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<日 記> 昨年の暮れ、東京駅の八重洲方面にある居酒屋にて開催された、釣り仲間たちとの忘年会の席上…。
周りには一緒に釣った回数よりも一緒に飲んだ回数の方が圧倒的に多い気心の知れた友達たち。
ところが、その中に私がお会いしたことのない女の子たちも何人かいらっしゃいました。
そして、宴会が始まりしばらく経った頃、その中のお一人が私に…。
「あのぅ、タカギーさん、ですよね!?」
と、物事の本質をえぐるような質問を投げかけてきました。
「えっ?は、はい…」突然の問いかけにドギマギする私。
「やっぱり!最初に見たときからそうじゃないかと思っていたんです!私たち、タカギーさんのサイトのファンなんです!」
「ど、ど、どうも…」
もともと私、初対面の若い女性と気楽に会話をするのが得意ではありません。何故か意味もなく緊張しちゃうのです(ところが逆に、年配の女性が相手だととても普通に話せます。ええ、損な性格ですよまったく…)。
そんな肝っ玉の小さい自分が、初めてお会いした女性からいきなりファンだと告白されたらそりゃあ声は上ずって会話もシドロのモドロです…。
この場合、なにか気の利いたことのひとつやふたつを言うべきなのでしょうが、焦っているから余計に正しい対処方法が浮かびません。
私はアタマの中でいろいろな案を思い描きます…。
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1、ニヒルに笑って握手をする
2、「人違いです…」と逃げる
3、マッキー極太でTシャツにサインをしてあげる
4、聞こえなかった振りをして思いっきりシカト
5、メールアドレスの交換をしてまずはメル友から
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と、リストアップしたものの、どれもこれも現実性に欠けるような気がしました…。
その私のファンと名乗り、今、目の前で赤ワインのフルボトルを景気よく飲んでいる人たちのお名前は、ちゃつぴさんとこつぶさん。
ところで、その頃の私のサイトは、まったく管理のされていない野放し&放置プレイの真っ最中。
そんな状態にも関わらず、自分が過去に書いた数々のレポートを読んでくれていると知って嬉しいやら恐縮するやら。
「そうかそうか、俺のレポートをまだ読んでる人もいるんだな…」
と、激しく感激したことを覚えております。
それをキッカケに他の飲み会でもご一緒して頂き、メールのやりとりも始めるようになりました。
そんなある日、ちゃつぴさんから実物のわはは爆釣隊メンバーに会いたいので機会を設けて欲しいとのご要望を頂戴致しました。
ちゃつぴさんにとって、TAKEさん・KOBUさん・まっちゃんは、自分が好きな物語に登場するキャラクター、例えば「灰色のガンダルフ」とか「エルフ」のような存在なのだそうです。まあ、要するに彼らはドワーフみたいな人たちらしいのですね。
そこで飲み会の企画を練っていたのですが、みんなのスケジュールがうまく合わず思うように日程の調整が出来ません。
そこで、ええいっ、こうなったら釣り人らしく陸じゃなくて海で全員集合しようじゃないか!ついでだから豪勢に船を仕立てようじゃないか!酒もたくさん持ち込んで飲んだり食ったり釣ったりしようじゃないか!コンチクショーメ!と、なった次第なのです。
私(または「私たち」)の中でそれはまさに「合コン」。題して「第1回チーム横浜仕立て船合コン釣行」と相成ったわけです。
参加メンバーは、我々チーム横浜4人と先般のちゃつぴさん・こつぶさん、そしてこつぶさんのご主人の池ちゃん。さらに、某SNSで釣行記を書かれており、そのレポートの面白さはちゃつぴさんの折り紙つきである、こおろさんからも参加表明を頂き、合計8人。
釣行日は春分の日の21日に決定。
ああ、ようやく男所帯のチーム横浜にも春が訪れるのでしょうか。
それともいつもどおりに下品な冗談を連発して「サクラチル…」となるのでしょうか。
全国のわははファンの皆様、どうぞ私たちにもちょっぴりの幸せが訪れるように祈っていて下さい。わはは。
 行楽気分の出遅れた朝
午前6時。その数10分前からKOBUさんのお迎えを外で待っている私。
いつもであれば車が到着してからノコノコと1階に降りるのだが、なんせ本日は合コン釣行である。のんびりとテレビなど見ているような心境ではない。
それに実は、目覚まし時計を5時にセットしておいたのだが、その2時間前には目を覚ましていた(要するにキモチが昂って良く眠れなかったのね…)。
そんな私のケータイが突然鳴った。
表示を見るとちゃつぴさんからである。
どうしたのだろう、とイヤな胸騒ぎを覚える。もしや都合が悪くなって突然の不参加か!?
