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MG森田コラム |
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1.〜SEEDのファーストコンセプトは10歳の子供が見てわかるガンダムであること〜
ガンダムっていう作品自体がどんどんリアリズムで道を極めていってしまった、 っていうのはそれはそれでコアなファンを生み出したんだけど、結果ハードルが 高くなってしまって、視野を狭めてしまったっていう点では功罪、相半ばでしょう。 だからSEEDでは、10歳の子供が見て素直に楽しめるっていう、その部分を 主にしていくことにしたんです。ミリタリー的なリアリズムであるとか、科学的な 整合性よりは、絵として見たときに子供にアピールしたいっていうことが強いので 設定的にはどうしてもうまく整合性がとれない部分もあります。映像としての 演出の要請が最優先なので、あとはなんとか理屈を考えましょう、考えつかない ものに関しては「思いつかなかったよ、ごめんね」っていうことでいくしかないだろう 、と 「SEED」では、要は世界観の枠組を作る論理の構造がいま現在に おける「宇宙世紀ものガンダム」とは完全に逆転しています。先に世界観 があって、そのなかに人型の兵器が」出てきたというのではなく、まず人 型 の兵器を作っちゃって、それから周りの世界を組み立てている。もう 完全に構造が逆になっているんです。つまり、その世界観自体がMSって いう兵器を肯定するために作られている(笑)天動説みたいなもんで MS原理宇宙論なんですよ、この世界ってのが。 誰もMSって存在に 疑問をさしはさむ人がいないっていう宇宙を作らざるを得なかった。 監督が「今回のガンダムは10歳の子供が見てわかるにしたい」という ファーストコンセプトがありましたので、ならば設定の理屈付けは優先順位 をさげちゃおう、そういう考え方ではじまってるんですね、作品自体が。 設定を突き詰めてやったとしても、それをフィルムに反映しないと、 おもしろさにはつながらないし、その部分に費やす「カロリー」はほかの 作業にまわしたほうがいいと思っているわけです。 2.コーディネーター 〜「ニュータイプ」みたいなもの?〜
コーディネーターとニュータイプは明確に違うものです。 コーディネーターっていうのは、人間も遺伝子のなかでいろいろな無駄が あったり、それから遺伝子上のミステイクによる遺伝病があったり というような問題を最適化することで、より人間として優れたものが 作れるんではないかっていうところからはじまっています。 ニュータイプとか強化人間のように、最初から戦闘人種として作られた という側面はありません。言って見れば、人間を最適化することで進化 への新しい階段が一段昇れるのではないかというひとつの試みです。 このような試みがなされたのにはふたつの側面があって、ひとつには 「人間はそろそろ種族として極まってきているのではないか」っていう 認識。それを前提として「遺伝子を最適化することで、それを乗り越え られるんじゃないか」という機運が盛り上がっていた。 ほぼときを同じくして、最初のコーディネーターであった、ジョージ・ グレンって人物が木星宙域を探査したときに、地球外の知的生命が存在 するという物証『エビデンス01』通称『くじら石』っていう地球外生物 の存在証拠を持ち帰って来た、そこで、人類がやがて地球から太陽系、 太陽系外へ出ていったときに、自分たち以外の知的生命体と接触をする ことがあるであろう、という可能性が出てきた。そのときに「ナチュラル なままの人類っていうのは、地球外の生命体と接触するのに必ずしも ふさわしいものではないのではないか?そのためにより優れる能力を 持った人間が立って、地球人と知的生命体との間を橋渡ししてやる必要 がある」という考え方が生まれるんです。 この橋渡しっていうのが調整役、すなわちコーディネーターです。 このふたつの機運があわさってきた ことで、相当数の遺伝子を最適化されたコーディネーターが世に生を 受けた。そういう設定を作ってあります。 ナチュラルとコーディネーター は肉体的にも知能的にも差があります。ただし、彼らはニュータイプの ような感応力はもっていません。完全に肉体的・知能的な能力差がある だけです。まず第一に、コーディネーターには遺伝病のような遺伝子上 の障害が起きないようにしてある。肉体的にも、筋力であるとか持久力 であるとか、知的能力に関しても、ゲノム解析をしてそれぞれの塩基配列 が遺伝子マップのなかでどういう役割をしているかほぼ解明された結果、 特定の能力を強化することで優れた人間を作るには作ったんです。 