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房総石造文化財研究会
09号
昭和57年02月28日



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 <目次>  
 1。
第二回総会 3月28日(日) 茂原市総合センターで
 2。共同研究テーマ「病気治癒にかんする石仏」
  
資料 岩崎敏夫著 「本邦小祠の研究」
 3。第四回研究会の記録
 
4。文献紹介 「板碑 松戸市文化ホール紀要4」
  5。事務局から

 復刻注:文章を、会員苔華氏が入稿して下さいました。ありがとうございます。
カラーカットは、IBMホームページビルダーから適当に補いました。
縦書きを横書きにしておりますので、漢数字の一部を算用数字に変えます。 また、新会員の住所は省略し、○+1.2.3は、(1)、(2)に変えました。
1。第二回総会 3月28日(日) 茂原市総合センターで
 昭和五十六年度の総会を三月末、茂原市でおこなうことを役員会で決定しましたのでお知らせします。
この研究会は、昨年一月千葉市で発足のための総会を開催してより早くも一年を経過いたしました。
この一年間、佐原市、館山市、木更津市と三回の研究会を開いて、会の目的である会員相互の交流と研鑽に努めてきました。
しかし、県全域の会員のみなさんを対象とする本会として、果たしてこれで良かったのか、という気持もしております。
この一年間の反省と今後の運営について、来る総会において多くの会員の参加により討議され、より発展的な方向が見出されることを望んでおります。
年度末で何かとお忙しい時期ですが、万障繰り合わせ頂きご出席下さい。
     記
 一、日時 3月28日(日)午前10時
 一、場所 茂原市綜合市民センター
 一、プログラム
 ○議事
  (1)事業報告と会計報告
  (2)57年度事業報告と会計報告
  (3)研究誌の発行について
 ○発表 茂原地方の石造物 海保会長
 ○見学 昼食後、茂原市、長南町及び長柄町の石造物を見学 午後4時頃解散の予定
 一、その他
   昼食は準備しますが、五百円を御負担ください。
   尚、お手数ですが出席出来ない方は、必ずハガキか、電話で事務局へ御連絡ください。
   電話0472-44-7901
 ★会場の綜合市民センターは、茂原駅北口下車(千葉より進行方向左側)直進徒歩5分の道路左側
 ★千葉発 8:40 安房鴨川行き 茂原着 9:34 電車でおいでのかたはこの時間の便にお乗り下さい。
 ★なお、当日ご出席の方は大変恐縮ですが、昭和五十七年度分会費として2,000円納入下さるようお願い致します。ご欠席の方も郵便小為替又は現金書留で事務局宛お送り下さいますよう。

2。共同研究テーマ「病気治癒にかんする石仏」
  共同研究テーマ「病気治癒に関する石仏」 先日の役員会の席上、会員みんなで取り組む研究テーマを設定しようという話があり、いろいろ意見交換をした結果、
民間信仰の中でも最も身近な「体」「健康」について御利益のある石仏の県下の実態の把握をはじめようということになりました。
-----○-----
 「疱瘡神」というのがあります。いうまでもなく、天然痘の流行を恐れ、この災厄防除、治癒を祈願して造立されたものと考えられます。
県下の石造物調査では41基か゜確認されていますが、実数はもっと多いのではないかとおもわれ、この県下の分布ももっと考えてみる必要があります。
疱瘡神の造立分布は東葛飾郡をはじめ県北部に多いようですが、県南部では果たしてどうだったのか・・・。
船橋市に「妙正大明神」と刻む石祠があります。船橋市全域にあるようですが、綿貫啓一氏の話ではどうも疱瘡神のようだということです。
「行疫神」「麻疹神」というのもあれば、野田市には「癪除神」というのも報告されていま
す。これらはいずれも、いわゆるある時期に創作された神とみられ、茨城地方には疱瘡神の石像(造型)もあるとのことですが、まだその神を誰が祀り、そして普及させたかということになると、何にもわかっていません。
----- ○ ----
以上のように、性格・名称など明か□神のほか伝承によって、さまざまな神仏の御利益が知られています。
佐原市浄国寺の淨行菩薩
 房総石仏百選の39
小菅俊雄氏撮影
天保2年に建立したものが、
火災で破損して、
明治23年に再建
 左下にタワシ
日蓮宗の寺院に祀られる「浄行菩薩」の傍らにはタワシが置いてあり、このタワシで自分の治してもらいたい患部と同じ所をこすると良くなるということがいわれ、この信仰は現在でも生きているようです。
地蔵には「イボ取り地蔵」などの通称があって、効験を伝えられるものが各地にあるとおもいます。
----- ○ ------
考えてみると健康・医療は庶民の一番切実な問題で、この問題解決に神仏の加護を祈ることは、他に有効な方法のなかった時代の必死の願いとして民間信仰の重要なテーマの一つであるとおもうのです。
県下各地には、私たちのわかっていないさまざまな信仰伝承があるとおもいます。
目、耳、歯、手足など体の各部分や、風邪や咳、婦人病やもろもろの病気に効く石仏のレポートを随時お寄せ下さい。
それらの中から県下全域に共通なもの、そこの地域にのみあるものなど、いろいろな結果がわかるとおもわれます。
是非、自分の地域の中からいくつか見つけだして頂きたいと考えます。
------- ○ ------
レポートは、この会報に掲載します。
一、造立場所、銘文、形状(スケッチ又は写真)、その石造物に関する伝承、特殊な供物など文章の中に必ず付け加えて下さい。
一、一点について400字程度以内にまとめて下さい。こういうレポートが多く集まれば、将来、集大成することも考えられます。この機会に是非地域の石造物をもう一度見直して頂き、また伝承の採集に御尽力下さって、有意義な研究の手がかりができますよう提案し、かつ御協力をお願いする次第です。(沖本)

