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<日 記> 今から約2ヶ月前の6月8日に葉山でやったスルメ釣行。
そのときの日記にTAKEさんがリストラにあったことも明記されていたことを覚えていらっしゃるでしょうか。
あれ以来、全国のTAKEさんファンから驚くほど多くの応援メールを頂戴しております。
しかし以降、彼の就業状況について一切触れていなかったことで幾多のTAKEフリークは心を痛めていたことでしょう。
でもご安心下さい。TAKEさんはついに新しい仕事への見通しが立ったのであります。
業種は運送業。
あっ、今、「え〜っ、TAKEさんが運送関係に携わってダイジョ−ブ?」と思ったでしょ?
「だってTAKEさんって結構道に迷ってない?」と過去に私と迷走しまくった前歴を思い出したでしょ?
心配は無用です…。
その原因を作ったのはテキトーでアバウトな(意味同じじゃん…)私のバカナビのせいなのです(多分…)。
カーナビさえあればTAKEさんは道に迷うことなんかないのです(きっと…)。
その仕事に就くにあたり、提示された唯一の条件は、「キチンとした方向感覚を持っている人」だとか。
以前TAKEさんは私に訊いたことがありました。
「オレって方向感覚は狂ってないですよね?」と。
「ええっ、方向は合ってますよ。間違った道に進んだと真っ先に気付くのはいつもTAKEさんの方だし」と私はナイスフォロー。
「そ、そうですよね!」
「そうです。問題ありません(イヤにキッパリ…)」
まあ、私の太鼓判がどれほどアテになるのかは非常に疑問ですが、TAKEさんの今後のご発展とカーナビのご活躍を心より祈らずにはいられません。
そんなTAKEさんと久し振りに釣行することになった今回。
本来の予定日は昨日でしたが、台風10号の影響で本日に延期。
本当なら久比里から出船するつもりだったけど台風の余波を懸念して金沢八景の船に乗ることに計画変更。
TAKEさんが選んでくれた宿は初めてお世話になる小柴丸さん。
釣り物はカサゴ。しかも他にイシモチも混じるというのだからかなり面白そう。
さあ、台風一過の海で存分に魚の引きを堪能するぞ、と勇んで出掛けたまでは良かったのですが…。
■ TAKEさんの変身
TAKEさんから聞いた話では小柴丸の出船時間は7時50分とか。
そこで待ち合わせ時間を午前6時半に設定。
平日であれば6時には目を覚ましている家内も休日になると起きる素振りすら見せない。
自分のダンナがこれから暑く長く厳しい闘いをしようとしてるのにあろうことか私にケツを向けて寝ていた。
「ふん、いい気なもんだな!これでも食らえっ!!」
と彼女の尻の穴周辺めがけてトゥキックを繰り出したくなったがあとが恐いのでやめておいた…。
国道に出るとTAKEさんの車がすでに到着しているのが見える。
いつもの待ち合わせ場所で車から降りて手持ち無沙汰に立っているTAKEさん。
私は近付きながら手に持った竿を振った。
横断歩道を渡り、TAKEさんの姿がより鮮明に見えてきた。
「あれ、なんか髪型が違うな…」
ふと、そう思った。
「おはようございま〜す!」
「ちぃ〜っス!」
「……………」
「ちぃ〜っス…」
「ありっ!?長渕剛かい!?」
「長渕って初めて言われたっス!」
今日のTAKEさんの風貌はいつもとは間違いなく違っていた…。
髪の毛が五分刈りほどの長さにまで短くなり、鼻の下及び下顎部分に数ミリの長さのヒゲが密集していた。着けているサングラスも淡い色合いでどうも堅気には見えづらかった…。
「ど、どうしたのTAKEさん!?」
「まあ、これからは自由業ですから!」
「なんか今までと大分イメージが変わったね…」
「この格好でスーツ着て国金に行ったら一発で開業資金を融資してくましたよ」
「貸す方も貸す方ですね…」
そんな会話をしながら車は大黒インターに入り、幸浦方面を目指した。
それから約30分後、金沢漁港前を通過し、弁天屋の前を素通りし、目的地へ無事到着。
小柴丸さんは民家を店にしたような造りの非常にアットホームな雰囲気の宿だった。
駐車場に車を停め、道具を担いで店先兼玄関先へ。
「カサゴですか?」
女将さんが店の奥から優しく問い掛ける。
私たちは船代を払い、乗船券とサービスカードを貰う。
その足で船着場まで移動し、船へと乗り込む。
女将さんが言っていた「空いていますから好きな席へどうぞ」の言葉どおり、まだ2、3人の方しか乗っていなかった。
本日はメチャメチャ暑くなりそうだったのでTAKEさんと協議した結果、左舷の胴の間付近に座ることに決定。私がミヨシ2番目、TAKEさんが3番目。
私はイシモチも釣れるという噂を信じ、PEの先にフロロカーボン3号を10m結んだ。
ふと、TAKEさんの道糸の先を見ると、怪しい色のショックリーダーのような物が取り付けられている。
しかもそれにはケミホタルをセット出来るよう、パイプまで標準装備されているのだった。
「ふふふっ、どうですコレ?」
やたら嬉しそうな顔で訊いてきた。
「この部分にケミを付けるんです」
この人はアナゴでも釣るつもりだろうか…。
「ほらね…」
なにが「ほらね」なんでしょ…。
私の仕掛けは胴付き2本バリの下に小物用テンビンを付け、丸セイゴの13号を結んだ「強欲仕掛け」。
TAKEさんのそれは無難に普通の2本バリ。
ところがその後、トラブル発生。
「うわっ、もう折っちゃった…!!」の声に振り向くと、TAKEさんお気に入りのベイゲームコチ・スズキの穂先がブランブランしていた…。
どうやら竿の調子を見ようと船縁から仕掛けを垂らし、それが船着場の海底で根掛かったらしい…。
「突っ込みどころ満載の長渕剛」
「釣りもしてないのに穂先を折る松山千春」
「トップガイドを手にして途方に暮れる三木道三」
そんなイメージが私を襲うが、笑うに笑えなかった…。
■ 幼児連発…
穂先を切り詰めた竿を手にしたTAKEさんは今度、帽子を忘れたと困り顔…。
しかし、持ち前の打たれ強さを発揮してとりあえず缶ビールをオープン!