ただ,ニ世代、三世代と世代を進めていくと、どうもまだわかってない機能や 表現形が遺伝子のなかにあったということで、必ずしも繁殖率が高くない ことが明らかになってくる。コーディネーターを作ってはみたけれども、 種族としてやっぱり死に絶えていくんじゃないかと、物語は、そういう ところにさしかかっている状況です。 ちなみにキラは第一世代。第一世代ってのは、親が両親ともナチュラル。 アスランは第二世代で、両親がコーディネーターっていう世代です。 コーディネーターは三世代目からの繁殖率が急速に低下していて、その 状況をどう打破していくかってところで「より科学的なエピックを投入 することで乗り越えていきたい」とする一派、これはアスランのお父さん のザラのグループですね。一方で「コーディネーターを試しで作ってみた けれども、実験としては壮大な失敗をしてしまったらしい。失敗してしま った以上、もう一度ナチュラルと雑種交配することで、おだやかに種を またナチュラルにもどしていこうじゃないか」って考えているラクスの お父さん、クラインの一派との間で確執が起きはじめています。 3.MSの動力 〜「SEEDのMSは何で動いてるの?」〜 ほとんどのMSの動力は基本的にバッテリーです。充電して 動かすって考え方ですね。これは、監督の意向として、背中に くっついているストライカーパックをパワーパックにしたい、と。 で、パワーが落ちたらそのパックを交換することで、再チャージ したいと。 「それって『電童』じゃないですか?」って言われること もありますけれども(笑)ほかの4体よりストライクは稼動時間が 長いという描写もしていますが、あれはパックをつけ換えてるから。 29話の戦闘のときには三個連続でつけ換えて、イージスが先に 切れたりしています。ただし、バッテリーの稼動時間が何分とか 何十分とか、そういう設定は作りませんでした。物語上、この 時間のあいだ動いてくれないと困る、あるいはここで切れてくれ ないと困るっていうドラマでの要請を優先するかたちにしたので。 「タイムサスペンス」の作り方として、たしかにウルトラマンの変身 のように「何分で切れるからそれ以内にカタをつけよう」っていう 作り方もあるんですが、今回はそういうお話じゃないっていうこと だったので。その代わり、PS装甲も電力を食うので、たくさん 弾を食らったり、電力をたくさん消費する武器を多用すればそれ だけ稼動時間も短くなるっていう、その反比例の関係だけはちゃんと おさえておけばいいんじゃないかと。 バッテリー駆動MSは、母艦から発進する前に母艦からチャージ されています。いちおう表面の部材のなかにソーラーセルのパネル も貼ってあるので、それからトリクル補充電はできるようになって います。この世界では、太陽電池の変換効率が8割くらいあるって いうふうに設定しているんですが、それでもとてもすべての電力を まかなうことはできないので、あくまでも補助レベルの必要最低限 の機能だけ維持できるということですね。アークエンジェルなどの 宇宙船の電力は基本的にみな自家発電なんですが、ヘリウムの ベレットを使ったレーザー核融合は可能なので推進にはそれを使って います。ただし、Nジャマーは赤外線には影響を与えないということ にしたので、大量に赤外線や放射線を発生するレーザー融合を使うと 簡単に探知索敵されてしまい、なかなか思い切って使えないという 状況にしています。船内パワーについては事実上、無尽蔵ですね。 新ガンダムは5機のうち、核搭載はアスラン、キラの乗っている ジャスティス、フリーダムの2機だけです。カラミティ、フォビドゥン レイダーの3機は在来機です。核を使えるようになった理由は、 ニュートロンジャマーキャンセラーの御利益でっていうことです。 あえて新型機が電動じゃなくて核になった主な理由は、物語上、 パワーのインフレを起こさざるを得ないから。ただ、今回核を 登場させたのはそれだけの理由じゃなくて、物語自体が終盤に 向かっていくにつれ、核兵器の封印が解かれ、いままで使えなかった 大量破壊兵器が再び使えるようになることで生まれるサスペンス っていうのがあって、その部分に密接に関連するためでもあります。 電動と核エネルギーは、パワーというより、要はスタミナが異なる ということにしています。原子力潜水艦とディーゼル式潜水艦の違い に近いかな。 フリーダムが動いたときに「ストライクの4倍以上の パワーがある」ってなセリフをキラがぼろっと言ってますが、それは ちょっとどうかなって思ったんで、こちらのほうからも指摘したんです。 このセリフはちょっと危険な部分だと。