「もしもし…」
「ちゃつぴです、おはようございます。そっちは車何台で来ますか?」
「えっと、2台です…」
「分かりました。私たちもう宿に着いてますから!」
「は、早いっすね…」
「それじゃ、待ってま〜す!」
「ツー・ツー・ツー・ツー・ツー……」
今日の出船時間は午前7時。
確かに出船の1時間前に着くことは沖釣り業界では暗黙のルール、基本中のキホンであるが、今日は仕立て船なのだ。それほど急ぐ必要もないはずである。
これはもしやヤル気の表れ!?彼女たちは合コンが目的で船に乗るのではなくマジメに魚を釣る気なのだろうか…。
早朝の自宅前で私は、通話の終わったケータイをしばらく見詰めていた。
ようやく、まっちゃんを乗せたKOBUさんの車が到着。
本日お世話になる宿は金沢八景の一之瀬丸さん。
鶴見から高速に乗れば30分程で着く距離だ。
宿に向かう車内のムードはいつもと比べて浮き足立っていた。当然である、今日の我々の目的は釣りではなく合コンなのだから…。
その途中でコンビニに寄り、ビール・チューハイ・お酒・お茶・おつまみ・お弁当をたっぷりと買い込む。
これから釣りをするという緊張感は明らかにゼロ。どちらかといえばピクニックとか野球観戦とか男同士で行く南紀白浜の旅2泊3日といった雰囲気。本当なら松花堂弁当と冷凍ミカンも欲しいところである…。
この時点で、時計を見るとすでに時間は出船30分を切っていた。なのにまだ、楽しげに食料を買い物カゴに放り込んでいる私たちって一体…。
やっと宿に到着して待合所に向かうと、ちゃつぴさんとこつぶさん夫妻を発見。
彼女たちとは初対面のKOBUさんとまっちゃんを紹介し、私も本日初めてお会いするこおろさんとも挨拶を済ませる。
そのときこおろさんが放った一言。
「あっ、本物だぁ…」
に思わず笑いそうになる。
そしてもう一人の参加者、「ハマの狂犬」」「チャカをハンドルに持ち替えた男」「日ノ出町の顔役」TAKEさんも間もなく到着。
これで全員が揃った。
さて、乗船前に席順を決めなくてはならない。
そこで前夜に私が酔っ払って作った三角クジを引いてもらう。
右のミヨシからKOBUさん・池ちゃん・TAKEさん・こおろさん。
左のミヨシから私・こつぶさん・まっちゃん・ちゃつぴさん。
年配の温厚そうな船長に挨拶をして、本日の前半はお土産確実のイシモチを狙って欲しいとお願いをする。
今日の流れとしては、「釣果確実のイシモチを狙う」→「そこそこお土産が確保出来たらカレイに転戦」→「置き竿にして女子と親睦を深める」→「誰かがカレイを釣ったらタモですくってあげる」→「キャー、タカギーさんて優し〜い
♥」→「俺の評価うなぎ上り」→「俺の評判急上昇」→「友だち以上恋人未満」→「でも本当は好きかも…」→「いやぁ、参ったなあホント。わはは」になるハズである。
これが机上の空論に終わらないことだけを私は祈った。
 キメてどうする先制パンチ
午前7時、イシモチのポイントに向け、船はのんびりと出発。
本日の天気は晴れ。気温摂氏12度・湿度30パーセント・南南西の風・風速毎秒3メートル・気圧1005ヘクトパスカル・花粉の量やや多め・お日柄先勝・食欲あり・便通良し・血圧高め。
ああ、絶好の合コン日和。間違いなく最高の一日になると私は確信していた。
釣り場到着までの間、私はこれから待っているであろうたくさんの楽しい出来事を思い浮かべながら缶ビールを飲んだ。
同じミヨシ1番に陣取るKOBUさんも普段以上に上機嫌である。
いつも同じメンツで臨んでいる釣行と違い、今日の船上には華があった。
「タカギーさん、カレイの仕掛けこんなの買ったんですけど。どうですかね?」と隣りに座るこつぶさんが訊いてきた。
その口調がなんとも初々しく謙虚で、そして可愛らしかった。
そうなのだ、船上合コンはこうであるべきなのだ。まだそれほど親しくない男女の釣り師がなにかをきっかけに打ち解け、そして親愛の情が芽生え始めるのだ。
差し出されたカレイの仕掛けを手に取った私。
その仕掛けは、ピンクハリスを使った至ってシンプルな作りであった。
仕掛けは華美な装飾などない方が絶対に食いがいいと信じている私にとって、何ひとつ問題のない仕掛けだと思えた。
ところが、自分の口から出てきた言葉は意外なものだった…。
「あ〜っ、このピンクハリス使ってちゃ釣れませんね…」
私は自分の口と耳を疑った。
なに言ってんだ俺!!今日は船上合コンではなかったのか!?いかにして相手を蹴落とし、自分がどれだけ優位に立てるかが問題ではないのだ!!それなのにいつものクセで心理戦を展開してどうする俺!?