私にもどうぞと1本を進呈してくれたので持参した焼酎のウーロン茶割り缶と物々交換。朝から和気アイアイでお猿さんだよぉん状態。
午前7時50分、左右ともに3名ずつの釣り客を乗せた船は沖を目指した。
出船するまでは台風一過の真夏の陽射しがジリジリと全身を照り付け、私たちはアヂアヂ化していたが、海上を進む船の上では気持ちのよい風が吹く。
航程20分弱で早くも釣り場に到着。
目の前には出船前に船長から渡されたエサが2種類。サバの切り身とアオイソメである。
船長のアドバイスによると上バリにイソメを、下バリにはサバを付けるとよろしいとか。
早速私は、テンビンの先にあるハリにサバ、上2本にイソメをチョン掛けで刺す。
程なくして出された投入の合図とともに仕掛けを沈める。
水深は浅く、10m少々で着底。
本日の私のメインターゲットはナニゲに好きなイシモチ。
オモリを底に着けた状態をキープする根掛かり必至玉砕釣法で果敢に攻める作戦なのだ。
ところが、待てど暮らせど酒飲めど、肝心のアタリが訪れない…。
船長は頻繁に流し替えをしてくれるがカサゴのゴツゴツしたアタリもイシモチのガンガンとしたアタリも遠い…。
そんな中、ようやく食ったと思えば人間に例えるなら推定年齢6歳くらいのプチカサゴ…。
ウチの次男も先月6歳になったばっかり…。
一瞬、まだ父親を慕って遊んでとせがむ我が子の顔がまぶたの裏に浮かんだ…。
「コラッ、落ちてる物を食べてはダメでしょ!知らないオジサンに誘われても無視するの!戻ってお父さんに遊んでもらいなさい…」
と叱って海へと帰す。
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| <本日一番の良型カサゴを手にするTAKEさん> |
TAKEさんにも今のプチカサゴと同じ幼稚園に通っていそうなチビ助がヒット。
「こんなの持って帰っても…」
と同じくリリース。
以降、この調子で幼児級のカサゴばかりが釣れ続く…。
そんな中、TAKEさんが発したある一言がずっと私の頭の中を占領していた…。
「もしかしてこれがここら辺のアベレージサイズなんじゃないですか?」
私も過去、何度か東京湾でカサゴを釣ったが、八景でやったのは今回が初めて…。
しかし、年端もいかないようなプチカサゴを釣り物として看板を出すとは到底思えない…。
「小カサゴ乗合い始めました」
なんて船宿からダイレクトメールが来たって誰も行かないだろう…。
「きっとこれは前日の台風の影響なのだ、底荒れして大きいヤツらは食わないのだ、そうだそうだそうに違いない…」
と私はムリヤリ思うことにした…。
■ 戦意喪失、意気消沈
型が小さく、アタリも少ない現状において、私たちがやることといったら酒を飲むかタバコを吸うかムダ話をするくらいだった…。
私とTAKEさんは自然と置き竿にする機会が増えた。
他のお客さんもかなり濃厚な沈滞ムード。
するとTAKEさんのトップガイドを失った竿先が突然激しく叩かれる。
急いで竿を持ち、リーリングに入るTAKEさん。
満月を描いた竿を見る限りかなりの良型を思わせた。
抜き上げられたのは大型のイシモチ。
私が狙っても釣れない垂涎の魚である。
船長もそれを見て「デカイねぇ〜」と感心。
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| <シャブはやってないです…> |
しかし、私の仕掛けにイシモチが掛かることはなかった…。
TAKEさんはその後、ベラも連釣し、そこそこは楽しそうであった。
私は暑いし、釣れないし、酒飲みっ放しだしですっかりと戦意喪失…。
船長は富岡沖から猿島沖にあるアチコチのポイントを攻めてくれたが結局、食い盛ることはなかった…。
午後2時50分、納竿のお知らせが聞こえる。
最終釣果。TAKEさん、カサゴ10尾以上にイシモチ1尾とベラ2尾。私、カサゴ8尾くらい(ヤル気ないから数えていなかったけど…)。
船が港へと戻り始めたとき、TAKEさんは自分が釣った型の良いカサゴとベラをそっと私のクーラーに入れてくれた。
見た目は恐くなっても相変わらず優しい人なのだ。
魚を貰ってばかりの私の釣り人生。
いつになったら人様に差し上げることが出来るのだろうか…。
青空を背景に私たちを見下ろす白く大きな入道雲が、悲しい笑顔をしてるように見えた東京湾の夏でありました(合掌…)。
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