でも、「危険な部分なんだけど これと聞く子供がよろこぶんだよ」って話が返ってきまして(笑) 子供が見てよろこんでもらうのが今回の企画のキモだからそれは スルーさせましょう、となりました。実際のところ、じゃあ何の パワーが4倍強いのかと言われると……なんて書いたらいいんだろう なあって困ってます(笑) たぶん、核エンジン使ってるからということで、動力源に関しては 無補給で、終盤までいっちゃうんじゃないかと思います。パイロットの 耐久時間であるとか、なかに積んである冷却材とかそういった消耗品の 耐久時間がもっぱらMSの行動時間を決定するというかたちになると 思います。 4.ニュートロン・ジャマー 〜MSが電力で動くワケ〜 じつは「Nジャマーってどういう仕組み?」って聞かれたら、ボクも何って 聞き返したいです(笑)いろいろとむずかしい機械ですね(笑) 中性子の動きをどうやって止められるんだ、それにそもそも止まっちゃっていいのか いうところも含めて(笑)仕組みはさておき、作用としては核分裂を止めます。 それから通信波、レーダーがなぜか(笑)阻害される。 核分裂を止めることでまず単純に核爆弾は抑止できる。それからいまある 核分裂型の原子炉も全部止まっちゃう。水爆に関しても、現在の水爆っていうのは 熱核爆弾をトリガーとして起動しますんで、水爆も抑止できる。ここで重要なのは SEEDの世界では核融合が成功していない、実用化に至っていないので、それを 抑止すればとりあえず、地上に対してエネルギー危機を招くことが出来る。 それから、核兵器の応酬というような物語を根底から破壊してしまう事態を 止めることができるということです。これについては、前にも言った通り後半の 展開にかけてちょこちょこと仕掛けた細工があるので、それをフィルムとして 見てください。 ニュートロンジャマーの有効範囲は厳密な数値として設定はしませんでした。 ただ地上に撒布されたものが3基もあれば地球全域がNジャマーの影響下に 置けるくらいの効力はある。 そうすると、ひとつで直径にして3000kmくらいの有効範囲がありますよね。 それを1万個以上のオーダーで地上に撒布したので、すべて回収することは 不可能。結果、地上はほぼ永久的にニュートロンジャマーの影響下に置かれ ているというふうに設定しました。 じつは、アークエンジェルにしろ、ザフト艦の戦艦にしろ、戦闘に入る前に 小型のニュートロンジャマーをチャフのように大量に撒布しながら戦うって いうのを考えたんですよ。使い捨てで非常に低コストのニュートロンジャマーを 撒布することで、完全に通信がジャミングできるし、核兵器を抑止しつつ お互いに有視界で戦わざる得なくなる。実際にはフィルムのなかでは そこまで描いてはいないんですけれども。 ただ、SEEDの世界ではNジャマーだけに頼ってるんじゃなくって、 ちゃんとECMもECCMも使ってるので、お互いスクランブルとジャミングを バリバリかけながら戦っているということにしてあります。レーダーのほうも 周波数ホッピングをしたり、ってのはセリフだけですけれど、そのあたりの ところで現在の実在するテクノロジーとのつながりってのは保ちたいな、 と思っています。 5. PS装甲z 〜実体弾を跳ね返す「魔法の盾」〜 PS装甲が生まれた、そもそものきっかけは、「ガンダムを無敵にしたい」と言われたんです、監督に(笑) 「無敵ですか?」って、もうオウム返しですよ(笑) 「それはまずいんじゃないですか?」 「いや、無敵にしたいんだ。弾なんか跳ね返す、『ビッグX』みたいなガンダムにしたいんだ。 何か方法を考えてくれ」ということで、「装甲の表面部材に特殊な加工がしてあって、物性が変化 することで、物理的な打撃に対してはほぼ無限大の抵抗力を発生する技術が開発された」という 設定を作りました。 で、物性の相転移だから、フェイズシフト=PS装甲っていう略号で 呼ばれている。 装甲が相転移するために電気を食うから、 バッテリーが落ちたら元の部材の強度に逆戻りするという制限のものにしています。 ここが物語を作る監督としてのさじ加減なんでしょうけど、「PS装甲駆動時はミサイルや砲弾を 跳ね返してほしい。でも、ビームが当たると壊れるようにしたい」と。「じゃ、ビームはどうやって 防ぐの?」って聞くと「それは盾で防ぐ」って。じゃ、その盾の部材で全部ボディを作ればいいって 突っ込みもあるんですけどね(笑)それに、盾がビームを跳ね返す……って言っても、その盾って 何で出来てるのか、僕もいまだにわかりません(笑)設定としては対ビームコーティングって書いて あるんですが、不思議な装甲です。いろいろネットで書かれてますからね、 専門の物理学者からも(笑) 「その設定を出して製作者側は後悔したんじゃないか?」って。 