劇症肝炎家族会が発足!

− 同じ経験を持たれた方と交流がしたいのです −

 我国には、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)の保有者が200〜300万人存在します。その方々が発症するB型肝炎やC型肝炎や肝硬変、肝癌の患者さんは多数おられ、これらの疾患についての診断や治療については専門学会に取り上げられる事が多く、また広くマスコミにも報道されています。

 
 劇症肝炎は我国では年間1000例内外という比較的稀な疾患で、専門医も数少なく、現在でも救命率が急性型50〜60%、亜急性型20〜30%という生存率の低い病気です。
 患者数は少ないものの小児から一家の柱である壮年にかけて罹患することが多く、それ迄健康だった人が早ければ1週間、遅くとも1〜2ヶ月のうちに命を落としますので、残された家族の悲しみや生活の苦労は筆舌には尽し難いものがあります。多くの肝臓病は経過が穏やかですが、この病気は珍しく救急疾患ですので、初期対応が極めて重要であり、現在のところ高度の医療技術を持った少数の病院でしか内科的には確実な救命は望めません。
 
 現在我国でも脳死肝移植に代わって生体肝移植が普及し、劇症肝炎においても良好な成績が発表されており、内科医小児科医が真摯な自らの診断と治療の責務を放棄し、安易に肝移植に頼る傾向が目立ってきました。確かに移植が成功すれば生存率は高いのですが、現実には手術に至る迄の障害が多く、手術できずに死亡する患者の方も多いのも事実です。またこの手術の準備のための肉親の精神的、肉体的、経済的負担も莫大です。
 
 何故いつまでも劇症肝炎の予後が本質的に向上しないかにはいくつかの理由がありますが、とりわけ大きな問題に我国の劇症肝炎の診断基準があります。我国の診断基準は1981年当時の肝臓病の権威者が愛知県犬山に集まって作成したもので、以来20年間以上改定されず現在に至り、多くの批判を受けていますが、肝臓学会や厚労省の班会議でも根本的な改正の動きはないようです。この診断基準は、@肝炎のうちAプロトロンビン時間40%以下B昏睡U度以上C急性型(発症10日以内に昏睡出現、予後比較的良好)と亜急性型(11日から8週の間に昏睡出現、予後不良)の区別などが骨子となっています。
 
 批判の主な根拠は、劇症化例をこの診断基準のプロトロンビン時間40%以下、脳症U度になる迄放置した場合、たとえ再生力に富む肝臓であっても、再生できない程肝臓の破壊が進行してしまっており、多くの患者が生命の危機にさらされる点です。この時期から内科的に治療しても救命の可能性は極めて低くなってしまい、患者を救う唯一の道は確かに肝移植だけということになります。しかし、再生の良い肝臓の治療は、できるなら他人の臓器に頼らないほうが理想です。
 
 幸い、最近急性肝炎の段階で劇症化を予知し、阻止する試みが行われるようになっております。この時期適切な方法で肝細胞破壊の進展を防止すれば肝臓は再生し、劇症肝炎までの進行を防ぐ事が期待できます。この当然の試みは急性肝炎患者が多く入院する一般病院の間でも大分浸透してきましたが、残念なことに未だ受け入れない施設や専門家もいます。私達のように肉親(小柳: 21才長男、平成10年8月18日発症、劇症化予知遅れ劇症化、親の肝臓が不適合として肝移植不能、同年9月18日死亡/森永: 11才次男、平成12年12月31日発症、劇症化予知、診断、治療とも遅れ、脳死のため肝移植不能、平成13年1月26日死亡)を劇症肝炎で失った者として、今後少しでも劇症化を予知し、阻止することにより劇症肝炎患者の救命率を上げること、不要な肝移植例を増やさないことを目指し運動を繰り広げたいと考えています。
 
 劇症化を予知し、急性肝炎のうちに治すにはインターフェロンと免疫抑制剤という薬剤治療で可能であり、急性肝炎の患者が多く入院する一般の病院でも治療可能です。しかも、医療費も少額で済みます。しかし劇症化するとそれに加えて大量の血漿や透析システムを使用する肝補助を要し、専門的知識と技術が必要となり、一般の病院では対応が難しくなります。更に肝移植が必要になれば一部の専門病院でしか実施できず、成人では支払いが困難な程の高額の医療費を必要とします。
 
 このように劇症化の予知と阻止は是非学会や国を動かして早急に実現すべき課題と思います。同じような経験のある方、この問題に御意見のある方との交流を深めたいと存じますので御連絡をお待ちします。
 

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