Yahoo!の「日木流奈の謎」掲示板の、某神経内科医さんによる、ホーキング博士と日木流奈さんの対比

2002年5月7日〜5月8日

Yahoo!の「日木流奈の謎」トピックで、某神経内科医さんにより、ホーキング博士と日木流奈さんの対比がおこなわれました。
某神経内科医さんは、後で、その目的を、次のように述べられています。

>一方は病気のために不自由な身体になりながらも自らの言葉で正しい科学を追求しておられ、かたや(おそらく)拝金主義者、カルト、似非科学の信奉者たちによって重度障害児が祭り上げられ、不勉強なマスコミがそれを美談として増幅し、無理解からそれを"癒し"として受容する無知な人々。
>そしておそらく心に深い傷を負っているであろう母親が巻き込まれ、父親も影響を受け、妹は正しい幼児期の愛情や、教育を受けられないという、まったくもって悲惨な状況。この二者を、同じような身体の状態だからといっていっしょにするのは誤りなんですよということを伝えたかったのでした。

某神経内科医さんと、konanbaさんとの、神経伝達速度と検証についての意見交換と一緒に、まとめました。

2002.11.18


http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=468
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=476
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=478
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はじめまして。某神経内科医です。
ちょっと前後するかもしれませんが、まずホーキング博士について。

一般に、診断はALS(筋萎縮性側索硬化症)とされていますが臨床経過からみると典型的なALSとは異なります。いちばんの相違点は、この疾患で致命的といわれる呼吸筋力の低下が非常に緩徐ですので。

いわゆるALSは、神経変性疾患のうち運動ニューロンが特異的に変性する(壊れる)病気です。
運動ニューロンとは、大脳から筋肉に情報を伝える神経細胞ですが、大雑把には脳から脊髄までの一次(または上位)運動ニューロン、脊髄前角細胞から筋肉に至る二次(または下位)運動ニューロンがあり、この両者が何らかの原因によって壊れる病気で、脳からの筋肉を動かす命令が、筋肉に伝わらなくなるために筋力が徐々に低下してしまう進行性の病気です。 ホーキング博士の場合、四肢体幹筋群(手足を動かす筋肉や、体を起こすための筋肉)の筋力低下が明らかですので、運動ニューロン病の一種が考えられますけど、ALSかどうか詳細はわかりません。

大切なことは、彼の場合(というか、多くの運動ニューロン病の場合)、ヒトの脳細胞のうち、「知的な機能を担う部分」に障害は生じないのです(最近ではこのような古典的なALSの他に、痴呆を伴うもの、家族性のもの、若くして発症するものなどに分類されていますが)。

20年ほど前まで、彼は車椅子に座りながらも今のようなコンピュータやスピーチシンセサイザを使わずに、自分の声で、自ら"話して"いたのです。私も、非常に聞き取りにくいながらも、彼自身の発する言葉を聞いたことがあります。その後筋力低下による「構音障害」の進行のため、普通の人と話がしにくくなり、彼のことをよくわかる物理学者が、彼の言葉(意思)の表現(表示)を手伝っていた時期があったと思います。その後さらに病気が進行し発語は全く不可能となりましたが、そのかわりコンピュータ技術の驚くべき発達により、彼は自身を表現するための新しい手段を手に入れることができました。

つまり、彼の知的な部分は(最近の一部の思索はともかく)、かつて若く健康なときに十分訓練されたもので、後に病気が進行してきたために徐々にコミュニケーションが取りにくくなり、そして今の状態になったわけです。

さて、テレビなどで日木流奈さんや、最近のホーキング博士をごらんになった方は、お二人の似たような姿…自分で立つことはおろか身体を支えることができず、手足が不自由で、自分の声で言葉を発することもできない、唾液をうまく嚥下する事ができず流涎(よだれ)が見られるといった、俗っぽい言い方をすれば"とてもかわいそうな"外見的な共通点に注目されている方も多いのではないかと思います。 原因となった病気は異なりますが、四肢体幹機能障害、嚥下障害など日常生活動作という点ではお二人ともほぼ全介助の状態、日本では肢体不自由だけでも1種1級の状態にあります。実際診察をして診断したわけではありませんから、みなさんと同じようなテレビや、本などの情報に接して判断した結果ですが。いずれにせよ多くの場面で誰かの手助けがなければ、日常生活に支障を来すという点では、共通しているわけです。これは確かですね。

