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<日 記> 先週は珍しく風邪をひいて釣行を断念した私。
土日はずっと布団にもぐり、激しい頭痛と全身を貫く関節痛および高熱に身悶えしておりました。
本当ならその日曜日、KOBUさんとまっちゃんの3人でキス釣りを楽しむ予定だったのです。
しかし、病床に伏していても気になるのはその釣れ具合…。
そこでKOBUさんにメールを送り訊ねてみました。
「ああ、健康って素晴らしい…。釣れてますか?」と。
するとKOBUさんから、
「何故か我々は葉山でマルイカ船に乗ってます。全然釣れていないので安心して療養して下さい」
と返事がくる…。
「う〜っ、マルイカにしたんだ…。う〜っ、釣れてないんだ…。う〜っ、健康って素晴らしい…」と唸りながらタメ息…。
もしこれが、「マルイカ入れ乗り!メチャメチャ楽しい!ビバ、葉山!!」なんて返信がきたら私の熱はさらに上がっていたことでしょう
…。
結局この日は、まっちゃん14杯、KOBUさん6杯の釣果…。
そして今日、夏風邪から完全復活した私は上記のお二人と、同じ葉山の同じ宿でマルイカの再戦に挑むことになったのです。
多分、今回が今期ラストのマルイカとなる予定。
前回は師匠と挑戦してたった1杯の貧果に泣いた私。リベンジに成功するのか、それとも返り討ちにあって袋叩きにあい、息の根を止められ
るのか…。
その結果はイカのみが知っているのでありました。わはは。
■ それぞれの朝
午前4時、我家まで迎えに来てくれたKOBUさんの車に乗り込む。
その後、まっちゃんをピックアップするために一路、三ツ沢方面へ。
待ち合わせ場所のコンビニ前でたたずむまっちゃんの足元には20リットルのクーラーが置かれていた。
私が今回持参したのも同サイズ。マルイカを収めるにはどう考えてもオーバースペック。
そう、夏場の私たちにとってクーラーは魚を収納するよりもアルコール類を冷やすのが目的。
その証拠に私もまっちゃんもクーラーの中には大量の酒類が貯蔵されていた。
車は順調に進み、4時40分には葉山港の駐車場へ到着。
入庫を待つ車の列に並んでいるとまっちゃんが、
「とりあえず席だけ取っておきますよ」
と今回お世話になる長三朗丸さんの船に向かう。
車を停め、早速私とKOBUさんもマルイカ船へ。
まっちゃんがキープしてくれたのは右舷オオドモから3番目まで。
2人にどこに座るのかと訊くと間髪入れずまっちゃんが、
「社長(私のことね…)、どうぞオオドモに座って下さい!」と、「釣り船のコーナーポスト」「釣りオヤジ垂涎のプラチナシート」「眺望良好・トイレ隣接・オマツリ僅少」といわれるオオドモを譲ってくれる。
「今日は社長の接待ですから!」とKOBUさん。
きっと彼らは前回に1杯しか釣れなかった私を憐れんでそうしてくれたのだろう。その気遣いと友情に私は思わず涙ぐむ(ウソです…)。
KOBUさんとまっちゃんは今回、自作の直結仕掛けで臨むらしい。
しかも2人ともナマリヅノにガス糸を自分で巻く徹底振り。
「今年になってイカって結構行ってるんですよね」
「それほど好きじゃないと思っていたんですけど私、イカが好きみたいなんです」
「あっ、もしかしてこれって恋?そんな感じです」とKOBUさん。
着実にイカおやじへの道を歩んでいるKOBUさん。
片やまっちゃんもわはは爆釣隊の中では知らない人がいないほど有名なイカキチ。
イカ好き野郎たちの聖地長井においてまっちゃんを知らない人はモグリだと言われるほどである(これもウソです…)。
それに引き替えこの私、イカ好きだけどイカは苦手…。
ガス糸を巻くどころか、仕掛けは全部市販品…。
メンド臭いの大キライ。細かい仕事も大キライ。釣果は運と潮まかせ…。
つまり、KOBUさんやまっちゃんとは対極にいる…。
今、振り返ると今日の釣果はまさにイカ釣りに対する姿勢が見事に反映されたと思えるのです…。
■ 出っ放しで乗りっ放し
葉山港は朝からセミが鳴き、しっかりと真夏になっていた。
その鳴き声を聴きながら私は、本日使うスッテを選ぶ。
一番上のスッテはニット地の紫。
二番目が白・青・こげ茶の三色使い。
真ん中は師匠お勧めのケイムラに赤帽を被せたタイプ。