習慣とは恐ろしいものだと改めて実感した…。
ポイントの横須賀沖に到着すると、小さいながらもイシモチ船団が形成されていた。
潮周りのあと、船長から投入オッケーの合図が出された。
私はイソメを丸ごと一匹チョン掛けにして投入。水深約50メートル程で着底し、あとはオモリが底に着いたままをキープしてアタリを待つ。
KOBUさんは2本竿で戦闘開始。
竿数だけ見ると釣る気満々である。
しかも1本は小型電動リールを装着しており、手返し重視の臨戦態勢なのだ。
「鴨下丸のホームページを見たら昨日のイシモチのトップは110匹でしたよ」と、こつぶさんが教えてくれた。
「そんなに釣れても困っちゃいますねぇ〜」絶好釣情報を聞かされてニヤニヤする私。アタマの中ではすでにクーラーは満タン化しており、20リットルクーラーを選んだことを悔やみ始めていた。
ところが、昨日トップ110匹のわりには今日のアタリは遠かった。
本日の模様はどちらかといえばトップ20匹くらいか。
開始10分ほどで私は竿をキーパーに置き、全身から「俺、なんだかヤル気なくなったもんね」的雰囲気を漂わせ始めた。
船長も予想外の展開に業を煮やし、魚影を求めてポイントを移動。
新たな場所に到着した直後、まっちゃんのメバル竿が大きく曲がった。
「あれ、まっちゃんアタってない!?」と、KOBUさんが訊く。
「これが満月を描くって言うんです!」と、嬉しそうなまっちゃん。
「いいから早く巻きなよ…」私。
「うるさいな、この曲がりを楽しんでいるんだよ!」
「すごい曲がり具合ですね…」こつぶさんが感心した。
「本当はね、今すぐにでも巻き上げたいんだけど我慢してああやって女の子の前で余裕をカマしているんですよ…」
「それじゃ、そろそろ巻こうかなぁ〜!」彼の忍耐も限度に達したらしい。
満を持したまっちゃんは、みんなの視線を一身に集めながら船中初となるイシモチの回収作業を始めた。
「あらっ、道糸が船下に入ってない?」KOBUさんがつぶやいた。
「うん、実はただオマツリしていただけなんじゃないの?」途端に興味を失った私。
反対舷とオマツリしていた仕掛け。当然そのハリ先には魚の姿カタチはない。
この男、人騒がせ以外のナニモノでもない…。
我々チーム横浜の中では一番のキャリアを誇るまっちゃん。
まっちゃんは私たちにいろいろなことを教えてくれる。
| 「釣りは何年やっているかではなく、何匹釣ったかが重要なのだ」 |
彼を見て、そのことを身を呈して私たちに伝えようとしているのだと確信した。
ありがとう、まっちゃん…。
 たかがイシモチ、されどイシモチ
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| <タチウオともキス経験のある猛者です> |
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| <仕立て合コン、サイコーッ!!> |
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| <こつぶさん、ナイスサイズ> |
さて、そんな停滞ムードの中、船中初の1尾目を上げたのはTAKEさん。
大好きなイシモチが釣れてとても嬉しそうである。
そう、TAKEさんは一見、とび島丸とかに乗っていそうな容姿だが(ってどんな容姿だよ!?)実際は東京湾の小物釣りを心から愛する江戸前アングラーなのだ。
そしてその次にヒットしたのはKOBUさん。
私と同様に置き竿にしていたバスロッドがガクガクとお辞儀を始めた。
型は今イチだがようやく顔が見られてホッとした様子。
さらにKOBUさんはその後もイシモチを追釣。
