ドラムブレーキの事(仕組みと整備)
今回の使用工具:
ウマ、ジャッキ、タガネ(ハブキャップを外すのに使用)、6mmの6角レンチ(ハブナットのロックを外すのに使用)、マイナスドライバー、大きめのモンキーレンチ(ハブロックナット及びハブナットの脱着に使用)、棒ヤスリ、ブレーキグリース、以上。
始めに断っておきますが、これから紹介する作業は完全な自己流です。マニュアルその他、一切参考にしていません。なので、ひょっとしたらプロの方が見たら「そりゃマズいだろう」というやり方なのかもしれません(御意見アドバイス随時募集中です)。特に今回はブレーキ周りの分解整備です。我が家のクルマは極めて快調に動いていますが、そういう意味を含めて参考にされる際は御注意ください。
まずは簡単な仕組みから。画像は僕の'74年式のビートルのフロント左ブレーキ。一口に「ドラムブレーキ」といっても、ホイールシリンダー(画像「1」の部品)の構造、配置の違いで、「ユニサーボ式」「デュオサーボ式」「リーディングトレーリング式」「2リーディング式」等等、実は色々な形式がある。ビートルの場合、リーディングトレーリング式という比較的ポピュラーな形式。#フロントがリーディングトレーリングなのは結構珍しいかも。どの形式でも同じ事なのだけど、ホイールシリンダーによって摩擦材であるブレーキライニング(叉はシュー、「2」「3」の部品)がブレーキドラムの摺動面に押し付けられる事でブレーキが効く。#ちなみにブレーキ「パッド」ってのはディスクブレーキの摩擦材の事で、ドラムの場合、「ライニング」叉は「シュー」と呼ぶ。結構ごっちゃになっている人もいるかと思うが、両者を分けて呼んでおかないと、例えばクルマ屋なんかに部品を頼む時に話が相手にうまく伝わらなかったりする。
「2」のシューを「リーディングシュー」、「3」を「トレーリングシュー」と呼ぶ。「4」の点を支点にしてシューは上下に開かれる。この時リーディングシューはドラムに接触するとドラムと共に回転しようとするが、支点に妨げられてドラムに吸い付けられる形になり(前進時)、摩擦力が強くなる。これが所謂「サーボ効果」と呼ばれている力で、言い換えるとこの効果をどういう風に使うか、その使い方の違いがドラムブレーキの形式の違いとなっているのです。リーディングトレーリングの場合、後進時にはトレーリングシューにサーボ効果が働き、前進でも後進でもそれなりにブレーキが効く、というわけです。##ライニングを上下に引っ張っている2本のスプリング、これ、画像では前後逆についています。太い方がホイールシリンダー側に来るのが正解です。チューコシャ恐るべし。。。##
次はシューのクリアランス調整。今出来の国産車なんかのリアブレーキに使われているドラムブレーキには大抵オートアジャスト機能が備わっていて、そんなにマメに調整する必要はないのだけど(実際、調整するのは車検ラインでブレーキの効きの検査する時くらいだ)、ビートルの場合この機能は無いので、走っているうちにライニングが減った分だけブレーキペダルの踏み代が深くなっていく。こうなると効きが悪く感じられるし、ドラムブレーキ特有の「かっくんブレーキ」の原因になったりするので時折調整してやらなければならない。
左が上の画像、「4」の支点の部分のアップ。緑矢印の先の部品(シューの端が接している)の根元にはネジが切られていて、黄矢印の先にある「ギザギザ」を回す事によって上下する。この部品を回す事でシューとどラムのクリアランスを調整するという訳。実際の調整は、車体をジャッキアップし、'68以降の4穴ホイール車はバックプレートのサービスホール(右の画像の黄矢印の先のプラグを外すとある)から、5穴車はブレーキドラムのそれからマイナスドライバーを突っ込み、左画像の「ギザギザ」を回して行う(説明の都合上、画像ではドラムは外れているが、調整時は当然ドラムはちゃんと組み付けた状態で!)。時折ドラムを手で回しながらギザギザを回していくと、そのうちシューがドラムにぶつかってドラムが動かなくなる。そうしたらドラムが回るくらいに少しだけギザギザを戻し、車内に入りブレーキペダルを数回強く踏み、シューを馴染ませる(←大事なポイントです)。この作業を2、3回繰り返し「すこーしだけ」引きずるような感じにしたら作業終了です。
一般的な乗用車のブレーキは油圧で動いている。ブレーキペダルを踏む事によって、マスターシリンダーから各車輪のホイールシリンダーにブレーキフルードが送られ、「パスカルの原理(中学の時に習いましたよね)」で倍力されてドラムなりディスクなりに摩擦材が押し付けられるんだけど、当然これらの配管にはそれなりの圧がかかる訳で、これらの点検整備はすごく重要。配管(金属のパイプとゴムのホース)の劣化や損傷、マスター/ホイールの各シリンダー摺動部(内部に「カップ」と呼ばれるパッキンが入っている)のフルード漏れの点検は安全なドライブの為には欠かせません。ホイールシリンダーの点検は下の画像のようにブーツをめくって行う。黄矢印の部分がフルードで濡れてたら即交換。リペアキットが出ており、カップだけでも交換できるが、ビートルの場合、ホイルシリンダー自体そんなに高くない(というか国産車なんかよりよっぽど安い)のでアッセンブリーで交換しちゃった方がいいのかな。#経験上だけど、ホイールシリンダーの漏れはそれにより一気にブレーキが抜ける、という事は無く、ペダルの妙な踏み代の増加、フルードがライニングに付く事によるブレーキの片ぎきなどの前兆があるので、そういう症状が出たら急いで点検しましょう。
あと、これは余談なんだけど、ブレーキフルードは「ブレーキオイル」とも呼ばれるけど、これって実は油じゃなくって水性なんだよね、詳しい成分は分からないけど(確かアルコール類なんじゃなかったかな?)。結構吸湿性があるらしく、水分を吸って劣化するとフェードによるペーパーロックが起こりやすくなる(水は沸点が低いため)。2年に一度くらいは交換した方がいいみたいですね。
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