[PR]看護師の好条件な求人情報満載:「夜勤は嫌!」など希望の転職が実現♪


口舌の徒のために

licentiam des linguae, quum verum petas.(Publius Syrus)
真理を求めるときには、舌を自由にせよ

過去ログ
ヴァーグナー協会など


No.1032

ワーグナー協会
投稿者---prospero(管理者)(2003/12/30 11:34:34)


つい先日、ワーグナー協会の講演会というものがあったので、少し覗いてきました。『指環』の集中セミナーの一環で、今回は『神々の黄昏』第二幕について。これがきわめて面白いものでした。講演者の一人は、三澤洋史氏という、新国立劇場合唱団の指揮をしていて、バイロイトの合唱指揮の経験もある方なので、ピアノを弾きながら解説をし、部分的には唄も歌うといった熱の入ったもので、Th.マンの『ファウストゥス博士』の登場人物クレッチマーの講演もかくやと思わせるようなものでした。

ライトモチーフの生成の過程を『神々の黄昏』第二幕に即して、微視的に分析してもらえたので、その流れが実によくわかって、ワーグナーの手法にあらためて感心しました。元々ライトモチーフというのは、ある種の記号という側面を持っていて、「剣のモチーフ」やら「契約のモチーフ」やら、かなり恣意的な約束事に思える側面があると同時に、一方ではその内容を音楽的にその表している象徴のような性格ももっています。ですから一方で、モチーフ同士を単語のように組みたてて文章を作るようなこともできれば、その音楽的な流れが独自の雰囲気を表現するということもできるわけです。その点で、ワーグナーがレヴィ=ストロースのような「構造主義者」の関心を引く一方で、ボードレールのような「象徴主義者」の感性を掴んだというのも納得のいくところです。

ところで、もう一人の講演者が紹介していた文献に、ピッデ『ドイツ刑法から見た<ニーベルンクの指環>』という、笑ってしまうようなものがありました。現代ドイツ刑法で『指環』の登場人物を裁くというもので、それぞれの刑期が一覧表になっていました。

それによると、
  • ローゲ:「指環略取、放火幇助」の罪 → 12年以下の懲役
  • ヴォータン:「指環略取、ジークムント殺害幇助、フンディング殺害、ブリュンヒルデ昏睡、放火」の罪 → 五年以上の懲役(何で!?)。
  • ジークフリート:「動物虐待(『ジークフリート』第一幕の熊のことでしょう)、ミーメ撲殺、ブリュンヒルデ誘惑」の罪で → 五年以上一〇年以下の懲役
  • アルベリヒ:「指環強奪、ジークフリート殺害教唆」の罪 → 終身刑
何となく辻褄が合わないような……。今年この本は復刊されたそうですが、流石にこれを取り寄せようというほど酔狂ではありません。


この投稿にコメントする

削除パスワード

発言に関する情報 題名 投稿番号 投稿者名 投稿日時
<子記事>Tokyo-Ring1083prospero(管理者)2004/04/11 21:31:46


No.1083

Tokyo-Ring
投稿者---prospero(管理者)(2004/04/11 21:31:46)


忘れた頃にやってくるワーグナーの話題です。

先日、四年がかりの『ニーベルンクの指環』日本公演(Tokyo Ring)の最終夜『神々の黄昏』の公演がありましたので、出かけてまいりました。思えばこのHPを立ち上げた最初の頃に『ラインの黄金』の公演があったのでした。実はそのときの序夜にいささか失望して、『ヴァルキューレ』と『ジークフリート』には行かなかった(『ジークフリート』はチケットを取り損ねた)のですが、やはり今回は最後なので付き合おうと思い、発売当日にチケットを押さえました。今回は発売して1時間も経たないうちに完売になっていたようです。

さて公演内容ですが、これが予想以上に素晴らしいものでした。オーケストラがN響に変わっていたのも良かったのかもしれません。劇場で4時間以上に及ぶ楽劇本編を聴いたのは初めてでしたので、実演でワーグナーを聴くという得がたい体験となりました。やはりCDやDVDで聴いているのとはその経験の質が違うようです。歌手陣もほぼ安定していて、ジークフリート役のトレレーヴェンも、音程の甘さはあるものの、最後まで良く歌い切っていました。特筆すべきは、第一幕のヴァルトラウテ役の藤村実穂子です。ともするとだれてしまいがちな第一幕の後半を見事に引き締めてくれました。あとでパンフレットを見ると、この藤村さんは、日本人で初めてバイロイトに主役級の役で出演した人だそうです。冒頭のノルンの三重唱も、第三幕冒頭のラインの乙女たちの三重唱もきわめて出来が良く、特に第三幕冒頭は、こんなによくできた音楽だったかと認識を新たにさせられました。