過去を悔いるような人にはこの仕事は 向きませんねぇ(笑) 実際出来あがったドラマを見るとうまく機能してるなと思っています。 子供の視点の話に戻りますが、「灰色だったロボットに色がつく。ついたときには力が出て弾をはね返せる」 っていう、 そのビジュアルは非常にわかりやすかったですね。 「あ、色がついたら戦う準備ができてるんだ」と感覚的にわかるでしょう。 6.バスターガンダム 〜出てる弾は何やねん?〜 監督としてはつなぐことでバッテリーが強くなればいいんじゃないのって言ってるんです けど、だったら最初からバッテリーを積んだ銃を2本持ったほうがいいんじゃないねーか って感じなんですが……フィルム上では撃ってるのはどちらもビームに見えるし、と指摘 したら、「いや、色で分けてるんだ」と(笑)実体弾とビームでは。それ意味ないんじゃないのと 私は思うんですけれども……(笑)緑系がレールガンなどの実体弾で赤いのがビーム砲、 弾は透過光の色で区別はしているそうで。 7.火気類 〜「レールガン」? 「リニアキャノン」?〜 SEED世界では、MSの武器の主流はやはり在来型の火薬砲です。ジンなんかのライフルは 普通に薬莢を吐き出す、76mmのライフル弾にしてありますし。 まあ、ビーム兵器ってのは、映像 的な表現法によりますけれども、正直なところかなりおもしろくない。火薬が炸裂して、薬莢が 吐き出されて、弾が当たったほうがドラマとしての迫力が出るというのは、ひとつの判断ですね。 ビーム兵器は総弾数が制約されているのではなく、パワーがパワーパックから供給されている ので、一定の量の電力を防御重視に使うか、攻撃重視に使うかによって、撃てる数が変わってくる っていう関係になっています。 リニアキャノンとレールガンっていうのは大体同じようなものです。あ、でもリニアキャノンは アニメ方言じゃないかな。これは、いわゆるローレンツ力で砲弾を打ち出す電磁砲ですね。 明確な区別をしても、物語上さほど意味がないなと思ったので。ひとつの原理の兵器なんだ けれども、使う国とか、作ったメーカーによってリニアキャノンって言ったり、レールガンって 呼んだり そのの程度の差別化しかしてないんだという考えかたです。 とにかく、リニアキャノン、レールガンは 非常に速い速度=亜光速で弾を撃ち出す大砲ですよ、というところに落とし込みました。 フォノンメーザーは水中用のMSの兵器ですが、位相のそろった音、いわゆる「音のレーザー」 として使っているもので、水中で破壊力が非常に高いという。でもなぜか空気中でも使われて しまった……(笑)媒質が異なるので空気中でどれくらい破壊力があるかわからないけど、 装甲を破壊するほどではないような気が……(苦笑) 陽電子砲はですね、「波動砲を作ってくれ」と言われたんですよ。でも波動砲とは書けないんで 陽電子砲ならいいんじゃないかと(笑) ほかのビーム兵器は、とにかくとりあえずビームを出す。 どんなビームかというと、破壊光線だという(笑)いいのかそれで?ってツッコミが……(笑) つまるところメガ粒子砲に代わるものなんですけれど、メガ粒子って設定としてよく出来てるんです よね、元になるミノフスキー物理学からして。で、同じようなものは作る気がしないし、作ってる 時間も ない。それに作ってみたところでフィルム上で説明することもないから、「じゃこれは ビーム砲だということで、許すよ」って。「許す」っていうのは私が自分で自分に対して言ったんです けれども(笑) ちなみに陽電子砲はPS装甲にも通用します。とりあえずこの世界の中での位置づけでは、 普通のビーム砲よりは破壊力が強い。むしろ強すぎるくらい。あくまでも実験兵器なのでアーク エンジェル 以外には積んでいません。 ただ、陽電子っていうのは物質と相互作用すると対消滅で放射能を 発生しちゃうので、そうそううかつには使っちゃいけないものなのに、なぜコロニーのなかで 撃つかな、 ナタル・バジルールは(笑) 地上ではマリュー・ラミアスが「地上に対する汚染が 生じるので使うな」 というふうな話をしているのに……(笑) 8.新型Gシリーズ 〜ストライクの4倍の強さって……?〜 ジャスティス、フリーダムは、ガンダムとは言ってもザフト製の機体なので、ほかの3体と 生まれが 違います。 ザフトがヂュエル、バスター、ブリッツ、イージス獲ってきたあとで、 そこから得たデータを 全部洗いざらい自分たちのものにして作ったのがフリーダムとジャスティス。 核動力も投入して、Nジャマーキャンセラーも入れて、プラント勢力の次期主力機として使えるようなMSとして作ったものです。 フリーダムとジャスティスはオーソドックスな機体ということで、性能的に明確な差別はないものとしています。 