訴えの要旨

被告の義務

1 被告は、「共有財産」あるいは「指定外財産」について他人の財産の管理を依託されたものであるから、共有者本人ないしその相続人に対して善良なる管理者の注意義務をもって、その財産を管理する義務を負っていた。

2 にもかかわらず、被告はこれまで「共有財産」あるいは「指 定外財産」の管理をするにあたって、指定された財産の管理状況あるいは処分の状況につき、所有者である原告ら(原告らの被相続人を含む)に対して、何らの通知をすることもな かった。

3 また、返還公告によって返還するとされた財産の総額についても、被告は「現在管理している旧土人共有財産」が公告された金額であると主張するだけであって、公告した金額に至った出納の経緯を明らかにしない。

4 このように被告は他人の財産を管理するものが負っている善管注意義務を、つくして「共有財産」あるいは「指定外財産」を管理していなかった。

5 また、返還するに際しては、返還の請求をした者だけを返還の対象としている。  被告は前述のように財産管理について善管注意義務を負っているのであるから、これは財産を返還する際にあっては、正当な所有者を調査して、その者に返還手続を行うべき義務がある。

一部省略

 したがって、共有財産等を返還するに当たっては、アイヌ民族を加え、あるいはその同意を得て返還手続を定めるか、少なくともB規約・先住民族権利宣言草案・二風谷ダム判決の趣旨を十分に盛り込んだ返還手続を定める必要があった。すなわち納得できる公正でかつ合理的な手続によって返還処分をするべきであったのである。

 しかし、一方的な返還手続を定めたアイヌ新法附則第3条は、憲法第13条から導かれる先住少数民族の権利に対する配慮を欠いた違法なものであり、それに則った本件返還手続処分は違憲な法律に基づく処分であって、無効ないしは少なくとも取り消しを免れない。

 仮に、アイヌ新法附則第3条が合憲であっても、具体的返還手続を進める被告にあっては、前述した憲法第13条に基づいた具体的返還手続を実施すべきであったにも拘らず、先住・少数民族に対する配慮を欠いた憲法第13条に違反する返還手続処分を実施したのであって、やはり無効ないし少なくとも取り消しを免れない。

以上は「北海道旧土人共有財産等返還手続無効確認請求事件」の訴状による。






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