次に、お二人とも他人との意思疎通が困難という共通点がある。これも事実でしょう。

この状況を打開するため、ホーキング博士は失われた身体機能の補完のためにコンピュータを駆使することにしました。そして自らの言葉で、自らの頭の中に思い描く、独創的な世界を語っています(ついでに、自ら電動車椅子を操作してそれなりに自由に移動もできるわけですが)

本当に彼はそれら装置を利用して自らの言葉を語っているのかということについては、彼がプログラムされた機械−決められた手順で操作すれば期待される結果が必ず得られる装置−を自らの意思で操っているという事実が、万人によって確認されているから言えることです。つまり、誰がホーキング博士の意思を確認しても、確かな「再現性」をもって、返事が返ってくるということです。再現性があるということは非常に重要です。故に知的、言語能力についての彼の能力は検証されていると言っても良いと思います(参照;チューリングテスト…かな?) (逆説的ですが、もし彼が自らの言葉で独創的な世界観を語ることができなければ、王立教会フェロー、ケンブリッジ大学ルーカス教授職といった名誉ある地位につくことはできなかったでしょう。このことは、身体障害があることを差し引いてもなお、英国中の知性との比較で、彼がより優れた頭脳の持ち主であることの証左と言ってもいいのではないかと思います。)

つづきは…ここから先が大変だが…つーか、気が重くなってきたのでとりあえずホーキング博士の件だけにしておきます。
あのー、ネット書店でお二人の本をいっしょに買われている方、混同しないでくださいね。
人の弱いところに、気づかぬうちに入ってくる、間違った考え方というものがあるのです。

むしろ、そうだな、どうせお金を出すならば、最近の名作(と思っている)「光とともに…」1、2巻でも買っていただいて、もっと障害者や、関わっている人たちの日常がいかに大変であるかということを理解してあげてください。理解してあげれば、遠回りかもしれないが、彼らが幸せになって、そしてみんな幸せになれる。気がする。多分、障害児(者)のことをみんな知らなすぎる。だからこそ、今回のこのような誤解が生じる。さらに言えば、根本的には「正しい科学」や、「科学的に正しい考え方」に対する無理解だけど。 みんな疲れていて、癒しをもとめていらっしゃることと思いますが、まあ、おいらにとっての、あたたかいやすらぎは今はまだ遠い…てとこさ。

「光とともに…〜自閉症児を抱えて〜」戸部けいこ著、秋田書店、
第1巻2001年7月19日、第2巻2002年3月20日発行
http://sugar--web.hp.infoseek.co.jp/hikaru.html
http://ww3.tiki.ne.jp/~teppey/hikarutotomoni.htm
http://ww3.tiki.ne.jp/~teppey/osusumenoissatu/hikaritotomoni2.htm

 

これまで積み上げられてきた"常識"や"前提"とされる部分までも「もし〜だったら」と疑いだしてしまうと、きりがありません。それらの中には、確かに壊れてしまうものもありますが決して多くはない。常識の部分は常識として、検討しなくてはならないところを考えるべきでしょう。

流奈さんについて検討するのがちとつらいので、ホーキング博士のところで止めているのですが…
SpaceandTimeさんのご指摘に対するお答えになっているかどうかわかりませんが。

まず、ご存じかと思いますが、通常の臨床の場面で知能を検討する手段として、チューリングテストを用いることはありません。これはあくまでも人工知能のためのテストであり、我々の診察の際は目の前にいる相手が知性(正常、異常はあれ)を備えた人間であることが前提だからです。一般的には長谷川式簡易知能スケールをはじめ、各種知能検査を使用することになります。 (ちなみに知的機能障害には、それまで獲得された知能が脱落してしまう場合を痴呆と言い、発達段階で十分知能を獲得できなかった場合を精神発達遅滞と言います。)

