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<日 記> 一時期、私はルアーマンたちを目の敵にしておりました。
その主な理由は…、
理由1/服装やタックルが垢抜けており、格好いいのが気に食わない
理由2/我々、沖釣りおやじと比べて若々しくてシワシワじゃないのが許せない
理由3/使っている単語が横文字主体で理解出来ないのがムカツク
理由4/コマセを撒かず、臭くないのが実に不愉快
理由5/アオイソメやサバエサを使わず、いつも小ギレイなのがシャクに障る
理由6/あのスポーツマンらしい爽やかさが鼻につく
理由7/趣味を訊かれたら「ルアー・フィッシングです」とか言いそうで腹立たしい
理由8/俺たちよりも女にモテそうで嫉妬する
理由9/船上で酒を飲まない点が腹にイチモツありそうで全面的に信用出来ない
理由10/リリースするなら釣りすんな! |
こんなところです。
まあ、要するに私とは対極にいる人たちなのですね。
その中でも、特に許せないのは理由8の「女にモテそう」であります。
ファッショナブルな服装の若い兄ちゃん
VS
数年使い込んで防水機能が低下した防寒着の貧しい妻帯者
体育会系の爽やかさを撒き散らす人
VS
おにぎりとか仕掛けのビニールを撒き散らすだらしない人
一心不乱にリールを巻く誠実な人
VS
疲れるのキライだからいつも電動リールを愛用する不真面目な人
ポカリスエットとかミネラルウォーターやら燃焼系のアミノ式で喉を潤すソフトドリンク系
VS
大関系のワンカップ式で頬を染める三河屋系
取り込んだそばから海に逃がすジェントルマン
VS
小アジとかピンギスだってクーラーに入れるロリコンマン
ソルトウォーターでリトリーブでフッキング
VS
江戸前でシャクって聞いて巻いてみる
ボトムでジャークでストラクチャー
VS
オモリが着底、速攻根掛かり…
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どう見ても分が悪いです…。
丸の内に勤める20代のOL100人に訊いてもほとんどの人がルアーマンに好印象を持つでしょう…。
ええ、私が女性だったとしても迷わずルアーマンを選びます…。
まあ私も大人ですから、釣り方とか服装、魚を持って帰るか否かの違いこそあれ、一緒の船で一緒の獲物を狙っていることは同じな訳ですし、共に楽しく釣りが出来ればそれでいいとは思いますよ…。
それに、誰かの釣りに対するスタイルを他人の私がとやかく言う筋合いでもありません。
ルールを守った上で、お互い釣りたいように釣って魚を得られればそれに越したことはないのです。
ただし、リリースに対する私の見解は、相変わらず「食わないんだったら釣りするな」でありますが、無益な殺生をしない考え方に敬意を表することもヤブサカでございません。
んが、しかしです。
女性に好印象を与えるアイツらの存在がうざいのは間違いのない事実。
「橋ゲタとかテトラポットあたりでチマチマ釣りしてんじゃねーよッ!」と言いたい。
「くやしかったら荒れ狂う外房の海でアミコマセぶん撒いてみろッ!」と苦言を呈したい。
