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 釣行日:平成15年11月9日(日) 大潮 天候/曇り 

<釣り物> アイナメ
<釣 果>
 アイナメ5本、ギンポ1本、ベラ盛りだくさん
<船 宿> 金沢八景 進丸
<釣り場> 東京湾 小柴沖
<タックル> 竿/サクラ 櫻黒潮スナップキャスト2、リール/シマノ BIOMASTER1000(道糸:PE1号)、仕掛け/OWNER 段差ブラクリ4〜5号、先糸/ナイロン3号1.5m
<エ サ> イワイソメ
<釣り座> 左舷ミヨシ
<同行者> KOBU氏
<どう食ったか> 刺身、煮付け、唐揚げ

<日 記>

「アイナメは変わり者だ!」

 これは私の自論です。
 過去、私はアイナメをブラクリ仕掛けでしか狙ったことがありません。

 そのブラクリ、赤いオモリの下に細い渋糸みたいなモノでハリが結んであるだけのシンプルな仕掛け。

 そもそもこの仕掛けが変わっているのです。
 私が知る限りオモリのすぐ下にエサがある仕掛けなんて、ショウサイフグのカットウ仕掛けくらいな物です。
 しかし、これさえもオモリとハリとの距離は10センチ前後。

 ところが、ブラクリのハリス(と呼べるかどうか定かではありませんが)の長さはたったの1、2センチです。
 いいですか皆さん、ハリスの長さが1、2センチですよ。マダイ用のそれなんて6メートル以上もあって、太さはやれ3号じゃなきゃダメだ、やれ4号は食わないと10分の数ミリ単位でこだわるのに、ブラクリなんてタコ糸みたいな極太短小ハリスです。
 もう、ここら辺からして非常識です
 こんな仕掛けを好むアイナメはよっぽど偏屈か意固地な魚に決まってます…。

 さらに、ヤツらは赤い色を偏愛する傾向もあります。
 ブラクリのオモリの色はほとんどが赤。その色に落ち着いたのは長年培われた経験と実績の結果なのでしょう。

 私が知る限り、赤い色を好むのはマタドールに串刺しにされる牛かクレムリンくらいなものです。
 どちらもある意味物騒で、どちらもなにを考えているのか掴めません。
 きっとアイナメも海底の根に身を潜めて、赤い物体が見えたら即、食いつこうと斜に構えている血の気の多いヤツなのです(実際に血も多いし…)。

 エサだって廉価なアオイソメではなく、値の張るイワイソメじゃなきゃ口にしない偏食振り…。
 
「オマエはいいとこのボンボンか!?」と叱責したくなります。
 「イソメなんてどれもお腹に入っちゃえばおんなじなの!!」と小言も言いたくなります。
 「アジさんを見なさい!イワシだってイカだってイソメだってウイリーだってなんでも食べるのよ!」と思わず母親化してしまいます。

 以上のことを踏まえても、アイナメは変わり者だという私の意見に異論を唱える余地など微塵もないとお分かり頂けるのではないでしょうか…。


 弟子の造反

 私の師匠は、昨年の12月3日の平日に金沢八景は進丸さんへアイナメ釣りにお邪魔しました。
 乗船客は平日だけあって総勢2名
 結局その日、師匠は自己新記録の47.5センチの両型アイナメを釣る幸運に恵まれたのでした。


私も笑ってみたい!


 それがよっぽど嬉しかったのでしょう、数日後に師匠と酒を酌み交わしている席でも話題はアイナメに関するものばかりでした。
 師匠は自分が使っていた仕掛け、「段差ブラクリ」の素晴らしさについて延々と私に語りかけるのです。

 元来、私は師弟関係を重んじる人間ですから黙ってそのお話を拝聴しておりましたが、ずっと心の中で反芻していた思いがあります。

「その仕掛けのが釣れるってあなたに教えたのは、この俺だよ…」

 と…。

 まあしかし、酔って顔を赤らめ、目の前で嬉しそうに喋っている師匠を見ていると、私も教えた甲斐があったと思うわけです。ああ、なんて美しい師弟関係なのでしょう…。

 んが、しかし。
 他人の釣れた自慢話を宴席で長時間に渡り聞かされるほど不愉快なこともありません(しかも私が教えた仕掛けで…)。
 それ以来、私はいつか仕返しをしてやろうと固く心に誓っていたのです。

