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みとこんちゃんとは、「ミトコンドリア病患者・家族の会」のイメージキャラクターである。1999年に開かれた国際シンポジウムでは、みとこんちゃんをプリントしたTシャツも作ったという。
ミトコンドリア病とは、ものを知っている人にきいたところによると、
「細胞の中でエネルギーを作り出す働きをしているミトコンドリアの機能が低下することによって、主に心臓、骨格筋、脳などに異常を生じる疾患です。疲れやすく長い距離を歩けない、意識を失って手足が麻痺するなど、さまざまな症状を現すことがあります。」
ということである。
「ミトコンドリアと生きる」(瀬名秀明・太田成男共著、角川書店、2000年12月)
は、活性酸素、遺伝子、人類の起源とアイスマンの発見、ミトコンドリア病、老化・免疫のことなどを取り上げて、ミトコンドリアのはたらきを説明し、文章もおもしろい。
その204ページには、次のような記述がある。
>もしこのメカニズムで異常な呼吸鎖酵素が合成され、それが活性酸素の流出を促すのだとすれば、ミトコンドリア脳筋症の原因遺伝子を調べることは老化の研究にも繋がってくる。日本で一〇〇〇人の罹患者の病気は、人類全体の問題と表裏一体だということになり、ますます研究の重要性が増してくるのだ。
そして、215ページには、元気なときの、みとこんちゃんと、ミトコンドリア病のときの、みとこんちゃんの絵が、載っている。
そもそも、ミトコンドリアとは、何か?
ミトコンドリアも含めて、細胞そのものについて知るには、インターネットの、『ビジュアル生理学』というサイトがいい。
http://isweb26.infoseek.co.jp/school/bunseiri/index.html
このサイトの、「細胞の構造」に、動画と文章で、細胞の仕組みがわかりやすく説明されている。
ミトコンドリアは、細胞が必要なエネルギーを作り出す働きをしている。
エネルギーを供給するとき、活性酸素が発生する。
DNAは、酸素で傷つきやすい。
だから、細胞のなかで、DNAを保存して固体の遺伝情報を伝えるはたらきは、核に、
エネルギーを作り出すはたらきは、核の外の、細胞質にある、ミトコンドリアに、
と、分けられている。
「ミトコンドリアと生きる」の共著者の一人、瀬名英明は、言わずと知れた、小説「パラサイト・イブ」の作者である。
映画「パラサイト・イブ」では、ラストシーンで、泣いている三上博史に向かって、白い、裾の長い、古代ギリシャみたいな服を着た、泣いても笑ってもいない、葉月理緒菜が、両手を差し出すと、その手が燃えて、二人で抱き合って、立ったまま燃えていた。
つまりあれは、ミトコンドリアが、活性酸素を発生しながらエネルギーをつくるので、酸素は燃えやすいので、ミトコンドリアからできた葉月理緒菜が燃えて、三上博史に燃え移ったらしい。
(ほんとか?)
ところで、ミトコンドリアのなかにも、DNAが少しだけある。
しかし、「ミトコンドリアと生きる」によると、今でも高校の生物の授業では、ミトコンドリアDNAのことは教えないことに決まっているらしい。 いま、ミトコンドリアDNAこそ、熱い話題を提供しているのに。
生殖のとき、卵子細胞は、核のDNAの半分とミトコンドリアのDNAを伝達する。
精子細胞は、核のDNAの半分を伝達するが、ミトコンドリアのDNAは消滅する。
だから、ミトコンドリアのDNAは、母系遺伝する。
この母系のみに遺伝するミトコンドリアの性質を利用して、人類の祖先をたどる研究がある。
アルプス山中で、5000年前に亡くなった男性のミイラ化した死体が発見され、「アイスマン」となづけられて、研究が始まった。ミトコンドリアDNAを調べることによって、アイスマンの子孫が、現代に生きていることがわかった。
最新の研究の成果は、話題の本、
「イヴの七人の娘たち」(ブライアン=サイクス著、大野晶子訳、ソニー・マガジンズ、2001年)
にまとめられている。
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「アイスマン」(デイビッド=ゲッツ著、ピーター=マッカーティー画、赤沢威訳、金の星社、1997年)
小学校高学年から中学校向きの本なので、絵や写真が多くて、字が大きくて、言葉遣いもやさしくて、読みやすい。著者は学校の教師で、何人もの研究者に取材して、この本をまとめた。
「ミトコンドリアと生きる」で紹介されていた、5000年前の男の人のミイラ化した死体について、アルプスの山中で見つかったくだりから、くわしく書かれている。
最初に死体を発見したのは、登山客で、遭難者の遺体だと思われた。しかし、それにしては不自然なところがあり、事件かとも思われた。それでも、どうもおかしい。どうやら、たいへん、古い時代の遺体らしい。100年以上も前の遺体も、見つかることもある。と思って、調べていくと、100年や200年ではなく、もっと古いことがわかった。遺物なども見つかり、なんと5000年前の人だったとわかった。
研究者は、最初に、ミイラがいたまないように、保存の技術に細心の工夫をこらした。普段は冷凍の状態で保存するのだが、研究するときには解凍しなければならない。そのたびに遺体が傷むので、一回の研究の時間を制限して、世界各国のさまざまな分野の学者が協力して、研究を進めている。
この男性は、どのようにして亡くなったのか?
