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 釣行日:平成16年10月6日(水) 小潮 天候/曇りのち晴れ 

<釣り物> ショウサイフグ
<釣 果> ショウサイフグ34尾、ガンゾウビラメ2枚、アジ3尾、シロギス1尾、カジメ3本
<船 宿> 外房大原 長福丸
<釣り場> 外房 太東沖〜大原沖
<タックル> 竿/KT関東 キャスティングオリジナルふぐ竿、リール/Daiwa ラシード150SF早技(道糸:FireLine30lb)、仕掛け/ミサキ フグカットウ(カットウ針大/大大2本針・ナイロン16号・オモリ夜光25号)+上州屋釣工房 喰わせフグ胴突仕掛外房ジョイント仕掛(丸海津2本針)
<エ サ> アオヤギ
<釣り座> 左舷トモ2番目
<同行者> KOBU氏、まっちゃん
<どう食ったか> 刺身、唐揚げ

<日 記> 前回、KOBUさんと遊んだ「ハゼ・イシモチ釣行」の別れ際、

 「タカギさん、来週あたりにまっちゃんと3人で軽く飲み会でもやりましょうよ」

 と言ったKOBUさんの何気ない一言が今回の釣りの発端でありました。

 振り返れば「三馬鹿」だけでの飲み会は久しくやっておりません。
 大勢が集まる飲み会も非常に楽しいのですが、チーム横浜だけの宴会も濃密な会話が出来て、サークル的盛り上がりもあり、それはそれで魅力的なものであります。

 「おっ、いいですねぇ。半ばあたりにでも飲りますか!」

 そう快諾した私の一言が、不良釣行への扉をさらに開ける結果となったのです…。



 プロミス系プロセス

 KOBUさんとの綿密な打ち合わせの結果、その飲み会は6日(水)に決定。
 場所も横浜駅周辺と決まり、あとはもう一人のメンバー、まっちゃんの都合を訊くだけであった。
 ところが、KOBUさんからのメールによると…、


04/10/04
15:09
「まっちゃんと連絡取れました。水曜はフグ釣りでちょいと厳しそうです。木曜の予定は今夜、奥さんに相談して決まり次第連絡くれるそうですぅ。俺も早くフグ釣りてー」



 な、なんと、まっちゃんはその日に単独でショウサイフグ釣行に臨むことが発覚。
 それと同時に、私の頭の中にはある単語が点滅した。

 

 そこには乗船客の少ない平日釣行への憧れもあったが、

 「まっちゃんだけにイイ思いをさせてなるものか…」

 という、ドロドロとした思惑が存在していたことも事実であった。
 だがしかし、有給休暇の申請を月初の忙しい時期の2日前に出すのもイチ社会人としてどうなのか、私は冷静になって考えてみる(しかも理由は「釣り」だしね…)。
 私はあきらめかけた。いや、あきらめようとしていた。

 そんな心の葛藤をKOBUさんにメールで伝えると…、


04/10/04
15:38
「私も水曜休もうかと思いました。フグ釣れてるんだよなぁ…」



 彼もまた、私と同じ気持ちのようである。
 きっと今、KOBUさんの内奥でも葛藤の嵐が吹き荒れているに違いない。
 だが、この文末
「釣れてるんだよなぁ…」には日本語独特の微妙なニュアンスが含まれていることに私は気付いていた。

 KOBUさんも私と同じように「最後の一押し」を求めているのだ。
 だから私は彼の背中をそっと押してあげた。

 「まあ、あさって私が会社を休んでも業務に支障はないんですけどね」と。

 そして返ってきた応えは…、


04/10/04
15:40
「……………休みますか……………」



 こうして、本日の釣行が決まったのである。
 これぞ我々3人が「三馬鹿」と蔑まれるゆえんである。
 人呼んで「悪いオトナの会」。だが、周囲からは「ダメなオトナの会」と見られていることは十分に承知しているのであった。


 前泊宣言

 釣行日の前日、KOBUさんからまたメールが届く。


04/10/05
10:56
「今夜の集合、20時20分頃を予定していますが、いかがでしょうか?」



 どうやら気合いの前泊を行うようだ。
 今回、お世話になるのは外房は大原にある長福丸さん。その宿の2階には素泊まりの出来るスペースがある。
 前夜に到着してゆっくりと睡眠を取る構えなのだ。

 帰宅した私は、家内にヘンな誤解のないようキッチリと下記の要点を伝えた。

 1)今夜KOBUさんの車で千葉に行く
 2)目的は釣りである
 3)もちろん明日は仕事を休む
 4)当然よその女の家に泊まるわけではない
 5)四の五の言わないで早く晩飯作れ
 6)だけど晩酌はする
 7)タオルケットを用意しれ
 8)お泊り用歯磨きセットを出せ
 9)荷物になるから枕はいらん
 10)あー忙しい忙しい