「フラッシャーサビキの7本バリで俺と勝負してみれッ!」と挑みたい。
久し振りに純正沖釣りおやじのド根性を奴らに見せつけ、女にはモテないかも知んないけど、若造よりもオッサンのが長く生きてる分、釣りのスキルは上だと教えてやる機会を私は狙っていたのですね。
そんな折、釣り友の高橋氏のリクエストでルアーシーバスに臨むチャンスが訪れたのです。
これは千載一遇の好機。私たちが沖釣りおやじ代表としてルアー船に乗り込み、敵地で一花咲かせて、船上でワンカップの祝杯を上げつつ、「俺たちもよ、伊達に歳食ってねーんだど!!」と目に物見せてやれることを信じて、出撃したのでありますよ(今日はいつになく好戦的だな、俺…)。わはは。
■ 午前4時の新事実
高橋氏と相談して決めた宿は川崎にある、つり幸。
ここだったら私の家から産業道路を使って10分少々で到着する近場。
それに、午前船に乗る予定なので、お昼には陸に揚がり、ラーメン屋に寄っても午後1時過ぎには帰宅出来る安近短コース(「アンキンタンコース」って読むんだぞ。「アンジョンファンコース」じゃないぞ!)。
高橋氏のお迎え時間は午前5時。
いつものように待ち合わせの1時間前には目を覚ました私。
眠い目をこすりながらバッグの中に、シーバス用ルアーセットを放り込む。
何故かルアーはほとんどやらないクセに、メタルジグだのミノーが多種多様に揃っている。不思議だ…。
その後、コーヒーを飲みつつ一服してパソコンを起ち上げる。
早速、つり幸の昨日の釣果をチェック。
なーんだ、昨日はシーバスをやってないのである…。
出船したのはヤリイカのみ…。
しかも、竿頭は私と新明丸のショウサイフグでデッドヒートを繰り広げた池田健吾氏ではないか…。
「ちぇっ、全然参考になんないじゃん…」とその後、自分の掲示板を読んでいた私。
しかし、心の深層の部分になにか引っ掛かるものがあった…。
またさっきのページに戻る…。
釣果欄の赤文字部分に目を凝らす…。
ええっと、確か今日は2月の28日…。
んで、シーバスの休船が2月26日から3月4日までと。なるほど…。
「なぬっ、きょ、今日は船が出ないのかよっ!!」
早朝4時過ぎにこれほど驚いたのは初めてです、私…。
まさかの休船、驚愕の告知、前日までオクビにも出さなかった土壇場でのお休み情報…。
泡を食った私は、町田の自宅から鶴見に向かっている最中の高橋氏に電話を入れる。
しかし、運転していて気付かないのか、繋がらない(焦った私は個人用のケータイに掛けていたことが後に発覚…。早朝に叩き起こしてしまった高橋さんの奥さん、ゴメンナサイ…)。
今日のタックルはシーバス用のジギングセット一式…。
これで別の釣り物を選択することは不可能に近い…。
イヤ、すでに身も心もシーバス色に染まっているのだから今さら変更なんてしたくない…。
そこで私は代替宿を探す。
候補に挙がったのは…、
1、同じ川崎、中山丸
2、床屋と違うの、羽田のかみや
3、地元横浜、渡辺釣船店
の三箇所。
ところが、出船時間がそれぞれ微妙に異なる。
中山丸は出船が5時30分。5時に鶴見を出たとしても、超ぎりぎり。
逆にかみやは7時30分。間が空き過ぎる。
頼みの綱の渡辺さんちは…、6時30分。これだ!