さて、流奈さんの件で大切なことは、意思の疎通を図るための手段と、知的能力の検討を行うための手段を混同してはいけないということです。

もしチューリングテストを行うとして。
科学的にきちんと条件を設定した上で実施されなければ、流奈さんが合格するか、しないかという結論を出すことはできません。実施に際しては、その原理に忠実に立ち返って検討しなくてはなりません。原著ではテストはどのような状況で行われるとされていたでしょうか?彼の知的能力のみを純粋に評価するためにこの方法を用いるとすると、意思疎通の手段に第三者の知性が介入する条件下では(厳密な意味では)このテストは実施できません。それはもうチューリングテストとは言えないでしょう。あくまでも参考としてチューリングテストあげたのですが、これは…皮肉だったかもしれません。ごめんね流奈さん。

>もしかしたらそのコンピュータはいつか「実は今まで君たちの質問に答えてたのはホーキングではなくてこの私、コンピュータだ」って告白する日が来るかもしれない。ま、物凄くありえなさそうな話だけどね

これも現時点では検討の必要はないと考えます。ホーキング博士がこれまで使用してきた機器に知性が宿っているのか、ちょっと考えてみれば明らかなことです。ここを疑いだして、いや、そんなことはわからない、今使っている機器にも知性があるかもしれない、機械たちは将来そのことを我々に伝えたくてうずうずしているんだというということでしたら、私にはそれ以上の検討はできません。 コンピュータと言うから語弊があるのかもしれませんが、あの装置は、基本的にはやや複雑なコミュニケータ、つまり文字盤*でしかないのです。神経内科病棟にいらっしゃる患者さんが使っているものと、そう大差はない。ほとんどのALSの方は、知的には何ら問題がないことを既に書きました。彼らの表明する意思は機械によるものですか?患者さんたちの経過をずっと追っていればわかることです。

*最近のコミュニケータは単なる文字盤−ワープロ機能だけでなく、
ネットに接続してメールや、ウェブブラウズも可能になっていますが。

実を言えば、仮にこの装置が使えないとしても、機械を扱えると言うことは随意的に動かせる部分−指先や、まぶた、額、眼の動きなど−が残っているということですから、機械を通さずとも直接会話をすることは可能なのです。ただし、非常に時間はかかる。一文字に数分かかる場合もある。 最近では進行したALSの方のために、脳波や、局所脳血流を利用したスイッチも出てきていますから、外見的には随意動作がなくなってしまった方でも、意思疎通は可能になっているのですけれど。こうなると何らかの装置は必須ですが。

将来機械知性が実用化されたとして、ホーキング博士がそれを利用するようになれば話は別ですが、「いつかは〜かもしれない」ということを現時点に持ってきて検討するのは、現実の問題を検討する際には不必要でしょう。論点が拡がりすぎてしまいます。

>要するに、ルナ君を知能を持ってる人とみなす為には(=ルナ君がまともにチューリングテストに合格するには)意思を持った(=母親)を媒介とした表明・発話ではダメということです。

これはおっしゃるとおりだと思います。結論は正しいと思います。

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SpaceandTimeさんによる、チューリングテストについての質問

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=479

この場合チューリングテストは使えない
投稿者: SpaceandTime 2002/ 5/ 8 1:01

チューリングテストにはルナ君は合格し続けるんじゃないかな。

ホーキング博士はコンピュータを媒介として意思表明する。そんでそのコンピュータのアウトプットは再現性を持っている。だからそのコンピュータ或いは(それにインプットを加えている)ホーキング博士が知能を持っている、とチューリングテストからは言える、 なるほどr_p_feyn_manさんの全くおっしゃる通り。

でもルナ君もそうでしょ。ルナ君はホーキング博士のコンピュータの代わりに母親を媒介として意思表明をする。そんで質問者にもきちんと答える。とするとやっぱりルナ君もチューリングテストには合格しちゃって、知能を持ってるってことになっちゃう。

でもね。やっぱり二人は違うと思うんだ。ホーキング博士の場合は極端なことを言えば「ホーキング博士は知能を備えている」と言っても「コンピュータが知能がある」と言っても別に対した問題じゃない(もしかしたらそのコンピュータはいつか「実は今まで君たちの質問に答えてたのはホーキングではなくてこの私、コンピュータだ」って告白する日が来るかもしれない。ま、物凄くありえなさそうな話だけどね)。

