ここでは、私が過去問コーナーで問題を作るのに使っている数式組版ソフトTeXについて紹介・説明します。まず、最初にTeXの導入の仕方に説明します。TeXはフリーソフトなのでインターネットでダウンロードすることができますが、これは結構面倒でなかなか使える状態ならないということをよく聞きます。そこで、もし初めてTeXをインストールするのであれば、インストールキットを使うのをお勧めします。ただ、これは3,000〜4,000円するので高いのですが、インストーラがついてるの手間がかかりません。
次に簡単なTeXの使い方について説明しましょう。TeXの使い方が上達するためには「習うより慣れろ」なので、いきなり例題を見てみることにしましょう。まず、テキストエディタ(例えばWindowsに付属の「メモ帳」やWz-editor、秀丸editorなど)を使って、次のように入力し、拡張子をtexにして保存してください。(コピー&張り付けでもOKです)ただし、日本語の部分以外、\とか{ }などは半角文字で入力してください。さもないと、コンパイルをするときにエラーが出てしまいます。
前に「コンパイル」という言葉を書きましたが、C言語でソースファイルから実行ファイルを生成するのと同じと考えてください。要するにWordや一太郎といったワープロソフトでは画面通りの結果がそのままプリンタに出力されますが、TeXでは、画面に現れている(メモ帳とかEditorに)わけの分からない(今後理解してください)文字がそのまま印刷されるのではなく、組版されて綺麗に印刷されて出てきます。ただ、イキナリ印刷するのでは、スペルミスなどのチェックが出来ず、地球資源の無駄に使い結果になってしまいますので、そのためにプレビューア(印刷結果を表示するためのソフトウェア)として、Divoutと呼ばれるソフトを使います。詳しくは参考文献をご覧下さい。
では、さっそく始めましょう。
例題1
このように入力すると、以下のようになります。

documentやendの前に\マークがついていますが、これは\の後ろには命令文があるぞという目印(オマジナイ?)です。一般的にUNIXでは\を使います。ただし、ここでは文字の関係上全角で表示していますが、実際は半角文字を使ってください。ちなみに、\begin{document}と\end{document}に挟まれた間が本文です。
jarticleの部分はTPOにあわせて変えます。比較的短い文章を作る場合はjarticleでいいですが、長いレポートや論文、本などを作る場合には、jreportやjbookを使います。他にもarticleやreport、bookなどもありますが、これは英語専用ですので使うことはあまりないでしょう。(英語だけの場合でもjarticleやjreportで大丈夫です)また、上のように何も書かないと自動的にA4が指定されます。他の用紙を使いたい場合(例はB5の場合。他にA4、B4など様々なサイズが使えます。)は、\document[b5j]{jarticle}などのように指定します。
以下の例では\begin{document}〜\end{document}や\documentclass{jarticle}などは省略しますが、これを入力しないとTeXで処理するとエラーが出るので注意してください。
TOP箇条書きを使うときには次のようにします。
例題2
上のように入力すると次のような結果を得ます。

上の例のような「・」を使う箇条書きでない(1)や(2)などのカッコつきの数字順の箇条書きにするときは、{itemize}の部分を{enumerate}、見出し付きの箇条書きにするときは、{description}に変えることによっていろいろなバージョンの箇条書きを使うことができます。複数の階層にするときは、箇条書き環境の中でもう一度箇条書き環境を記述すればよいでしょう。詳しくは後で参考になる本を紹介させてもらいますので、そちらを見てください。
TOP表を作るときには次のように入力します。
例題3
上のように入力すると次のようになります。

{c|ccccccccc} の部分は枠の中の文字の位置の指定で、l,rに変えるとそれぞれ枠の中の左・右に表示されるようになります。cの個数は枠の個数を表します。{c|ccccccccc}の中の|は縦線でこれを書かないと縦線が表示されなくなります。\hlineは下罫線を表し、これを書かないと下に線が引かれなくなります。枠の幅の調節などもすることができますが、細かい部分は本などを参考にしてください。なお、{tabular}によく似た命令が数式環境で使われる{array}があります。
TOPTeXでは文字に対してかなり多くの「装飾」をすることができます。これらについて見ていくことにしましょう。
例題4
すると、次のような結果を得ます。

つまり、文字を□で囲う場合は \fbox{*} とします。*の中身は1文字であっても複数文字であってもかまいません。数式でもOKなはずです。なお、\qquadは後で説明する \, と同様な命令で、約文字2文字分(全角)の空白を開けます。
他にも以下のようにドイツ語やフランス語の文字をテキストモードの中で出力することができます。
このように入力すると、

となります。なお、これは数式モードの文字に対しても使うことができます。また、数学モードでは以下のようなアクセント記号(時間微分を表す・や、・・、^、〜などを文字のあたまにのせることができます。さらに、実数全体表すRやC(Blackboard Bold Face)や位相を表すScriptのOや、イデアルや集合の濃度を表すドイツ文字についてを以下の例で示します。
と入力すると、
となります。これで数学で用いるたいがいの装飾文字は扱えるようになるはずです。
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簡単な数式の入力について例題を見ていくことにしましょう。
例題5
結果は次のようになります。