どちらもわりとまともな機体で(笑) とにかくプロトタイプを2種類作って運用をやってみて どちらかをもとに量産にかかりたかったんだろうな、そういうふうな感じです。 フォビドゥン、レーダー、カラミティの3機は、地球連合側の機体で、 これは最初の連合側のストライク以下5体のガンダムの設計が完了した時点ですぐに第二世代として設計がスタートした機体。 最初の5機のデータをフィードバックすれば、 シミュレーションでどの程度の性能のものが上がってくるかわかりますから、 さらにその上をいく機体を作らなければならない、っていうことで即座に試作に入っていたものですが、 5体のガンダムの戦闘データなどが第8艦隊とアークエンジェルが接触した時点でもたらされたので、 それを投入することでオーブの力を使わないで地球連合内部だけで独自に作り上げたものです。 フレームナンバーだけは生かしていますが、直接それぞれが進化したものとは言えません。 強いて言えば、たとえばカラミティはデュエル的な武装であり、 レイダーはどちらかというとイージスっぽかったりはします。 フォビドゥンは変り種で、ビームを曲げたりとか、敵のビームを偏向させたりとかする機能があります。 これまた、ある種最強の機体かもしれないですね。 9.MSの構造 〜モノコック?ムーバブルフレーム?〜 プラモデルで再現されているような、内部に骨格となるフレームがあって、 その周りにモジュールが くっついているっていう構造は考えていません。基本的には、 モノコック構造に近いとは思いますが…… 外側に外骨格のフレームがあって、 なかにさまざまなメカニズムを収めてるっていうオーソドックスな 作りで考えています。 まあ、設定というよりは、きっとそうだろうなっていう個人的な見解です。 10.ガンダム 〜ガンダムチーム?〜 5機でチームを作るっていう前提ではなくて、あくまでもそれぞれ競争試作の機体が5種類あったという考え方をしています。 ですから極端なことをいってしまえば、公式の設定ではないですけれど、 5つのメーカーから出された、5つの回答としての5種類のガンダムなんでしょう。 それぞれ特徴的な機体なので、オーブで作ったあとは公試をやって、 どの機体がもっとも有効に活用できるのか、そのデータを量産機へのフィードバックするということを前提にしていると思われます。 まず、デュエル、ストライク、それからバスターっていうのは、 変形を一切しないフレームっていうのが、機体の基本構造にあります。 ストライクは、シンプルなフレーム構造に対して、 特化したデタッチャブルなウェポンの付け替えで戦況に応じて性能を変えていく機体、 デュエルは、非常にプレーンでオーソドックスな作りの機動歩兵として考えられた機体、 そして、バスターは、最初から長距離砲戦用に特化して作られたものです。 イージスは、モビルアーマーに変形してしまうような変形フレームを入れてあるんで、 これはまったく別の設計思想から生まれてきた機体。 ブリッツは、機体のフレーム構造自体はストライク、バスター、デュエルと同じ固定フレームなんですが、 それに対して、「ミラージュコロイド」という特殊なステルス機能を追加しているので、 またこれもちょっとほかの4機とは特性を異にしています。 じつは5機の連携運用ってのも考えてました。まず、イージスが本当にイージス艦的な働きをする。 そしてほかの4機がそれぞれ特性に応じて、デュエル、ストライクを前面に立てて、 バスターが砲撃支援しブリッツは後方に潜入するかたちで5機でチームを作ればうまく運用できるんではないかと。 結果的には イージスもほかのMSと同レベルの機体になったので、あくまで脳内設定に留まってますが。 11.ミラージュ・コロイド 〜ガンダム忍法、隠れ身の術!〜 これは特殊な分子構造のコロイド粒子を機体の周辺に展開させ、電場によって固定することで、姿を消している。 じゃあ、具体的に姿を消す原理はというと、単に光学的な屈折ではなく、光自体の封じ込めみたいなことをどうもやっているらしい。 やっているらしいというか、それ以上はもう説明のしようがないんですけど(笑) それを赤外線レベルでも実現しているので、感知することは一般的には不可能。 ただ、電場の装甲がPS装甲と相容れないんで、PS装甲を使うためにはミラージュコロイドを解除しないといけないという、 盾と矛の関係を設定として盛り込んでいます。 そうしないと本当に無敵の機体になっちゃってちょっとバランスが崩れるんで……(笑) でもブリッツは物語中で有効に機能していないので、そのあたりには不完全燃焼な感じです。 12.アストレイ 〜Gシリーズの隠し玉?