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 2004/11/15 「札幌高裁勝利判決を考える集い」にご参加を!

  ○ と き 2004年 11月15日(月) 13:00〜15:00

  ○ ところ 弁護士会館




 札幌高裁 画期的判決出される

   B型肝炎感染の主たる原因は集団的予防接種

  内容は       原告団・弁護団・訴訟を支える会の声明  
  日本肝臓病患者団体協議会の声明
  坂口厚生労働大臣への要望書 厚労省への要請行動
  国、原告が上告
 

 「肝炎訴訟」は1989年6月、B型肝炎患者(感染者)5名が、B型肝炎ウイルスに感染したのは乳幼児期の集団予防接種の際に注射の針・筒を連続使用しをのが原因であるとして、予防接種を行った国(厚生省)に対して提訴した裁判で、全国の肝炎患者の救済に道を拓くことを目的として闘われています。

 裁判は、札幌地裁で12年間の審理を終え、2000年3月に判決が出ましたが、「集団予防接種が肝炎ウイルス蔓延の相当程度大きな要因であった」ことは認めながら、個別の因果関係では証拠が不十分だとして、国の責任を回避し原告敗訴という結果となりました。ただちに高裁に控訴、2003年4月結審し、やっと高裁での原告の主張を全面的に支持する判決が出されました。

 裁判の結果について、今回の判決言い渡しを傍聴した日肝協・井上尚直常任幹事の報告を掲載します。


 高裁判決後の報告集会
 裁判所の前、大通公園での激励集会(裁判前)で挨拶する井上尚直日肝協常任幹事

 

 

  (写真提供:北海道肝炎友の会)


 北海道に駆けつけて

          日肝協 常任幹事 井上尚直

 札幌高裁のB型肝炎訴訟の控訴審で、1月16日午後1時15分から8階の大法廷で判決が言い渡されました。地裁判決を全面的に覆す画期的判決でした。
 当日は、午後0時半から裁判所前大通公園で応援に駆けつけた支援者の集会が持たれました。
 主催者の報告の後、日肝協から派遣されていた井上常任幹事から連帯(別記)の挨拶が行われ、更に訴訟推進に大きな力を発揮された美馬先生から挨拶があり、法廷に入りました。
 マスコミ各社の法廷撮影が2分ほどあり、「主文が原判決中、訴訟人……」と始まり、『ああ地裁判決が変更になるな』と感じながら裁判長が読み上げられるのを聞いていました。読み上げは主文だけで終りでしたので法廷はそこで終りでした。

 弁護団の判決分析から

 その後、近くの北海道高教組の会館で報告集会が開催されました。
 報告は緊急の弁護団の検討後の報告がはじめに行われました。
 その内容は、原因論(集団予防接種が感染の原因とする控訴人=原告の主張)が認められ、それに伴って必要な措置を取って予防接種事業を行わなかった国の責任も明確に指摘されました。

 控訴人(原告)5名中3名(うち1名は死亡でご家族が控訴継承人)に対して国は損害賠償を行う義務が課せられました。残りの2名の方は原因、責任とも同じとされましたが、同時に提訴の時期にすでに損害賠償請求権の時効が来ていたとして、民法第724条を根拠に請求権が否定されたものです。
 つまり、感染の原因は、提訴した全員について国の強制的な指導で道(地方自治体)が行った集団予防接種にあったとし、その責任は国にあるとする点では5名の提訴者全員(原告=控訴人)共通の判断でうち2名については損害賠償請求権が、提訴時既に時効が成立していたとして請求権が否認されたものです。

 報告集会での発言から

 細部については、弁護団の各氏から次のような発言がありました。

※一審と異なり、原告の主張を一々審査した判決で除斥期間(時効問題)は残るが全体としての判決の意義は大きいと思う。※この闘いの中でなくなられる方があったことは残念だ。
※予断と偏見を持たず一つひとつ、国の主張についても同様だが、検討していると言える。
※一審が特定の行為を原因として指摘できてないことで棄却している点、集団的予防接種全体を原因とし、国の主張こそ日時、場所、方法など全く具体性を欠くと却けていることが特徴。
※地裁判決が「あらゆる他の原因も考えられる」として請求を棄却したものに対して「全体としての原因、責任を認めたのは最高裁判所に従った判決」と言える。
※与芝証人の証言の力も大きい。

