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<日 記> 今年は今イチ、アナゴに対するヤル気というか積極性が欠けています。
それは、アナゴの総体的な釣果がパッとしないのが主な理由。
ところで、19時から23時までの4時間は私にとってのゴールデンタイムです。
風呂に入って晩酌をし、家族とバカな会話を楽しんだあと、溜まった釣行記をホソボソと書くのが毎日の日課。
私の中では非常にリラックス出来る時間帯なのです。
釣りの魅力を覚えるまで、週に3、4回は飲み歩き、家に帰るのは午前様だった放蕩生活。
土日は毎週仕事で、月の休みはせいぜい一日か二日。
朝も7時から仕事に赴き、子供と顔を会わせない生活が平気で続く毎日でした。
ところが、「釣り」という魔性の趣味に取り憑かれてから、生活は激変しました。
さあ、いつものようにどう変わったかを箇条書きにしてみましょう…。
1、釣り道具に掛かる費用を捻出するために夜のお誘いを一切拒絶
2、特に釣行日前日、金曜日の宴会は100パーセント拒否
3、仕事よりも趣味を選び、ほとんどの休日出勤をパス
4、釣行記を書く時間が足りなく、遅刻ギリギリまで自宅に引きこもり
5、休日出勤が無いので子供たちとの会話が増える
6、同じ理由で家内との接点が増え、口論も増える
7、フィッシング係数が上がり、家計は火の車
8、魚を食べる機会が激増
9、家内の魚の捌き方が上手になる
10、冷凍庫にオキアミが常駐するようになる
良い点もあれば、明らかにダメになった点もあります…。
まあ、それほど沖釣りへの傾倒具合は激しかったのですね。
人間、変われば変わるものです。
そんなわけで理想的な家庭人となった私は、夜の時間を家族と過ごすのがもっぱらと更生しました。
飲みに行かず、家で食事をし、「団欒」という当たり前の生活に楽しさを見出すようになったのです。
ですから、そのゴールデンタイムを犠牲にしてまで夜に釣行するという行為は、よっぽどのことなのです。
それだけの代償を払うのですから結果もそれなりでなくてはなりません。
にも関わらず、アナゴの釣果が芳しくないと聞けば、
「だったら、家でテレビ見ながら酒飲んでた方がイイもんね」
「湿った海風に当たるよりも、自宅でクーラーの冷風に当たってた方がイイもんね」
「夜の11時になったら俺は寝るんだもんね」
と、もんね化するわけです(東海林さだお風)。
以上の理由から毎年恒例となっていたKOBUさんと私の会社対抗夜アナゴ対決も本年は中止。
「今年のアナゴ釣りはヤメだな。ボウズ覚悟で夜遊び出来ないかんね。ボウズは避けたいけんね」
そう思ってました。
ところが、「わはは爆釣隊のアナゴさん」と呼ばれる(誰も呼んでません…)やまやさんから今年も「釣りバカ」対「釣りキチ」夜アナゴ対決のお誘いが掛かりました。
その対戦相手、「釣りバカ亭主天国」サイドからは管理人である相模庵さんやおもむろさんら、湘南の酒豪強豪がお出でになるご様子。
わざわざ敵地の東京湾に乗り込まれるお二人をムゲにするわけにもいきません。ええ、私は人間関係を重んじます…。
さらには「爆釣隊の小麦色の恋人」ちあきさんが助っ人として参加し、「初めての船釣り」の発行人である西澤さんまで出場されるとなれば是が非でも参加したいと思うわけです。
そう、今回のアナゴ釣りは皆様との船上宴会が主な目的でした。
アナゴは1、2本くらい釣って酒のつまみにでもなれば御の字と考えていたのですよ、ホント…。
■ ワンカップ大関の確信
本日、午前中までの休日仕事を終わらせ、シャワーを浴びて昼からビールを飲む。
暑かったせいもあり、グラスに注いだ琥珀色の液体は一気に無くなった。
2本目を飲もうと冷蔵庫を開けると、よぉ〜く冷えたワンカップ大関を発見。
しかしこれは今夜のために用意した物。今飲んでしまっては夜の楽しみが一本減る…。
私は缶ビールとワンカップを一本ずつ取り出し、キッチンのテーブルに置いた。
両者ともすでに全身にうっすらと水滴を付け、私にどちらを選ぶのかと迫ってくる。
もう一本ビールを飲むのもヤブサカではないが、昼間の日本酒は背徳の味がして捨て難い…。
