#145 天狗の難
2008.03.17 〜 2008.03.25

 ある寺の僧、天狗の難にあひし事@宿直草の挿絵でございます。『江戸怪談集(上)』高田衛編から採りました。

 以前にも紹介した通り同書は古文で書かれておりますし、例の如く、本編の超訳から参りましょう。


 京都は醍醐の辺りで僧達が寄り合いを持ちまして、まあ、遊んでいたわけです。そこで一人の僧がちょっと席を外すんですけど、いつまで経っても戻ってきま せん。同席の僧達は不審に思い、まず、寺に戻ったのかと人をやって確認しますが、帰っておりません。

 さらに探しますが、醍醐はおろか、伏見、来栖野、宇治、瀬田の渡りとかなり広範囲の捜索にも拘わらず、見つかりません。行方不明になった僧は人徳があっ たの か、僧だけでなく稚児などもこの失踪を嘆いたそうです。

 それから三日後のことです。

 ある寺の下僕が山に薪をとりに行きますと、遠くの峰に、見慣れぬなんだか白いものが、パタパタと翻っているんですね。

 帰ってそのことを話しますと、不審に思った寺の者が、見に行くことにしたんです。けものみちを通り、岩場を抜け、草の蔓を掴み、九十九折りの難所を登っ てみますと、あの白いものが翻っている辺りに行方不明の僧の遺体が見つかります。

 白い小袖が木に引っかかり、死体は方々へ引き散らかしたようになっています。

 これは天狗のしわざだろうと話し合ったということです。
 
 
 本文に忠実に描かれている挿絵が多いのですが、これについては、ちょっと「引き散らかした」感はありませんね。そういうグロい絵は時代が許さなかったの でしょうか。手は一本だけ抜けていますが、それもなんだか、取り外し可能のマネキンの手が取れたようです。それか筒井康隆先生の「二人のインド人」のイン ド人。でも、そこが却ってイーんです。どないやねんと ツッコミも入るようなマニア心は我ながら笑止なり。

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