旧樺太工業恵須取工場
(現:ウゴレゴルスク製紙工場)
ウゴレゴルスク市


 対岸から見た工場の全景。現在の南サハリンでは操業している唯一の工場であり、写真では見にくいが左側の煙突からは盛んに煙が出ている。戦後の日本人にとって製紙工場といえばくさいという印象が強いが、この工場で作られているのは亜硫酸パルプであり、この位置からだと悪臭はほとんどない。
 工場そばを流れる川。茶濁しているのは雨水ではなく工場廃水である。亜硫酸パルプの工場は、廃液を再利用せずそのまま川へ流してしまう。日本時代の製紙工場そばの河川は、このような状態が普通であった。この川の名前は日本時代は「ますらお川」だが、現名称はもっと端的に「くさい川」である。
 工場事務所。泊居工場の事務所と若干似ているのは、両者とももともと樺太工業の工場であるためであろう。現在も事務所として利用されている。
 工場そばにある平家建のコンクリート建築。おそらくは工作室(木工室・鉄工室)であろう。採光に留意したと見られる大きな窓と非常に緩い傾斜の屋根が特徴的である。
 製紙工場の中で最も特徴的な製薬塔と木釜室の部分。木造部分はソ連時代以降の改築と思われる。大規模な修復の痕跡が見られず、壁体の傷みや剥離が目立つものの、現役施設のたくましさを感じさせる。
 製薬塔の詳細。実際に使用されているせいか、他の工場の製薬塔よりも保存状態がはるかによいようだ。