あたふたしながらパソコンの画面に向かっている私に、あと数分で到着すると高橋氏からモーニングコール。
その電話口でつり幸の件を伝える。
「と、とりあえず向かいます…」
やはり、氏も知らなかったようで、落胆した様子がヒシヒシと伝わる。
マンション前に着いた高橋氏と今後の作戦を練る。
やはり時間的にみて、横浜の渡辺釣船店が妥当とのことで話がまとまった。
「う〜む。私は宿で支払いを済ませたあと、あの桟橋を渡って黄色い船に乗るところからイメージトレーニングを積んでいたのに…」と高橋氏。
そうなのである。
何事に対しても生真面目な高橋氏は、釣行数日前からのイメージトレーニングを欠かさない人なのだ。
しかし、それが乗船前の場面から始まっていたことは今の今まで知らなかった。
さらに、今回お世話になる渡辺釣船店は二人とも初めてお邪魔する宿。
どんな船長でどんな店でどんな乗船方法なのか皆目見当もつかない、まったくの未知数。
このイメージの崩壊という思わぬハプニングが、本日の高橋氏の釣果に重大な影響を及ぼそうとはどちらも気付かないのであった…。
■ 密偵
午前5時20分、船宿に到着。
渡辺釣船店は、私たち御用達の宿、広島屋がある並びの突き当たりにある。
店先にはすでにたくさんの釣り人が集まり、人気があることを窺わせた。
私たちは船着場に行き、取り急ぎ席のキープにあたる。
だが、想像以上に停泊する目の前の船。どれがルアー船だか分からない。
そこで、近くにいた船宿関係者風オジサンにシーバスのそれを教えてもらい、どうにか乗船。
船上には、左右のミヨシを集中として、たくさんのロッドが屹立している。
「では、いつものように左舷に並びますか?」と私。
「そうですね、胴の間にでも行きましょう」と高橋氏。
「おっ、オオドモが空いてますよ!アッチに座りましょうか?」
「いや、船首からポイントに入るでしょうからミヨシ寄りのが…」
なるほど、さすがは高橋氏。
冷静沈着な判断、的確な進言、状況に流されない毅然とした態度。
私のような沖釣りエサ釣りおやじはついつい「オオドモ至上主義」に走りがちであるのだ…。
結局、私が胴の間ミヨシ寄り、高橋氏が私の左隣りに落ち着いた。
「じゃあ、駐車場に車を入れてきますから、タカギさんは宿の様子とか確認しておいて下さいね」と氏。
そのご下命を受け、早速行動開始。
内偵の結果、ハッキリしたことは…、
1、店が比較的新しい
2、店内は禁煙である
3、シーバスの他にもカレイや夜メバルをやっている
4、お茶はセルフサービス
5、受付けのおねえさんが美人
であった…。
私はどうやら探偵業には向いてないらしい…。
その後、戻ってきた高橋氏と互いに缶ビール、缶チューハイを酌み交わしながら今日の釣行に思いを馳せる。
高橋氏の目標は6本。きっとご近所2軒に2本ずつ配り、自宅用に2本の配分であろう。
私は5本。3本をおかずにして、残りの2本は部下の中村に進呈するつもりである。ああ、なんて優しい上司なんだろう…。
「シーバスは今日で3回目なんですが、前の2回はこのルアーで釣れました」と高橋氏。
その当たりルアーはオレンジとゴールドのコンビネーションが輝かしいバイブレーション。
信頼と実績に裏付けられたルアーがあるとは羨ましい…。
片や私、ルアーシーバスは今回が2回目。
最初は今から3年以上前、師匠と共にやっただけ…。
しかも、その時のルアーは全部師匠からの貸与…。
どんなルアーにヒットするかなど知る由もない私。非常に心許ない…。
午前6時30分、総勢18名を乗せた船は晴天の空の下、一路、横浜港を目指して進むのであった。
■ ナメんなよっ!
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| <横浜土産のポストカードみたいな風景> |
航程10分弱でポイントに到着。
ミヨシに集まるヤングルアーマンたちは複数のロッドを船べりに挿し、どことなくキマっている。
なんとなく場慣れしている雰囲気もある。
自信に満ち溢れているようにさえ見える。
それに引きかえ私たち臨時ルアーマンは、どこかホロ酔い気味で、どこか場違いな雰囲気もあり、どこか所在無さ気なのが物悲しい…。
そしてついに船長から開始の合図が出た。
私は夜光グリーンのボディにピンクのホログラムのメタルジグをチョイス。
キャストはせず、無難に船下を攻める。水深は約20m。
すぐさま、左舷ミヨシに陣取るルアーマンにヒット。
それからも続々と船首側の若きアングラーたちが本命を手にする。
「むむむっ、若いクセに意外とヤルな…」と古いクセに意外とヤラナイ私…。
だが、ここで高橋氏が負けじとロッドを大きく曲げた。
そして次の瞬間、私もフッキングに成功。
本日、最初のシーバスであるから無難にタモ取りしたいのはヤマヤマだったが、私たちの周辺に網はない…。
高橋氏の本命は海面でエラ洗いを行って、海中へと没していった…。
そして私の獲物も巻き上げの途中で魚信が途絶えた…。
「なにやってんだよ、オッサンたち!情けねぇーの!!」
こんな不甲斐ない私たちを見て、ヤツらはそう思ったかも知れない…。
しかし、何事にも全力投球の高橋氏は負けなかった。
またしてもヒットを放つ。
私はミヨシに立て掛けてあるタモを手にしてランディングのサポートをする(うん、ここら辺の書き方、ルアーマンぽいな…)。
ネットインしたのは50cmクラスの食べ頃サイズのフッコ。ボトムあたりでバイトしたようだ(「アルバイト」って意味じゃないぞ!)