その下が故上州屋五反田店謹製のピンクスッテに白糸巻き。
一番下がミニ餌木オレンジカラー。
なんとなく非の打ちどころのない選択に思えた。
なんとなくどれに乗ってもおかしくないと思えた。
なんとなく今日は素敵な一日になるようにも思えた。
自作の仕掛けをセッティングし終わったKOBUさんとまっちゃん。
私は冷えた缶入りカクテルをグビッと飲み、2人を眺める。
どことなく彼らの全身からはヤル気のオーラが出ている(ような気がする…)。
どことなく緊張感も漂い、どことなくベテラン感も漂う(ような気もした…)。
まっちゃんはカンナをペンチで内側に反らせている。バレを防ぐためなのだろう。
私はカクテルを飲んでタバコを吸い、港にいる若い女性たちを鑑賞していた。エライ違いである…。
午前6時10分前、10人以上の釣り客を乗せた船は港を離れた。
まっちゃんによるとポイントは港を出てすぐだという。
薄い雲を通して差し込む陽射しはまだ優しかったが、じきに強さを増すのだろう。
船上にわずかながら吹く風が気持ちいい。
海上も穏やかな凪で2週間振りの海に私は思わず頬が緩む。
航程10分弱で葉山の真沖に到着。
しばらくはゆっくりと潮回りをする船長。KOBUさんやまっちゃんによるとこの方は非常にイイ船長らしい。
そしてようやく出された投入の合図。
すぐさまオモリを投げ、仕掛けを沈める。
ところが、それが海中に消える瞬間、真ん中のスッテ同士が絡んでいるように見えた…。
私の拙い経験から言えること、それは…、
「投入時、仕掛けが絡んだ予感がしたときは間違いなく絡んでいる」
そこで仕掛けを回収してみると案の定…。
それを解いているうちに移動の指示…。
このとき右舷は幸か不幸かイカは乗らなかった。
そして第2投目。
今度こそはとオモリを放る。
んが、しかし!道糸がトップガイドに絡み付く…。
「社長!大丈夫ですか!?」とまっちゃん。
そのまつもと君は一見、社長役の私のことを心配してくれているようだが、何故か顔は半笑い…。
私が本当の社長ならそういったふざけた態度のまつもと君を「降格」「減俸」「左遷」等に処するところだが、社長ゴッコなのでそうもいかない…。
絡んだ道糸を解き、気を取り直して私の釣りがスタートした(遅いっての…)。
水深は約25m。
糸フケを取り、スッテが自然に動くように誘いを入れる。
隣りのまっちゃんとKOBUさんは激しく竿先を叩いては止めて聞き上げている。
周りにいる僚船の釣り人もこの「直結仕掛けブッ叩き釣法」であった。
それに引き替え私は、「ブランコ仕掛けソフト誘い釣法」。
海面を叩いている様はストレス解消に役立ちそうに見える。
だが、視点を変えると暴力的に見えなくもない…。
「まあまあ、そこまで叩かなくても…」と進言したくなる。
「とりあえず落ち着きなさい…」となだめたくなる。
「コラッ!魚が散るだろが!!」と一喝したくなる。
ところがそんな中、まっちゃんが本命のマルイカを乗せた。
それと同時に私にもイカの乗りが。
開始早々お互いに型を見て、幸先がいいように思われた。
KOBUさんはアタリや乗りがあるものの結果につながらず苦しんでいる様子…。
その後も底から50cmほどタナを切ってゆっくりと誘う。
すると今度はズシンといきなり重量級の乗りが到来。
回収してみればなんとトリプルヒット。
この時から船中、驚愕と怒涛に彩られた入れ乗り状態に突入。
「反応が出っ放しなのでしばらくここでやります」と船長。
あれ〜っ、反応が消えちゃった…、はよく耳にするのだが、反応出っ放しは久しく聞いていない…。
「出っ放し」だけあってまっちゃんは「乗りっ放し」であった。
叩いて聞き上げれば必ずといっていいほどマルイカを乗せている。
私が1杯釣る間に4、5杯は釣るペースなのだ。
そうなると「釣れてよかったね」という仲間意識に亀裂が生じる…。
「まっちゃん!いい加減にしなさい!」と私。
「少しは空気を読みなよ…」とKOBUさん。
「今日は私の接待じゃなかったのかね!?」
「すみません…。でも、釣れちゃうんです…」とまっちゃん。
KOBUさんや私がようやくツ抜けした頃、まっちゃんはトリプルツ抜けを達成させていた…。
手を休め、ワンカップを美味そうに飲むまっちゃん。