演出キース・ウォーナーの「ポップな」演出で、しばしば苦笑を誘いますが、今回は演奏の素晴らしさもあって、それがあまり気になりませんでした。見終わった後には、これはこれでまとまっているのかもしれないと、それなりに納得するようなところもあります。やはり『指環』は四夜すべてが終わって、初めて得心の行くものだということも今回再認識させられたことです。大詰めのヴァルハラの炎上も、視覚的にはどうしようもなく貧相な演出ですが、それも音楽の力で乗り切れてしまうのが不思議です。あの圧倒的な音楽の力に視覚面でも対抗しようと思ったら、劇場を本当に燃やしてしまうくらいの勢いが必要でしょう。

いずれにせよ、今回の『神々の黄昏』は、これまで私が経験したコンサートやオペラの中でも屈指の演奏でした。


この投稿にコメントする

削除パスワード

No.1098

Wagner entrevu
投稿者---花山薫(2004/05/07 00:32:06)


値段の安さにひかれてクナッパーツブッシュ「ワーグナー名演集」を買ってみました。私にとってはワーグナー初体験だったわけですが、これがなんともすごい演奏で、完全に参りました。こういうものが千円で買えるとはいい時代になったものです。

解説を読むと、クナッパーツブッシュはワーグナーの演奏家としてフルトヴェングラーと覇を競うほどの人だったらしいですね。私が聴いた印象では、クレンペラーなんかに近い資質をもつ人のような気がします。こまかいことはあまり気にせず、ひたすら音楽のスケール感を重視するというか……まあ、素人のあてずっぽうですけど。

フラグスタートという歌手もすごいですね。60歳を超えてこの声の張りとつやはいったいなにごとでしょう……全盛期のレジーヌ・クレスパンと比べても遜色ありません。この人の若いころの録音を聴いてみたくなってしまいました。といっても、年代が古くなればなるほど音質もわるくなるので、そのあたりが問題といえば問題ですが。

ともあれ、いままで漠然と頭のなかに思い描いていたワーグナー像をくっきりと浮き彫りにしてくれるような演奏で、とりあえずは大満足の一枚でした。このディスクはデッカ盤で、録音が古い(58〜60年)にもかかわらず非常に音がいいです。もしワーグナーを聴かず嫌いの人がいたら、ぜひこれを聴いてみられることをおすすめします。

さて、べつのところでちょっと触れたジュディット・ゴーチエの「ワーグナー訪問記」ですが、これは彼女の自伝的作品「日々の首飾り」の三冊目(1909年)を改題して出したものだそうです。

VISITES A RICHARD WAGNER, Judith Gautier, Le Castor Astral, Bordeaux, 1992,

1869年、当時24歳だったジュディットは、夫のカチュール・マンデスとヴィリエ・ド・リラダンを伴って、スイスのトリープシェンに隠棲していたワーグナーを訪問するのですが、そのときの体験をのちになってまとめたもののようです。登場人物は、ワーグナー夫妻はもちろん、ルートヴィヒ二世、フランツ・リスト、ハンス・リヒター(この人がクナッパーツブッシュの師だったこと、今回のCDの解説で知りました)など多士済々で、ジュディットらの一行はいたるところで彼らの款待を受けながらミュンヘンまで特権的な(祝祭的な?)旅行をつづけるといった内容です。ジュディットは若さと美貌と才気を兼ねそなえていましたから、まさに行くところ可ならざるはなかったわけです。

ヴィリエの奇行については書きだすと長くなるので……彼がいつも言語不明瞭で、初対面のワーグナーを面食らわせたこと、ワーグナーの飼い犬の鼻面に手が当っただけでもう狂犬病になったと思いこんで、トリープシェンからリュツェルンまでいっさんに薬を買いに走っていったこと、紳士貴顕のあつまる夜会での朗読の最中、なぜかパニック状態におちいり、やおらズボンのベルトをゆるめて靴を脱ぎ、そばにあったピアノの上に座りこんでしまったこと、等々。

