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人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる。(ミッシェル・サラゲッタ)
前の段【第64段】でクドカンドラマについて述べて終わってしまったので、この段からが「本題」でございます(爆) 前の段のあらすじとしては今クールはドラマの本放送も再放送にもハマってしまったという事で・・・。だって、自分はカラオケで歌えるように”練習用”にCDを買う人じゃないし、ゆえに話題についていくためにドラマを「ながら見」する人でも無いし・・・たとえそのドラマの数字は低くても、VTRを駆使してDVDを買ってまで繰り返し「徹底的」に見る事が出来る・・・そういうドラマを待ち続けるやっかいな奴のようですし(爆)
そのうえフジテレビが心に残る名作ドラマ「王様のレストラン」を再放送するものだからもう大変!三谷幸喜脚本、松本幸四郎主演、「振り返れば奴がいる」、「古畑任三郎」等でおなじみのサンシャインボーイズメンバーがキャストに顔を揃えました。落ちぶれたフレンチレストランを再び一流のレストランにする使命を受けた伝説のギャルソン・千石武と、彼を取り巻くフレンチレストラン「Belle Equipe」の人間たちが織り成す・・・ドラマながらシーンに映るのはフレンチレストラン内のみのワンシチュエーションコメディ。ギャルソン千石が弁慶で、若きオーナー・原田禄郎(筒井道隆)が牛若丸・・・フレンチレストランでの現代版「義経」とも言える作品でもあり、まるで舞台を見ているかのように絶妙のテンポで展開が進むドラマです。また、「お子様ランチはあるの?」、「申し訳ございませんお客様、お子様ランチはただいま旗を切らしております」と台詞にも”エスプリ”をきかせたものが多く実におしゃれなドラマでもありました。前に【第8段】「IWGP」で個人的な歴代ドラマ・ベスト5を挙げましたが・・・この「王様のレストラン」も歴代5指のドラマにひけを取らない名作ドラマの1作品です!ここでこのドラマの最終回、森本レオ・ナレーションの冒頭のシーンをここに記します。
これは、ある小さな、フレンチレストランの、物語だ。
一人の若者の熱意で、伝説的なギャルソンが甦った。
彼は、その店を立て直すために、全精力を、注いだ。
そして、数々の奇跡が生まれ、店は、かつての勢いを取り戻すかに見えた。
しかし、彼は突然、その店を、去った。
人生で起こることは、皿の上でも起こる。たしか、フランス人シェフの、言葉だ。
Belle Equipeの人間たちの人生は、いま、転機を迎えようとしている・・・。
一流店のシェフに負けない料理の才能を持ちながらもガサツな盛り付けで自らの価値を下げていた天才女性シェフ・磯野しずか(山口智子)、彼女を中心に開発してBelle Equipe名物メニューとなった奇跡の結晶「びっくりムース」がお店の顔となると・・かつての名店の勢いを取り戻しつつあるBelle Equipe。しかし、天才シェフしずかの才能に脚光が当たるたびに、パティシエ稲毛成志(梶原善)は才能の無さを痛感し平凡な自分に悩んでいく。このパティシエの作るデザートがいずれ足を引っ張り、フレンチレストランBelle Equipeを一流のお店にする妨げとなると判断したギャルソン千石武(松本幸四郎)は人の良すぎる若きオーナー・原田禄郎(筒井道隆)にパティシエ稲毛を”切る”ことを進言。