〜 アストレイは、地球連合が早急にMSを戦争に投入したいがために政治力の横車を押して オーブに技術協力をさせたときに、オーブのほうとしてはそのままじゃおもしろくないので、 逆に地球連合側から持ち出された技術をうまく横からさらうかたちで独自に完成させた機体。 ただ、どうしてもPS装甲だけはブラックボックス化されていて実現することができなかった、 という設定です。 13.ストライクの脚部 〜摩擦係数も瞬時に計算?〜 (砂漠戦のときのストライクの動きについて)あれは、全身のサスペンション、 ショックアブソーバーといったものをアクティブサス的に見直すことをやったという、それだけの話。 だから別に足の裏にスパイクがあるとか、そういったものがあるという設定はないです。 身長18mのガンダムだと、サスペンションをフルで伸ばした状態と縮めた状態では、 たぶん最大高と最小高で2mぐらい差が出るんじゃないでしょうか。 伸ばした状態でんと着地してサスペンションを沈み込ませ砂の挙動に合わせて戻すという その作業をキラはマニュアルでやったと、そういう設定ですね。 バクゥに関しては、4本脚のほうが2本脚より単にふんばりが効いているというぐらいにしたんですよ。 砂漠の兵器の話になってくると、キャタピラは砂にはやっぱり弱いっていう話もあるし、 そのあたりはじつは微妙なんですけれども、子供が見たときに直感的に「そうだよね」って思わせるのを大切にしてやりたかったので。 だからバクゥがキャタピラで走ったほうが速いのかっていわれると、 それはちょっと……本当にそうなるかどうかっていうのはわかりません。 砂漠の戦いっていうのは、映像的にどうしてももったりした絵になりやすいんですよ、砂に足をとられて。 そうではなくてスピーディーな展開をさせたいっていう点で、「リアリズム」ではなくて「リアリティ」をとりました。 バクゥは子供たちに対して非常に魅力的に映ったようです。 監督としては、まあ、ゾイドが好きだったんだろうけど(笑) ついでに言うと、じつは、バクゥのCG作ったにはゾイドやってた人です。 14.通信 〜「ミノフスキー粒子はないけれど……」〜 SEED世界では、いろいろな通信の仕方があります。 まず、距離が充分近ければ、Nジャマーの影響下にあっても通信波が伝わるし、 遮蔽物がなければ当然レーザーによる通信もできる。それからもちろん有線通信も生きているというふうにしてあります。 あと、ニュートロンジャマーは赤外線を阻害しません。 特殊な概念として導入している『熱紋』というものがありますが、 いろいろな機体にそれぞれ固有の熱パターンっていうのがあって それを解析すれば潜水艦の音紋と同じように機体を特定できるというようにしたんです。 レーダーの精度が 落ちたぶんを補うために、そういったものの技術が向上しているんですね。 通信に関しては自己ツッコミになっちゃうんですが、 アークエンジェルがオーブに入港したときに、アラスカに電話かけりゃいいじゃないかっていうのがあったりもします(笑) 無線通信できなくても電話をかければいいんじゃないか、と。 ただ、どう絵を想像してもですね、マリュー・ラミアスがアラスカ基地に「もしもし、こちらはアークエンジェル、マリューです」 って電話するシーンがサマにならないので却下されました(笑) 海底ケーブルは通じているだろうから、 地上は電話で通じるんじゃないかと思ったんですが……「無線に頼りすぎだよ、キミたち」っていうのは意外と盲点ですねぇ。 15.サイクロプス・システム 〜「ソーラレイ・システム」?〜 まずオーダーとしてあったのは、敵をおびき寄せて味方もろとも破壊してつぶす兵器。 でも、核兵器は使えないということで、じゃあとりあえずマイクロウェーブで焼いちゃいましょうか、という兵器です。 どうでならとんでもないものがいいってことで、直径が何kmもあるような、 でっかいパラボラをどんと据えて唖然とするようなもんいしてやろうと思ってたんですが、 本編ではちっちゃいパラボラがたくさん並んでいて 「それじゃサイクロプス(=ひとつ目)じゃないじゃん!」って(笑) うまく意図が伝わらなかった。 こまかい素子がたくさんあってもカメラを引けば全体としてひとつのパラボラ面を形成していればいいかなと思ったんですけど。 基地の構造はアメリカのNORADが元ネタです。 プラットフォーム全部をサスペンションで支えて核攻撃クラスの衝撃に耐えられるような構造で作ったという、 でもこの世界では前世紀の遺物のような設備です。 サイクロプスが起動すると、水分子を含んだ物質は、溶融する。電磁波による熱兵器ってことになると思います。 16.プラント 〜「新世代コロニー」?〜 話の根っこから言えば、いわゆるオニール型のスペースコロニーっていうのが、 宇宙世紀ガンダムのキービジュアルであった。 