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<日 記> 「ダメだぁ!今日は潮が全然動かない!!」船長が叫んだ。
それを聞いたKOBUさん、
「今のって私たちが良く耳にするセリフですよね…」
「またですかね…」と私。
「前日までは好調だったのに…」
「そのセリフも良く耳にしますね…」
これは今日お邪魔した葉山あぶずりにあるまさみ丸さんのアコウ釣りで最初の一投目が終了した時点の会話であります。
思い返せば、本日の釣り物であるアコウダイが話題に上ったのは今年の1月11日。
それは「上大岡の赤魚ハンター」「爆釣隊の相談役」「東京湾の紳士録」と呼ばれるコウさんと一緒に鴨居式シャクリマダイに初挑戦したときの船内。
「葉山の船宿から深場釣りのターゲットであるアコウを釣ることが出来るんです」とコウさんが教えてくれたことがキッカケでした。
その場に居合わせた私とTAKEさんは即座に食い付く。
タックル一式は宿で貸してくれるとか。
そこの船長は優しい人らしい。
ポイントだって近くて安心。
このお誘いは深場の釣り物とは一生縁が無いと思っていた私にとってまさに朗報。
しかもベテランのコウさんが同行してくれるとなれば鬼に金棒、おんぶに抱っこ。
深場への羨望、未知への野望、高まる期待に逆上する私たちにコウさんは、
「いずれ時期がきたらご連絡します」と約束してくれた。
そしてついに今日、その釣行が現実のものとなったのです。
ところが、冒頭のように相変わらずのとほほ的な幕開け…。
残された7投に賭ける男たちに提灯行列はやってくるのかこないのか!?
深場への挑戦は今、始まったばかりだ!!
■ 戦略会議
釣行日は当初の予定どおり4月13日で決定。
船宿はコウさんがご贔屓にしているまさみ丸さん。
そして、釣行の10日前に都内某所で開かれた緊急深場釣り講習会(ただの飲み会って噂もありますが…)。その席でコウさんからアコウ釣りにおける注意点やアドバイスを伺う。
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| 1、 |
ヨリトリチェーンやリングは必須(コウさんからリング頂きました) |
| 2、 |
私の愛用しているチビラークはダメ!ラーク16を必ず持参 |
| 3、 |
仕掛けのハリ数は5〜6本が無難 |
| 4、 |
船縁に置くマグネット板はあってもなくても構わない(冶具は不要) |
| 5、 |
タコベイトや水中ランプは好みで。ただし、サメの餌食になる可能性もあり |
| 6、 |
仕掛けは3セットくらいあればまずオッケー。あとは替えの枝ハリスを用意する |
| 7、 |
釣り座の周りに荷物を置くな |
| 8、 |
船長の指示により順番に投入する |
| 9、 |
投入時は釣り座の上に立つなどしてハリスが脚に絡まないよう十分に注意を |
| 10、 |
タナはオモリが底をトントンするくらい |
| 11、 |
アコウは固まって生息しているからアタリがあったら仕掛けを送って、追い食いを狙え |
| 12、 |
仕掛けの回収は必ず枝スのヨレを取りながら |
| 13、 |
ハリを並べるのは竿より風下側 |
| 14、 |
クーラーは35リットルでよい |
| 15、 |
まさみ丸の船長は私にソックリ… |
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仕掛けの取り扱いに関しては、私のお気に入りの宿、太海の聡丸においてFサビキ7本バリの経験があるからそれほど難しくはなさそう。
投入方法もイカのプラヅノのそれとイメージ的には一緒。
これならば不器用な私にでも難なくこなせそうで一安心。
私同様、アコウ初挑戦のKOBUさんは自作した仕掛けを持参してコウさんにチェックしてもらう。
しかし、私と違って凝り性で器用なKOBUさん、そのキッチリとした仕事振りにコウさんも思わず感心。
それに引き替えこの私、ハリにハリスを結ぶのもキライというズボラな性格。
釣行前夜、晩ゴハン終了後、今日のためにハリを内掛け結びしていると「俺はこんなコマゴマとしたことをやるために生まれてきたんじゃない!」とフツフツと怒りが込み上げてきた。
