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【第91段】で書いた「いいとも!」のハプニングは、まるで無かったかのように「増刊号」ではカットされてました。邦正さん、あれだけ話題になりながらご愁傷様です。それでも、「テレフォン・ショッキング」の長い歴史の中の1ページには”何らかの形”で残ると思います。
そんな中、10月のW杯欧州予選クライマックスに向けて、なんだかチェコ代表が呪われたようにとんでもない事になっています。監督批判によるMFポボルスキーのスパルタ・プラハ追放に続き、矢継ぎ早に「クラブとは両立出来ない!」とMFネドヴェドの代表復帰完全否定。そして今度はFWヤン・コラーがブンデスリーガの試合中にヒザを負傷し・・・おそらくオランダとの試合には出場が絶望的です。そのうえ、十字靭帯損傷と診断された場合は長期離脱の可能性も・・・。
チェコ代表はオランダ代表とW杯出場を争う最大のライバルですが、このように”呪われた”かのような出来事が続くと気持ちも複雑!むろん「他人の不幸」を喜べるはずもありません。9月にはGKのツェフ、DFヤンクロフスキもケガをしていて、相次ぐ主力の故障でチェコ代表には暗雲が漂っています。しかし、チェコ代表は控え選手でもEURO2004のドイツ戦のように試合に勝つ力がある事をすでに証明済みです。なのでコクー不在のオランダ代表にとってもこのニュースが何の気休めにもならず、一時の心の余裕もありません。逆にチェコへの「苦手意識」があるうちはいかなる場合でも、その影響として「楽観的」になりがちなオランダの”悪癖”を矯正してくれるものだと信じております。
うーん。でも、このグループ1を勝ち点4差で”アドヴァンテージ”を持ってチェコに乗り込む事が出来る、幾度となく繰り返したチェコへの”挑戦”ですが・・・今回はまたとない「チャンス」かもしれません。現在の「ファン・バステン・Oranje」がMAX状態のチェコ代表にどこまで通じるか・・・というのをW杯本大会への”試金石”にしたかったのもありますが、これは贅沢な悩みですね。でも、前の段でも述べましたが予選は終わるまで何が起こるか分かりません。だから、とりあえず「2ゴール奪取」を!(爆)
ライバルの心配をしてるほど節操の無い、悠長な心持ちでいいのか?という状況ではありますが、「己を知るならまず敵から」とも言うじゃないですか?(こんなことばかり言ってるから純粋なオランダ代表ファンにはなれないんだろうなぁ・・・(爆)) 欧州予選の他グループを見ると”目移り”してしまうのも事実です。ホントに今回の予選はどのグループもクライマックスまで気の抜けない戦いが続いていて・・・フランス代表のいるグループ4はまだまだ先が見えないし、ウクライナ代表が「一抜け」を決めたグループ2もトルコ代表、デンマーク代表、ギリシャ代表の猛烈なプレーオフ枠争いが続いています。アフリカ予選に目を向けると、”アフリカのオレンジ”コートジヴォアール代表も・・・”不屈のライオン”カメルーン代表とグループ3で瀬戸際の争いを繰り広げており、グループ4では”スーパーイーグルス”ナイジェリア代表が「完全他力本願」の苦しい立場で、「アフリカのペレ」FWマントラス(ベンフィカ)を擁する首位のアンゴラ代表を必死に追いかけています。オセアニア王者のオーストラリア代表も、ヒディング新監督の正念場は南米5位チームとのプレーオフであり、30年越しのW杯出場の夢を果たせるかはまだ分かりません。開催国ドイツの隣国であるオランダでさえ、ドイツへの道のりはまだまだ遠い中・・・他の国々のドイツへの道のりも多種多様に・・・遠いようです。
その中でより厳しい状況にあるチームの一つと数えられるのがロシア代表です。現在は欧州予選グループ3で1位のポルトガルを勝ち点5差で追う3位。首位通過の望みもほとんど無く、このグループの2位を走るスロバキア代表にも得失点差(直接対決の結果もロシアホームで1-1のドロー)で遅れをとっています。ロシア代表としては、最終節に残っているスロバキア代表とのアウェイ戦に照準を定めて・・・このアウェイ戦がW杯予選を”生き残る”最大の山場となるでしょう。