2本竿がダブルヒットする場面もあり、ハタから見ていても非常に楽しそうで羨ましい。
ところが、そんなKOBUさんとTAKEさんの間に挟まれている池ちゃんにはどういうわけか魚信不通…。
しかし、ご主人の不釣を奥さんのこつぶさんが見事にリカバリー。
思わず私のアタマの中には「夫唱婦随」「内助の功」「一家の大黒柱」という言葉が浮かぶ。
それを見て、私はなんとなく普段のお二人の立場とか力関係などが想像できた(ような気がする…)。
その後は徐々に食いも上向きだし、まっちゃん・ちゃつぴさんと左舷は私を除いてみんながイシモチをゲット。
だが、私に関してはハリ掛かりをしたと確信して巻き上げるも、その途中で謎の失踪の連続。
心ときめく仕立て合コン釣行のはずなのに、その流れが次第に変わり始めているのを私は感じ取った…。
「最近、絶好調のイシモチ」→「一部の人を除いてみんながゲット」→「その一部の人、せっかくアタったのにバラす」→「その一部の人、明らかに蚊帳の外」→「時合に乗り切れないヤツ」→「チャンスをモノに出来ないダメな人」→「俺の評価急降下」→「友だち以下知り合い未満」→「っていうかあのヒト結構ヤバイかも!」→「ああ、もう帰りたい僕…」
私は危機感を抱いた。
これがマダイとかヒラメを狙っているのならまだ同情の余地もあるが、なにぶんにも相手はイシモチである。仮に不発に終わったらグゥの音も出ないというか、出せない。そんなとき…。
「ガクガクガク…!!」
よし、私の竿に魚信を確認!
だがここは、大人としての落ち着いた行動が要求される大切な場面なのだ。
食っているのはたかだかイシモチである。ヒットして嬉しい気持ちは分かるが、経験豊富な釣り人としての品位を疑われるような行動は慎みたい。
「よぉ〜し、来たぞぉぉぉっ!今度こそバレんなよぉぉぉっ!!」本来であれば、俺イシモチなんて本当は興味ないんだかんね的口ぶりになるハズだったが、いまだに釣果ゼロの身分としては是が非でも釣り上げたかった。そのキモチが言葉に出ているのが自分でも分かった。
「やったーっ!釣れたよ釣れたよ釣れたよ〜っ!ほら、見て見て見て〜っ!」20センチほどのイシモチを1尾釣っただけでこの喜びようは釣り歴5年以上の人間とは思えないものがあった。
「イエ〜〜〜イ!!」往年の高島忠夫を彷彿させる決め台詞を吐き、さっきまで冷や飯を共に食っていた仲間池ちゃんにイシモチを見せびらかした。大人げないというよりも情けない言動である。
その直後、池ちゃんもついに本命を釣り上げることに成功。
気になるのは、私から死角となる右オオドモに座るこおろさん。
初対面のチーム横浜メンバーの毒気に当てられなければいいのだが…。
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| <何気に釣りが上手いのね、ちゃつぴさん…> |
逆に左のオオドモに座るちゃつぴさんは、次から次へとイシモチを釣り上げ、喜色満面。
「あ、またアタった!」と、ちゃつぴさん。
「あ、またアタったって〜!」隣りで復唱するまっちゃん。
「今釣れてるよ!」
「今釣れてるって〜!」
「楽し〜♪」
「楽し〜♪って!」
釣り人のサガとして、自分以外の人が好調に釣っている場面というのは見ていて決して楽しいものではない。それが例え合コン相手だとしても…。
「んだよ、あのオオドモの人!感じ悪くねぇ!?」やさぐれた口調の私。
「感じ悪りぃ。ったくさ、空気読めよ!」KOBUさん。
いつの間にか合コン会場の船上は、殺伐とした空気に満ち、嫉妬・羨望・怨嗟・罵声・暴言の飛び交う、普段どおりの情念と悪意の渦巻く状況へと変化しつつあった…。
 このままイシモチでいいじゃん!