正直、アオリイカ釣りに使うハリスを数メートル測って切るだけの単純作業もやりたくないくらい…。
この両極端な二人組、果たしてアコウはどちらに微笑むのか(まあ、どちらにも微笑まない場合もあるかんね…)。
■ 運命の離別
今回のメンバーは私とKOBUさん、そして深場の師匠コウさんの3人。
当初参加表明をしていたTAKEさんは日程がお子さんの誕生日会と重なったため残念ながら不参加。
そして本日、朝の5時にKOBUさんと待ち合わせをして葉山あぶずり港へと出発。
天気予報では最高気温が20度以上になる好天に恵まれるとか。
風も無く穏やかな釣り日和になりそうな予感。その証拠にベイブリッジにある風速計には2m/sの表示。
天候バッチリ、準備も完璧、あとは釣果だけが心配なのだ。
早朝の高速を順調に進んだKOBUさんの車は約30分であぶずり港に到着。
駐車場に車を入れると案内のおじさんが真ん中の列のやや後側へ誘導。
すでに着いているであろうコウさんを捜すとご本人が船の上で手を振っているのが目に入った。
挨拶のあと、「右舷オオドモから3人分の席を取ってあるから、あとは料金を払うだけですよ」と宿まで付き合ってくれる。
受付に立つ船長に船代の10,000円と貸し道具代1,000円を支払う。
合計11,000円で深場釣りが出来るのである。
このお手頃感、格安感、お値打ち感がとても嬉しい。
女将さん役までこなす船長から座席札とポイントカードをもらい、さらにコウさんが手配してくれていた2人分のレンタルタックル(なんか語呂がいいな…)を手渡される。
それは硬めの短竿にミヤエポックのCX8が装着されている物でズッシリした重量感があり、私が今までやってきたどんな釣りにも使用し得なかった超怒級の存在感。
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| <ついにコイツを使うことになるとは…> |
それを抱えて船へと乗り込み、準備に入る。
オオドモからコウさん・KOBUさん・私の順で座り、私の左側には2名の方がいらっしゃる。
コウさんによると本日は満員御礼。最近、釣果が上向きなだけに目ざとい深場ファンが押し寄せてきたとか。
ところが、予約乗合のはずなのに、予定以上の釣り人たちが乗ってきた。どうやらダブルブッキングのご様子…。
そこで船長は2隻出しを決断。私たちの乗る本船が9名、別船で6名に別れる。
「わーいわーい、人が減った〜ッ!!」と分け前が増えるのを単純に喜んでいた私。
しかしこのとき、本船に残ったことが今日一日をハッピーに過ごせるかどうかの大きな分岐点になるとは夢にも思っていなかった…。
■ 未知の領域(ディープゾーン)へ
定刻の7時、ついに人生初の深場釣行の幕が切って落とされた。
海は予想どおりにベタベタの凪。
気象庁を信用するなら朝方は曇り空だが次第に晴れわたり初夏の陽気になるだろう。
あらかじめコウさんに教えられていたとおりポイントまでの航程は35分ほど。安・近・短なアコウ釣りなのだ。
釣り場到着後、船長は巧みな操船で数100メートル下にいる魚影の真上に船を着けた(ように思う)。
そしていよいよ今回一番の懸案事項である「投入」の瞬間が近付いてきた。
船長から投入はミヨシより順番に行うとのお知らせがある。
もしもこの投入時にハリがズボンの裾、ブーツの底、袖口、口の横、鼻の穴等に引っ掛かり、モタモタしているようなら「はい、アナタは今回お休みだかんな。ワンパスだかんな。あとで入れようとしてもダメだかんな!」と宣告されるのだ(実際にはそんなことは言わないだろうけど…)。
投入予定回数8回のうちの1回は比率的にいってかなり大きい。全体の12.5パーセントのチャンスを逃すことになる。
さらに、なにかの間違いで次投もズボンのポケット、腕時計のベルト、隣りのオバサンの耳の穴などにハリ掛かりしようものなら「んもーッ!今度もお休みだかんな!ツーパスだかんな!パス三つで退場だかんな!」と叱責されるかもしれないのだ(言わないと思いますよ、ホントは…)。
しかし、実際の船長はコウさんから私たちが深場の初心者なのでいろいろ面倒を見てくれるようにお願いされており、常に世話を焼いてくれるいい人なのだ(私には似てないけど…)。