 資料 岩崎敏夫著 「本邦小祠の研究」
神祠などの研究文献は非常に少ないが、昭和37年に刊行されたこの書物は、地方の研究調査ではあるが、まとまったものとしては、私の知る限り唯一のものである。
対象の地域は福島県相馬地方である。相馬藩領276村の石祠1,587(江戸末期「奥相志」による)を調査考察したもので、千葉県にある石祠と共通したものもかなりある。
そのうち「病気・怪我の予防治癒に関するもの」という項目があるので紹介する。
 疫病=疫神、天王、八郎明神、第六天王
 疱瘡=疱瘡神、もがみさま、若木神、八郎明神、湯尾明神、住吉
 麻疹=白髭明神
 中風=青麻権現
 婦人病=粟島、幸の神、花園
 肩こり・頭痛=しんめい神
 足患=足尾神
 咳=にわとり権現、片岡さま
 性病=幸の神
 耳病=幸の神
 眼疾=山王、茶木明神、薬師
 歯痛=羽黒、白山、葉山(本地薬師)
   ひきつけ=斗倉
 その他一般=甲子祖神(おおなむち)
 この他、乳の出をよくする乳房明神などもあげている。
なお「幸の神」というのは道祖神、塞の神のことである。なお、疱瘡神については、元禄2年造立の神像石祠がある。
また、その祭神も「五行神」「木花咲耶姫」「月読命」「大名持・少彦名」などがあるという。
このように民間信仰は実に複雑多岐に亘っており、現在では一体何を目的として造られたのか全くわからないものもかなりある。
これを解決するためには、広い地域での類例を多くあつめて考察すること。地域での伝承を聞き取ることではないだろうか。そして、それらも一年毎に失われているのである。

3。第四回研究会の記録
 第四回研究会は当初の計画通り11月29日、木更津市上総博物館で開催しました。
 参加者(敬称略)
 塩崎弁仁、早川正司、対馬郁夫、川戸彰、竹内重之、積田幸夫、小倉博、沖本博
 過去3回の会に比べると、参加者が少なくややさびしい会となりましたが、予定通りすすめました。
▼研究発表
 房総南部の板碑について 川戸彰
上総・安房地方には現在79基の板碑が確認されており、紀年銘をゆうするもの48基についての紹介と考察を発表。
 君津地方の石造物について 沖本博
 君津地方の特色として庚申塔、とくに山王系庚申塔の分布を中心に見学予定コースの説明を行った。

昼食後、マイクロバスで見学に出発。
君津市常代神社― 同六手八幡宮― 木更津市矢耶高蔵寺― 袖ヶ浦町上宮田八幡宮― 木更津市下郡日枝神社― 同真里諏訪神社― 同牛込天満宮 午後4時30分解散

4。文献紹介 板碑 松戸市文化ホール紀要4 B4判 120ページ

 昭和54年から2年に亘って実施された板碑調査の成果をまとめたもので、小片に至るまで217点の拓本がアート紙に写真図版として収録されている。
紀年銘の明らかなものは弘安九 7基で、最古のものは弘安年間である。
所在地地図を付してある。
なおこれ以外の新資料の発見も予想されるので、補遺資料で将来まとめたいという。

5。事務局から

 ○…漸く春めいて来ました。野仏を追って行動するには良い季節になろうとしています。
総会を機にまた今年もいろいろと交流を深めて参りたいとおもいます。どうか、いろいろな提案も出して頂きたいとおもいます、よろしく。
 ○…この会報も、もう少しきれいな充実したものに一新したいと考えてはいるのですが、発行部数35部という状況ですので、仲々思うに任せません。
今年は会員のレポートを沢山のせてゆきたいと考えます。
 ○…そのために、別項の通り「病気を治してくれる石仏」を年間共通テーマとして取り上げました。
身近にある石仏のレポートをお寄せ下さい。集まり次第、随時会報を発行いたします。では、総会でお目にかかりましょう。

(注)原本には写真はありません。房総石仏百選めぐりで見に行った写真を付けました。小菅俊雄様ゴメンナサイ。(^_^;)

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