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<日 記> 私の夏休みも中盤を迎えている。
予定していた子供との釣行も息子が船酔いしてすっかり嫌気がさし、結局は一回コッキリの企画倒れに終わってしまった。
仕方ないので私は、一人さびしく船に乗って今後の我が子への教育の在りかたやその基本方針、船酔いの回避の仕方などを模索しながら釣り糸を垂れようと思った(そこら辺の問題をどうして釣りをしながら模索しなければならないのかは今回は割愛します…)。
さて、今回の釣り物はいろんな候補があった。ビシアジ、マダコ、マルイカ、カワハギ…。
どれもこれも釣って楽しく、食べて美味しいものばかりだ。
だから昨夜まで私はどれにするかずっと悩んでいた。しかし、どれも若干の問題があるのだった。
例えば…、
| ビシアジ |
数は釣れるけど金沢八景まで行かなければならない。つまりちょっと遠い。 |
| マダコ |
近所の船宿から出てるけど釣果がかなり厳しい。四の五の言ってもやっぱりボウズはいやん!! |
| マルイカ |
釣果が不安定。それに私はイカとの相性が良くない。船宿も遠い。 |
| カワハギ |
軽いタックルででき、釣り自体も面白いが、久里浜までの道程が遠すぎる。 |
問題とする理由があまりにも軟弱である。
要するに遠い船宿まで行くのがメンド臭いだけなのだ。それに本日の私は寝坊もした。いずれにしろ出船時間に間に合わないのも大きな問題のひとつだったのだ。
そこで早速、地元の船宿で面白そうな釣り物をやっているところを探した。
いろいろ見ていくうちにある船宿のHPにある釣り物紹介を読んでいて私はピンときた。
ショウサイフグ(※1)である。
「隔週刊つり情報」の8月15日号に師匠が書いたレポートが載っている。
金沢八景の野毛屋から乗ったショウサイフグの報告だ。
先日、その師匠とJR大井町駅近くの萬来園というメニューのない中華料理屋で時価の料理を食べつつ招興酒を飲んでいたとき、そのレポートの話しになった。
「ショウサイフグはね、釣って面白いし、食べて旨いから最高ですよ!!刺身はもちろん唐揚げにしてもこんな旨い魚は他にないくらいに旨いんです!!」
と、やや血走った目で力説していたのを今朝の私は思い出した。
「そういえばカミさんはまだフグ食ったことないって言ってたな。オレの夏休み家族サービス期間だからダメモトで行ってみっか…」そう私は閃いたのだ(優しいなオレって。自分で言っちゃうけど…)。
「いつも苦労ばかり掛けているからたまには贅沢させてやろう…。まあ、料理するのはカミさんだけど…」とも思った。
朝7時、必要な道具を持って家を出る。
歩いてすぐの新明丸さんに到着した私は受付で仕掛けとエサを買い、船に乗り込む。
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出船までの時間に朝食とビールを摂り、タックルのセッティングを済ませる。
しばらくして日に焼けた顔に口ひげをたくわえた愛想の良い船長が乗り込んできた。
そこで私は自分がフグ釣りは初めてでなにもかも知らない旨を伝える。
すると「ポイントに着いたらお教えしますね」と船長にしてはめずらしい腰の低い丁寧な対応をしてくれる。
少したった頃、その船長が常連の人と話している声が聞こえてきた。
「今日は取材があるんですよ」と。
先般の師匠もときどき取材として船に乗ることがあるが、今日の彼は可哀想に本業に精を出しているはずだから師匠ではないことは分かる。一体誰なんだろうかと思っていた。
すると乗ってきたのはなんと池田健吾氏(※2)であった。
釣りの攻略本などでよく顔を拝見する、釣り人の間では有名な人である。カメラマン氏と一緒に乗船してきた。思わずサインをもらおうかと思ったがあいにく私は釣りをするときに色紙とサインペンは持たない主義なのだ。残念…。
さて船は定刻の8時に河岸払いをした。
航程1時間強でショウサイフグのポイント大貫沖に到着。
約束どおりに船長から直々にアドバイスを頂く。
| エサの付け方 |
| 1) |
冷凍エビは水などに浸けないで自然に解凍する。 |
| 2) |
付けるとき、まずはハサミでエビの尻尾を切る。 |
| 3) |
エサバリを尻尾の切り口から刺し、お腹に出す。 |
| 4) |
そのハリを反転させてもう一度エビのお腹に入れる。 |
| 5) |
アタマは取ってもいいし、取らなくてもよい(今回は取ったけど)。しかし、殻は適宜取る。 |
| 釣り方 |
| 1) |
オモリを底まで沈め、道糸が弛まない程度に張るようにする。 |
| 2) |
アタリがあったらアワセる方法と、空アワセの二通りがある。 |
| 3) |
アタリによるアワセは竿先にコツコツとか魚信を感じたら即アワセ、また空アワセは魚信に関係なく3〜5秒くらいの間隔で定期的にアワセる方法である。 |
| 4) |
フグが乗ったら糸を緩めずに巻き上げる。 |
| その他注意点 |
| 1) |
船の上でフグをさばいたとき、内臓などのは海に捨てない(釣れなくなるらしい)。 |
| 2) |
さばくとき、フグは手や指を噛むので十分に注意する。 |
まずは第一投目。
船長の話しだと最近はちょっと釣果が厳しいらしく、前日の竿頭で5尾だったそうだ。私みたいなフグ初心者だったら1、2尾釣れればラッキーなのだろう。
底ダチをとり、教えられたように竿先を注視する。
そのときだ、「コツン」となにかがアタッたような違和感があった。そこで「エイッ!!」と軽く竿をあおるとググッと重い!!しかもリールを巻いていると竿先がブルブルと震える!!
