釣行日:平成15年7月6日(日) 小潮 天候/雨のち曇り 

<釣り物> フラッシャーサビキ五目・スルメイカ
<釣 果>
 クロムツ2尾、アジ5尾、サバ5尾、スルメイカ9杯
<船 宿> 南房太海 聡丸
<釣り場> 外房 太海沖
<タックル> 竿/RYOBI 海征ヤリイカ 240、リール/Daiwa SEABORG500e(道糸:PE6号)、仕掛け/【Fサビキ五目】船宿オリジナル(フラッシャーサビキ7本針)【スルメイカ】ヤマシタ イカ釣PROサビキ(ツノ18cm7本・ハリス12号・幹糸12号・枝1cm・間100cm)&YO-ZURI スクリューヅノ(ツノ14cm7本・ハリス4号・幹糸6号・枝8cm・間130cm・全長10.4m)、オモリ/150号
<エ サ> ―

<釣り座> 右舷ミヨシ
<同行者> TAKE氏、KOBU氏、なーたん氏、おかした氏
<どう食ったか> 刺身・煮付け(クロムツ)、イカ納豆・イカの明太子&シソ巻き・沖漬け(スルメ)

<日 記> 私が一年の内で一番嫌いな季節、それは梅雨どきです。

 暑いだけならまだ我慢出来ますが、これに湿気が加わると悶絶するくらいに不愉快になります。

 ご存知のように、人間の体温調節っていうのは発汗量を高め、その気化熱を利用して体温を低下させるわけです。
 ところがこの時期、身の回りにある空気が多くの水分を含んでいるため、熱を気化したくても難しいんですね(特に私みたいな肉付きの良い汗かきにとってはツライ…)。


熱を放出したくても全然体温下がらない
体温が下がらないからさらに汗をかく
一杯汗かくから水分とる
また汗出る
また水分とる
そのうちお腹ゴロゴロ…
トイレに駆け込む
この時期、トイレの個室暑い
ここでまた汗かく
手近なトイレットペーパーで汗拭く
濡れたペーパー破れやすい
破片、オデコにへばり付く
そのこと私知らない
トイレ出る
外歩く
みんな私の顔見てすぐ目をそらす
「ママ、あのオジサン…」子供言う
「早く来なさい、タカシ!」ママ怒る
オデコにトイレットペーパー貼り付けた危ない会社員完成…


 ホント、ヤな季節です…。

 今日も前日の天気予報ではムシ暑くなると言ってました。
 そこで私はTシャツに短パン姿で臨むわけです。
 もちろんクーラーの中にはたくさんの飲み物、バッグの中にはラッパのマークの正露丸は欠かしません。
 さらに水に溶けるトイレットペーパーと汗拭きタオルも用意するあたりが完璧と言わざるを得ないでしょう。

 「パーペキだ(死語です)」と自分の用意周到ぶりにホレボレしました。
 「梅雨前線だろうと高気圧だろうとなんでも来い!」と思ってました。
 「俺をナメんなよ、梅雨め!」何故か強気でした。

 ところが、偉大なる大自然にとって私の小手先の準備など屁のツッパリにもならなかったのであります…。


 心理戦

 今回お世話になるのは
「太海の星野仙一」と呼ばれる熱血漢の船長と「オマツリ解かせたら日本一」と噂される聡船長が営む聡丸さん。
 釣り物は前半がFサビキでの五目釣り。後半はスルメに加え、状況によってはオニカサゴまで狙ってしまうという豪華なもの。

 クロムツに良型のアジ・サバ、さらにはスルメにオニ、ヘタしたらクーラーに入りきれません。
 しかし私は、自分の腕と魚運の無さを考慮して20リットルのクーラーを選択。

 今日のメンバーは、我が爆釣隊内では上位の聡丸乗船回数を誇るKOBUさん。
 そして同船で前回、初挑戦ながらメダイを上げたTAKEさん。
 さらに先々週、茨城は久慈港まで行き、ムラソイを釣ったにもかかわらず娘さんから大不評を受けた
「失意のアングラー」なーたんさん。
 最後に真打ちは
「太海の錬金術師」「伝説のなにわナンバー」と呼ばれる我らがおかした師範。