「何時頃までイシモチやります?」KOBUさんが訊いてきた。
「そうね、そこそこ釣れたし11時くらいまでにしますか…」なんだかんだで1ダース以上釣り、また心に余裕が出始めていた私。
結局、1時間早い10時でイシモチを終了させ、カレイ釣りに移ることを決定。
だが、その変更に苦言を呈する男がいた。
「このままイシモチでいいじゃん!」
TAKEさんである。
彼にしてみれば釣れ続けている魚をわざわざヤメることはないだろうとの考えなのだ。
そのキモチは大いに理解出来た。
しかし、今回のテーマは「合コン」。
女子チーム(男子1名含む)と会話をして親睦を深めることがメインテーマ。
カレイが釣れるかどうかは二の次。置き竿タイムを利用してみんなと楽しい時間を過ごすことが目的なのだ。
私は心を鬼にして、船長にカレイのポイントに移るように依頼をした。
「このままイシモチでいいじゃん!」
TAKEさんがまた同じセリフを口にした。
私は聞こえない振りをした。
このとき、彼の心の叫びに耳を傾けていたらあの悲劇は起きなかっただろう…。
 3年前の悪夢がふたたび
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| <ピリピリとした緊張感に包まれた船上の風景> |
ポイント到着後、アンカーを下ろしてのカカリ釣りがスタート。
凪の海に漂う船上は、前半の一触即発風の荒涼化した様相が一掃され、のんびりとした穏やかな時間が流れ始めた。
私は、2本の竿を軽くキャストしてそのまま置きっ放し、チューハイを手にして、今日ってもう全面的に楽しくて愉快だな的笑顔を周囲に向けながら談笑時間を満喫。
「やっぱりさ、こういう釣りもたまにはイイよな…」
「いや、たまにじゃなくて毎回でもいいな…」
「もしかして今日は人生最良の日かも知れないな…」
私は氷結果汁をチビチビとすすりながら一人で満足していた。
「カレイってどう釣るんですか?」こつぶさんが訊いてきた。
「仕掛けを投入したらそのまま放っておけばいいんです」と、私。
「そうです、あとはボーッとしてたまに聞き上げればいいですよ」KOBUさん。
「竿は動かさないの、手はおヒザ!!」まっちゃん。
アドバイスとして正しいかどうかは不明だが、我々は暗に「カレイよりも僕らの相手をして」というメッセージを込めていたのかもしれない。
そんな中、こつぶさんが自分のリールをゆっくり巻いていることに気付く。
それは明らかにエサのチェックをするためとは様子が違った。
もしや船中初の本命か!?
みんなの熱い視線を浴びながら海面に顔を出した魚は正真正銘、紛れもないマコガレイ。
しかも、36センチの良型。
それを見て、我々は会話を中断し、自分の竿の聞き上げを開始。
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| <間違いなく今日のチャンピンです、こつぶさん> |
<超個性派メンバーに挟まれて奮闘した池ちゃん> |
しかし、イシモチですら不調だった私にカレイなど釣れるはずもない。海の神様はそれほど甘くなかった…。
それはKOBUさんやまっちゃん、そしてTAKEさんも同じである。
いや、正確にいえばTAKEさんには私たち以上に厳しい現実が待っていたのだ。
「のぁおおあぁっ!!」(こおろさんの表現を拝借)
TAKEさんの悲鳴とも慟哭とも驚嘆ともつかない声が船上を駆け抜けた。
私は当初、なにが起きたのか理解できなかったが、KOBUさんがその一部始終を偶然にも見ており教えてくれた。
「た、TAKEさんのタックルが海に落ちました…」
「えっ、また!?」
あの事件は今でも鮮明に覚えている。
今から3年前の同じ3月、TAKEさん・KOBUさん夫妻・私の4人で臨んだカレイ釣行。
そのときも今日と同様にTAKEさんはタックル一式を海中へ水没させたのだ。だが、幸運にも私のハリにその道糸が絡み、サルベージの成功に至った。
そんな苦い経験もあり、TAKEさんはカレイ釣りが好きではないと思われた。
であるから、上述の「このままイシモチでいいじゃん!」発言につながったのだろう。
私は掛ける言葉が思い付かなかった。ただ一言だけ、
「また釣れるかも知れないよ…」
と、力なく慰めるしかなかった…。
船長はこのポイントにも見切りをつけた。
私は、今回もTAKEさんのタックルが釣れることを信じていたが、ついにその僥倖にも恵まれなかった。