 速攻でシャワーを浴びて夕食を摂り、釣りの支度をしていると、あっという間に午後8時。
 待ち合わせの時間ギリギリに1階のエントランスに降りれば、すでにKOBUさんの車は待機中。
 荷物を積み込み、後部座席に滑り込む。

 「うっ、酒クセーッ!!」
 「アナタ、酒飲んできたでしょ!?」

 「俺だって我慢したのに…」


 どうやら車内には私の放出するアルコール臭が充満しているらしい…。
 まっちゃんは運転するKOBUさんに気を遣って一滴も飲んでいないとか…。
 それなのに私は後ろの席で、ビールとフランバン茶で割った焼酎の臭いを際限なく放っているのだ…。

 「これで寝たら絶対車から叩き出されるな、俺…」

 走行中、私は必死に睡魔と闘った…。



 港町の残り香

 途中のファミレスで夕食を摂ることにしたKOBUさんとまっちゃん(晩ご飯まだだったのね)。
 お腹の空いていない私は、グレープフルーツサワーを注文(まだ飲むのか、俺)。

 食事を終えると、今度はコンビニへ。
 明日の分の朝食と飲み物、今夜の寝酒を購入(いい加減飲むのヤメなさいっての…)。

 23時近く、大原港に到着。
 まずは港に直行し、船に各自のクーラーを置く。これで席の確保はバッチリ。

素泊りは無料ですぅ。
▲くつろぎの宿、長福丸!

 その後、電気の消えた長福丸の宿にお邪魔し、1階の休憩所でしばらく歓談。
 通常、深夜に他人の家に上がり込み、勝手に照明をつけて酒を飲むなんて考えられないのだが、ここでは許される行為なのである(多分…)。

 まっちゃんはワンカップとビール、私も焼酎のお茶割りを飲み、明日の釣りに思いを馳せる。
 戸外では強い風が吹いていた。無事に出船できればいいのだが…。

 「そろそろ寝ますか…」KOBUさんが切り出した。

 2階に上がるとカーペットの敷かれた床にたくさんの座布団が置いてあった。
 私たちは「川の字」になって横になる。
 釣り座ならぬ、寝座は窓際から私・KOBUさん・まっちゃんの順。

 私は適当な座布団を半分に折り、枕代わりにした。
 すると、濃縮された「おじさん臭」が鼻先をかすめた。
 数知れない釣りオヤジたちが身を横たえたであろうカーペット、そして何百もの釣りオヤジたちが頭を預けたであろう座布団。そこから、歴史の臭いを嗅ぎ取った私。

 「クセッ!」

 防臭の一助になればと、脱いだズボンで座布団を包んでみた。気は心である。
 外房の港町の片隅で、汗臭い加齢臭と共に一夜を過ごそうとしている自分。
 哀感と旅情を感じずにはいられなかった…。

 「さっ、電気消すよ…」KOBUさんが立ち上がった。

 「プチっ…」


しばらく続く沈黙…。


まっちゃん 「どわははははっ!!KOBUさん今、寝ようとしてたでしょ!」
KOBUさん 「なんだよ、目をつぶっていただけだよ!」
まっちゃん 「違うよ、今絶対寝ようとしてたよ!」
私 「いーから寝なよ、まっちゃん…」
まっちゃん 「だってこの人、寝ようとしてんだよ!」


またしばらくの沈黙…。


まっちゃん 「どわははははははっ!!」
KOBUさん 「まっちゃん、うるさいってば!!」
私 「そうだよ寝れないよ!!」
まっちゃん 「だって笑えるんだもん。ぐわははははははっ!!」
私 「だから前泊はヤだって言ったんだよ!!」


それからしばらくして…。


KOBUさん 「グゴゴゴゴゴゴゴゴォ…」
私・まっちゃん 「ね、寝れない……」

 こうして大原の夜は、風の音と男たちのイビキと酒の臭いに包まれて更けていくのであった…。


 平日の優越

 下の階から聞こえる物音で目覚めた私たち。
 
時計を見ると午前4時30分。ようやく一日が始まった。

 「あ〜っ、良く寝た!」KOBUさんは満足のいく睡眠を取れたようだ。
 「あんまり寝れなかった…」と、まっちゃん。私も同じ気持ちである。

 寝不足でボーッとしながら1階に降りると、船長や他の釣り人たちが集まっていた。
 挨拶をして、歯を磨くため外に出た。
 ヒンヤリとした外気に身が引き締まる。だが、前夜に吹いていた風は収まった様子。

 私たちは早速、カッパを着込み釣りの態勢を整えた。
 しかし、目覚めてすぐに乗船というのは今イチ調子が出ない。
 ここはヒトツ、体内時計を調整するためにも缶チューハイを開けなければならないと私は判断(間違っているかな、俺)。

 一般的には寝ている人も多いであろうこの時間。
 これから目覚め、朝食を摂り、満員電車に揉みくちゃになる一日の始まり。
 それなのに上司に無断で休みを取り(ええ無断です。社会人失格です)、千葉の港に停泊する船上でチューハイを飲んでいる自分。