稲毛の処遇をめぐり・・・念願の「一流のお店」復活を実現させるのにあと一歩まで迫ったギャルソン千石と、「(辞めさせる事で)誰かを不幸にするくらいなら、一流なんていらない!」と主張する禄郎オーナーは真っ向から対立。同時に千石は、自身が独裁的な前オーナー(禄郎の父親)により”切られた”過去を思い起こし、自分が忌み嫌う前オーナーの姿と現在の自分の姿が重なっている事に気付き落胆してしまう。千石はシェフ・しずかに「あの能天気なオーナーの言う事だから」と諭されるものの・・・独裁者となりかけた自分にフレンチレストラン「Belle Equipe」(良き友)の店名との矛盾を感じ店を去ることを決意、翌日に突如としてBelle Equipeを去ってしまう。予告もなく姿を消した千石の行動にBelle Equipeの従業員は困惑を隠せず、千石の力を借りずにお店を存続させる事に不安を抱くものの、この危機を従業員はこれまで千石一人に依存してきた状況を脱却する機会と捉え、かつての名店の名声にあぐらをかき続けた従業員にはすでに「千石イズム」、すでに自立心が芽生えていた。千石無しでお店を開けると確信した禄郎オーナーは今後もお店を開けていく事を決意する・・・。とここまでが最終回に至るまでのあらすじです。そして最終回の舞台はその1年後のBelle Equipe。
禄郎オーナーの腹違いの兄であるダメ経営者ディレクトール・水原範朝(西村雅彦)と、無愛想で有名だった単なる店のお飾りに過ぎなかったバルマン・三条政子(鈴木京香)は不倫愛の末晴れてゴールイン。1年を経てすでに結婚していた。かつて恋焦がれた相手がいまや”お姉さん”となった禄郎オーナー、マダム・政子に見送られて彼はBelle Equipeにとって最も”大切”なお客を迎えに行く。なんとそのお客は・・・シェフ・しずかの愛するリズム歌謡のスター・橋幸夫・・・では無く、1年前にBelle Equipeを去った伝説のギャルソン・千石であった!給食センターをしらみつぶしに探して回り、1年がかりで千石の居場所を突き止めた禄郎オーナー。「とびきり美味いフレンチレストランがある」との禄郎オーナー”殺し文句”に給食センターに身を隠した千石は・・・禄郎オーナーの招待を受けて1年ぶりにBelle Equipeを来店。彼の登場で厨房もフロアも色めき立つ。
オードブル、そしてワイン・・・料理もサービスも成長したBelle Equipeの姿に感銘を受けた千石は、メインディッシュを迎えるに辺り・・・シェフ・しずかに”挑戦状”を叩きつける!Belle Equipeのメニューにない本場フランスの超難易度の料理「舌ビラメのキャスコレット」、「リードヴォーのクリオシュ詰め」をオーダーする千石。これに対して、シェフ・しずかはとっさの判断と見事な手さばきで応戦する。こうして超難易度の料理を食した千石は「素晴らしい」と感嘆の一言。千石の度肝を抜いたしずかは雄叫びをあげ、勝利のガッツポーズ!最高のサービス、最高の料理を堪能した千石は「このまま地球が滅んでも何の悔いも無い。出来ればデザートを食べずにこのままお店を出たい」と発言。しかしパティシエを巡る過去の因縁を察して、Belle Equipeに千石を招いた真意を示したい禄郎オーナーは「まあ、そう言わずに」と千石をなだめる。千石にお店に戻って欲しい禄郎オーナーであるが、千石をお店に招待した目的はもう一つ、千石に・・・この1年間で成長したパティシエ稲毛のデザートを食べて欲しかったのである。
一方、いまだに威圧感のある千石に萎縮し・・・千石がお店を出たのは自分のせいだとずっと気にしていた稲毛は恐れおののきデザートを作る前に厨房を逃避しようとする。しかし稲毛の逃亡癖を知り尽くした従業員仲間は稲毛を厨房から逃がさない。ディレクトール範朝やメートル梶原(小野武彦)に「千石を見返してやれ!」と励まされ、かつてプロポーズを断られたしずかにもエールを送られる。なぜか「成功したらしずかの胸を揉ませてやる!」、「揉ませてやれ!しずか!減るもんじゃなし!」・・・「先っぽだけならね・・・」と思わぬ”ご褒美”も飛び出すこととなり、稲毛は結局逃げることが出来ず千石にデザートを作らざるを得ない状況に追い込まれる。稲毛自身も千石が居なくなったこの1年で、千石の鼻を明かしてやるとひそかに闘志を燃やしていたのだ。その闘志を自ら考案した「フルーツのグラタン」で形に表して千石に挑んだ!