 そのおかした師範、先月の22日に聡丸でオニカサゴを狙っていたら外道でアラを釣り上げた現代のエイハブ船長みたいなナイスガイである。

 出船時間はサマータイム仕様の午前3時半。
 今回、私の送迎役を買って出てくれたのは
「沖釣り界のハローワーク」と囁かれるTAKEさん。
 そのTAKEさんとの待ち合わせ時間は午前1時。

 昨日の午後、昼寝をして夕方6時に目を覚ました私はその以降すっかりと目が冴え、そのまま出発。
 聞けば相方のTAKEさんも同様のご様子…。

 私の地元鶴見から太海までの間、TAKEさんが持参してくれた綾小路きみまろのCDを聴く。
 中高年層をターゲットにした漫談だが、思わず笑ってしまう私たちは既に中年なんだろうか…。

 TAKEさんの愛車に搭載されたナビ子がその実力を遺憾なく発揮して2時半過ぎには太海港に到着。
 ただ、気に入らないのが鴨川市内に入ってから降り始めた大粒の雨…。

 聡丸の駐車場に車を入れると満車状態。もちろんその中には見慣れた3台の車を発見。

 私たちが着いたことを知ったKOBUさんが眠そうに目をシバシバさせて出迎えてくれる。
 しかし、雨の勢いは衰えず挨拶もそこそこに各自の車に避難。

 「もしかしてこのまま降り続くんですかね…」
 「予報では明け方まで降って、そのあとは曇りだって言ってましたけど…」
 「今週も俺、濡れるのかな…」

 私の脳裏には先週の「海老丸横殴り怒涛の波浪地獄」の悪夢がよぎる。
 ところが今日は風も強くなさそうだし、あれ以上の仕打ちは受けないだろうと楽観的な胸算用。

 時計の針が3時を回った頃、駐車場内にいる釣り人たちが三々五々支度を始める。
 KOBUさんが動き出し、なーたんさんの車にも明かりが灯る。
 私たちも車外に出て粛々とウェアを着込む。

 私が脚を通したシマノ製の赤いゴアテックス素材のウェア。
 あちこちの海で幾度も風雨と波にさらされ、くたびれ果てたウェア。
 釣行後はなんのメンテもされずベランダで野ざらしにされている不憫なヤツ。

 竿やリールにクーラーはいつも十分な手入れを受け、常時清潔と美観の維持を保っている。
 ところが、自分の身体に一番近しい大切な存在なのに一顧だにされず、今の今まで一度も洗濯洗剤に浸かっていないウェア。

 「すまん…」思わず胸の内で詫びた。
 「許してくれ…」次第に熱い物が込み上げてきた。
 「ツライだろうがもう少しの辛抱だ…」心から励ました。

 私がそんなセンチメンタルな気持ちになっていることなど知るはずもないなーたんさんが近付いてきた。久し振りの外房だからだろうか、やたら嬉しそうである。

 海に目を投じると、いつの間にかおかした師範も立っていた。

 「いやぁ、こないだのアラは旨かった…」

 師範、挨拶代わりにいきなりの先制パンチを放つ。
 わはは爆釣隊名物のささやき戦術を繰り出してきた。

 「釣りはメンタルなスポーツ」と言われるように心理的動揺が生じた者に魚は食わない。
 「釣果は出船前に決まる」との格言に従い、相手を錯乱させる戦術は南海ホークス時代の智将・野村克也を彷彿させた。

 そこにTAKEさんがジャブを放つ。
 「アラって魚の頭とか背骨のことですよね?」

 さすが歴戦のツワモノ。
 過去、何度もこの戦術で煮え湯を飲まされているだけあって、その切り返し技には舌を巻く。

 午前3時過ぎ、日の出前の聡丸専用駐車場では静かに、しかし熱い闘いが繰り広げられているのであった…。



 試練の青物

 その後、駐車場下の倉庫へ行き、女将さんに船代を支払う。
 簡易受付けには今日の座席表が広げられていた。

 TAKE・KOBU・おかした各氏と私は右舷を全部占領するように配置されていた。ギリギリで参加表明をしたなーたんさんは左舷ミヨシ2番目である。

 「おかちゃんがトモよ!」と、女将さん。
 太海の錬金術師を捕まえて、「おかちゃん」と呼ぶ女将さんも相当な大物なのだろう。きっとその道(どの道だ?)では著名人なのかもしれない(以降、面倒だから「おかした師範」を「おかちゃん」に変更します…)。