 また原告からも、発言がありました。
※Aさん 全国の患者の皆さんにこの勝利の報告をできることを喜んでいます。弁護士や支援をして頂いた皆さんの力で今日があると思います。今まで以上に行動を共にして行きたいと思います。
※Bさん 支えて下さったすべての皆さんに感謝しています。物心ついてから母に原告であることを教えられました。実際携わったのは四年有余ですが、支えてくださった弁護団、支える会、母(訴訟代理人)に感謝しています。

 その他稚内、釧路、函館から参加された支援者の皆さんの発言がありました。

 支える会の会長さんや美馬先生、支える会の事務局長からも慶びのご挨拶がありました。

 促されて、日肝協の代表として井上常任幹事も「これからは最高裁への上告阻止、厚生労働省など、日肝協の大いに働く番となります。いま、改めて其の決意を固めています。これまでは裁判上の争点を除く肝炎対策は、裁判闘争がある故に改善が進んできましたが、これからは正面からの闘いとなります。ご一緒に頑張りましょう」と挨拶を行いました。

 与芝教授の証言が勝利判決に貢献

 裁判所の判断という部分では、大筋で次の意味を持っています。

@本件においては、肝炎ウイルス感染の原因が集団予防接種を原因とする直接証拠は見当たらず疫学的な連鎖を示す間接証拠も見当たらない。
Aしかしながらいずれの控訴人についても、それぞれが感染した時期は乳児期と小児時期それぞれが受けた集団予防接種の時期と対応するものであり、大枠で疫学的観点からの時間的関係において因果関係を認める関係にあること、感染の危険性を排除しない状況で賓施されたこと、そして他の具体的な原因が見当たらないこと。即ち各集団的予防接種の時期、場所、方法が具体的な事実が証明されていること。
B非控訴人がいう予防接種以外の他の感染原因なるものには時期、場所方法等が抽象的だったり、積極的な感染の蓋然性を必ずしも肯定できない、積極的な意味における可能性とは認められない具体的可能性を伴わないものであることに照らして、本件予防接種と控訴人らの各B型肝炎ウイルス感染の因果関係を肯定するのが相当である。
  …中略…

 この後個別の控訴人の感染の事情について検討。
C被控訴人の「他の医療機関乃至医師による感染論」については与芝真影証言並びに弁論の全趣旨に照らして、戦前から医師は「十分な消毒をしていたこと」即ち洗浄、煮沸消毒などを行っていたこと等からして、被控訴人のいうことは、希有例外であって、本件予防接種と等位に並べて比較することはできない。
D母が先に感染したか、子が先に感染したかという点でも感染と其の発言の時期と状況から見て子が先と見るべきと判断し、証人与芝真影の証言で明らかとしている。この点の被控訴人の主張は受け入れられない。
E予見可能性の問題では可決は提出された諸資料を分析し、1944年には日本で血液製剤による感染可能性、1945年には英国で感染可能性が指摘されていることからはじめて、医学的知見を示しウイルス感染をさけるには注射針、筒を一人づつ変えるべきであるとの見解は確立していたと判示している。この点は原審証人吉沢浩司、本審証人与芝真影の証言も一致している。
F被控訴人は、一人ひとりについて注射針などを変える必要性は、経済性からも当時即ちディスポザブル型の普及する以前には被控訴人の認識はなかったと主張するが、感染の危険を伴う各予防接種実施の合理性や相当性を導くことはできない。
G従って、被控訴人は本件各種集団予防接種において注射器(針及び筒)の一人ごとの交換または徹底した消毒の励行を指導すべき義務があったものである。
H被控訴人は本件集団予防接種が公権力の行使だとする控訴人の主張を争うが、本件集団予防接種がいずれも被控訴の告示・省令・通達等に準拠して実施されたことを被控訴人も争っていない。強制接種か勧奨接種かに関わらず被控訴人の伝染病予防公政上の公権力の行使に該当する。   

 以下省略(損害の査定や時効論に関わる部分)    

 高裁の判断の原因論、責任論は以上の通りです。

 札幌地裁で認められなかった主要点で、与芝先生の証言がこれを変えるのに決定的に役立ったものであることは明らかです。
 第一の部分で、被控訴人(国)の拳証が具体的でなく、控訴人の拳証と対比して、到底(こう言う表現が許されるなら)比較にもならないお粗末なものと評価していますが、特に与芝教授の証言が根拠に基づくもので、対応するには『拳証責任の移転』にも似た厳密なものが求められたといえます。

 