テーブルに運ばれた「フルーツのグラタン」を口に運ぶ千石。そして「パティシエを呼んで下さい」と稲毛をテーブルに呼ぶ。「また怒られる・・・」と千石の前に行くことを拒否する稲毛は両脇を従業員に抱えられて無理やり千石のテーブルの前へ。千石は「アングレーズが粉っぽい」、「リキュールが強すぎる」・・・等と稲毛の作った「フルーツのグラタン」を酷評しつつも「発想が素晴らしい!」とまさかの褒め言葉。「最高のディナーをしめくくるのにふさわしいデザートだ。ありがとう。」と稲毛への過去の非礼を詫びた千石。遺恨を残した2人の関係はこのデザートで和解する事が出来た。
Belle Equipeの最高のディナーを堪能した千石は変貌した従業員の姿に目を丸くしながらも再び店を去ろうとする。しかし、千石をBelle Equipeになんとか呼び戻したい禄郎オーナー以下従業員は・・・「一緒に働きたい」と千石に訴え引き留める。その熱意に心を動かされた千石は・・・言葉では「この店が一流ですって?ご冗談でしょう?」と笑止して「一流のお店を気取った三流の、最低のお店だ」と戒めるものの、最終的には「最低ではあるが・・・素晴らしい!」と従業員を褒め称え、再びBelle Equipeに戻ることを決意・・・こうして、「伝説のギャルソン」は復活した。「王様のレストラン」の以下のナレーションでエンディングを迎える。
これは、とあるフレンチレストランの、物語だ。
その店の名前は、フランス語で、「良き友」という意味だ。
その店のオーナーは、若いが、熱意に、溢れている。
笑顔の素敵な、マダム。
動物好きな、ディレクトール。
厨房はいつも、活気に、溢れていた。
博識の、ソムリエ。
愛すべき、メートルたち。
そして、再び甦った、伝説のギャルソン。
もし、町でその看板を目にしたら、門をくぐってみるといい。
その店には、いつでも、奇跡が、溢れている。
さて、ある、月に出ていない、夜のことだ。
一人の紳士が、Belle Equipeを訪れた。
その紳士が、やがて、Belle Equipe始まって以来の、とんでもない災難をもたらすことになるのだが・・・。
このナレーションで・・・森本レオ・ナレーションおなじみの決め台詞「それはまた、別の話」で結ぶのだが最終回のみはギャルソン千石自身の「それはまた、別の話」と台詞を奪います。これで「王様のレストラン」はいまだにこれがどういう災難であったのか、謎を残しつつ・・・終了しました。ひょっとすると当初は次回作の制作の予定もあったのでは・・・という”希望的観測”もありましたが。実はエンディングテーマもデビュー間もない平井堅の曲で当時は「平井堅って誰よ?」の声が大多数、「平井堅は『王様のレストラン』のエンディングテーマを歌っていた」とトリビアネタにしてもいいくらい?まさか彼が後に年間No.1ヒットを飛ばすことになろうとは・・・ともビックリしたものです。
前の段で述べたクドカンにしても三谷さんにしても・・・今で言うHIP-HOP用語の「フックアップ」、これを実践した脚本家なんですね。クドカンは松尾スズキ主宰とともに阿部サダヲ、”ジェシー”池津祥子、荒川良々をはじめとした劇団・大人計画の面々をスターダムに引っ張り上げて、一方の三谷さんも主宰自らが脚光を浴びる事により西村雅彦、梶原善、相島一之といった劇団・東京サンシャインボーイズのメンバーを作品に起用して次々と有名にしていった・・・まるでP.Diddyの「Bad
Boy」やEminemファミリーを見るような「フックアップ」ぶりです。ここにも劇団の結束の固さが伺えますね。まあ、三谷さんと西村氏については”例外”として・・・「王様のレストラン」の頃は良かったなぁ・・・という事で。一部では”確執”も噂されていますが、どうやら演技を追及した者にしかわからない領域においての”綱渡り”の関係のようです(謎)いつかはまた双方が納得いくような・・・手を組むような作品も、見る側としては期待したいものです。そしてこの関係は静観するより手段は無いものなのでしょう。
このドラマ、このシチュエーション、この登場人物を再放送を通じて見ながら・・・なぜこの時期になってあの「王様のレストラン」が再放送になったのか・・・ここにオランダ・フットボール界との奇妙な縁を感じました。というのも・・・伝説のギャルソン・千石武と、先にハンブルガーSV移籍が発表されたラファエル・ファン・デル・ファールトが自分の中で妙にカブってしまったからです。
・千石武 → ラファエル・ファン・デル・ファールト
・禄郎オーナー → 彼の才能を見抜いた当時のユースコーチであるファン・ト・シップ(現オランダ代表コーチ)
・個性的な従業員の面々 → キヴ、ズラタン、ファン・デル・メイデをはじめとしたアヤックスのチームメイト。
・Belle Equipe → かつての名門クラブ、アヤックス
・Belle Equipeの「奇跡」 → オランダリーグエールディヴィジ優勝、02-03シーズン欧州CL決勝トーナメント進出!