この「アイスマン」で述べられている説と、「イヴの七人の娘たち」で述べられている説とでは、男性の亡くなった状況は、くいちがっている。
「アイスマン」では、平和な死に方をしたようである。
「イブの七人の娘たち」では、争いのうちに、亡くなったようである。
この判断の違いには、そのときの研究者がおかれている社会情勢なども反映しているのだろうか?
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「クローン動物はいかに創られるのか」(今井裕著、岩波書店、1997年)
私がミトコンドリアに興味を持ったきっかけは、2002年2月にきいた、卵子の若返りによる受精によって、高齢の雌牛が妊娠した、というニュースである。若い雌牛の卵子の細胞の核を抜き、そこに、高齢の雌牛の卵子の細胞の核を入れて培養し、それを今度は、雄牛の精子と体外受精させ、元の高齢の雌牛の子宮に戻すと、妊娠したのである。この研究をおこなったのは、東京の不妊治療専門病院と、岩手大学農学部である。
USAでは、2001年に、不妊治療専門病院で、妊娠できない女性の卵子の細胞に、妊娠できる女性の卵子の細胞質を移植して、出産させた。この場合は、二人の女性の細胞質がまざったので、赤ちゃんには、一人の女性の卵子の細胞の核のDNAの半分と、二人の女性の卵子の細胞質にあるミトコンドリアのDNAと、父親の精子のDNAの半分とが、伝わっている。
不妊治療、または、生殖医療と呼ばれるものは、同時に、畜産技術でもある。そして、卵子の若返りによる不妊治療法は、遺伝子操作ではないか、こどもに、ミトコンドリア病が出ないか、などの問題が提起されている。
たとえば、核移植によってつくられるクローン牛は、2001年現在までに、日本でも600頭以上生まれているが、核を提供した雌牛のDNAと、核を移植された雌牛の未受精卵のミトコンドリアDNAとを伝えている。
「クローン動物はいかに創られるのか」
p.14-15より
> 人類が家畜を飼育するようになった時期は紀元前六〇〇〇年頃といわれています。今日までの長い歴史のなかではじめて生殖現象に人間の手が加えられたのが、一七二〇年に犬でおこなわれた「人工授精」です。精液を採取し希釈した後、雌の子宮内に注入することで、自然交配によることなく、一回の採取で複数の雌を妊娠させることが可能になったのです。ついで、このように希釈した精液を低温下で保存する技術とともに、一九五二年には、マイナス一九六℃の液体窒素中で半永久的に精子を凍結保存することが可能になりました。現在、日本におけるほとんどすべての牛は凍結精液によって生産されています。また、精子の凍結が可能になることによって、現存するものはもちろんのこと、すでにこの世にはいない優良な雄牛でさえ、その優秀な遺伝的形質を子孫に残すことができます。この技術は雄の側から家畜を改良するのに有効な方法です。
> 雌側の生殖現象の代表的なものは妊娠です。妊娠を人工的におこなわせる技術は「受精卵移植」あるいは「胚移植」とよばれています。一八九〇年にウサギで初めて試みられました。
p.79より
> 私たちの研究室では、このミトコンドリアが胚の発生やクローン牛の中で、その後どのようになっていくかについて検討しています。すると、牛の場合、胚発生の過程でドナー細胞に由来するミトコンドリアは順次消失していき、クローン牛では未受精卵に由来するミトコンドリアに置き換えられていました。このことは、核移植によってできる細胞は、ミトコンドリアに関してはドナー細胞と同一にはならないことを示しています。さらに、もし未受精卵を別の牛からのものを使えば、ドナー細胞は同じでもクローン牛のミトコンドリアはそれぞれ異なったものになっているはずです。日本では、未受精卵は乳用牛であるホルスタインが使われることがほとんどです。ドナー細胞に肉用牛である和牛のものを使うと、ミトコンドリアはホルスタインで核の遺伝子は和牛であるクローン牛が生まれてくることになります。
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東京都畜産試験場の「受精卵の高度利用技術試験」
http://www.nlbc.go.jp/topics/topic_clone.html
「核移植技術(クローン牛生産技術)」
「全国の生産頭数 受精卵クローン牛604頭、体細胞クローンは260頭」
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/2001/1031_2.htm
「農林水産省 農林水産技術会議事務局」
「家畜クローン研究の現状について」
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