彼の奇行にはそれなりの理由があるのですが、それはごく身近な友人たちにしかわからないていのものなので、いつもまわりの人を唖然とさせたり、ひんしゅくを買ったりしていたようですね。とにかく健康状態には異常なほど気を配っていたようで、その点、カントに似ているような気がします。カントも足の血行を気にしたあげく、特製の靴下どめかなにかを発明したのではなかったでしたっけ。ディ・クィンシーの本にそんなことが書いてありましたね。

ところで、前から一度お訊ねしようと思っていましたが、管理人さんの音楽生活において、ワーグナーはどのような位置をしめているのですか。「私とワーグナー」みたいなかたちで書いていただけるとありがたいのですが。



この投稿にコメントする

削除パスワード

No.1102

フラグスタートなど
投稿者---prospero(管理者)(2004/05/18 21:17:52)


花山さま

本来なら、飛びつくような話題なのですが、少々事情があって、応答が遅れてしまいました。

クナッパーツブッシュとフラグスタートですか。ともにワーグナーを語るのに欠かせない名前ですね。私も『指環』の演奏を一つだけ挙げろと言われたら、50年代後半のクナッパーツブッシュのものを挙げることになりそうです。しかし、この時期のブリュンヒルデは、フラグスタートではなく、アストリッド・ヴァルナイなのです。私個人としては、ヴァルナイはかなり買っているので、これはこれで構わないのですが、仰るようにフラグスタートは独特ですね。

ワーグナー歌手は、60年代くらいまでは、一つの系譜が描けるくらいに、大物の歌手が輩出しましたが、それ以降の弱体化はいかんともしがたいものがあります。ブリュンヒルデ役などは、それこそフラグスタート → ヴァルナイorマルタ・メードル → ビルギット・ニルソンなどと、途切れることなく一級の歌手が続いたので、彼らがワーグナー演奏史に果たした貢献は計り知れないと思います。しかし現在のところ、押しも押されぬワーグナー歌手というのは、おそらく思いつかないでしょう。

フラグスタートでは、『トリスタン』をお聴きになったのでしょうか。フルトヴェングラー盤の『トリスタンとイゾルデ』では、フラグスタートを存分に聴くことができます。同じフルトヴェングラーの『指環』では、フラグスタートがブリュンヒルデを歌ったミラノ・スカラ座の演奏が有名ですが、これはあまりに録音が悪いうえに、オーケストラが練習不足でしばしば破綻します。

しばらく前、Naxosレーベルで、1936年でフリッツ・ライナー指揮で、フラグスタートの『トリスタンとイゾルデ』全曲が出たので、手に入れてみました。1936年ですよ。ですが、これが結構聴けるのです。雑音こそかなりありますが、何よりも40歳くらいのフラグスタートが聴けるのが魅力です。ライナーの演奏もかなりよいものです。このNaxosレーベルは一枚1,000円くらいですし、Naxos historicalと銘打って、フラグスタートものも何枚か出しています。お探しになられるのも手かと思います。

花山さんは、レジーヌ・クレスパンもお好きですか。ワーグナー絡みだと、ショルティ盤の『ヴァルキューレ』ではクレスパンがジークリンデを歌っており、思い返すと、この第一幕が私にとっての『指環』開眼だったような気がします。ジェームズ・キングのジークムントも素晴らしく、何よりもクレスパンのニュアンスに富んだ美声が、『ヴァルキューレ』第一幕での危機的な愛情を表現して巧みでした。

そういえば、トーマス・マンに『ヴァルキューレ』第一幕と、兄妹のインセストを重ね合わせた『ヴェルズンゲンの血』という短編がありましたっけ。

**

リラダンのエピソードと、書物のご紹介もありがとうございました。去年の夏、ロンドンの古書店を訪ねたのは、この掲示板でも書かせてもらいましたが、実はそのあとに、くだんのトリプシェンを訪れてきました。スイスに近いフライブルクで学会があったので、再び足を伸ばしてスイスに入り、ルツェルンからバスで20分ほど行くと、ワーグナーがコジマと過ごしていたトリプシェンにつきます。ルツェルン湖を眼下に見渡せるとても良い場所でした。ここにはニーチェもワーグナー詣でにやってきたはずです。

どうもワーグナーの周辺には、さまざまな文学者・思想家を引きつける磁場のようなものが働いているようですね。

そんなもののあり様を、またいずれゆっくりと考えてみたいと思います。


この投稿にコメントする

削除パスワード


過去ログ・リスト:18, 17, 16, 15, 14, 13, 12, 11, 10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1



[PR]蜂蜜スキンケアで潤い美肌に♪:山田養蜂場*お得なトライアル1050円