という風におきかえると・・・多少強引ではありますが、Belle Equipeの物語はオランダリーグ出場117試合で52得点・・・99-00シーズンにデビューしてはや6年、アヤックスで足跡を残してきたラファエルの物語と重なってきます。アーセナル、ヴァレンシア、ASローマと同居した死の2次グループを突破し、準々決勝でも王者ACミランを崖っぷちまで追い詰めた「奇跡の夜」、02-03欧州CLクォーターファイナル進出後に自分はアヤックスは「壊滅」すると予想していました。「王様のレストラン」第1話の落ちぶれたBelle Equipeの姿・・・アヤックスもまたそういう姿に身を落としてしまうだろうと思っていました。なぜならシーズン後にチームの主力選手が根こそぎビッグクラブに引き抜かれてしまうと予想したからです。特に当時の主将キヴとエースのファン・デル・ファールト・・・この2人が一気に引き抜かれたらアヤックスは完全に”骨抜き”になるだろう・・・と危惧していました。
その後ファン・デル・メイデ、そしてキヴ・・・また今シーズンの始めにはズラタン・イブラヒモビッチもチームを去りましたが、ファン・デル・ファールトはCLの「奇跡」の後もチームに残ってくれました。そして今日に至るまで・・・ラファエルはアヤックスに居てくれました。「いつかはラファエルもチームを去る・・・」、CLの「奇跡」のあとはずっとその事を覚悟していました。そしてアヤックスを去る「Xデー」、あれから2年ずっと覚悟し続けていてもこの日はついに訪れるとなると・・・やはり彼との惜別に落胆を隠せません。
しかしラファエルの才能を全開させるのにアヤックスはそのキャパシティを有するクラブではないのもまた事実・・・彼の才能をさらにネクストレベルに展開するには国外移籍も不可避である事もまた事実・・・。これはラファエルに限らずアヤックスで産み出されるすべての若き才能に言える・・・アヤックスがアヤックスであるために背負う「宿命」で仕方の無い事でもあります。その中においてもラファエルの移籍は・・・95年アヤックスの欧州制覇から10年、アヤックスのチーム史上においても1995年から2005年という20世紀から21世紀をまたいだ一つのピリオドに終止符を打つ形となったのでしょう。アヤックスはこれで来シーズンからは・・・ブリント監督を指揮官にまた新たなピリオドをスタートさせる事となります。ただラファエルがアヤックスで偉大なキャリアをスタートした・・・この事実のみは未来永劫消える事がありません。そしてこの事がアムステルダマー、アヤクシート、そしてオランダの誇りとして永遠に消える事は無いものと考えます。
「王様のレストラン」がラファエルの物語であるとすると・・・Belle Equipe、すなわちアヤックスにおけるその物語はまだまだ終わっていない事になります。「自分が居なくてももうチームは大丈夫だ」と移籍を決意したであろうラファエルも・・・いつかチームに戻ってくるはずです。その時に再び名声を取り戻し一流になっているであろうチームはラファエルを迎えるべく「最高のゲーム」を披露する・・・。ラファエルがたとえバルサの一員として、またマンチェスター・Uの一員として将来、どこの”給食センター”からアムステルダムに凱旋する事になろうとも・・・アヤックスは「手厚い歓迎」を用意して待ち構えるはずです。Belle Equipeはアヤックス。千石のキャラクターを事細かに分析するなら・・・厳密に彼に当てはまるのは「ラファエル千石」よりもむしろ「リトマネン千石」なのかもしれませんが、ラファエルもまたチームを渡り歩いて・・・何らかの形でいつかは古巣に戻ってくる事でしょう。「人生で起こることは、すべてピッチ上でも起こる」・・・アレナも「リヌス・ミケルス・スタディオン」に名を変えて、欧州CL上位の常連に成長するであろう古巣アヤックスに・・・「それはまた、別の話」(爆)
※「王様のレストラン」についてはファンサイト「殿様のレストラン」さん(http://homepage3.nifty.com/belleequipe/)をご覧頂ければと思います。惜しむらくはこの名作ドラマを再放送前にご紹介出来れば良かったのですが(汗)
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