 それから船着場に泊められた船に乗り込む。
 座り順はミヨシから私・TAKEさん・KOBUさん・おかちゃん。TAKEさんの真後ろがなーたんさんである。

 午前3時10分、予約客が全員揃ったのを確認して船は予定時間よりも早く、沖を目指した。

 ポイント到着まで間、なーたんさんの
「ムラソイ釣ったけど身がゴリゴリで家族から大不評悲話」を聞きながら缶チューハイをチビチビやる。

 航程30分少々で釣り場に到着。
 前半は聡丸伝家の宝刀、Fサビキ五目。

 私がこの釣りで一番苦手としているのが最初の投入。
 正直、枠に収められた仕掛けを無事に投入出来る確率はかなり低かった…。
 案の定、今日もハリ同士が絡みあってしまう…。

 そこに船上の救世主、聡船長が駈けつける。
 手元が暗いにもかかわらず絡み合った仕掛けを難なくほどく手さばきは神業に近い。

 船長からの開始の合図と共にリールのクラッチを切る。
 83mダチで底から2mタナを切り、10mほど誘うように指示が出る。

 しかし、最初の流しでは船中誰も当たらず移動となる。

 そして第2投目、開始早々船内で一斉に電動リールを巻き上げる音が鳴り響く。
 私の横にいるTAKEさんも竿を突っ込ませながら巻き上げに入った。俄然、にぎやかになる船内。

 「ふふふっ、ついに魚が食いだしましたよ…。みんな取り込んでますよ…。そろそろ俺にも来るんじゃないですかアタリ…」
 と、期待を寄せていたところ、ついに到来大きな魚信。
 ただし、引きにクロムツのような凶暴さはなく、やや上品な感じ…。
 案の定、付いていたのは35cmオーバーの良型アジ。

 TAKEさんはしっかりと人生初のクロムツを上げ、心の底から喜んでいる。

 さらに私はその後もアジとサバのオンパレード。
 どうしたクロムツ?何故に私には食ってこない!?

 「ミヨシの人は調子悪いみたいですねぇ」とニヤっと笑う聡船長。
 「やっぱり調子悪いですかね。他の人は釣れてます、クロムツ?」
 「結構釣れてますよ」


 一体どうしたことなのか。私だけが青物系に好かれているようなのだ…。
 その後、なんとか中型サイズのクロムツを上げるが、大サバのトリプルとかブチかまし、相変わらずのブルー系釣果…。

 流し替えのとき、なーたんさんに様子を訊くとすでにクロムツは5尾以上釣っているとか。TAKEさんも同数。
 なのに私はたった2尾…。

 「タカギさん、でっかいサバたくさん釣ってますね!こっちは全然釣れませんよ!」となーたんさん。
 「いいなぁ、アジとか釣れて…」とTAKEさん。
 「じゃあ、俺のサバとアジをくれてやっからオマエらのクロムツよこせっ!!と口まで出かかったが、どうにか押しとどめる私…。相変わらず私たちは和やかなムードであった…。



 ああ、今週も…

 ふと、上半身とお尻部分が濡れていることに気付く。
 雨はときには激しく、ときには弱くと終始降り続けていた。
 先週の全身海水まみれになった教訓を活かし、今回はアゴの下までしっかりとファスナーを締め、完璧な防水対策を施していたのだが、ウェア自体の撥水性が落ちているようだった…。

 さらに最悪なのが7月上旬とは思えぬ気温の低さ…。
 バッグにブラ下がっている温度計を見ると19度を指していた…。
 私は濡れたTシャツと短パン、さらに追い打ちをかける低温に集中力がなくなってきた…。

 船の移動中、TAKEさんを見ると顔面が真っ白になっていた。しかも、目の焦点が定まっていない。

 「TAKEさん、大丈夫!?」
 「さ、寒い…。服まで濡れちゃってマジに寒い…」
 「………」
 「帰りたい…。早く帰りたい…。もうヤダ…」

 「………」
 「寒い、寒い、寒い…」


 うわ言のように連呼していた…。
 明らかにマズイ状況だった…。
 唇は青紫色に変色し、ガタガタと震え、医学的な所見からすると低体温症とチアノーゼを併発しているのは明白だった(ウソです…)。