B型肝炎訴訟札幌高等裁判所民事第2部判決
           声   明


                    肝炎訴訟原告団
                    肝炎訴訟弁護団
                    肝炎訴訟を支える会

 本日、札幌高等裁判所第2民事部は、B型肝炎訴訟について、控訴人3名について請求を容認したうえ、残る2名について控訴を棄却した。棄却の理由は最後の予防接種から20年を経過しているため、除斥期間が経過しているというものであって、集団予防接種との因果関係及び国の責任は全面的に認めたものである。
 本判決は、集団予防接種における肝炎ウイルス感染について国の責任を認めた初めての判決である。不可知論に陥ることなく、事実と道理に照らして正義を貫いた裁判所に深く敬意を表する。
 この判決は全国のウイルス性肝炎患者の救済に大きく道を開く画期的な判決であり、全国の肝炎患者、キャリア、家族が長年待ち望んでいた判決に他ならない。
 原審判決においても、集団予防接種がB型肝炎ウイルスの主要な感染原因であるとの判断がなされていたにもかかわらず、国はこれまで患者救済のための対策を何ら取ってこなかった。
 平成12年11月に国が設置した「肝炎対策に関する有識者会議」の報告においては、肝炎ウイルスの感染原因として「集団予防接種による注射針・筒の連続使用」については一言も言及されなかった。国はあえて集団予防接種が感染原因であるという事実を覆い隠してきたのである。
 本日の判決によって、このような国の対応は厳しく断罪された。
 国は、本判決に対して上告せず、過去の集団予防接種において多数の国民に肝炎ウイルスを蔓延させた責任を認め、全国のウイルス性肝炎患者に謝罪するとともに、直ちに全肝炎患者救済の対策を取るべきである。

                               2004年1月16日

 

 

 B型肝炎訴訟 札幌高裁判決に際しての声明

                        2004年1月20日     

                        日本肝臓病患者団体協議会

 15年間闘い続けられてきた、集団予防接種によるB型肝炎感染の『国の責任を問う訴訟』に、1月16日札幌高裁の控訴審判決が示されました。
 判決の要旨は、「控訴人5目について、感染の原因は当時の集団予防接種にあり、国がすでに明らかにされていた知見に基づくウイルス感染予防の措置を怠ったために、B型肝炎ウイルスに感染したものである。従って国は5名中3名に対して示したとおりの損害賠償を支払え。残り2名については提訴した時点で民法第724条の定めるところにより損害賠償請求権が失われているので、損害賠償を命じることはできない」というものです。
 感染原因および国の賠償責任については、控訴人の主張を全面的に認め、全体としては画期的な判決といえます。しかしながら民法第724条の「損害及ヒ加害者ヲ知リタル時」の解釈を巡っては議論の残るところです。
 控訴人たちが最初の提訴をしてからこの15年間、どれだけ多くのB型肝炎患者が増えたことでしょう。これらもすべて余分な被害者を増やしたものと言えます。
 これらの現状を鑑みて国は、この判決に対する上告を絶対に行うべきではありません。国は直ちに判決に従い、損害賠償はもとより、判決が指摘する過去のすべての集団予防接種に関して、積極的に肝炎患者対策を行うべきです。その中には、B型肝炎に対する最新の知識と治療方法と技術の広範な普及、ならびにB型肝炎のために生活に困窮しているすべての家族の生活上の問題に、福祉政策上の特別な措置の実施が含まれるべきです。もし厚生労働省が、国民の生命、健康で文化的な最低の生活に、本来負っている任務を果たすのであれば、これらは全く当然のことです。
 厚生省の過去の過ちを隠すことで擁護するのではなく、過ちを改めるところから始められなければなりません。国民の安全で健康な生活を守り、あくまで福祉国家の立場を守るのか、それともその役割を投げ捨てるのか、国が今回の判決に従うかどうかに判断の一つの基準があります。
 このたびの札幌高裁の画期的な判決を導き出した原告、弁護団、肝炎訴訟を支える会の皆さんの奮闘、全国から寄せられた激励に感謝します。この判決を活かすために、全国の肝炎患者、ご家族の皆さんと「国による肝炎対策」の抜本的な拡充が進められるように、いっそう奮闘する決意を固めています。皆様のご支援とご協力をお願いします。

 


 厚生労働大臣への申し入れ

 要望書を提出

 日本肝臓病患者団体協議会は、B型肝炎訴訟原告、同弁護団、日本患者家族団体協議会と共同で1月23日午後、厚労省に出向き大臣官房総務課長に面会し、坂口厚生労働大臣に「要望書」を提出しました。この要請行動には、日肝協から高畠事務局長、井上常任幹事、西村常任幹事が参加しました。