前回の2002年W杯予選では、ロシア代表はスロヴェニア代表、ユーゴスラヴィア代表(当時)、スイス代表という激戦のグループ予選をわずか1敗で乗り切って首位通過しました。EURO2004予選はスイス代表、アイルランド代表、グルジア代表というこれまた曲者揃いのグループを2位で切り抜け、プレーオフでウェールズ代表を下して本大会出場の切符を勝ち取りました。そして今回の2006年W杯予選・・・やもするとプレーオフ進出すら遮られる可能性があり、最近の予選の中では”比較的”苦境に立たされているロシア代表です。
それでも、このロシア代表がなんだかんだ言って最終的には予選を勝ち抜いているのも事実です。そのうえ、この安定した(?)成績ながら中身を見れば監督も主力選手も実に「流動的」で・・・あまりに固定されていないのも驚きのポイントです。
・2002年W杯予選→W杯本大会
【監督】ロマンツェフ(スパルタク・モスクワ会長&監督も兼任)
【主力選手】モストヴォイ、カルピン、ホフロフ、アレニチェフ、スメルティン、ティトフ、ベスチャフトニフなど
・EURO2004予選→EURO2004本大会
【監督】ガザエフ(CSKAモスクワ監督兼任)→ヤルツェフ
【主力選手】モストヴォイ(最終的には追放)、カルピン、スメルティン、カリャカ、ロスコフ、ブリィキン、シチェフ
・2006年W杯予選
【監督】ヤルツェフ→ショミン(ロコモティフ・モスクワ前監督)
【主力選手】アキンフェエフ、イグナシェビッチ、アルドニン、スメルティン、ベレツトスキー兄弟、カリャカ、アルシャヴィン、ケルジャコフ
ロシア代表の特徴といえば、上記にもあるように「代表監督とクラブ監督を兼任」するのが日常茶飯事。これは、ソ連の頃からの「権力の一極集中」という伝統が息づくものとも考えられます。ロシアのフットボール連盟が代表監督に権力を独占させて、過去のような「ディナモ・キエフ=ロシア代表」(ロバノフスキー監督時代)、「スパルタク・モスクワ=ロシア代表」(ロマンツェフ監督時代)という1つのクラブを代表の骨格にしたチーム作りをしてきた経緯がありました。
しかし、時の流れか連盟は代表監督を「兼任」させることなく「専任」させる選択をとりました。これにはロシアフットボール連盟会長の座に約4半世紀居続けたヴィアチェスラフ・コロスコフを新会長ヴィタリー・ムトゥコに交替させた”人事”が影響しているようなのです。このムトゥコ会長は、ヤルツェフ監督の後任人事の際にロシア・フットボールを”変える”案の一つかこういう発言をしました。
「外国人監督を招聘することもある。」
しかし、ムトゥコ会長がヤルツェフ監督の後任に選んだのは、同じくロシア人のユーリ・ショミン監督でした。海外の監督にロシア代表を預けるのは今回も”見送り”となった模様。そしてムトゥコ会長は「代表監督とクラブの監督と、どちらの監督を優先するのか?」とショミン監督に直接質問したことで・・・「代表チームを率いるには代表監督に専念した方がよい」という監督自身の決断を導きました。この決断はもちろんロコモティフ社長(クラブ側)ヴァレリー・フィラトフの意向もあり、また「ロシア鉄道会社」のゲンナーディ・ファデフェフ社長や物理文化スポーツ連邦局のヴャチェスラフ・フェチソフ会長といったクラブ、代表の”首脳陣”が同調した結論でもあります。
ただし、連盟もクラブも納得済みの人事とはいえ、現在のショミン代表監督の扱いは「連盟扱い」の”仮人事”であるのもまた事実です。彼の監督契約は2006年の1月1日、つまり本年末までなのです。さらにロコモティフ側もこのショミン監督の代表監督就任を「本年末までの出張」と扱っており・・・もしショミン監督がW杯出場を逃して代表監督をクビになった場合にはロコモティフの監督に復帰させる「予防策」まで考えてクラブの監督のポストを”事実上”空けてある訳です。いちおうチームのベースはショミンによって完全に築かれた後、ショミンの代表監督就任に伴ってロコモティフの監督はショミン→ウラジミル・エシュトレコフへと引き継がれてはいますが・・・。
ショミン監督が率いたロコモティフというクラブそのものが、ロシアリーグ最弱クラブから・・・近年はリーグ優勝、ロシアカップ優勝、さらにはCL決勝T進出などロシアを牽引するビッグクラブへ「のしあがった」クラブなのです。ショミン監督は15年間ロコモティフ・モスクワをトップチームに引き上げたこの”経験”を武器として、ロシア代表も「再構築」しました。ヤルツェフ政権時のコーチ陣からアレクサンドル・ボロジュークただ1人を残し、あとはボリス・イグナチェフとオレグ・ドルマトフという「ロシア代表監督経験」のあるかつての代表監督2人を「助さん、格さん」ばりにバックにつけました。
