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房総石造文化財研究会
22号
昭和60年03月15日

 
 <目次>

1.第五回 定期総会 4月14日(日)於市川市

2.恩田家の板石塔婆  一色勝正

3.船橋市石造物調査の反省  沖本 博

4.資料紹介 石仏の旅 千葉県野田市 大森義朗(日本の石仏31号)

5.資料紹介 地蔵信仰−東総の事例− 服部重蔵(日本の石仏32号)

6.事務局から

復刻注:モノクロ・実質本位・内容優先の本物より、最低限見やすい体裁にしました。 目次をつけ、カラーにする等、印刷物の体裁を、インターネットの体裁に変更してありますが、内容は変わってません。 検索と閲覧の便のためPDFにしてません。 ただし、縦書きを横書きにする関係で、漢数字の一部を算用数字に変えてます。
 文中の□□は、欠字。丸数字、記号等は直し忘れで変更してなく、文字化けしている箇所があるかもしれません。 推測してください。 その他、カラーカットは、IBMホームページビルダーの画像から適当に補いました。 会員の住所・メール等は、省略〔・・・〕しました。また、”一、”を ”◇”、▼を◆に変更、○+1.2.3は、(1)、(2)に変えました。

1.第五回 定期総会 4月14日(日)於市川市

 昭和60年度の定期総会は、来る4月14日(日)市川市本八幡の市川市公民館で開催することに決定しました。
 この会は、昭和55年の5月ころ結成の呼びかけを行ない、この会報創刊号を七月に刊行しております。
 従って、本年をもつて五周年を迎えることになります。この間の歩みは、まことに遅々としたもので、決して十分な成果を挙げて来たとは云えませんが、それまで県下各地で研究調査活動をされて来た方々が、より深く接触交流する場が生れたこと、他都府県の団体や研究者に対する窓口としてのつながりができたことなど、やはりやつて来て良かつたとおもわれることではなかつたかと考えます。
 これまでの五年間は、地ならし、基礎固めの段階であったとも云えましょう。
 これを一つの区切りとして、より有意義な活発な活動をつづけるべく、来る第五回の総会には、できるだけ多くの会員の参加と、熱心なる討議を期待したいとおもいます。
       記
◇ 日時 4月14日 (日) 午前10時
◇ 場所 市川市八幡 市川公民館
◇ プログラム
 10.00−11.30 総会
11.30−12.00 中食・休憩
 12.00−15.30 市内見学
◇ 会費 中食代実費(500円程度)
◇ 出欠の連絡
 諸準備の都合がありますので、同封ハガキにて出欠の連絡をお願いしま す。尚、欠席の方は、近況・会への要望・意見などお聞かせ下さい。
◇ その他
 出席の方は、当日昭和60年度分の会費(3,000円)を納入願えれば助かります。
◇ 交通
 下図の通り、国電「本八幡」(徒歩10分) 京成「八幡」(徒歩5分)
 葛飾八幡宮の境内です。

        ○
 なお、午后の見学コースは検討中ですが、国分寺など市川市北部を廻る予定です。北部には、安国寺の明暦三年の釈迦如来を刻む日蓮系庚申塔など、見るべき石仏があり、終点を中山法華経寺にする計画です。
 この計画の準備には、会員の宮沢有喜枝、綿貫啓一の御両氏に御協力を頂いております。


2.恩田家の板石塔婆  一色勝正

 沼南町大井の恩田安弘家で東葛飾最古の板石塔婆が見付かった。
 去る七月下旬、福満寺の伊原住職から電話があり、柏の薮崎氏や佐原の石井保満氏も参加するとのことで、私は町史編纂室にも連絡し8月2日の調査となった。
 現場へ着いて驚いた。小型ではあるが堂々たる常総板石塔婆である。もう一基は三ツに折れているが武蔵板石塔婆もあった。
 関東の中世石造物を代表する二系統の板石塔婆が一ヶ所から発見されるのは稀らしいことである。

 先ず、常総板石塔婆から述べよう。高さは83cm、幅39cm、厚さ7.5cm。鋭い山形の下にニ横線を刻み、宝珠を載く蓮弁天蓋には常総板石塔婆特有の棒状瓔珞が下がり、梵字の阿弥陀三尊種子は深い薬研彫である。
 主尊の下に文永二年(1265)二月十一日と読める。基礎部は常総型特有の腰広がりで、重厚さをあらわしている。この塔婆には際立った特徴がある。
山形が珍らしく反りを打っているので一層鋭く見える。
 二横線の左右は両縁を広く面取りしたため羽刻みをなさない。天蓋の  (2字空白)は極めて簡素である。主尊には中房(蓮の実)蓮座を彫るが、脇侍の観音と勢至には蓮座がない。古い様式と思える。年月日も当時の字体で、常総板石塔婆の第一人者たる石井氏も極めて独特なものと感心していた。

 常総板石塔婆に余り注意が向けられたため、武蔵型の方は等閑しされ勝だったが、正和元年(1312) の造立である。
接合すれば沼南を代表する立派な石塔婆の一つである。
 私はかつて沼南は金石文の宝庫であると云った。今後、町内全域を隅なく調べたら、まだまだ貴重な資料が発見されるに違いない。



