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Oranje 徒然草
つれづれなるままに、日ぐらしPCにむかひて、こころにうつりゆくよしなしごとを、 そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。 
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2005年4月18日(月)
【第58段】 デ・クラシケル

イングランドFAカップのセミファイナル、マンチェスター・Uはアウェイながら1-4の大差でニューカッスルを下しました。この試合で今シーズンを通じケガに苦しんだ、オランダ代表のエースストライカーでもあるファン・ニステルローイが2ゴールと完全復活を印象付けました。試合後に雨のミレニアム・スタジアム、濡れたピッチでニステルローイと同じ誕生日である”ツインズ”のクライフェルトと何やら話をしているシーンを見て・・・それがようやくバルサからニューカッスルへ、念願のプレミア移籍を果たした相方を歓迎しているように見えて妙に安心しました。これで今シーズン無冠のユナイテッドは優勝した昨シーズンに引き続き今シーズンもFAカップでファイナル進出を決めました。そして相手は同じくプレミアではチェルシーの後塵を拝し無冠に終わるかもしれない因縁の相手アーセナル・・・伝統あるFAカップのタイトルを賭けて激突します。このファイナルの舞台で・・・ニステルローイがアーセナル相手にハットトリック、いやダブル・ハットトリックを披露するくらい、今シーズンの溜まりに溜まった鬱憤を晴らすべく大爆発してくれればなぁ・・・と期待しています。

そして、その同日に行われた101回目のクラシケルもいろんな出来事がありました。しかしアヤックスサポーターは先のCLミラノダービーでのインテルサポーターの愚行を知らなかったのでしょうか?そして「連帯責任」という言葉も忘れていたのでしょうか?今回の舞台となったロッテルダムのデカイプ・スタジアム・・・ここにたどり着いたアヤックスサポーターの数はゼロ。自ら電車を壊してしまうなど「電車(壊し)男」の存在はもってのほか。それゆえゴール裏に用意されたデカイプのアウェイ席は空っぽになって青いシートの色がむき出しの状態に、「デ・クラシケル」で予想されたフェイエとアヤックスの両サポーターの激突は無し。逆にそれがのどかかつ不気味で・・・異様な雰囲気をかもし出しておりました。


アヤックスはこの日の試合を「四面楚歌」な環境下で戦うこととなりました。ボールを持ったとしてもバックアップする声援も無く聞こえるのは抑圧的なブーイングのみ、ゴールを決めても一緒に喜んでくれる称賛の声を期待出来ない・・・そのような極限状態でアヤックスはどのようにクラシケルへのモチベーションを維持していくのであろうか?と試合前から不安になってしまいました。ただでさえ調子が悪くプレーの内容も悪い今シーズンのアヤックスなのに、これでブリント監督も本当に命運が完全に尽きるかな・・・これはクラシケルの試合中でもそう覚悟してました。きっと試合終了のホイッスルが鳴ったらアヤックスの選手には、ロッテルダマーで埋まったデカイプの観衆から、誹謗、中傷、嘲笑のごった煮を味わい孤立無援のこのスタジアムから去っていくのだろうと・・・ネガティブに頭の中に結末を思い描いてました。

しかしこの試合の結末は思わぬものとなってしまったのです。そう、デカイプの観衆が誰一人喜びもしないような、意外な結末がアヤックスを待っていました。


この試合はホームのフェイエに2度先行されながら、そのゴールが決まって共に10分もしないうちに・・・アヤックスは同点ゴールを決めました。前述したこの日のデカイプの環境なら、1点でもリードされようものならもう敗色濃厚なムードになることは必至であろうし、今シーズンのアヤックスであれば「負けてもなんとか1点差なら、後の残り試合でどうにか穴埋めを・・・」と今後の対処に苦しんだ事でしょう。しかし、この環境下ですら同点に追いつくことが出来たというのが、それが「デ・クラシケル」と言えるのでしょうか。頭では「もう追いつけない」と諦めつつも、その奥底には「フェイエ”だけ”には負けたくない」というすり込まれた対抗意識・・・アヤックスの選手としての「DNA」が突如として本能を呼び起こしてしまったのです。プレー自体は決して洗練されたものではなく、パスミス、マーキングの不備も多くて相手ペナルティエリアに入ってもラストパスの精度が落ちて決定機が作れない・・・通常ならジレンマに陥る局面も、その中でデ・ヨングの絶妙の飛び出しがあり、またグリゲラのとんでもないジャンピングシュートが見られたり、普段のアヤックスでは考えもつかないような驚くべき出来事が起こってしまうのでした。

さらに2-2の同点では満足出来なかったのか、ブリント監督自身もその「闘争本能」に火がついてしまったようです。終盤で残り2分という局面で「守備固め」という普通のチームがとるような選択を捨て、なんとFWアナスタシウをピッチに投入!「終了のホイッスルが鳴るまでは攻撃だ!」・・・点を獲れという監督のメッセージを受け取るが如く、飼い猫のように”牙”をもがれたアヤックスが、このクラシケルだけはその牙を剥きました。ロスタイムにこの選手交代に込められたメッセージが実を結びます。アナスタシウと同じく残り10分を切ってピッチに投入されたFWブカリがゴール前でフェイエのGKバボウシュと1vs1となり、一旦シュートを止められるものの・・・このボールを拾ったDFトラベルシから最後はMFマドゥロにボールが渡ってフェイエのゴールネットを揺らしました。まさかの逆転ゴールにデカイプの観衆もブーイングの声すら忘れ、この時間になって初めてピッチの集音マイクにアヤックスの選手の喜びの声が拾われました。強烈な対抗意識があってこそ生み出しれるこの展開・・・今シーズンのチームの調子では考えられない「デ・クラシケル」独特のハイテンション!?アヤックスは決してスマートなパフォーマンスではなく、デカイプのアウェイ席にもしサポーターを抱え込んだとしても彼らが納得するような内容では無かったでしょう。そこにはただシンプルに「負けたくない」という・・・ビハインドを背負うたびに呼び起こされた”本能”でフェイエノールトを撃破したアヤックスが居ました。