 「でもTAKEさんはまだマシですよ。俺とKOBUさんなんか2週連続でこんなだもん…」
 「寒い、寒い、寒い…。ホカロン欲しい…」


 TAKEさんの耳に私の言葉は届いていないようだった…。



 痛恨のダブルカンナ

 午前6時20分、全体的に食いが落ちたのを見た船長から、イカの仕掛けにチェンジするように指示が出る。
ありがとう、おかちゃん!
<一生付いていきます…>
 結局、前半のFサビキでは皆さんクロムツ5尾以上の釣果を叩き出した。
 特にスゴイのがおかちゃん。信じられないくらい巨大なクロムツを2尾も上げる大活躍ぶりだった。さすが師範!

 第2ラウンドのスルメの釣り場までは20分の航程で到着。
 実や私やKOBUさんは先程のFサビキでスルメも釣っていた。それから判断してもイカの魚影は濃そうで期待大。

 私が持参したイカの仕掛けはツノが14cmと18cmの2種類。聡船長のお勧めは18cm。
 そこで迷わず18cm7本ヅノのブランコ仕掛けを選んだ。

 140〜160mダチで底から上へと誘い上げる。

 ツノに大きな動きを与えるように必死にシャクっているといきなりの重量感。
 早速、巻き上げを開始するが途中から道糸が船下方向へ入り始めた。開始早々のオマツリ…。

 すぐに聡船長が飛んできてその解除にあたる。
 ところが、カンナにグチャグチャに絡みついたハリスや道糸がその作業の邪魔をする。さすがの聡船長も苦戦しているご様子…。す、すんません…。

 「え〜、今度イカの仕掛けを持ってくるときはダブルカンナは止めて下さい!オマツリしたときに解きづらいし、イカの乗りも悪いです!」

 と、船内放送で船長からのアドバイス。

 「あっ、俺のことだ!」と私。
 「そうかそうか、ダブルカンナは乗りが悪いのか。以後、肝に銘じますので許して下さい…」
 「知らなかったとはいえ、私の仕掛けのせいで皆様にご迷惑をお掛けして心よりお詫び申し上げます…」

 と、私は一人で猛省中。

 そこへ用を足しに来たKOBUさんからトドメの一言。

 「いやぁ、いきなり3杯も乗せちゃいましたよ!」
 素晴らしいタイミングの囁き戦術。私の息の根を止めるにはもってこいの一撃である。

 その後も相変わらずTAKEさんの
「寒くて帰りたい口撃」は衰えることがなく、疲弊している様子は変わらない。

 ところが、後半になってTAKEさんの怒涛的快進撃が始まる。
 投入ごとに単発ながらイカを乗せ始めた。

 「底からゆっくりと巻いてくると乗りますよ!」とTAKEさん。
 「ホントだろうか…」と半信半疑な私。

 しかし、私たちの座る右舷ではTAKEさんだけが絶好調。その実績に裏付けされた「超低速電動巻き上げ釣法」に私もチャレンジしてみるが、ダブルカンナがいけないのか乗りは訪れない…。

 仕方ないので18cmの仕掛けをあきらめ、14cmに変更。
 するといきなり落とし込みで3杯も乗せる。

 「ああ、こんなことなら最初からシングルにしとけば…」と後悔するが当然、後の祭り…。

 午前9時45分、この冷たくて寒い闘いに終止符が打たれる。



 おかちゃんの愛…

 沖揚がり後。

 「タカギさん、これ、食べて下さい」とおかちゃんがイカの沖漬けを差し出した。
 「あと、ムツも持って帰って下さい」と3尾も進呈してくれた。

 ああ、なんて優しい人…。
 おかちゃんは釣りが上手なだけじゃなくて私のような恵まれない人にも救いの手を差し伸べる博愛主義者だったのだ…。
 私も将来、おかちゃんみたいな「船上のマザー・テレサ」になることを誓った…。

 「ああっ、この人また魚もらってんのぉ!」とKOBUさん。

 結局、乗船前にこの駐車場で繰り広げられた静かなる心理戦で負けたのはこの私だったようです。わはは…。



貰ったクロムツは特に美味です。 この内の1杯はFサビキの外道です…。
<これだけ見ると結構釣れてるように思います> <良型ばかりで食べ応えあり!>