数式は普通の文章中で使う小さい文字のインラインモードと、主に数式だけ1行で表示する場合で大きい文字のディスプレイモードとがあります。インラインモードで数式を表示したい場合には$ $で表示したい数式を囲って使います。$ $内に全角文字(正確には2バイト文字)を紛れ込ませてはいけません。エラーになります。インラインモードで大きい数式を表示したい場合は、数式の前に\displaystyleと書けばよいです。また、上の例のように数式だけ別の1行で表示したい場合は、表示させたい数式の前後を$$で囲うか、\begin{equation}〜\end{equation}で囲んで使います。上の例では\begin{equation*}〜\end{equation*}を使っていますが、equationでは式番号が表示され、equation*では式番号では表示されません。$$ $$でも式番号は表示されないので同じもののように思えますが、違う部分があります。これについては後程説明します。
また、\int_{*}^{**}で積分(*、**の部分にそれぞれ下端、上端を入れる)、\frac{B}{A}で分数(Aに分母、Bに分子を入れる)、累乗は ^ 添え字は _ を入力すれば表示することができます。
例題6
結果は次のようになります。

Σ(シグマ)記号は積分記号と同じように \sum_{k=1}^n などのように書きます。また、ちょっとだけ文字と文字の間を開けたい場合は \, (エンマークとカンマ)を使います。
例題7 ちょっと長くてウンザリしそうですが、頑張ってください!
結果は次のようになります。

TeXのソースファイル(*.texのこと!)がどうなっているかを解析していくのも上達のためには必要なことなので、あまり細かいことは書きません。私でも命令をすべて覚えているわけではないので、必要最低限のことがわかっていればよいでしょう。一応、以下に使った命令の簡単な説明をします。
数学での定理をTeXで書きたい場合に、普通に \textbf{定理1.} 等々と書いても書くことはできますが、結構面倒です(そう思いませんか?)また、定理の番号を一々自分で付けるのもかったるいものです。TeXにはtheorem環境(具体的には\begin{theorem}など)のようなものがあって、定理を番号順につけてくれるというなかなか便利なモノです。
まずtheorem環境を使うためには、例えば次のようにしなければなりません。
TeXでは\begin{document}の前の部分をプリアンブルと呼びますが、その部分に\usepackage{amsmath}と\usepackage{amsthm}を入れなければなりません。(その他は特に必要ないのですが、無理につけない理由もないので付けておくと何かとトラブルがありません。)さらに、定理の名前(補題・定義・命題など)を定義しておくために、以下もプリアンブルに書いておく必要があります。
ピッタリこのようにする必要もありません。例えば{thm}を{theorem}に変えても構いませんし、{prp}を{proposition}にしてもOKです。ただし、予約語(すでに他の命令に使われている語)の場合はエラーが出てしまいますので注意しましょう。
では、本題に入りましょう。
例題8
この結果は次のようになります。

次の挙げるのは、自作や本などにあったマクロです。よかったら、使ってみてください。
行単位で文字・数式などを囲みます。
これを応用すると、例えば次のようなものが作れます。

ソースファイルは次の通りです。
あまり用途ないような気もしますが、テストなどにある空欄を作成するのに便利なマクロです。
これを利用すると次のようなものが作れます。

ソースファイルは次の通りです。
上で紹介したマクロや、ヘッダに罫線を引く命令などを収録したスタイルファイルを以下に載せておきます。ど〜ぞ、何なりと使ってやってください。ただし、どんな不都合が起こったとしても、筆者一切責任を負いません。悪しからず。ですが、質問等はできる限り対応したいと考えています。
このスタイルファイルは次のようにプリアンブルに入力して使ってください。
ただし、作ったtexファイルと同じディレクトリに入れないとエラーが出ます。
また、page3.styはA4用、page4.styはB5用に最適化されています。
参考になる本としては、
が私の知っている限りのオススメです。なお、奥村さんの本は最近増訂されてようです。ややマニアックな本といわれていますが、私自身はすごく好きな本です。海上さんの本は付録のスタイルファイルにおもしろいものもたくさんあります。この本にはTeXのそのものが付属のCD-ROMについていますが、このインストールは結構ややこしいみたいです。数学関係の命令を詳しく知りたい方は小林さんの本が一番いいでしょう。一番最後に書いた日本語LaTeX2eインストールキットは、最初に書いた文字通りのインストールキットで、インストーラがついていてラクにsetupができるので、便利です。
なお、このサイトでは過去問コーナーには大量のtexファイルが置いてあります。これらの色々いじくりまわしてみて下さい。それが、TeXの上達の近道だと思います。
以下はikeさんが作られたpLaTeXのハンドブック(リファレンスのような)です。結構重宝しますよ。handbk.dvi
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