代表召集でもショミンは前監督とは異なり、一つのクラブからごっそりと・・・という考え方ではなく、ポジションにより適材適所に選手をピックアップしています。その結果、彼自身が率いていたロコモティフだけに偏らず、さらにはモスクワのビッグクラブからだけでもなく・・・まさにロシア全土から代表選手を集めています。そして、自分の才能をショミン監督に見出されたと信じる代表選手は、ショミン監督に忠誠を誓います。この辺りはオランダの国内リーグをつぶさに観察しているファン・バステン監督と共通する部分かと思います。ショミン監督が選手の長所を生かし、かつ雰囲気のよいチーム作りを得意とするのもこういった所に秘訣があるようです。
ロシア代表もオランダ代表同様に内紛、確執、空中分解といったキーワードがつきまとうナショナルチームなのですが、ショミンが監督である限りはその心配は減少したと言っていいでしょう。むしろ、いままでにロシアになかった「団結力」というものが産声をあげていると見ます。(ヤルツェフ監督就任直後も、 モストヴォイらベテランを代表に呼び戻して同じような事が言われましたが、EURO2004本大会でモストヴォイは代表を追放されて・・・チームは”分解”してしまいました。)
上述したように、ショミン監督のチーム作りが即、W杯予選の結果に反映されるかとは限りません。ロシア代表、ぶっちゃけて言えば現在「崖っぷち」です。しかし、グループ3首位のポルトガルをホームに迎えた「ロシアvsポルトガル」は、ショミン監督が作り上げようとしている「ショミン・ロシア」の片鱗を伺わせるものとなりました。それは決して「ポルトガルでは1-7で大敗したのに、ホームでは0-0のスコアレスドローで・・・格上相手に健闘した。」というものでもありません。ゴールは無かったもののこの試合はロシアが試合の主導権を奪い、縦と横への選手、ボールの動きも冴えていました。かつテクニシャン揃いのあのポルトガル代表を「翻弄」させるくらいに力強く、華麗なロシア代表がそこには居ました。
EURO2004直後から経験を積んだとはいえチーム全体も若いし、今回のW杯予選もなんとか突破していけば・・・この事を毎度言い続けながら毎度裏切られてきたのだけれども、今度こそ「大舞台に弱いロシア」を返上した「大国ロシア」の姿を見られそうです。昨シーズンのCSKAモスクワのUEFAカップ優勝など、クラブの好成績だけが「ロシアの武器」ではありません。選手からの信頼も厚いショミン監督の存在も十分に「ロシアの武器」と成り得るのです。ショミンがロシア代表監督の座を守るのか、それともクラブの監督に舞い戻るのかも・・・まず”運命”は来月に委ねられます。
1950年代のハンガリー、1960年代のチェコスロバキア、1970年代から1980年代にかけてのポーランド、そして1990年代のブルガリア、ルーマニア・・・いずれも社会主義の共産党独裁が崩れて民主化が進んだときに、それに比例して代表チームも”ブレイク”を果たした歴史があります。また、(EURO92の”幻の優勝候補”ユーゴスラヴィア、そして)ブルガリアの躍進をきっかけにその後のクロアチア、トルコ、ギリシャというバルカン半島の各チームもそれぞれ”ブレイク”を果たしました。やはり現在も東欧(ギリシャ、トルコは厳密に言うと違うかも?)のフットボールは世界でも無視できない存在にあるはずです。そろそろロシア(そしてウクライナ)もソ連解体を経て・・・フットボール界でようやく「主役」に登り詰める機会が来るのではないでしょうか。
そんなショミンのような「明日も分からぬ」監督も居れば、スイス代表のクーン監督のように「(W杯出場を逃しても)EURO2008の地元開催では代表チームを任せる!」という、頼もしくも「うらやましい」監督もいます。そもそも、オランダ代表なんてEURO2000から4年かけても「世代交代」出来なかったのに、ロシア代表ときたら4年間で「世代交代」の”鬼”ですね。実は、そこが一番驚くんですよ(笑)
しまった・・・アルシャヴィンのことを書こうと思ったら、すっかりショミンが主役となってしまいました。すいません(汗)
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