ルナ君の場合は「ルナ君に知能がある」と「母親に知能がある」とじゃエライ違いでしょ。後者の場合だとしたら、母親が自分の主張をルナ君の言葉だって騙ってたことになるからね。

でもあの母親が実はロボットだとしたら?そしたらルナ君は知能を持ってるとみなされるよね。

要するに、ルナ君を知能を持ってる人とみなす為には(=ルナ君がまともにチューリングテストに合格するには)意思を持った(=母親)を媒介とした表明・発話ではダメということです。


Konanbaさんと某神経内科医さんとの、神経伝達速度と検証についての意見交換

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*参照 NHKスペシャル『奇跡の詩人』映像サイト

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http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=488
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=507
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=520
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=589

指さし運動のウソ
投稿者: konanba 2002/ 5/ 8 12:09

ここの神経内科医さんはルナ君の検証を放棄されたようですが、指さし運動だけみても、あれはウソだとわかります。

ルナママがルナ君の左手首をつかんで、「指さし」を補助しているというシーンですが、ルナの指は4本とも伸びきっています。これではどの指が「指さし」ているのか、本人にも介助者にもわからないはずです。

人間は微細な動作をするときには、目に入る余計な情報をカットするように動作します。例えば銃でねらいをつけるときには、効き目だけに情報が入るように片目をつむります。同じように4本の指を伸ばしたままだと、人差し指(仮にこの指でさすとして)を目で確認するのが困難になるので、自然に他の指を折り曲げて、人差し指だけを伸ばした状態にします。

画像から判断するにルナの指は本人が曲げることができないのだと思います。この状態で指さし運動が仮にできるとなると、まず本人と介助者の間に、どの指を使うか、という打ち合わせがないと意志の疎通は不可能ということになります。(番組ではそのことの説明はなかった)また約束があっても、本人も介助者も指定した指の位置を絶えず他の3本と区別して認識しながら動かしたり、読みとったりしなければ、いけないので、余分な調整時間がかかり、1秒間に3字というような指さし運動は、まったく不可能です。

神経の伝達速度はおよそ千分の100秒(100ミリ秒)くらいの単位で、これは生物学的に決まっていて、天才でもアホでも一緒です。1秒間に3字を入力するためには、およそ300ミリ秒で1字分の認識ー入力ー介助者による読みとりの作業を完結しなければいけない。その間にルナの目と脳と腕・指の筋肉との間を何回も信号が通過しなければいけない。しかもこれに母親がルナの筋肉運動を読みとって、それを増幅すると言う手間が加わる。 これらの複雑きわまりない動作が300ミリ秒の間に完結することは、生物学的に不可能です。

従ってルナが書いているというのはまったくありえない。母親が勝手に創作して文字盤をデタラメに動かしているにすぎない、という結論になります。 そう考えると、ルナのジョークが終わらないうちに母親が笑い出し、その笑い声につられて他人が笑う、というきわめて不自然な場面が納得できます。洋画で音声を聞いて理解できる人がはじめに笑い。字幕をみてはじめて大多数の日本人が笑うというちぐはぐさにそっくりでした。要するに母親が自分で作ったジョークをしゃべっているうちに可笑しくなり笑ってしまう。しかし文字入力はまだ終わっていない。他の人はそれが言葉として伝えられてはじめて笑い始めるということでしょう。

我々が直感としておかしい、と感じたことには必ずその理由があります。それを論理的に明らかにすることが科学的探求です。科学ドキュメンタリーは本来そういうものでないといけないのです。

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科学的かつ慎重に(人権に関わるので)
投稿者: r_p_feyn_man 2002/ 5/ 8 19:59

konanbaさんこんにちは。神経生理学についてお詳しいのですか?それはなによりです。
あの番組は本放送の時にしか見ておりませんので、繰り返し見ながら細かな部分を検証する事ができません。また、患者さんやその家族を追いつめてしまう可能性がある以上、匿名とは言え無関係のただの傍観者である医師が直接的な意見を述べるのはどうかと思いました。ですから周辺の状況を説明し、後はみなさんの常識…論理的・科学的な…に期待したいと思いました。私を含め、おそらく多くの神経内科医は、あの映像を見た瞬間に、何が起こっているのか理解できているはずです。