「はい!」の合図と共に、ミヨシの方がオモリを海に放る。
船べりに並べられた数々のハリは順じ海へと没していった。
船長が船を動かし態勢を整える。
「はい!」今度は私の左隣りにいる女性がオモリを投じた。
そしていよいよ私の番。
座席の上にしゃがみ、オモリを握る。
「クラッチオッケー、ハリスの絡みオッケー、お腹の調子もオッケー」私は最終確認をした。
「はい!」その船長の合図と同時にオモリを海に投げ入れる。
船宿から支給された長さ15cmほどの肉厚なカツオのハラモを刺したハリが右側から律儀に海底に引き込まれる。
5本目のハリが沈み、ヨリトリリングとチェーンが音を立てて没し、ラークに仮止めしてあった道糸も外れた。
見事、初投入は成功に終わった。一大事を完遂し、安堵の思いで目頭が熱くなった(ウソです…)。
「やれやれ…」と思う反面、次に控えているKOBUさんが気になる。
しかし、彼もまたこの重大な問題を難なくクリアした。
コウさんの投入が終り、とりあえず一安心。
「水深は530メートルです」と船長よりアナウンス。
試しにオモリ投入から着底までの所要時間を計ってみたら、な、なんと7分10秒もかかった…。
250号ものオモリが海底に着くまでに7分以上も要するのだ…。
投入と同時にカップラーメンにお湯を注ぎ、早食いの人なら完食出来るほどの時間…。
まさに前人未到の深さである(私たちにはね…)。
「最初の投入が済めばもう大丈夫ですよ」とコウさんが声をかけてくれた。
「私たちの今までの最深記録は280mでしたからね…」とKOBUさん。一気に倍近くの記録更新である…。
心配していた底立ちも取れ、数メートル巻き上げて落とし込み、再度タナを取り直す。
漆黒の闇に閉ざされている500m下の海底はややかけ上がり気味。
あとはときどきタナを取りをするしかやることがない。
いつものように誘ったり、聞いたり、おだてたり、ホメたりしなくていいのだ。
のんびりしているといえば聞こえはいいが、退屈と言えば誠に退屈…。
まあ、そんなこともあろうかと私は普段よりも多めのアルコール類とオツマミを持参している。
油を流したようなドロンとした海を眺めながらチューハイを飲む。
雲の切れ間から覗く陽射しが水面をキラキラと輝かせる。
のんびりとした時間が経過する…。
しばらくしてKOBUさんが独り言のようにつぶやいた、
「これってアタリですかね?」と。
竿先を見ると確かに「クンクン…、クンクン…」とお辞儀をしていた。
それを見たコウさんがすかさず道糸を送るように指示を出す。
一ヒロ分手で糸を送り様子を見るが、竿先の動きは鎮静化した…。
試しにリールを巻き上げる。
着底まで数分かかる長い道のりを巻き上げるのも同様に長い。
人ごとながらその時間がもどかしい。
開始早々いきなり本命の姿が拝めるのか、それともまだ見ぬ深海魚が外道として上がるのか…。
しかし、現実は常に私たちに厳しかった。
下から2番目のハリスが何物かの仕業で切られていたのだ…。
■ 焦燥・倦怠・睡魔に身悶えす
次の投入ではコウさんのエサがかじられていた。
3投目はアタリ無し。
4投目でまたコウさんにアタリ。しかしこれは痛恨のジョニー。
「はぁ、ついに折り返し地点まで来たなぁ…。やっぱ船長が言うように今日は潮が流れてないんだろうなぁ…。酒飲むの飽きたし、眠くなるし、葉山に鮮魚店は無いし…」と竿先を眺めていると、
「クンクン、クンクン、クンクン…」
「ありっ、今のってアタリかな…。いや、そんなことないだろ…。どーせ俺にはアコウなんて10年早い魚だったんだ。どーせ俺には知事選バックレた罪と罰が待ってるんだ。どーせ俺は女にモテないし、どーせ脚短いし、どーせ顔デカイし、どーせどーせどーせ…」と「どーせ化」していると船長が、
「それアタってるよ!」と忠告してくれる。
船長の指示どおり道糸を2m送ってさらなるアタリを待つ。
もしもさっきのアタリがアコウであるならその近隣には親兄弟や親戚一同が肩を寄せ合って生活しているはずである。
一尾がエサに食いつけば、「俺も」「私も」「オイラも」「ワシも」と飢えたアコウ一家が次々とエサを捕食するはずなのだ…。
「……。」
「…………。」
「…………………。」
竿先にはなんの変化も無かった…。
