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第6章 日本最大の官僚組織・電力会社と軍需工場・三菱重工


原発現地の住民が置かれた危機的状況


 - - - 96年には、新潟県の巻町で、東北電力によって言語道断とも言える行動が展開されてきた。巻町では、8月4日の住民投票によって"原発拒否"の答が明確に出たにもかかわらず、その後も、ありとあらゆる手段が講じられ、巻町の財政に圧力をかける政治屋ぐるみの悪質な弾圧がくり返されてきた。しかもその原発建設予定地では、民有地の買収をめぐって、右翼と総会屋が暗躍するすさまじい土地取引がおこなわれ、田中真紀子が暗躍してきたのである。
 静岡県の浜岡原発では、昨年、5号炉の増設をめぐって、地元住民の激しい反対運動が展開され、町民の8割が反対するという状況になった。
 ところが浜岡町長の本間義明は、中部電力のさしがねによる秘密の町議会を開くと、地元住民との協定を破って原発建設を決定してしまい、12月には通産省の第1次ヒアリングを強行しながら、あろうことか、東海村の事故が発生してまだ2週間後という3月25日に、石川嘉延知事が経済企画庁に意見書を提出した。5号炉の建設にゴーサインを出したのである。
 この背後にも、明かに広域暴力団が介在し、浜岡の原発利権者として有名な原田昇左右が、共同作業を進めてきた。原田も運輸官僚の出身者である。

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 97年時点で、この奇怪な原子力産業集団を率いるのが、「日本原子力産業会議」の 会長・向坊隆であった。向坊は、東大教授・東大学長・原子力委員と歴任しながら、今日の 状態さえ理解する能力のない学者集団の象徴である。 - - - 彼もまた、能力があるから 東大学長になったのではない。石油連合会会長をつとめ、戦後"公職追放"となった水田政吉の 娘ムコとして、今日の地位を得たにすぎない人間であり、エネルギー産業の利権を私物化する 代表者だったのである。

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 現在のところ、全国の原発自治体が、
「この厄介なものを引き取ってくれるお人よしが東北にいたとは、ありがたいことだ。 早いところ、出せるものを全部外に出してしまえ」と、使用ずみ燃料をフランス・イギリスに送り、 そこから青森県に運ばせてきた。
 六ヶ所村では、96年末に使用ずみ燃料を受け入れる巨大なプールが完成し、その実態を 青森県民に知られないよう、急いで事を進めてきた。しかしここまでくれば、県民にも、 危ないぞという勘が働く。いつまでも電力会社の甘い言葉に乗っていれば、あるところで身を 引いて切り捨てる電力会社の事である。そうでなくとも、社会の大状況として、すでに全国が 拒否している廃棄物について、無能な霞ヶ関官僚と無関心な国会が、きちんと保管場所を 完成するとは、誰も考えていない。いかに強い言葉で国に要望を出しても、それが 実行できなくなっている。

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"むつ小川原開発"という計画に青森県民を巻きこみ、最後に高レベル廃棄物を 持ちこむよう、土地の買い占めをした男がいた。核燃料サイクル基地のすべての段取りを したのが、三井不動産の社長・江戸英雄だったのである。

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 電力会社の独占体制に対する産業界からの強い批判が表面化している。これまでの ように国庫補助でようやく成り立つ原子力産業に依存していると、産業界が世界一高い電気料金を とられ、バブル経済崩壊後に国際貿易に立ち向かおうとしても、深刻なエネルギー・コストを 覚悟しなければならないからである。

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 電力会社は、企業努力による料金値下げを一度も実行したことがない。 "石油価格の変動による"と称する料金の値上げと値下げを、自分の帳簿に合わせて勝手に 実行しているだけである。経営者が実業家としての感覚をほとんど失い、政治家と自治体の 選挙に対する最大の圧力団体となるまで、堕落の一途をたどってきた。

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 東北電力では、わずか15.5万キロワットの募集に対して、80万キロワットの申込み があり、これだけで巻原発の建設は不要の計画であることが判明した。両横綱の東京電力と 関西電力では、それぞれ386万と358万キロワットの入札があり、これらの数字から、関西電力が なぜ久美浜(京都府)や珠洲で原発の建設を必要とするのか、エネルギー問題という点から、 まったく説明がつかなくなった。しかも電力会社は、それらの大部分の入札を切り捨ててしまった。

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 このまま彼らの官僚体質を放置しておけば、原発建設に投入した巨大な資金が 生み出す"借金の利息支払い"と、未知の高レベル廃棄物の天文学的な処分費用が、不良債権に 苦しむ金融機関と同じように、国民にとってこれから膨大な金を要求する運命にある。

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プルトニウム・セシウム・ストロンチウムなどの発癌物質を大量に含んだ使用ずみ燃料、 低レベル廃棄物、高レベル廃棄物、そして巨大なコンクリート汚染物として発生する廃炉を 引き取る、という深刻さである。
 それを発生させた人間集団の責任問題を考えれば、議論は、最大の電力消費地である東京や 大阪・名古屋に戻されるべきである。

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環境破壊に没頭する電力会社が、地球温暖化を原発推進の口実に利用する現状は、 笑い話しにもならない。

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今こそ、力を携えて日本を変えてゆかなければならない。

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