 「要望書」(別項紹介)は、国は最高裁に上告しないこと、判決に乗っ取り肝炎対策を早急に進めること、患者団体と今後の対策について協議するテーブルに着くこと等を求めています。

 写真は、要望書を大臣官房総務課長に手渡す原告団(04/01/23、厚労省、第4共用会議室)


 大臣は記者会見で

 坂口厚生労働大臣は、同日午前中の閣議後記者会見で、このB型肝炎訴訟について触れられていましたのでその部分を厚労省のホームページから引用し紹介します。

 閣議後記者会見概要 (H16.01.23(金)9:09〜9:34)

(記者)
 札幌の予防接種の訴訟の関係で、今日午後患者団体の方が上告しないようにという要望に厚生労働省にいらっしゃるのですけれども、上告についての大臣のお考えは。
(大臣)
 まだ決めておりません。まだ現在のところは決めておりません。私も昭和20年代の予防注射、特に肝炎に関わります論文をずっと読んでおります。昭和23年くらいに出ました論文の中にかなり明確に書かれているものがございます。それはアメリカの論文にもございますし、日本の論文にもございます。私もあそこまで明確に書かれているものがあるということは知らなかったでした。今回初めて勉強をいたしました。もう少し勉強をしたいというふうに思っております。そうした大学の先生などが書かれました論文が、それがその先生だけに留まっていたのか、そのころそれが医学のトップレベルの合意事項になっていたのかということが問われるだろうと思っております。個々の論文を見る限りにおきましては、かなり明確に書かれている。そこは私も率直に認めなければいけないというふう思っております。      <以上>

 大臣宛の要望書は下記の通りです。

        要 望 書
                      2004年1月23日
厚生労働大臣坂口力殿
 
              肝炎訴訟原告団・肝炎訴訟弁護団・肝炎訴訟を支える会
              日本肝臓病患者団体協議会・日本患者家族団体協議会

 平成16年1月16日、札幌高等裁判所は、B型肝炎訴訟について、原告(控訴人)らのB型肝炎ウイルスの感染原因が集団予防接種にあるとし、国には注射針・筒の一人ごとの取り替えの義務があったとしそ国の責任を全面的に認め、国に対して原告(控訴人)3人への損害賠償を命じました。
 本判決は、個別原告(控訴人)らに限らず、我が国に300万人とも400万人とも言われるC型を含めたウイルス性肝炎患者、キャリアの主要な感染原因が集団予防接種にあり、国には肝炎ウイルスを蔓延させた責任があることを明らかにしたものに他なりません。
 私たちは、国が本判決を厳粛に受け止め、いたずらにその責任を回避することなく、直ちに以下の対応をされるよう要望いたします。

 要望事項
 

1.肝炎患者の早急な救済のため、国は本判決に対して上告をしないこと
 
2.国は除斥期間を理由に請求が認められなかった原告(控訴人)に対しても差別せず損害賠償金の支払をすること
 
3.国は、全国の肝炎患者・家族及び国民に謝罪し、速やかな肝炎患者恒久救済対策を実施すること
 
4.恒久救済対策にあたっては次の各項の実施を要望する。
 (1)B型肝炎、C型肝炎に拘わらずすべての肝炎患者を対象として、総合的な肝炎対策を確立すること
 (2)すべての肝炎患者の医療費、検査費用の補助を行うこと
 (3)肝炎の総合治療センターの設立などをはじめ、全国的な治療、診療体制の整備及び治療法の開発促進を行うこと
 (4)速やかに全国的な疫学調査を実施し、患者の治療及び生活実態の把握を行うこと
 (5)早期発見、早期治療のための検査態勢を全国的に確立すること
 (6)患者・家族に対する健康指導及び心理的支援、療養生活支援体制を整備すること
 (7)患者の杜会的支援のために肝機能障害を身体障害者福祉法の対象とすること
 (8)肝炎患者に対する偏見と差別、とりわけ就学、就労差別を無くするよう具体的施策を実施すること
 
5.以上の要望に対する厚生労働省の責任部署を至急明らかにし、原告、弁護団、支援団体、患者・家族団体との協議・交渉のテーブルを用意すること
 

 国が最高裁に上告

 国は、1月28日、過ちを認めず最高裁に上告しました。

 控訴人(患者)側も、高裁が除斥を理由に国の損害賠償を認めなかった2人について、最高裁に上告しました。
 これから最高裁で、国のずさんな予防接種行政について、その責任を追求する戦いが始まります。
 ご支援をよろしくお願いします。

 

      これまでの活動

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