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妖怪の憂鬱
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■団体: アンサンブル・フラン(パンフ中コラム) ■日時: 2000年1月30日 ■曲目: ブラームス弦楽6重奏曲第二番ほか(指揮:新田ユリ先生 ■コメント:ベートーベン後期SQや各種6重奏曲の編曲秘話 |
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「妖怪の憂鬱」 〜弦楽合奏版のできるまで〜 人づてに聞いた話によると、中国語ではヴァイオリンのことを「提琴」というそうである。ちなみにチェロは「大提琴」。 では我らがコントラバスはというと何と「妖怪大提琴」というそうである。 妖怪とはえらい言われようであるが、弦楽器でありながら弦楽四重奏に入れてもらえなかったり、大学オケの部室に無造作にころがされている楽器の有さまを見ていると、この楽器は「弦楽器」ではなく「打(駄?)楽器」なのではないかと悲しい気持ちになってしまう。 アンサンブルフランはそんな妖怪を仲間に加えてくれる心優しい弦楽合奏団である。 しかし本日演奏するブラームスの弦楽六重奏曲第2番の後ろに書いてある「(弦楽合奏版)」という文字が実は曲者であり、この裏側に秘められた妖怪達の血と汗と涙の物語について本日はお話しようと思う。 フランも20周年を越え、そろそろ弦楽合奏曲の有名どころはあらかた手をつけた感があるのか、近時は弦楽四重奏や六重奏(六重といってもバスはない)を弦楽合奏で演奏する「編曲もの」を採り上げる機会が多い。 ここ10年間で7曲と結構なボリュームである。これらの曲には当然バスは含まれていないのだが、我々は強引にもその全曲に参加してきた。 実は弦楽四重奏や六重奏を弦楽合奏に編曲してみようという物好きな人達は昔からいて、例えば「死と乙女」のマーラー編曲版、ベートーベンの第14番のミトロープス編曲版といった曲はプロの演奏会でもしばしば採り上げられてる。 しかし、我らがフランが演奏する弦楽合奏版は全て当団オリジナル。指揮者の先生や山口先生をはじめとするアドバイザーの皆様、そして団員一同が「あーでもない、こーでもない」と推敲を重ねた、正にここでしか聴けない英知の結晶なのである。 「でもチェロと同じ事を弾けばいいんじゃないの?」なんて思われる方も多いかと思うが、ところがどっこいそうは甘くないのである。単純にチェロの譜面をコントラバスで弾くと、1オクターブ低い音が出る。もちろん名曲揃いであり、そんな風に響きが厚くなっても味わいを失わない箇所も沢山あるのだが、そうでない所もまた多い。 そこで妖怪達は1オクターブ上げたり、戻したりを頻繁に繰り返し、時には倍音の多い弾き方でソフトな感じを演出したり、またある時は倍音を殺す弾き方で響きがボワボワしないようにしたりと大忙しである。(これに慣れると普通のコントラバス本来のパートを弾くときに社会復帰ができなくなり苦労する) しかしそんな努力も報われず、やっぱりうまくいかない箇所もある。気持ちよくチェロのパートを弾いていると、山口先生に「並行八度が聞こえる!」(細かい説明は省くが、要は全く浮いてしまっているという事)と怒られたり、「ちょっとバス外れてみて、うーんこの方がいいな」と皆に言われたり(平静を装いながらも、心の中では「あーそうですか、きっと4人とか6人でやればもっといいでしょうねー」とひがんだりしている)。。。 近時は妖怪達もたくましくなり、チェロパートがだめとなると、すかさずビオラやヴァイオリンの方にチャレンジしたり、(妖怪にまとわりつかれた彼らの顔が曇る時も多いのだが)若干創作の手を加えてしまう時もある。(ブラームスよ許したまえ) こうした紆余曲折を経て、本番を迎えているのだが、今日は「一体、どんなこと弾いているんだろう」などと注目するのは止めて欲しい。 なぜなら「コントバラスが入っているとは全く解らないような自然な仕上がり」こそが妖怪達の願いなのだから。。。。 (かつらの広告みたいだな) |
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