3.船橋市石造物調査の反省  沖本 博

 昨年10月、「船橋市の石造文化財」が刊行された。B4判464ページに及ぶもので、船橋市史資料として、市史編さん室の手で世に送り出された。
 実は、私がこの石造物調査を依頼されたのは、昭和56年の3月のことであった。
 4月から調査に取りかかり、約束は2ヶ年となっていたが、実際には2年8ヶ月かかっても未だ終らない始末であった。
跋文にも書いておいたが、調査日数82日(実はその後からも出かけたので95日となった)、休日しか使えないサラリーマンとしては、会社の行事や、私的な慶弔行事、悪天候や体調の悪い時もあって、すべての休日を充てる意気込みで始めたのだが、意外と出来ないものであることが良く解った。
 それと、現代までの悉皆調査となると、その点数も予想をはるかに越えたものであった。調査総数は、3,037点であったが、全銘文の採集と計測まで完全にやろうとすると、それは個人単独では仲々むずかしいことであった。
 従って、何百名と名前が刻まれているような記念碑などの人名採取は省略させてもらった。
 金杉町の金蔵寺には、境内のあちこちに、四国八十八ヶ所供養塔があり、100基ぐらいあるが、綿貫啓一氏らに応援を求めて、一日がかりで調査した。
 結局、私が体験したことは、このような大がかりな調査の場合、ペアを組んでやる方が、効率的でもあり、かつ正確を期すことができるということである。
 特に、干支を現場で照合しておくことの必要性を痛感した。判読し難い銘文など、気持が急いでいると、拓本を取ったり、年代表を取り出して見たりすることを怠って、つい良い加減になってしまう。今日は、ここまで済ませてしまおうなどと考えること自体まことに良くないことなのだが、調査に取りかかつてみると、数量の多いことと、思ったより以上に時間がかかって、とても約束の期間内に終りそうもないと考えて、結果的に気持の上で粗雑になってしまった。
 太いに反省すべき点であった。
 いまや、どの市町村も都市化が急速にすすみ、石造物の移動も思ったよりはげしい。船橋市も環境の変化が著しい。
 この報告書に収録した資料のうち、現在すでにないものもかなりある。二度目に訪れたときに失われたものもあった。
 路傍から神社や寺院に移された石造物も多いが、これとても決して安泰ではない。寺院では、良く無縁墓をあつめて塔状に積み上げているが、この中の方に庚申塔や月待塔が埋め込まれる。うまく表面に出ていても、側面はコンクりートでつぶされて造立年月日は半永久的に読み取ることはできない。
 反対に最初行ったときに傾いたりしていた庚申塔や馬頭観音が、キチンとした基礎の上に整理されていたりした例もあった。見かねた有志の人々の手でなされたのだろうが、そんな光景に出会うととたんに嬉しくなる。
 さまざまな体験をさせられた船橋市石造文化財調査であったが、終ってみるといろいろな苦労も忘れてなつかしい。
 ※「船橋市の石造文化財」
   頒布価格 5,250円 (送料共) 船橋市湊町2-10-25
   市役所 市史編さん室


4.石仏の旅 千葉県野田市 大森義朗(日本の石仏31号)

 石仏協会の依頼で、野田市の紙上石仏案内を引受けられた。市内15のポイントを8ページにわたって紹介している。
 夏の暑い最中、ずい分と足を運ばれたという。「まとめてみると、たったこれだけですが、写真も何百枚も取りました」とのこと。地図も付いているので、一日くらいの行程の良いガイダンスとなろう。


5. 地蔵信仰−東総の事例− 服部重蔵(日本の石仏32号)
 
 第32号は、地蔵の特集号である。
 地蔵の画像板碑は、服部重蔵氏の文によると、東総地方に6基あるという。
 そのうちの2基について現在の信仰の状況も含めて紹介している。これら板碑が、ほぼ室町期ということから、この地域の特色を感じさせられる。 

6.事務局から

○…長らく御無沙汰致しました。本当に申し訳ないとおもっています。今更弁解しても始まりませんので、今後の努力でつぐないたいと存じます。
 今年は、この会も満5年ということで、この会報の内容も、発行回数も充実させてゆくことを考えております。それには、やはり会員の方々の投稿を期待したいとおもいます。雑報・雑文で結構ですから随時お送り下さい。

○…1月に佐倉市志津公民館の郷土学習講座に招かれて、2時間ほど石仏入門的な話をして来ました。驚いたのは、約70名ばかりの方が集まられたことです。
 婦人の方が多かったのですが、県石造文化財報告書を持参したところ、23名もの方が購入され、会の収入となりました。今後各地でこのような講座が開かれるときは、是非この報告書をおすすめ頂きたいとおもいます。(在庫多数あり)

○…さて、1面でお知らせした通り・4月14日の総会では、新年度の新しい企画を検討して頂く予定ですが、5周年を記念する事業として、県下の石仏を紹介する出版物の刊行計画もあります。
 その外、会の事業計画全般も見直し、運営の体制についても提案したいと考えています。
 御多忙の時期と存じますが、この会が今後益々発展し、会員各位のためにも、また社会的にもより有意義な存在になりますよう、会員各位のお力添えを頂きたいとおもいます。
 御都合で出席できない方も、会への希望なり提案なり是非お寄せ下さい。
 それが運営に当る私たちにとって、どれだけ励ましとなり・勇気づけられることか・・・何卒よろしくお願いします。
 では、総会の日は、お元気な顔を見せて下さい。楽しみにお待ちします。(沖本 博)

御礼
 当会の運営費にと、海保会長より 10,000円、一色勝正氏より 5,000円御寄附を頂きました。
 紙上を借りて厚く御礼申し上げます。

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