流奈さんと家族は責められるべきではない。周りの人たちがしっかりとした正しい考えを持って彼らに接すれば済むことです。彼らもまた被害者です(それに家族も何らかの病気を抱えている可能性があります)。我々が糾弾すべきは、流奈さん家族ではなく、その周辺にいる拝金主義者、似非科学を広めようとしている悪意に対してでしょう。

というわけで検証を放棄したわけじゃなくて、ここでは説明したくないと言うだけで。
konanbaさんが医師でいらっしゃるかどうかわかりませんが、いろんな患者さんに関わっていて、多くの症例をごらんになっているとすれば、そう考えるでしょう。
神経内科には、実際の患者さんの状態をビデオにとって症例検討を行うvisual neurologyという方法があります。言葉で表現しにくい不随意運動や、発作的見られる症状などを繰り返し見ることができるからです。ですが、必ず患者さんのプロフィールについては口頭、文書によるプレゼンテーションが行われます。どのような経過で発症し、症状が変化し、どのような対処が行われたか。背景には何があるのか。現在の一般内科的状態に加え、数十項目に及ぶ神経学的診察の結果、神経系のどの部分に異常を生じているのかを言葉で伝えます。映像だけではどうしてもわからない部分があるのです。わからない部分をそのままにして、目に見える部分だけで検討を行うことは、非常に危険なのです。謙虚かつ慎重にならなくてはいけない。
拝見したkonanbaさんの検証ですが、残念ながら反論のための医・科学理論としてはちょっと…流奈さんではなくkonanbaさんの検証を医・科学的に検討することになってしまいます。
手の動作をきちんと考えるには、映像だけからではわからない要素、筋力、筋トーヌス、関節可動域、腱反射、関節位置覚、表在覚、小脳(協調運動)機能、不随意運動、その他…といった項目をも評価しなくてはならないのです。
(もし、臨床的な面から流奈さんの上肢の動作に関する解説をお望みでしたら、あまりお好みではないかもしれませんが、2ちゃんねるに私ではない別の神経内科の先生による細かな説明がありますから、それをご参照下さい。)
ところでkonanbaさんのおっしゃる"神経伝達速度が100ミリ秒"というのは何を指しているのかわかりません。この表現は誤解を招くと思います。ミリ秒は時間の単位ですね。速度としては、例えば末梢神経伝達速度は約60m/秒ですが。

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なぜ専門家の発言が少ないのか?
投稿者: konanba 2002/ 5/ 8 22:53

神経内科医さん応答ありがとうございます。私は病理学が専門で臨床医ではありません。問題の映像のかなりの部分は2Chに公開されていて、見ることができるのはもちろんご存じと思います。

>おそらく多くの神経内科医は、あの映像を見た瞬間に、何が起こっているのか理解できているはずです。

それどころかあれを見た医師はほとんどすべての人が真相を即座に理解したと思います。(2Chの病院・医師掲示板には、NHK支持意見はひとつもない)にもかかわらず、東京には著名な専門家が沢山いるのに、夕刊フジや週刊新潮、週刊文春で実名で批判を述べているのは、どちらかというとマイナーな人ばかり。(失礼)

あれだけ多くの市民がだまされ、専門家の正確な批判的意見が必要とされているのに、専門家は腰が引けている、社会的責任を果たしていないのではないか、と私は思います。

>検証を放棄したわけじゃなくて、ここでは説明したくないと言うだけ

そこで私の発言を検証しようというわけですか。結構でしょう。

まず発言内容を訂正します。「神経伝達速度100ミリ秒」という表現はご指摘のように意味不明でした。これは脳からある指令が出て、それが神経を伝わり、筋肉を収縮させるまでの所要時間は100ミリ秒程度かかると言う意味です。

末梢神経の電気的信号伝達速度は、有髄の運動神経では秒速60m程度で、かなり速いのですが神経と筋肉の接合部(シナプス)では化学反応が媒介するのでうんと遅くなります。また筋収縮も化学反応ですから、これも遅くなります。