 「世捨て人」「落伍者」「敗残者」「負け犬」「社会不適合者」

 そんなホロ苦い言葉が頭をよぎる。
 だがそれ以上に、平日に釣りをする優越感の方が勝っていた。
 さらには、ザマミロ感さえも抱き、朝酒をより一層美味いものにしていた。


 右肩下がり

 午前5時25分、待望の出船。
 釣り座は左舷オオドモからKOBUさん・私・まっちゃんの順。
 私たちの座る左側は他には誰もいない。大型船で片舷3人という恵まれた境遇に、ますます
「休んで良かった…」と、実感する私。

 沖に出ても、予想外に海は穏やか。
 日の出前の暗い海上を、船はポイントを目指して疾走した。

 航程約20分で釣り場に到着。
 海は前日の荒れ模様の影響もあり、濁り気味。
 持参したカットウ仕掛けのオモリの色は
「アオヤギカラー」「黒」「夜光」の3色。私は一番目立ちやすい「夜光」を選択。

 まっちゃんは道糸の先に小さなケミホタルを装着している。アナゴでも釣る気だろうか。

 開始の合図とともに、アオヤギをたっぷりと刺した仕掛けを投入。水深は20mほど。
 底をわずかに切った位置でオモリをキープし、竿先と手元に伝わるシグナルに神経を集中させる。
 早々にKOBUさんとまっちゃんに乗りが訪れる。

 そして、私も小さな「コツっ…」としたアタリをキャッチ。
 本日の第一尾目は、お二人と同サイズの「一口フグ」であった。
 外房のフグは型よりも数で勝負なのだろうが、もう少しサイズアップしてくれると嬉しい…。

「もう飲めない…。ムニャムニャ…」
▲寝不足、それとも飲み過ぎ?

 しかし、好調だったのも束の間、アタリの数は次第に下降線を描き始める。
 当初、簡単にツ抜できると思っていた予想は大きく外れ、開始1時間を経過してもタルの中には「ヒトケタフグ」
 やはり前日の荒天で底も荒れているのだろうか…。

 ここで私は、起死回生を目論み、東京湾仕込みの胴付き仕掛けを取り出す。
 これをカットウ仕掛けの上に噛ませ、フグの泳層を漏れなく狙う戦法に出た。

 ところがこの仕掛け、何故かアジに好かれ結果的には小アジ2尾・フグ1尾・ガンゾウビラメ1枚を釣るにとどまる。
 さらにはカットウでシロギスを掛けたり、良型のカジメの一荷を達成するなど、多種多様な獲物を手に入れて五目釣り状態(もちろんカジメはリリース…)。

 それを見たまっちゃん、隣りで竿を出していた仲乗りのおにいさんに、ちょっかいを出す。

 「アジとかキスは釣ってもさばいてくれないんだよね?」

 まっちゃんは、この仲乗りイケメンお兄さんに対し他にも質問をぶつけていたが、某嬢から糾弾される懸念があるため、その内容は割愛する。


 三馬鹿の末路

 そんなまっちゃんだが、渋い状況の中でもコツコツと数を伸ばしていくところはさすが。やはりこの男、タダモノではない…。

最近、マンションの購入を考えてます。
▲でもこの良型、エサ針に食ってました…

 ところが、もう一人の練達者KOBUさんは、今ヒトツペースを掴めず苦戦中。
 根掛かりして仕掛けを失い、戦線に復帰すればエサだけ取られて丸裸。さらには良型を思わせる引きに期待を寄せるとラージサイズのサバフグ。

珍しく不調だったKOBUさん。
▲フグ、獲ったぞぉ〜っ!!

 総勢10名が乗った船上で、3人は船酔いでダウン。配分は多いはずだがフグの機嫌が悪ければ仕方ない…。
 後半、どうにか食いが戻ってきたが時すでに遅し…。

 我々は、午前11時50分の納竿まで奮闘するが、まっちゃん40尾(途中で竿を畳んでも竿頭!)、KOBUさん19尾とやや不完全燃焼に終わる。

 「釣れ過ぎて11時には早揚がりしたいよね!」
 「まあ、ベストは10時半かな…」

 「ゆっくり昼寝をして、夜はテンコ盛りのフグ刺だ。ぐふふふ…」


 出船前のそんな思惑が足元に崩れ落ちた。

 「三馬鹿」とは「三人の釣り馬鹿」の略称であり、決して蔑称ではない
 ただ、そこにはチョッピリの悲哀が混じり、物悲しい風味を添えているだけである。
 わざわざ会社を休んでまで釣りをして、ガックリと肩を落とすところに味があるのだ(そう思いたい)。

 港に戻る船上で私は、明日上司に対する「休んだ言い訳」を考えていた。


東京湾でもこれくらい釣れたりして…。 やっぱり外道はさばいてくれませんでした…。
<フグは鬼門系の魚です> <外房に行ってもアジ・キス…>