私は断腸の思いでビールを冷蔵庫に戻した。
プラスチックのフタを開け、中ブタをカパッと開く。
この無色透明の液体が原因で過去、幾度失敗をしたか分からない。
私の中では「悔み酒」「無念酒」「狂い酒」と位置付ける酒類である。
リビングのテーブルに戻り、「王様のブランチ」を見ながら一口すする。
「ゴクリ…」
喉を流れ落ちていく甘美な液体は、清冽さの中にがっしりと力強い存在感があった。
「うん、これにして良かった…」
私は自分の選択が間違っていないことを確信した。
目の前にある串カツを頬張り、ソースとカラシにまみれたカツとネギの味を楽しむ。
ギタギタになった口の中を、冷たい日本酒が洗い流してくれる。
次に、トンカツを口に運ぶ。
レモンとソースとカラシの見事なコントラストに、ロースならではの脂と豚肉の味が加わり、思わずウットリした。
「グビッ…」
酒が美味すぎると思った。
この幸せが一生続くことを願った。
体内の五臓六腑は歓喜のあまり号泣していることだろう。
結局、缶ビール1本・ワンカップ大関1本・ウイスキーの水割り1杯を空けてしまった。
それと同時に、怒涛の睡魔が襲ってきた。
私は自室に布団を敷き、クーラーの設定温度を23度にして昼寝の態勢に入った。
まどろんだのも束の間、一気にアルファ波が放出された…。
■ バカキチの釣宴
最初は目覚し時計の音かと思った。
しかしそれは、私のケータイから発していると気付く。メールが着信したのだった。
| タカギーさんとユキさんとで、川崎駅16時に待ち合わせてくださいな。さいか屋前に迎えにいきます。 |
やまやさんからだった。
ボーッとした頭で返信をして、さらに午後3時まで睡眠を貪る。
その後、シラフに戻った私は本日の参加者のお一人「沖釣り界の京美人」ユキさんにメールを送る。
返ってきたメールによると、ユキさんは車で川崎に向かっているとのこと。
しかし、渋滞にはまり、待ち合わせ時間に間に合いそうもないご様子。
寝起きのまだ冴えない状態でアナゴ釣行に必要な道具をバッグに入れ始めた私(寝る前にやっとけって、そーいうことは…)。
最寄駅から京急線の各駅に乗り、四つ先の京急川崎駅を目指す。
今日は、久し振りの電車釣行である(といっても乗車時間6分だけどね…)。
まだまだ日没に程遠い川崎の駅前を歩いていると、数時間前に摂った寝酒が汗となって噴き出してきた。
「どこかのコンビニでビールでも買おっと…」
排出した分は補給しなくてはならない。
若干、待ち合わせ時間を過ぎているが喉の渇きはどうしようもない。
買い物を済ませたあと、さいか屋前で待っていてくれたやまやさんと合流。
ユキさんはまだ東京タワーあたりで渋滞に捕まっているそうで、先に本日お世話になるつり幸さんへと向かうことになる。
「んで、午前中はどうだったんですか?」私は気になっていた質問をする。
「シコイワシが一束近く釣れましたよ…」悲しそうな顔でやまやさん。
「アジはどれくら釣れたの?」核心部分を突いてみた。
「ちあきさんは頑張って30尾近く釣りました…」
「やまやさんは?」追及の手を緩めない私。
「今日、一番デカかったのは外道のシロギスでした…」
私は、それ以上質問するをヤメた。武士の情けである…。
そう、今日の午前中、やまやさんとちあきさんは横浜の濱生丸でライトタックルアジに臨んでいたのだ。
やまやさんから得た情報では
1、急にシコイワシの大群が湧いた
2、中層では木っ端サバに邪魔された
3、それでもちあきさんは頑張って本命を釣った
4、とくさんとお嬢さんに会えた
5、アジについての返答は控えたい…
さて、宿に到着すると、店先にはちあきさんを始め相模庵さんやおもむろさんらが満面の笑顔で迎えてくれる。
さらに、お仲間のイカヅノ公爵さんも加わり、「釣りバカ」チームは総勢3名。
早速、受付けを済ませ、船へと向かうことに。
釣り座は適当に座って良さそうなので、私はなんの考えもなく左舷のミヨシに荷物を置いた(この席が後々思わぬ幸運を招く結果になるとは誰も知らない…)。
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| ▲朝の3時起きでさすがにバテバテのちあきさん |