 おおざっぱに言って眼から情報が入り、それが脳内で処理され、指に命令として送られ、筋肉が収縮するまで、健常人でも最低100ミリ秒はかかる。指さしのような指示運動では、運動の微調整が加わるので、これが何回も繰り返されなければいけないので、300ミリ秒で1字を指し示すのは不可能である。ルナ親子の場合は、2人の協調運動なので、1秒間に3字など絶対にありえない、それが私の論旨です。

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konanba先生、furisuken先生こんにちは
投稿者: r_p_feyn_man 2002/ 5/ 9 21:54

konanba先生、どうも失礼な発言で申し訳ありませんでした。後半で神経伝達につき丁寧にご説明いただき、ありがとうございました。この件についてはよくわかりましたので、これ以上云々するつもりはありません。furisuken先生、もし知ったかぶりの発言がお気に召さないようでしたら、ごめんなさい。
何故専門家が出てこないのかという点ですが、たぶん、今回の件についてkonanba先生のおっしゃるとおり、よほど専門が違わない限り、医師ならだれでも検証はできてしまうと思います。あまり表に出てこないのは、全く相手にしていないか、たぶんみなさん社会的なお立場があるからだと思います。匿名ならいいじゃないかという考えもあるかもしれませんが、あとは信条の問題かな?
今回の事件はオウム関連事件以来の、現代日本を象徴するとても特異なことだと思います。日木さん親子の件について詳細に解説することが、医師の使命として妥当であるか、解説することでどうしても彼ら親子の社会的な立場を危うくしてしまう。そこに果たして正義があるかというところでひっかかってしまう。私はそう思いました。konaba先生も彼ら家族自体を非難されるおつもりではないのではないですよね。

furisuken先生の発言

>問題は、NHKと講談社の責任と、この両親の背後に見え隠れする集団の存在です。今のうちに、このような詐欺行為を本気で、つぶしておかないと第2第3の奇跡の詩人が現れます。純真無垢な方がだまされつずけることになるのです。また人権云々言うのでしたら、日木流奈君自身が受けている児童虐待を何とかするためにも

これです。まさにその通りだと思います(うーん、わたしも同じことを言っていると思うのですが…まわりくどいのかな)。うまく、"背後に見え隠れする集団"だけを糾弾する方法があればいいのですが…

わたしが何故ホーキング博士と流奈さんの対比をしようかと思ったかと言えば、一部でその(見た目の)障害の共通性からお二人を同一視する方がおられましたので、微力ながら注意換気が目的でした。 一方は病気のために不自由な身体になりながらも自らの言葉で正しい科学を追求しておられ、かたや(おそらく)拝金主義者、カルト、似非科学の信奉者たちによって重度障害児が祭り上げられ、不勉強なマスコミがそれを美談として増幅し、無理解からそれを"癒し"として受容する無知な人々。そしておそらく心に深い傷を負っているであろう母親が巻き込まれ、父親も影響を受け、妹は正しい幼児期の愛情や、教育を受けられないという、まったくもって悲惨な状況。この二者を、同じような身体の状態だからといっていっしょにするのは誤りなんですよということを伝えたかったのでした。

実を言えば、わたしの子どもも重度の知的障害を抱えており、わたし自身もそういった方たちを多く受け入れている施設に勤務しておりますので、世間一般の方たちが、この問題を間違ってとらえ、障害者の立場や人権が侵されないように、より正しく理解していただきたいと思い、発言しております。どうしても敏感にならざるを得ません。
(施設入所者を大学病院に紹介しましても、医師でさえあからさまに「この人にそこまでする必要があるの?」と言われ、そのまま返されてしまうことがしばしばです。)
もしこの場での発言が不適当であれば、これで終わりにします。konanba先生、furisuken先生、医師の立場でのご発言と、一般の方へのご説明をよろしくお願いいたします。

あ、konanba先生
>問題の映像のかなりの部分は2Chに公開されていて、見ることができるのはもちろんご存じと思います。
うちの通信回線は28k以下の貧弱なもので、動画を見ることができず、残念ながら問題の場面の確認ができません。NHKでの再放送は…ないでしょうねー。


《追加》

Yahoo!の「日木流奈の謎」掲示板のt_aa_tさんによる、日木流奈さんの検証テストについての意見(2002/11/20)