「これはもしや…」
半信半疑でゆっくりと糸を巻く。
すると立派なショウサイフグが海面に現れた。開始後10分も満たないでいきなり釣れたのだ。
船の床に横たわっているそのフグは「グエッグエッ…」と鳴いている。いきなりヘンなハリに刺さって驚いているのだろう。私だって驚いた。型は30cm以上はある。まずまずだ。
それを見た船長、「ヤッター!!(パチパチパチ)お客さん、初めての釣りでよくアタリが分かったね!!しかもいきなり釣っちゃうんだもんな!!スゴイよ!!」
ふふふっ、どうやら私はスゴイ人らしい。
しかし、日頃から食い渋っているときのシロギスの前アタリやカワハギのアタリに慣れているのでそれほど難しいとは思わなかった。
聞くと船中最初のフグだそうだ。
「池田健吾に先んじた!!」と思った。悪い気分じゃない。
そして第二投目。
同じように微妙なアタリに神経を集中させていた私。
竿先がほんの少しだけ違う動き方をしたような気がした。そこでアワセを入れるが乗らない。
試しにリールを巻き、エサのチェックをしようとした。すると、海面までそのエサを追いかけてフグが泳いできた。食いは活発なようだ。
仕掛けを入れ直した直後、またほんの少しなにかを感じる。
素早く聞き上げてみる。
ズシンと重い!!またフグが乗ったようだ。
糸のテンションを維持しながら巻き上げると25cm前後の見事なショウサイフグだった。
船中、私以外はまだオデコなのにこの快挙である。10分間で2尾!!
「恐れるに足りぬぜ、池田健吾!!」と思った。全然悪い気分じゃない。
本日、幸運の女神が微笑んでいる釣り座は私のいる左舷胴の間と常連氏のいる右舷オオドモ、その隣りにいる池田氏のトモ2番目らしい。
その後、1時間経過した時点で私3尾、池田氏6尾であった。さすがプロ、コンスタントにアタリを取り、着実にフグを取り込んでいる。ナニゲに逆転しやがった!!
「やるな池田健吾め…」と闘志が燃える。
話しは変わって、本日の天候はまさに釣り日和だった。
海はベタ凪、無風でうす曇り、非常にのどかでノンビリする陽気だ。とても気持ちがいい。
それに船はアンカーを打ち、エンジンも止めてあるので、船中で聞こえるのは波の音ぐらい。ここで昼寝でもしたら最高だろうと思う。
しかし、本日の私はビギナーズラックに恵まれた超ラッキーアングラー。滅多にない今日のチャンスをモノにしないとこんな幸運、またいつ訪れるか知れたもんじゃない。昼寝するなんて論外だ!!
午後1時頃の潮止まりまでに8尾も釣り上げた私。
それ以降は船中食い渋って停滞気味になる。
午後3時の納竿までラスト10分で最後に小振りのフグを釣り上げ、どうにか私はツ抜けを達成できた。
最終釣果は池田健吾氏が11尾、オオドモ常連氏が私と同じジャスト10尾。これはかなり善戦したと自分でも思う。
ラッキーな釣り座、素晴らしい天気、素敵な船長、私とのデッドヒートを展開した憎きライバル池田健吾…。様々な好条件に恵まれて、この釣果が得られたのだと思う。こんなに一日中気持ちを集中させた釣りは初めてだと思った(あれ、冒頭で言ってた子供の教育方針の模索はどうしたんだろか…)。
船長からじきじきにフグのさばき方を教わり、晩ご飯に恐る恐る口にしたショウサイフグ。
味がしっかりとあり、驚くほどの旨さだった。
釣って面白く、食べて美味しいショウサイフグ、これはかなりクセになる釣り物だぞ!!
そうそう最後に一言。
順調に釣っている私を見て船長が言った言葉。
「たくさん釣ってね!!この釣りの面白さをみんなに知ってもらいたいんだ!!」
フグを心から愛する男の情熱が読み取れる真実の言葉だと思った。
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