一年以上も前に出ていたニュー・アルバム Deeper Still / Beth Nielsen
Chapman
at 2003 04/02 21:42
どうも最近リリース情報に疎くなってしまったようです。音楽的な興味の矛先が香港・台湾・韓国に向いているせいか、英米の音楽情報に鈍感になってしまったのかもしれません。しかし、インターネットのおかげで、PCを買う以前よりは、英米の音楽情報が潤沢に飛び込んでくるようになったはずです。要は、情報量の割りには、本当に知りたいことが少ないということなのでしょう。
このアルバムに至っては、アメリカ発売が昨年の3月、日本発売は11月、ようやく手にしたのは今年の3月です(笑)。そもそも日本盤が発売されているのを知ったのは昨年末、ビルボード誌の年末チャート号を買いに行った時でした。何よりも不思議だったのは、1990年の日本デビュー盤以降、爆発的ではないにしても確実に固定ファンを掴んでいるアーティストの新譜だというのに、日本発売まで8ヶ月もかかっているということでした。
理由は発売元のレーベルを見てすぐに分かりました。90年代にワーナー傘下のリプリーズから3枚のオリジナル・アルバムを発表し、1999年のベスト盤のリリースを以ってレーベルを移籍したからです。移籍先のArtemis
は大手レコード会社の傘下ではないため、日本発売がすぐには決まらなかったわけです。(日本では古巣エピックソニーから出たBOSTONの『8年振りの帰還』を支援したレーベルですね)
そんなことよりももっと重要なことは、当初2000年にリリースされるはずだった本作が、発売延期を余儀なくされた事情ではないでしょうか?オリジナル作品としては前作にあたる“Sand
And
Water”は夫アーネストの死を乗り越えて発表されたアルバムでしたが、今度はベス自身がガンの宣告を受けたのです。発見が早かったおかげで、自らガンであることを公表し、治療に専念し、ようやく活動再開に漕ぎ着けたのです。本作は、非情な運命に真っ向から対峙した女性の心情が投影された奥深い作品に仕上がっています。
アルバム全体の印象は、ジャケットのアートワークに象徴されているように、決して明るいものではありませんが、決して悲観的な暗さを湛えたものでもありません。歌声は穏やかで、シンプルな演奏もリスナーの同情や感傷を徒に掻き立てることはありません。本国アメリカなら話題性十分なゲスト陣も、控えめな参加の仕方です。だから何とも言えない清澄感があり、落ち込んだときに聞いたら心が和むかもしれません。地味な作品ですが、そんな優しさと力強さが感じられるアルバムです。
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