|
<日 記> 私を除く、わはは爆釣隊の皆さんは、ルアーにはあまり興味がないようです。
まあ私も、当初はルアーマンおよびルアーフィッシングを小バカにしていましたが、回数を重ねるうちにその面白さにハマったといって差し支えないでしょう。
そうなんです、最近の私は「ルアー擁護派」に変節しつつあるのです。
では、その魅力を箇条書きにしてみましょう(好きだよな、箇条書き…)。
1、道具が軽量・コンパクトで楽チン
2、釣り自体がシンプルで面白い
3、ルアーを買い集めるのが楽しい
4、エサやコマセを使わないからキレイ
5、客層がギラギラしてない
6、オマツリしてもほどきやすい
7、魚が食ったときのやり取りがダイレクトで熱くなる
8、世間体がいい
9、見栄えもいい
10、女性ウケもいい(はず…)
特に私が気に入っているのは「釣りがシンプル」という点ですね。
底から何mで何回コマセを振るとか、ビシの窓は何cm開けるとか、エサの頭や尻尾を切れだ取れだ真っ直ぐだとか、置き竿がいい手持ちじゃなきゃダメなど、こまかいことを考えないでただリールを巻くだけの釣り。
工夫するのはルアーの色や形状、巻き上げるスピード、アクションの有無やそのパターンくらい。
魚が食ったあとは人と魚の真剣勝負。
バラシちゃったら魚の勝ち、取り込められればこちらが勝者。
電動リールの高速巻き上げが存在しないスローフードならぬスローフィッシング。その点では私の好きな小物釣りに共通するものがあります。
なんとなく釣りの原点じゃないかと思っているのですね、最近。
ですから先日、ミスター高橋氏からルアーで狙うタチウオのお誘いがあったとき、私は即座にフッキングしたわけです。
フォール中にバイトしたといっても過言ではありません。
100g前後のメタルジグで細いPEを使って釣り上げるタチウオの面白さといったら筆舌に尽くし難いものがあります。
あの獰猛な引き、強烈な突っ込みにびくともしないハンドル、そして根元から曲がるロッド…。
その全てを心から純粋に「面白い」と感じるのですね。
そんな今期初のルアータチウオ、楽しみじゃありませんか。わはは。
■ 雨の朝
高橋氏が迎えに来る1時間前の午前5時。
私の部屋の窓から見える外の様子は雨。
先週の外房仕立て釣行の日から梅雨に入った関東地方。
梅雨に雨が降るのは分かっていても、釣行日には晴れて欲しいと望むのは誰もが一緒…。
いや、もっと言うならダムとか畑とか森とかにだけ降りなさい、雨!!
海の上に降ってどんな意味があるというんだ、雨!!
そんな雨への恨み節を口にしていても一向に止む気配がない。
あらかじめ高橋氏からは、朝から雨が降っていたら中止にしようと提案が出されていた。
しかし、すでに自宅を出発し、こちらに向かっているであろうミスターからの連絡は無し。
どうやら雨天決行の気構えらしい。
到着した高橋氏の車に乗り込み、向かうのは金沢八景の太田屋さん。
選択肢としては新山下の渡辺釣船店での一日船も候補にあったが、今日の天候を考えると太田屋の午前船は正解なのだ。
「まいったなぁ、こんなに雨が降ってるなんて…。家を出るときは降ってなかったんですよ…」
ハンドルを握りながら高橋氏。
なるほど、早朝の町田方面では曇り空だったのか。
このイマイマしい雨のせいで私たちの釣りへのモチベーションはガクンと落ち込み、車内は重苦しい雰囲気に包まれた…。
■ ヤブレカブレの宴会
宿に到着しても店のシャッターは閉まり、駐車場は閑散としていた。
「私たちを見たら『なんだよ、客が来ちゃったよ!』とか思うんじゃないですかね、店の人…」
フロントガラスを叩く雨粒を見詰めながら高橋氏。
「『ったくしょうがねぇなぁ…』とかね」
と、応じる私。
どうも会話が消極的である…。
その後、何台かの車が到着する。
乗っているのは皆さん若く、それなりの服装をしているからタチウオ狙いの釣り客だろうと判断(確かなる証拠無し)。
どうやら生粋のルアーマンは雨など問題にしないらしい。
「いるんですね、こんな雨の日にも来る人が…」
自分たちのことを棚に上げて感心する私。
車内で開店を待っていても仕方ないので、とりあえず席をキープすることに。
両舷のオオドモには先述の若者たちが挿したロッドが立つ。そこで私たちはガラ空きの左舷ミヨシを選んだ。
ミヨシ1番に高橋氏、その隣りが私で決まり。
その後、アルコール類の買出しのため、近くのコンビニへと向かう。
缶チューハイ×4本、ワンカップ大関×1本、ジャッキーカルパス×1袋、イカの軟骨の唐揚げ(ガーリック風味)×1袋を購入。
午前船にしては酒類が豊富と思われるだろうが、そこら辺はご勘弁願いたい…。
宿に戻ると開店直後。
早速、支払いを済ませるために入店すると…、
「ちっ、客いたよ…」