で、まずそれとは異なるキービジュアルがほしいっていうところからこのようなかたちが出てきました。 オニール型コロニーではないもので宇宙に人が住む世界っていうのを作りたい。 で、ステジオぬえの宮武一貴にそういう新しいコロニー像なはいかっていうオーダーをしまして、 上がってきたのがああいうかたちのものであったというわけです。 独特なものなので、最初は「みんなどうかな?」とも思ったんですが、見ているうちにみなさん見慣れたみたいですね。 「ああ、これはザフトの世界だ」と、思っていただけるようになったのはたいへんよかったと思います。 基本的な機能は宇宙世紀世界のコロニー と同じです、宇宙居住空間ですから。 構造的な特徴としては、ハブを中心にすれば一対ずつ増やせるところで 4個まわったり、6個まわったり、8個まわったり、 最終的には円盤状に360度ぐるっとまわるような形状になるはずなんですよ。 ただそこまでのものが作られていないだけで。 もちろん回転して重力を得ていますが、側面の構造材が要は新素材、宇宙素材の物質を使っているという前提なので、 ああいうフラスコ型のものでそれに、オニール型のコロニーの印象っていうのは、 やっぱり アメリカ人の考える宇宙都市像なんですよ。なかに広がっているのがアメリカの田園風景なんですね。 それが私にしても宮武にしてもつまらない。これはアメリカ的な価値観に毒されすぎじゃないか。 もっと違う 宇宙都市像もあるんじゃないかと。 それに監督からもコーディネーターの世界はユートピアに見えてほしいという要求がありました。 「ユートピアはやっぱ水が豊かじゃないといけないでしょ?」っていうところから地中海の沿岸のリゾート地のような、 そういう都市がだーんと広がってるキレイな風景が出てきたんで、これは大成功でしたね。 私は好きです。∀のときの月コロニーとコンセプトはいっしょなんですけれど、 とにかく水がたくさんあれば空気も食べ物もどうにかなる、と私は思ってるんで。 水をたくさん保持できて しかも人間の精神衛生にうまくいい影響を残せるような環境を作んまくちゃいかんのじゃないかな、と。 そのためにはオニール型コロニーってのはちょっとどうなのかなと思うんです。 ここだったらすんでみたいなって思わせるような世界を作りたかったんです。 オニール型のコロニーにはね、あまり住みたくない、なんかね(笑) 構造が維持できているということにしました。 ――より引用
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インタビューウィズ森田 公式ガイドブック編 >>純粋に物語を楽しむ<< |
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――今回森田さんは特殊設定というお立場で「SEED」に関わられていますが、 特殊設定とは具体的にどのようなことをされているのでしょうか 昔はSF設定って呼ばれてたんですよ。それが設定スーパーバイザーと呼ばれる ようになったり、設定考証と呼ばれたりもしました。 やってることは変わらないん だけどね。肩書きだけがコロコロ変わってるんです。 今回の「SEED」の場合も 最初は設定考証という肩書きで行く予定だったんです。でも確かに設定の考証は しているけど。それだけではゼロから設定を作ったりもしてます。他の人が 考えないような特殊な設定を作っていたりもするので「今回は特殊設定でお願い します」というという形になったんです。 だから何か変な設定や用語が出てきたら おおむね私の仕事だと思ってください(笑)。
――制作中は、まず初めに設定があり、それにそってスト―リーが作られていくので
しょうか。それとも、出来上がったストーリーの矛盾をなくすため、設定を考えて
いく作業になるのでしょうか
企画段階で監督の方からまず、世界観や物語の大枠の説明がそれに対してまず 大きな基本となる設定を提示していきます。それとは別に各話ごとに細かな設定も 作っていきます。脚本が上がった段階でより細かな設定をつけたり、世界観に矛盾が 生じているような設定に関しては修正を加えたりしています。当然、脚本の打ち合わせ にも毎回参加しています。 例えば今回、ガンダムの色が発進時に変化するという設定があります。あれなんかは 監督の方から「今回のガンダムは色が変わる、色が変わったら強くなる」みたいな ことを言われて、その設定に知恵を絞るのが私の仕事だったりするんです。
――設定を考えるという作業において、理科系の専門知識だけでは成り立たないことも
あると思います。職業上でそれ以外に要求されるスキルを教えて下さい