 ようやく今日、そのときがきました。
 本来であれば47.5センチ以上の一升瓶サイズのアイナメを釣り上げ、世代交代の時期だと教えてあげるのが本道なのでしょうが、あいにく簡単には実現しそうにありません。

 ですから私はこの方法で自分のウップンを晴らすことにしたのです…。





今回はペイントが大活躍ですぅ。





 わっはっは!どうだ、まいったか師匠め!!
 「人の顔に泥を塗る」って言葉がありますが、この場合は「師匠の顔にちんこネタ」です!
 もう、気分爽快!溜飲が下がる思いとはまさにこのこと!

 でも、まだ少しインパクトが足りない気がしますね…。
 ええいっ、これでどうだ!!





あまりにも幼稚…。





 う〜ん、それにしてもアタマ悪そうなイタズラ書きです…。
 小学生の我が長男でも書きそうもない作品に仕上がりました…。
 子を持つ親として恥ずかしいというか、一般成人男性としてあり得ないレベルの低さです…。

 「やるんじゃなかった…」そんな感じです…。

 さあ、気が済んだし、こんなバカなことをやっていても埒が明かないのでトットと先に進みましょう…。


 夜中の工作活動

 今回、私に同行してくれるのはKOBUさん。
 そのKOBU工作員、アイナメ釣りはミヨシが有利との判断で、日付が変わった本日の深夜0時、2本の竿を携えて金沢漁港に潜入工作を決行。

 向かった先はもちろん私たちお気に入りの宿、進丸。
 KOBU工作員は桟橋の入り口を越境し、誰もいない無人の船に乗り込んだ(危ないから良い子はマネしないように…)。
 そして無事、左右両舷のミヨシを奪取。
 この滅私奉公的な行為、東側諸国の諜報活動家も驚愕する行動力は十分に賞賛に値する。

 それを知らせるため、KOBU工作員は私にこう打電した。

 「大本營発表、我、金沢漁港ニテ、進丸両ミヨシ奪取成功ナリ。明朝、正式権利早朝獲得ノ為、五時ニ貴殿集合住宅下ニ到着予定ナリ…」

 そして自宅に一旦撤収し、私を迎えに来てくれたのが午前5時。
 その30分後には再度金沢漁港に到着。

 進丸の店にはすでに明かりが灯っており、大船長が開店の準備をしている最中。
 朝の挨拶がてら昨日の釣果「4〜46尾」についてお話をうかがう。

 「まだ細かいのしか釣れないけど…」と大船長。
 「46はミヨシに座った上手い人が釣ったんだよ…」
 「海に靄があったから遠くに行けなくって、近くでやったら良かったね…」


 私はこの大船長を見るといつも自分の父親を思い出す。
 下町の畳職人だった私の父も同様に普段は無口で、会話をしても言葉は短い。
 息子の私と話すときでもどこか照れ臭そうに見える。

 しかし、私は父親のことが好きだ。明るくて社交的な母親に比べれば他人はとっつきづらいかも知れないが、温かみのある人柄が言葉の端々から伝わる。

 進丸の大船長を見ているとそんな父親といつもオーバーラップする。
 「たまには実家に顔出すかな…」そう思わせてくれる船長なのだ。

 大船長がお茶を淹れてくれ、KOBUさんと一緒に頂く。
 受け付けの上に額に収まる昨年撮影された師匠の写真が目に止まる。
 嬉しそうに笑う師匠、そして想像を絶する大きなアイナメ…。

 「今年こそは越えてやるぞ…」と心に誓う。

 その後、息子の正船長が現れ、久し振りの再会に抱擁する(ウソです…)。
 「今日は頑張って下さいよ!」と私たちを励ましてくれる正船長。
 「師匠さんよりデカイの釣れたらあの写真の上に飾っちゃいますから!」顧客のニーズをしっかりと把握している素晴らしい船長なのだ。

 ところで、昨日の爆釣的釣果をご存知ないのか訪れる釣り人が意外と少ない。
 私たち以外にはあと2名ほど…。
 これでは夜中に潜入したKOBUさんの立場がないような気が…。