と言われることもなく、普通に迎えられた(当たり前です…)。
当面、やることもなくなった私たち。
「どうせ濡れるんだ」というやや自暴自棄気味な考えのもと、カッパを着込んで船に乗る。
幾分、雨足は弱まったものの容赦なく降る雨の下、チューハイを飲み始める我々。
やや肌寒い屋外で飲む冷えたキリンチューハイ氷結は、身も心も震わせた。
封を切った「イカの軟骨の唐揚げ(ガーリック風味)」には雨が降りかかり、心なしかシケシケになった。
吸っていたタバコにも雨模様のドット柄ができ、煙と一緒にタメ息も吐く。
午前6時過ぎの金沢八景は哀愁と陰鬱とショボくれたムードに包まれていた。
■ 蘇る、青春の思い出
午前7時ジャスト、定刻通りに出船。
舵を握る太田一也船長からのアナウンスでは観音崎に向かうという。まさしくタチウオの銀座通りといえるポイントである。
航程30分で釣り場に到着。
反応を探るため船を回している途中、小さな職漁船の船長が船足を緩め、太田屋の船長に話し掛ける。
「昨日はどうだった?」職漁船長。
「ダメ!反応はあったけどアタリだけ!」遊漁船長。
漁を生業としている船長は興味を失ったかのようにどこかへと走り去った…。
この短い会話の中に今日の釣果を占う重要なキーワードが隠されていた。
「アタリだけ」
「手をつなぐだけ」「チューするだけ」「シャワーを浴びるだけ」「触るだけ」等、「○○だけ」というのは自身の過去の経験からしてもモヤモヤ感が残りやすい。
「○○だけ」に隠された本当の意味は、「○○まではいいけど××からはダメ」という厳しい条件の提示なのだ。
「昨日はアタリはあっても釣果ゼロ」という誠に遺憾な情報が漏洩した瞬間である。
せっかく告白したのに「ずっと素敵な友だちのままでいましょ」と言われるのに似ている(ような気がする)。
さんざん金を注ぎ込んだのに「ゴメン、好きな人がいるの…」とソデにされるのにも似ている(かも知れない)。
私は何故か朝の東京湾で青春のホロ苦い思い出が蘇ってきた…。
「昨日はアタリだけだったんですね…」意気消沈した声でミスター。
「どうやらそのようですね…」開始前のバッドニュースに希望の光が消えかかる。
しばらくして、スタートの合図が出された。
水深は20m弱の浅場。
食いが良ければ手返し良く、数を稼げるポイントである。
船長からの指示では底から12、3mまでをタダ巻きで攻めろとのこと。
私は信頼と実績を裏付ける、全身が噛み痕だらけのイワシカラーのルアーを選んだ。
幾度もの闘いを共にし、あきらめそうになった時もお互いを励まし合ってきた得難い戦友。
「頼むぜ、友よっ!!」
私はそのルアーを激励と共に送り出した(大袈裟です…)。
■ 赤いフッキング
もう何回、ルアーの往復を繰り返したのだろう…。
どれほどリールのハンドルを回したのだろうか…。
一向にアタリすら無かった…。
信頼していたイワシ系ルアーにはアカクラゲしかヒットしなかった。
潮の色が濁り気味だからと、グロー地にピンクのホログラムをあしらったジグに替えたりもしたがバイトするのはアカクラゲ。
アイの部分にアシストフックを接続してみたが、それに掛かるのも小癪なアカクラゲ。
船長はこまめに反応のある場所を攻めてくれるが、魚探に映っているのはタチウオではなくアカクラゲの魚影ではないかと思えてくる…。
突如、「モワッ…」と重くなる感触。
とりあえずアワセを入れてみるが、待ち望む魚信は無し。
巻き上げたリールのトレブルフックにはビロ〜〜〜ンと伸びたアカクラゲの一部。
「神様、あなたは何故アカクラゲをこの世にお創りになったのですか?生きとし生ける物の中でアカクラゲほど邪魔な生物はありません。これは釣り人の業に対する戒めですか?それとも釣りという行為に対するアンチテーゼなのですか?」
「汝、隣人を愛せ…」
「か、神様!意味がよく分かりません!」
「汝、アカクラゲも愛せ…」
「どうしてアカクラゲなんかを愛さなければいけないのですか!?」
「人はパンのみにて生きるにあらず…」
「神様、私はパンよりご飯とか麺類が好きです!!」
目が覚めた…。
私はロッドを放り出し、いつの間にか寝ていた…。
「良く寝れました?」と高橋氏。
氏はあきらめることなく、リトリーブを繰り返していたようだ。
「今日はダメみたい…」
高橋氏も観念したようだ。
「こんなことなら家にいた方が良かったですね…」
明日からまた長い一週間が始まる。
午前11時20分、今期初のルアータチウオは終了した。
右舷のミヨシ氏が本命を掛けたようだが、途中でバラシていた。
結局、船中ゼロ。惨憺たる結末を迎えた。
帰路につく船上で私は思った。
「こうゆう針にサバ餌付けてたら釣れたかもな…」
どうも今一歩、ルアーマンの世界に入りきれない私でありました。とほほ…。
|