読むと、
ある家の、だれが落としたのかわからないはなくそが、
夜中に、ダニと闘い、人類を黴菌や病気から守って大活躍、
という話だった。
その後、また別のこどもがはなくそをほじっているのを見ても、
もう何も言えなくなってしまった。
ということで、
「ハナクソ太郎のぼうけん」(舟崎克彦作・絵、学習研究社、1997年)
を紹介する。
表紙を見ると、ゆきだるまに手足がはえたような、ハナクソ太郎が、
しかめっつらで、こっちへ向かって歩いてくる。
その後ろから、凶悪な面相のダニがねらっている。
ハナクソ太郎は、夜、家中が寝静まった後に、大活躍する。
体を丸くしてはずみをつけて、ダニのおでこにぶつかって気を失わせたり、
よだれを垂らして
「きっと しおあじがきいていて、ひと口やるには うってつけだろうぜ」
と向かってくるゴキブリには、
体をのばして顔にはりついて、ひげをつかんで
「GOKICHAN」の中に入れたり、
紐になって、ねずみのひげをしばりあげたり……
はなくそは、たたかってもたたかっても、
住人の誰かがすぐにはなくそをほじくってすてるので、
また合体して、強くなることができるのだ。
2ページ見開きで、力瘤をたくわえた大小のはなくそが胸をはっているぞ。
「こうしてハナクソが人知れず、いのちをかけてたたかっていることは、
だれも知らない。
きみは、おぼえていてくれ。」
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