無情にもアンカーは巻き取られ、船は別のポイントへと移動を開始した。
私はもう二度と魚を釣り上げることの叶わないタックルとそれを失った持ち主の心情を思い、鼻の奥がツンとした(ちょっとウソ)。
 バラモス系ラッシャー木村型船長
結局、女子チーム(男子1名含む)は全員が型を見ることに成功。
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| <まっちゃんのアドバイスでカレイをゲット!> |
<レポートが最高にイカしているこおろさんです> |
片や我々チーム横浜メンバーは、KOBUさん1人が唐揚げサイズを釣るにとどまる。
後半戦は私たちの完敗である。
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| <KOBUさん、渾身の一枚!> |
<すっかりヤル気を失っているまっちゃん> |
なんとなく今後の方向性というか進むべき道も明確になり、TAKEさんも用事があって帰りたそうだったので、私は船長に午後1時半になったら終わりにしましょうと申請を出す。
ところが、船長の反応は意外なものだった。
その顔には、「えっ、もう揚がっちゃうの!?もっとやればいいのにぃ…」というキモチがロコツに表れていた。
私個人としても、クーラーの中のアルコール類はすべて飲み干してしまい、あくびをするかお尻を掻くか空を見上げるくらいしかやることがないし、カレイは釣れないし、イソメは指噛むし、明日は仕事だしでいつ揚がってもオッケーというか、この瞬間に大島あたりで風速25メートルの強風が吹いて湾内の船は全船今すぐ帰港という状況になってもまったくモンダイはない立場であったが、船長のサービス精神はそれを許してはくれなかった…。
「それじゃこの近くにキスのポイントがあるから少しだけキス釣りをしましょうよ!」と、船長。きっとカレイの食いが今イチなのでみんな飽きたのだと判断したのだろう。
「あぁぁぁぁ、じゃあ少しだけ……」予想外の展開に為す術もなく、うなずく私。
ポイント移動のあと、想定外の第3ステージに突入。
しかし、シロギスからのアタリは遠く、キスもモチベーションも一向に上がらない。
ようやく1尾を食わせて、取り込みも成功させ、こつぶさんたちに自慢していたらハリから外れ「ポチャ…」の音を残してキスは見事に脱出に成功。
その瞬間に本日の釣りに対する戦意は消失し、道具の片付けを開始。
船長に、2時になったら今度こそ終わりにしましょうよ私たち、あなたの気持ちは十分に分かったし誰もあなたのことを責めたりしないわ、2時を過ぎたら別々の人生を歩み出しましょうよ、ね、お願いヨシオ(って誰だよ…)。という趣旨の嘆願をしたが、「えっ、まだやりましょうよ!ねっ、もう少しだけ…」とまだ船長の気力・体力・戦闘力のいずれも衰えておらず、ドラクエ3のバラモスや往年のラッシャー木村を思い出させるタフさに私は驚嘆した…。
ヨロヨロとオオドモ方面に移動して様子を窺うと、こおろさんがキスを取り込んでいる真っ最中。
釣果を訊くと4尾も釣っているらしい。
むむむっ、ヤルな…。
次にTAKEさんの元へ。
しばらく歓談をした結果得た情報は…、
1、こおろさんに自分のタックルを貸してあげたらそれで彼女はカレイを釣った
2、ホント、そろそろ揚がろうよ
3、ずっとイシモチやっていれば良かったのに
4、あのままイシモチをやっていれば俺のタックルが沈むこともなかったのに
であった。
なんとなく雲行きが怪しくなってきたので私は自分の席に避難した…。
午後2時半、ついに船長も本日の業務を断念。
私たちは悲願の沖揚がりを迎えることに成功した。
我々が勝利と自由を勝ち取ったのだ。
7時間以上の長時間にわたり、お付き合い頂いたちゃつぴさん・こつぶさん・池ちゃん・こおろさんに心から感謝申し上げます。
皆様はどう思われたか分かりませんが、私たちチーム横浜一同は非常に楽しく愉快な一日を満喫させてもらいました。
そして、もしも次回があるようならこれに懲りずにご参加頂ければ幸いです。
追伸 全国の女性釣り師の皆様、こんな私たちとの合コン(海陸問わず)のご希望があればご遠慮なくお知らせ下さい。もうメチャメチャ前向きに検討致しますです。わはは。
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