「上げてみたら…」と船長。
巻き上げている途中にも生体反応は皆無である…。
わずかな期待と大いなる猜疑心を抱いた数分間を過ごす…。
ようやく現れたヨリトリリングを掴み、仕掛けを回収する…。
エサは1キロメートル以上の往復した長旅の疲れも見せず元気に戻ってきた…。
「おかしいなぁ、あのアタリはアコウだと思ったんだけどな…」
「糸を送るの少し早かったかな…」と船長。
そのすぐ後、反対側の左舷胴の間で1.5kgクラスの船中初の本命が上がった。
「タカギさん、見てみなよこれがアコウだよ!」とコウさんが私を呼ぶ。
クーラーに収まったそれは紅の体色をしたアコウそのもの…。飛び出した目玉が釣られたことを驚いているように見える…。
「これってホントは俺が釣るはずだったアコウじゃないの…」と横取りしやがってコンニャロと思う。
6投目、アタリ無し。
ますます強まる陽射しに全身は温められ、睡魔が怒涛の勢いで襲ってくる。
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| <今晩は何を食べようか悩むKOBUさん> |
それはKOBUさんも同じ様子。
釣りを投げ出しゴロンと横になりたい衝動に駆られる。
同じ日、佐島で一人寂しくイワシメバルをやっているまっちゃんからメールが届く。どうやら彼もヒマらしい…。
「メバルって入れ食い的な魚じゃないんですか。佐島に巨メバルはいないんですか」
「まだ2匹。。佐島で負け犬ショッピングが楽しみ。ウキッ!!オ、オレの金剛ナメてんのか!!」
まっちゃんはこの日のために前日、サクラ金剛メバルを購入して臨んだ。このままいったら彼は本当に釣りがキライになるだろう…。
7投目、コウさんがトウジンというタラ目コソダラ科の魚を上げるが、速攻リリース。
8投目、ついにラストの投入である…。
480mダチと今までの中では一番浅い。
しかし、待てど暮らせどアタリは遠く、時間だけが経過していく。
「今頃カミサン、アコウの料理方法を調べているんだろうな…。冷凍庫とか整理してスペース作っているんだろうな…。そういえば師匠や爆釣隊のメンバーに釣れ過ぎたら上げるって約束しちゃったんだよな…。そんな約束するんじゃなかった…。ああ、オレって完バカ…」結局、私は完ボにもなった…。
午後2時過ぎ、ついに納竿のお知らせが…。
最終釣果。コウさん、サメとトウジン各1尾。KOBUさん、ラストで上がったトウジン1尾。完敗だった…。
船中ではラストの流しで左舷ミヨシの方が起死回生の一発逆転で本命を上げ、有終の美を飾った。
この日、船全体でアコウ2尾。右舷は全滅だった…。
■ 天国と地獄
家まで送り届けてくれたKOBUさんと次回は癒される釣りをしようと約束して別れた。
玄関の扉を開けると子供たちが駆け寄ってきた。
幼い彼らにも私の沈鬱な表情が読み取れたようだ。
「ダメだったの?」
「うん、ダメダメだ…」
「クーラー開けてもいい?」
「いいよ…」
「………。」
私は家内に訊いた。
「今晩のおかずはなんだっけ?」
「一応、アコウのお刺身を中心に考えていたけど…」
「ハンバーグでも食べないか?今日は奮発して目玉焼きも乗せようぜ…」
晩ゴハンを食べ終わり、まさみ丸のHPをチェックした。
そこにアップされていたのは…、
アコウダイ《0〜4匹 0.7〜3.2kgと乗合2隻の高低》
本日15名を9名と6名の2隻で出船しました。今日はベタ凪の無風状態で船をどちらに向けようか迷うくらいの海でした。本船は江ノ島沖へお兄様の実さんは秋谷沖にそれぞれ出船しました。
しかし潮の流れは全くなくどっちもこっちも動かない状態で下ろしてすぐにアタリがなければいくら流していてもアタリは望めない状態でした。そんな訳で江ノ島沖はノーヒット続きでしたが秋谷の方は上手くすればアタリがあった様で6人でボウズなしと好成績でした。誠に残念ですが私の方は中々アタリに恵まれず顔見た程度と痺れまくりで御座いました。
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ああ、私も痺れまくりで御座います〜(泣)。
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