アヤックスの歴代監督の中で史上初めて「リーグ戦連敗スタート」という、不名誉な記録で采配デビューを余儀無くされたブリント監督。トッパーで4失点を食らった悪夢のPSV戦・・・チリチリの頭をかきむしったあの試合からわずか1ヶ月で・・・アヤックス・イズムを取り戻しアレナでは2位AZを4-2で圧倒、そしてこの日の「デ・クラシケル」での逆転劇・・・結果的ではありますがPSV戦(H)、ヘーレンフェーン戦(A)での屈辱的な「連敗」を、はやくもこのAZ戦(H)とクラシケル・フェイエノールト戦(A)での「連勝」で返してしまいました。また同日AZがセクティウィのゴールで先制するものの後半にブザフンの同点ゴールを許し、新星メドンヤニン(略称はメヤニ!?)に命運を託しながらホームでNACと1-1で引き分けたため、試合消化数はAZが少ないものの数字上でアヤックスが2位に浮上してしまいました。このままでは残り試合如何によってはUEFAカップでの大躍進でオランダ国内を歓喜の渦に包んでいるAZをも上回って、彼らから不振にあえぐ今シーズンのアヤックスが来シーズンのCL出場権をぶん獲ってしまうかもしれません(爆)

でもこの状態で来シーズンのCL出場権を獲ったとしても、第49段に書いたようなアドーリアンセ監督時代のCL予選セルティック戦の二の舞に・・・あの時みたいに欧州レベルとの格差をまたも思い知らされるハメに陥る気がします。もっとも、AZはアヤックスに対してまだ1試合余分に試合を残しており優位は揺るぎません。個人的には来シーズンのCLはこのままおとなしくAZに譲って、ブリント・アヤックスは来シーズンのUEFAカップでの上位進出を目標に・・・というのがいい選択であると思います。まず「身の丈に合った」目標設定を、若いチームに無理なステップアップを望むのは酷です。

第12段にも書いたスコーピオンシュート、昨シーズンはこの「デ・クラシケル」の主役にもなったアヤックスのナンバー10、ラファエル・ファン・デル・ファールト・・・あれから1年余り、彼はこの日の「デ・クラシケル」にベンチにすら姿を見せませんでした。それが一抹の寂しさを誘うものではありましたが、もはやチームの柱としてもFWバベルとMFマドゥロ・・・彼らが今後の試合でラファエルの存在すらも払拭してしまいそうな雰囲気です。今夏の移籍へ向けて欧州中を飛び回っていたのでしょうか。ラファエルはこの日の「デ・クラシケル」を何処で、どんな気持ちで見ていたのかも気になるところです・・・。オランダ代表における”世代交代”の波が、アヤックスでは自分が早くも”世代交代”の波に押されている事にほぞを噛んでいるのかもしれませんが。

そしてブリント監督は果たしてこの「デ・クラシケル」の逆転勝利を今後への「ターニングポイント」に位置づける事が出来るのでしょうか?はたまた「デ・クラシケル」のみの突発的な「確変」で終わってしまうのでしょうか?アドリアーンセ監督時代の主力だったキヴ、ズラタン、ラファエルから次代のバベル、マドゥロへ・・・今シーズンから来シーズンにかけて「完全移行」出来るのか、バトンタッチが出来るのかは見ものです。これを推し進めるにはファン、サポーター側も短時間での成果を望まずに、コンディションの波に関わらず長い目で見守る事が肝要でしょう。

そういう意味でも、来シーズンにCLでの重いプレッシャーを課すよりはUEFAカップ出場を目指す方がブリント・アヤックスにとって現実的なステップアップが望めるのではないでしょうか。実際問題で試合の中で流れるようなパスワークを披露していたのは、この日の「デ・クラシケル」でのアヤックスよりも、NACとドローに終わったもののやはりAZの方でした。来シーズンでコ・アドーリアンセからファン・ハールに監督交代するとはいえ、現時点ではまだAZがチームの”骨格”がしっかりしていて来シーズンのCLに対応出来るものがあると思います。

アヤックスサポーターが皆無だったこの日のデカイプでの「デ・クラシケル」での逆転勝利が示すもの・・・過度なプレッシャーを与えるものは実は味方となるべきサポーターが生み出していたものだったのでしょうか!?そしてそこから解放されるとのびのびとプレー出来る事もある、断言できるとすればアヤックスは今シーズンCLでセミファイナルに勝ち残った4チームのような完成度はなく、まだまだ「未完成」のチームだという事でしょう。そして今シーズンの残り試合では無理にCL出場権を狙いに行くよりも、いまのアヤックスのチーム自体に足りない”ピース”はどこにあるのかを見極める方に当てた方がいいと思うのです。まずはダイレクトパスの成功率をもっと上げて欲しい・・・ところかな(汗)

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