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=4515

5月上旬のYahoo!投稿
投稿者: saihikarunogo 2002/11/19 12:42

5月上旬のYahoo!掲示板の投稿をまとめました。

http://members.tripod.co.jp/saihikarunogo/lunayahoo2002050708.html
某神経内科医さんによる、ホーキング博士と日木流奈さんの対比

http://members.tripod.co.jp/saihikarunogo/lunayahoo2002050912.html
class_realさんによる、NHKスペシャル「奇跡の詩人」批判

http://members.tripod.co.jp/saihikarunogo/lunacontents.html

一つめは、重度障害児を育てている経験と、神経内科医としての知識に基づき、
もう一つは、脳性麻痺の運動機能障害と機能訓練の体験と知識に基づく、
NHKスペシャル「奇跡の詩人」批判です。
某神経内科医さんは、2ちゃんねるの内科医さんとは別人です。
そして、日木流奈さんの検証テストは、
人権にかかわるから、しないほうがいい、とおっしゃっています。

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http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4nff&sid=2000251&mid=4535

検証
投稿者: t_aa_t (男性/東京都) 2002/11/20 0:31

 今日はなんかすげえなぁ。俺の居場所ない?

>そして、日木流奈さんの検証テストは、
>人権にかかわるから、しないほうがいい、とおっしゃっています。

 「検証を求めない」というのは俺の前からの基本で、

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=2000251&tid=ffclznaefe0a4n ff&sid=2000251&mid=4249

などにもさんざん書いているんだが、微妙に自分でも「どうかな」と思い始めた。

 「検証を求める」というのは即ちルナの虚偽性を明らかにするだけで、
応じられなくてあたりまえ。あくまでも「検証」を迫るのは、「晒し者」
にしようとするかのようにしか思えず、フェアではない・・・と思ってたし、
今でもそう思う。
 でも、はじめからそういう態度でいるというのも、一種の「差別」かなと。
「高みから見下ろしちゃってる」みたいなかんじで。

 サヴァンの人たちなどは、求められれば喜んで、ピアノ演奏や、高速計算を
やってみせてくれるわけで、人前で自分の能力を表現するのは彼等にとっては
大きな喜びであるともいう。それ自体が「真実性」の証明にもなるわけだしな。
 ところがルナの場合、これには一切応じられない。ここが、サヴァン的天才
を装いながら「真実性」の証明に関しては、「決してテストしない」で拘泥する
ドーマン流の邪悪なところなわけだ。
 「決してテストしない」というドーマンも、実はちゃっかりテストはしてる。
有名な「聖徳太子」「走る」だ。・・・もちろん、トチでさえ疑念を抱いたこの
手法などが世間で通じるわけはないのに、達成されたことを信じたい親の心に
つけこんでいくわけだな。それがFCを採用することでさらにエスカレートして
今回のような事態を招来した。

 「検証を求める」のは、結果としてそのドーマン流虚偽性を証明する結果となり、
ルナ家を晒し者にするだけだろう。もちろん「人権にかかわる」と思う。

 ・・・でもな、ママやトチを「障害児の親なんだから、大目に見てやって」なんて態度ではなく、もっと毅然として公正であることを求めるのは必要だと思うんだよな。
 イカサマを仕組んでほくそ笑んでるのは、あくまでもドーマンだ。トチだって
疑問に思うことを、平気でテストの結果として認定したのもドーマンだ。ルナ家を
「日陰者」にしたのもドーマンだ(NHKもかんでるけど)。

 俺はもっと、ママやトチがそもそものパーソナリティを取り戻してくれることに
期待をかけてもいいと思うようになった。「みそっこ」扱いするんじゃなく、
「検証に応じられないのは、卑怯だ。そしてあなたがたをそういう卑怯な態度にさせているのは、ドーマン以外のなにものでもないじゃないか」と、
変に高みから見下ろすのではなく、ヒラで当たってみたい気もするんだなぁ。

 このへんのところは、自分でもいまだ定かでないが。


「奇跡の詩人」関連リンク集

NHKスペシャル「奇跡の詩人」〜日木流奈くんについて〜

小林泰三の不確定領域「駄文24 NHKスペシャル」


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