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第3章 大蔵官僚腐敗と不良債権処理


300億円献金事件と金丸信の不正蓄財




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金庫番をつとめた岸田文武の妹と宮沢喜一(次期首相)の弟が結婚する義兄弟の関係が そこにあり、世に"300億円献金"と呼ばれる事件が起こった。岸田文武が自民党の金庫番と なって、日本商工会議所会頭の石川六郎たちに、特別献金を迫ったのである。

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 その300億円を一手に引き受けて党内に分配したのが、金丸信であった。

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金丸信の個人資産が100億円を超えていたのだから。金丸信は、それらの不正蓄財を、 選挙のたびに増やしてきたことが明かになっている。ゼネコンからの盆暮れの闇献金も、選挙と 関係なく、膨大な額にのぼった。それらは、たとえば割引債として、 日本債権信用銀行(日債銀)のワリシンや日本興業銀行(興銀)のワリコーを購入して無記名の 債権に化け、ワリシンは86年に9億円、89年に8億円、90年に3億円、ワリコーは86年に 10億円、89年に10億円、〆めて、これだけで、40億円に達していた。

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日債銀は頭取として権勢を誇った勝田龍夫が、すべての腐敗政治家に通じる閨閥に あった。 - 戦前の朝鮮銀行を母体行として、戦後1957年に日本不動産銀行として再出発し、 77年から日本債権信用銀行と改名されたが、その過程で児玉誉士夫や小佐野賢治が暗躍し、 のちに述べる福島交通の小針暦二会長に融資するなど、政商の檜舞台として大がかりに 使われてきた銀行である。

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 自民党が大敗する89年参院選の数ヵ月前から、広域暴力団・稲川会の 石井進・前会長が、大手証券会社を窓口として、東急電鉄株の買い占めという新しい事業に 乗り出していた。このため東急株は急上昇したが、バブル崩壊のあおりを受けて、1年もたたずに 半値近くに大暴落してしまい、石井前会長は絶体絶命の窮地に追いつめられていった。
 ここに手を貸したのが、野村證券であった。
 東京佐川急便の渡辺広康社長たちが、兜町の相場を動かす仕手集団「光進」の 小谷光浩グループと一体となって、野村證券に開いた暴力団・稲川会の口座に資金を 提供するという、壮大な投機のメカニズムができあがった。稲川会の系列企業の役員が、 東京佐川の監査役として経営に参加するほど"深い関係"になっていた。

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 イトマン事件で述べたように、光進の小谷グループの子会社社長が設立した 貴金属販売などをおこなう会社では、竹下内閣の運輸大臣をつとめた佐藤信二の秘書が、 社長の椅子におさまっていた。さらにこの時、稲川会系の不動産会社「北祥産業」の債務 約34億円を東京佐川急便が肩代りした。
 その返済資金は、福島交通・会長の小針暦二グループが所有する不動産を、無償で 担保にして調達されていた。前述の日債銀から、120億円の融資を受け、新幹線の白川駅予定地の 周辺の土地を買い占めた男である。
 小針会長はロッキード事件の田中角栄と密着した人物であり、蔵相時代の竹下登に、 政治資金として、3億5000万円を無利子で貸与していた。自民党の副総裁をつとめた金丸信が、 脱税容疑で逮捕されたのは93年だが、竹下登の長女が金丸信の長男と結婚し、竹下の近親者が、 小沢一郎であった。
 そればかりか、東京佐川の渡辺広康社長に、世界平和研究所という財団法人が、金を 無心していた。この研究所の会長が、中曾根康弘であった。

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光進の小谷光浩代表のボディー・ガードを勤めていたのが、稲川会の組員で、 蛇の目ミシンの恐喝に、稲川会の名前が使われたこともある。この光進グループが、航空測量や 土木設計などの事業をおこなう大手の国際航業を乗っ取るという事件が87年に起こった。

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この事件では、のちの大蔵大臣・三塚博が小谷光浩の乗っ取り工作に関与していた ことを、イトマン事件のところですでに述べたが、国際航業の役員から多くの政治家に対して、 事前に債権などが優先的に譲渡されていた。
 特にその債券売買では、中曾根康弘の側近名義での"相対取引"が明かになった。 相対取引とは、店頭で売値を即決する方法である。証券会社を通さずに、特定の政治家の もとでは、このように特権的な取引きがなされていた。さらに稲村利幸・元環境庁長官の場合には、 国際航業などの仕手戦に便乗して、およそ28億円という途方もない所得を手にしていた。

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