 午前7時55分、ミヨシ側に集結した4人を乗せた船は曇り空の金沢漁港を出発した。


 良さそうだった幸先
買い占めるぜ!
<夢のスーパーブラクリだ!>

 KOBUさんと私の仕掛けはもちろん、OWNER製段差ブラクリ。

 昨年、大量に買い込んだのでまだ手持ちの在庫はあるのだが、根掛かりが頻発するアイナメ釣り、たくさんあるに越したことはない。

 そこで、まとめ買いをするため、釣行日の数日前に渋谷の上州屋に立ち寄る。
 と、ところが、私が愛用する4号の段差ブラクリだけがごっそリと無い。3号と5号は大量にあるのに4号だけ1個も無い…。

 「むむむっ、ヤラレた…。こんな金満買いをする人は俺の知る限りKOBUさんしかいない…」と私。
 さらに、その足で五反田TOCにあるフィッシャーマンに突撃するも結果は同様、4号だけがほとんど残っていない…。

 「う〜む。ここにもKOBUさんの手が回っていたか…」と同胞の行為だと勝手に決め付け歯ぎしりをする私(後日、KOBUさんが買い占めたのはキャスティング港北ニュータウン店と判明)。

 私たちをこれほどまでに熱くする段差ブラクリ、名前の通り長さの違うハリスに結ばれたハリが2本付いている珍しいブラクリなのだ。
 通常の1本バリと違い、そのボリューム感でエサをアピールし、着底後も半月形のオモリがエサを浮かせ食い込みを良くする効果があると言われている逸品である。

 しかし、それと同時にエサを倍消費することも事実。
 そこで私たちは、船代を支払う際にイワイソメを多めに購入。
 KOBUさんは4パック、私は3パックを追加発注した。

 正船長が舵を握る船は平潟湾を出て、右に針路を取り、住友重機造船所の岸で停まった。
 ここはお馴染みのポイント、今までも何度かアイナメの型を見た場所である。

 正船長の合図とともに岸壁のキワキワを狙って仕掛けをキャスト。
 ブラクリが沈み、一呼吸置く。するといきなりモゾモゾとしたアタリ。
 食い込んだのを確認してアワセを入れてリーリング。
 私の隣りにいる方にもアタリが到来したらしい。
 そして、KOBUさんの右側にいる方も巻き上げを開始。

 船中、開始早々からアイナメを捉えた。
 私が取り込んだのは20センチほどの小型ではあったが、とりあえずボウズを脱して一安心。

 ところが、この朝イチのチャンスタイムにKOBUさんだけはベラの猛攻に遭遇…。
 それからも4連続でベラベラベラベラ…。

俺って絵心ないのね…。

 「うぉぉぉぉっ、なんで俺だけベラなんだぁ〜っ!!」と苦悩するKOBUさん。
 私は彼の気持ちが非常に良く理解出来た。高価なイワイソメを大きく目立つよう奮発して付けているのに食ってくるのがベラでは泣くに泣けない…。

 しかも、KOBUさんの横にいる常連氏は順調に数を伸ばし、始まってからそれほど時間が経っていないにも関わらずすでに4本もの本命をゲット。

 片や私、頻繁に根掛かりをして、道糸を引っ張るが何故か先糸のナイロン3号よりもPE1号の方が先に切れる事態を繰り返す…。

 仕方なく何度も、PEをチチワに結び直し、先糸を結び、仕掛けを付け直し、イソメを刺す。
 ところがまた、根に引っ掛かり、外れたと思ったら道糸がプッツンしている…。
 ナイロン3号よりも強度の落ちるPE1号…。