非常に満足そうであり、非常に楽しそうでもある…。
結局、そのノリノリタイムは午前9時頃まで続いた。
■ まっちゃんの刺身
それ以降は魚影を探す時間が長くなる。
乗りもポツリポツリへと減ってきた。
しかし、まっちゃんに限ってはどのポイントでもキッチリとイカをゲットしているのだ。
私はスッテを交換したり、枝スの長さを変えてみたりするが釣果にはほとんど影響がなかった…。
KOBUさんは持ち前の器用さを発揮し、私との差を開き始める。
客観的に見て明らかにブランコよりも直結仕掛けに軍配が上がった。
間違いなくソフト路線よりもハードコアぶっ叩き路線に分があった。
過去の数少ないマルイカ釣行で、ツ抜けしたことのない私は10杯以上釣っているのであるから満足すべきである。
しかし、すぐ横で破竹の勢いで入れ乗りしている現実を見てしまうと満足感も半減した。
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| <2人の笑顔が爽やか過ぎます…> |
その頃、KOBUさんが一言。
「そんなにあっても家でさばくの大変だよ…」
それを聞いたまっちゃんは、自分が釣ったイカを開いて刺身に。
出来たての刺身を私に差し出すまっちゃん。
私は有り難く口に放り込む。
噛みしめると身はコリッとして甘く、その甘味に海水の塩味が程よく調和して驚くほどの美味。
ゲソも新鮮であるが故に吸盤が口内のアチコチに吸い付き、プチプチした歯応えがたまらなく旨い。
好天で凪、隣りには気心の知れた仲間たち。
足元のタルには10杯以上のマルイカ。
これ以上の幸せを望むのは贅沢なのかもしれないと思った…。
■ 友の気遣い
その後も相変わらず好調を持続するまっちゃんとKOBUさん。
しかし、あまりにもブランコ仕掛けに固執する私を見かねてKOBUさんが、お手製の直結仕掛けを手渡してくれた。
「良かったら使ってみて下さいよ」
私は正直、嬉しかった…。
以前、この日記で数々の辛酸を一緒に舐めてきた仲間を戦友と称したことがあるが、今日のKOBUさんの気遣いはまさに戦場で敵弾に倒れた仲間を身を呈して救うに匹敵する行動であった…。
「ありがとう…」
私自身そのとき、勝負を投げていた。
「俺の屍を超えて行け!」そんな心境だった。
だが、船上という名の戦場で差し出されたヒトツの希望の光、一組の直結仕掛け…。
手にしたツノとツノを結ぶ太いハリスは友と友を結ぶ絆にも思えた。
「この厚意に俺は報いらなくてはならないんだ…」と奇跡的な巻き返しを誓った。
「是が非でも20杯まで釣るぞ…」と決意を新たにした。
だが、ブランコ仕掛けすらまともに扱えない私にとって直結仕掛けは手に余るようであった…。
投入後、すぐさま乗ったイカは途中でバレた…。
バレずに海面まで上がってきたイカは仕掛けを緩めた瞬間、海へと帰っていった…。
挙句の果てに最後の最後で根掛かりして下半分をロストした…。
納竿間際、まっちゃんが、
「会社のスポンサーから社長へイカを差し上げるようにメールが来ました」と言い出す。
釣れた仲間が釣れてない仲間に魚をプレゼントするのは想像以上に気を遣うものだろう(私は経験ないけど…)。
そのまっちゃんのセリフは、私に残る僅かばかりのプライドへの配慮と、差し出す側の照れ隠しだったと判断した。
自分のタルに泳ぐたくさんのマルイカを無造作にジップロックに放り込むまっちゃん。
それを私のクーラーにさり気なく入れた。
「ありがとう…」
今日、2回目の感謝の言葉だった。
午後1時10分、船長から納竿の合図が出された。
最終釣果、まっちゃん堂々の竿頭で62杯、KOBUさん25杯。
私は心底、2人への感謝の念を抱いていたが、今日の前半にまっちゃんへ言い放った一言、
「そんなに幸運を使っちゃうと、今度のアメリカ出張でゴッツイ現地人にカマ掘られたりするよ!」
という心無い捨てゼリフを後悔しながらも、現実にならないよう切に祈って港をあとにした…。
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| <今度は私が差し上げます…> |
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