その後は出船前の宴会に突入。
「釣りバカ」チームの皆さんとは初対面のハズのちあきさんだが、すっかり意気投合して和やかなムード。
真夏に近い陽射しの下、楽しいメンバーと飲む缶チューハイは、最高に美味かった(しかし良く飲むね、俺も…)。
歓談を楽しんでいるとユキさんが無事到着。
本当なら午前の部の釣行も参加する予定だっが、体調が思わしくなく、欠席されたのだ。
それでも夜のアナゴにお越しになる前向きさは見習わなければ(猛省…)。
そして、わはは釣行初参加のシドさんが登場。
弊サイトの掲示板で今日の釣行を知り、飛び入り参加してくれたのだ。
「昨日、会社の飲み会だったので二日酔いなんです、すみません…」と申し訳なさそうなシドさん。そう言いながら果汁100パーセントのリンゴジュースを飲む。ヘルシーである。
さらに、やまやさんの会社の同僚の皆さんも加わり、アナゴ船の胴の間から先端部分は「釣りバカ」「釣りキチ」チームで占められた(西澤さんはご都合が悪く、残念ながらのご欠席)。
■ 酩酊者の一本
定刻の5時半出船。
と、思ったら船が不穏な動きを始める…。
しばらくすると別の船に乗り換えるようお知らせが届く。どうやら予想以上の乗客に一回り大きな船での出船となるらしい(なんせ、我々だけで11人も乗ってるかんね…)。
大型船は一路、長浦沖を目指して仕切り直しの出帆。
船長から波をかぶるのでキャビンへ避難するよう指示が出る。
しかし、言いつけを守らないでミヨシ先端に腰を下ろし、酒を楽しむ連中が四人いた。「釣りバカ」チームの御三名と私である…。
相模庵さんは釣りやその他の楽しい話題を提供してくれた。
おもむろさんはご自分が食べている好物の「竹輪」を差し出してくれた。
イカヅノ公爵さんは「じゃがりこ」の入っているクーラーが揺れで倒れ、中がヒドイ状態になっていた。
きっと船長は目の前に見える、350mlの缶を持って横一線に並んだ四人組を「ちっ、不真面目なヤツ…」と思ったに違いない。
「そんな態度じゃ釣れないよ」と軽蔑したかも知れない。
「今年のアナゴを甘く見んなよ!」と憤慨した可能性もある。
構わない、と思った。
どうせ今日の目的は「親睦」と「懇親」と「酩酊」である。アナゴは1、2本釣れれば満足なのだ。
航程約30分でポイントに到着。
アンカーを下ろし、開始の合図を待つだけとなったとき、右舷ミヨシにいるやまやさんがこちらに来て囁いた。
「予報と違って風向きが真東なんですよね…」
「それってどうなんですか?」と、ちあきさん。
「つまり、左舷のミヨシにいるタカギーさんの席が一番有利なんです…」
この突然の嬉しいお知らせにも、私は缶チューハイをグビグビ…。
釣りに対する真剣さとか真面目さとか情熱とか微塵も感じられない、嘆かわしい態度である…。
船長からの合図とともに仕掛けを沈める。
とりあえずは両手に竿を持ち、規則正しい小突きを入れてみた。
しかし、アナゴ釣りは左右の手が塞がり、酒が飲めないという厳しい現実にいきなり直面。
「こ、これはイカン…」
しばらく手持ちで釣りの真似事をしてみたが、所詮は昼から酒を飲んでるようなダメ人間。根気や我慢が足りないと小学校の通信簿にも記載されていたのを思い出す…。
「どうせ明るいうちは食わないんだ…」
「どうせ真面目にやっても釣れないんだ…」
「どうせエサだけ取られて終わるんだ…」
何故かイジケ気味になって竿を置く。
隣りにいるちあきさんと他愛のない会話を楽しみだした。
爆釣隊メンバーの近況、次回の飲み会の日程、お互いの将来の展望、サイト運営に関する打明け話、エトセトラ…。
キホン的に釣る気の無い私は、キホン的に竿先も見ていない。
「ターさん、アタってるよ!」と、ちあきさん。
「えっ?」授業中、先生に呼ばれても寝ていて気付かず、隣りの女子から起こされたことを思い出した私。
「ほら、左の竿!!」
「左ってどっち?」酔っ払いは右も左も分からない…。
最初は冗談かと思ったが、確かにお茶碗を持つ方の竿先がガクガクしていた…。
アワセを入れて、リールを巻いてみた。