「タカギさん、良かったらこのルアー使って下さい」
と、今ヒットさせた当たりルアーを私に差し出してくれるナイスガイなミスター・高橋。ああ、なんとスポーツマンシップに溢れているのだろうか…。
「今、360度どこ見ても反応あるからね!!」
「自分だけアタリが無い人は次々とルアーを替えてみてね!!」
「一回もアタリが無い人っている!?」
魚影の濃さに、若き船長も熱くなっている。
その船長の指示では、スローリトリーブ(要するに「ゆっくりめのタダ巻き」ね)で良いとのこと。
私はボトムから15mまでの広いレンジ(「パロマのガスレンジ」とは違うぞ!)で攻め続ける。
上限まで来たらクラッチを切り、一気に底まで落とす。
すると、突然ラインがフケる。
フォール中にバイトしたのだ。
高橋氏のアシストで手にした初物は50cmのフッコ。
お互いにガッチリと握手をし、沖釣りオヤジの面目を保つことが出来てニンマリ。
そしてすかさず、ミヨシ方面に「ナメんなよっ!!」と鋭い睨みを利かせるが、連中は酔っ払いにはあまりにも無関心であった…。
その後、60cm近いサイズを1本追加して、船は川崎沖のシーバース周りに移動。
ここでは本日のビッグワン、62cmの良型をゲット。
だが、船長は無線で仕入れた情報に比べアタリが少ないのを見て、横浜へと船を戻す。
しかし、横浜港内では朝の時合も一段落しており、アタリはポツポツとしたものへと下降していた。
ここで私は数本小型をゲットしたが、調子に乗ってクーラーに放り込むと家内の顔付きが般若になるので高橋氏にお裾分け…。
次のポイントは大型狙いの中ノ瀬。
ところが、期待とは裏腹にノーシグナル。早々に見切りをつけた船長は本牧沖へと船を動かす。
個人的には十分に釣り、存分に沖釣りおやじの威厳を保つことに成功したと思っている私。
皆さんがスタンディングファイトをしている最中も、座りながらのグータラリトリーブ。
それでもヒットしてしまう、絶好調な私…。
「いいなぁタカギさんは、座りながらでも釣っちゃうんだもんな…」と高橋氏。
氏は朝イチで1本を取ってからアタリが遠のいていた…。
私は釣れて嬉しい反面、高橋氏の不調が気になっていた…。
ルアーフィッシングはビギナーである私、どのようなアドバイスをしていいのかも分からない…。
正直、ただダラダラとリールを巻いていると勝手にフッコが食ってくるのであるから…。
午前11時15分、ゲームオーバー。
トップが10本という状況で私の放った8本の記録は間違いなくルアーマンを震撼させた(ハズだ…)。
缶チューハイ3本・ワンカップ大関1本という酒類消費量に当然ルアーマンは戦慄した(と思う…)。
取り込むそばから次々とエラに包丁をぶっ刺し、殺戮の限りを尽くした私にルアーマンは震え上がったに違いない(ような気がする…)。
「海の上ではなぁ、オシャレしたってしょうが無いんだよ!結果を出したヤツがチャンピオンなのッ!」
と、人生の教訓を若者たちに諭す私だったのです。わはは。
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