不甲斐ないPE…。

 私は思わず、「なにやってんだよ、俺のスーパーダイニーマ!!」と道糸に向かって檄を飛ばす。

 その後、持ち前の勝負強さを発揮したKOBUさんは、ベラ軍団の総攻撃をどうにか避け、本命を次々と連取。やはりこの男、タダ者ではない…

 私は頼りない道糸のせいで手返しが悪いことに業を煮やし、掟破りの先糸無しの道糸直結作戦に出る。
 ブラクリにPEをクリンチノットで直接結ぶ。

 この場所で私は合計2本を取り込み、ポイント移動。

 次に向かったのは長浦湾内。
 ここは確か以前、TAKEさんが良型のアイナメを上げた場所である。
 しかし、今度は私にベラ連中の集団リンチが待っていた…。


 KOBUさんの快進撃

アイナメの刺身は旨い!
<お刺身サイズですぅ>

 なおも、ベラチームの波状絨毯爆撃にあえいでいる私の耳に、後側から歓喜と驚きの声が届く。

 振り返ってみると常連氏がタモ取りしてくれた獲物を嬉しそうに持つKOBUさんの姿が。
 手にしているのは35センチほどもある良型のアイナメ…。

 ポイントは長浦湾を出て、野島防波堤の沖寄り。
 「タカギさん、エサを長めに付けた方が断然食いはいいですよ!」とKOBUさんがアドバイス。

 そのとおりにするも、私のいる左舷は今イチ食いが立たない…。
 さらに徐々に風が強まってきてミヨシにいるのも手伝い、釣りづらい状況が続く…。

 私はここで小型を3本ほど釣り上げるが、先ほどKOBUさんが釣ったような良型が来なくては師匠越えを果たせない…。
 そんな中、絶好調のKOBUさんは今度はアカメフグを抜き上げた。
 調子に乗れないでいる私を気遣ってか、私のタルにそれを放ってくれるKOBUさん。

 「ウチのカミサンは船長がさばいたフグじゃないとイヤがるんです」と言って…。

 実際は奥さんが食べなくても自分だけ口にすれば済むことである。
 それでも高級なアカメを私に差し出してくれるKOBUさんの優しさが身に沁みる。

 「もうエサが無くなってしまいました…」と言いながら操舵室に向かうKOBUさん。
 1パック600円のイワイソメを4パック購入。
 その豪快な買いっぷりに正船長も驚いているのではないだろうか…。

 そしてKOBUさんは前人未到の快挙を成し遂げた。

マ、マジっすか!?
<っていうかぁ、ありえなくなぃ〜?(コギャル風)>

 2本バリである段差ブラクリならではのアイナメの一荷を決めたのだ。
 1本は小型であったが、もう1本は30センチを優に越える良型。私は今までアイナメをダブルで釣った人を見たことがない…。

 私もついにエサが底をつき、2パックを購入。
 しかし、なおも強まる風、波に翻弄される船、痛む左人さし指が集中力を鈍らせる…。

 そう私は迂闊にも最初に上げたアイナメを血抜きする際、魚を持っていた左手の人さし指にまで小出刃の刃を入れてしまったのだ。
 しかも、その包丁は釣行前に丹念に研いであったので気持ち良いくらいにその切っ先が私の皮膚と神経と血管を断絶していた。

 午後1時を回った頃、正船長がマイク越しにこう伝えた。
 「エサが無くなってしまったので加減しながら使って下さい」と。
 そして、船長は各自一人ずつ、エサの残留状態を確認した。

誰だよ、この人…。

 ベラの猛攻と我々の豪気なエサの使い方が、船上のイワイソメの枯渇を招いたのだった…。

 船は最後のポイント、野島防波堤に向かった。
 この時点で、他にいる2名の方はエサを使い切ってしまったらしく、キャビンにもたれて談笑中。
 残されたのはKOBUさんと私だけ。

 相変わらずKOBUさんにはアタリが訪れているようだが、私には外道のそれすら来なくなっていた。

 そして午後2時10分、
 「エサも無くなって海も悪くなってきたのでこれで揚がります」と正船長のノーサイドコール。

 最終釣果。KOBUさん本命14本と良型カサゴにアカメを各1尾、私は振るわずアイナメ5本。
 KOBUさんの隣りにいた方も同様に14本を釣り、右舷のコンビが同数の竿頭となった。
 私の横にいた方は数こそ今イチであったが、良型を2本も上げて満足げな表情である。

 宿に戻り、女将さんから温かいお茶を頂く。
 それは、冷えた身体にはアルコール以上に美味く感じた。

 受け付けのカウンター上部に鎮座する師匠の写真。
 その笑顔は私にこう語っているような気がした。

 「ふん、まだまだ若いヤツには負けられん!いつでも掛かってきんしゃい!!」と。

 くぅ〜っ!こうなったらやっぱり平日に臨むしかないのかなと決意を新たにする私だったのです。
 ああ、師匠の心弟子知らず…。


まだまだ私の闘いは続くのだ!
<進丸のアイナメ、今期も好調のようですぅ>