うん、確かに生命の息吹を感じる。
抜き上げてみると間違いなく本命…。
「気まずいな…」
型を見られた嬉しさ反面、食いが渋い状況でテキトーにやっている自分が釣れた事実に戸惑う。
やまやさんはコツコツと地道に誘いを入れ、「釣った」アナゴを手にしていたが、私の場合はグビグビと酒を飲み、「釣れた」アナゴを手にする。人生は皮肉である…。
「でもこればっかりはね…」
たまたま潮先に座ってしまった幸運を肴に、私は2本目の缶チューハイを開けた…。
■ それぞれのサタデーナイト
「あっ、今アタったのに〜っ!」横で、ちあきさんが悔しがる。
型を見られた安心感で、ますますチューハイの爽快感に拍車が掛かる私。
クーラーから3本目のそれを取り出そうとヨソ見をしていた矢先…、
「ターさん、またアタってるよ!」
「それって私がバラしたアナゴだよ、きっと!」
「ほら、左の竿!!」
いつの間にか、ちあきさんは私の竿先案内人となっていた…。
置き竿がいいのか、席がいいのか、平素の心構えがいいのか定かではないが、私の竿にだけ魚信が連発していた…。
せり上がっているミヨシに座っている分、私の一挙手一投足は目立った。他の人たちからの羨望と嫉妬の眼差しが痛い…。
「もういい加減にしなさい…」
「俺はいいから他の人のハリに掛かりなさい!」
「少しはこっちの立場も考えなさい」
口には出さないものの、私は真下にいるアナゴに向かって叱責した。
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| ▲こんなちあきさんが大好きです… |
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| ▲笑顔がいい味です、イカヅノ公爵さん |
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| ▲二日酔いにも負けず参戦してくれたシドさん |
その私の思いが通じたのか、次第に他の皆様もアナゴを取り込み始める。
はちまき姿のイカヅノ公爵さんは江戸っ子釣り師の趣きがある。余裕で1本目をゲット。
アナゴ釣行2回目のちあきさんの今夜の目標は4本。バラシやハリ掛かり未遂に悩まされながらも、その目標を見事にクリア。
やまやさんは、本来の実力を発揮して堅実な釣果を叩き出した。そしてその本命をユキさんやちあきさんのバケツに放り込む優しい心配り。
左舷胴の間で竿を出していた相模庵さんも珠玉の1本を手に入れて一安心。
おつまみを片手にミヨシに来た相模庵さん。
すると、突然叫んだ。
「あっ、竿が!!」
隣りに座るシドさんの元に駆け寄る。
なんと、シドさんのタックルが海に落下したのだ。
相模庵さんが、自分の仕掛けでフッキングさせ、海底から救出しようと試みるが、その努力は報われなかった…。
出船前…、
「あれ、竿一本でやるんですか?」と訊いた私に、
「二本出した方がいいですかね?」と応じたシドさん。
「はい、確率が倍になりますから!」とアドバイスした私。
今となってはその助言がアダとなった…。
わはは釣行初参加でタックル一式の損失被害を出したシドさんの心中を察すると、私の胸は痛んだ…。
過去、私たちのグループと接触した方々は「人生ゲーム」の不幸な帰結「貧乏農場」に送り込まれていた…。
「来るんじゃなかった…」シドさんはそう思ったかも知れない。
そのことをお詫びすると、「気にしないで下さい」と笑顔で応えてくれた。優しい人である。
そんな和気あいあいと過ごした時間はあっという間に過ぎ、午後9時15分、納竿のお知らせ。
川崎を目指して帰る船。
行きと同じメンバーにちあきさんも参加し、今晩の余韻に浸る。
ちあきさんにとっては長丁場となった一日だが、暗い船上でもその笑顔は輝いていた。
「釣りバカ」チームの皆さんとは今夏、相模湾で胸を借りなければならない。
私は、湘南の晴れ渡る青空の下でビールを飲む楽しみに思いを馳せた。
そして、おもむろさんのために は忘れないでおこうと誓った。
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