確かに理科系の知識だけでは成り立たない職業ですね。いちばん重要な要素は バランス感覚なんです。 理科系の知識は勿論使っていますが、それだけでいいのなら 専門家や学者さんに監修してもらえば済むことです。私達が作っているものは 創作物です。しかもビジュアルの創作物なんです。映像にしたときに視聴者が面白いと 思ってもらえるようなものをいかに盛り込めるか、というバランス感覚が大事なんですね。 それをないがしろにしてしまうと設定だけ突出してしまって映像に全く反映されていな かったり、台詞で難しい理屈だけを説明しているような作品になってしまうわけです。
――森田さんが最初にSFに興味をもち出したのはどのようなきっかけからだったのでしょうか
私の場合の入り口は子供の頃に見ていた「鉄腕アトム」や「鉄人28号」なんかの漫画や アニメだったと思います。アニメが次々と作られていった世代ですね。ちょうど、現在の 大ベテランのSF作家の方達が当時アニメのシナリオライターとして活躍されていたんです。 でも子供だった私にとってSF作品を見ているという意識はなかったですね。単に「変な話」 という捉え方で、そういう科学的な変な話が面白いな、と感じている時期があって、その後 小学生になって活字の「変な話」にはまっていきました。その頃、子供のためのSF全集 みたいのが出回っていたんです。気付いたらそんな本ばかり探して読んでいました。 その後はもう一直線です。
――森田さんは今回アニメ本編以外にもコミック、小説で展開中の「機動戦士ガンダムSEED
ASTRAY」という「SEED」外伝の設定考証もされていますが「ASTRAY」での関わられ方を
教えてください
私が担当させていただいたのは「ASTRAY」に登場するジャンク屋と傭兵の基本設定あたり です。あと「ASTRAY」というシリーズタイトルも考えました。結構あっさり決まったんです。 単純にかっこいいものということで。ちなみに「ASTRAY」は「はぐれもの、邪道」といった 意味です。 「ASTRAY」では「SEED」本編では描かれてない部分や狭間の部分を補完出来ればと考えて います。両方合わせて見ていただければ、違った楽しみがあると思いますよ。 例えば本編で死んだと思われていたアルテミスの司令官がコミックの中では生き延びて 活躍したりもしています。今後はもっと「SEED」と「ASTRAY」の絡み合いが増えてくると 思います。
――特殊設定というお立場から今後の見所を教えて下さい
実は第16話のシナリオは私が書かせてもらいました。戦闘の多いストーリー展開だった ので、わたしが書いた方が早いのではないかということで。 もっと言っちゃうと本編が 進んでいくうちに、自分も書きたくなっちゃったんです(笑)。結果として更に忙しくなり 自分で自分の首を締める形になってしまいました。 視聴者の皆様には設定を楽しむのではなく、ストーリー展開やアクションを楽しんで欲しい ですね。 「公式ガイドブック 機動戦士ガンダムSEED−運命の再会−」角川書店刊より引用
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ガンダムSEEDオフィシャルファイルメカ編 森田繁(特殊設定)インタビュー抜粋 |
1対4の戦闘 バスターはどこで魅せる? もう、昔みたいに毎回同じアクションをやって、同じ必殺技でOK、って時代では なくなってますから。毎回、新しいアイデアを入れなけりゃいけないんです。私はアク ションが好きなんで……用はたてなんですけれど、提案すればするほど、現場は大変で (笑)。 ガンダムが5対いるでしょう。で、戦いは1対4ですね。これに、アクション としての花をもたせなきゃならないんですから。 基本的には因縁があるから、ストライクとイージス、ストライクとデュエルが戦って ……ブリッツは、特殊能力があるから、ときどき出張ってきて。ただ、バスターはね、 大変なんですよ。砲戦用だからなかなか前線には出ない。1対3で戦ってるのを、はるか 彼方から見てて、攻撃する。ドラマには絡まねーじゃん、って(笑)。 それに、ビーム砲と実体砲が合体するんだよ、って監督から聞いたときには目の前が 真っ暗になりましたね、理屈はどないすんねん、と。子供は合体が好きだから、結構バス ターって人気が高いんですけどね。 それに比べて、デュエルはパイロットが派手な割りに、期待は意外と地味なんです。 基本的な武器だけで、目立つものはない。要は、「ちくしょう、来週こそは見てろよ!」 って役回りの機体なんですよ(笑)。 ファースト世代からの『反発』はむしろ望むところ? こんなことを言うと、反感を買うかもしれないけど……ファーストの世代からそっぽ 向かれれば、それだけビジネスとしては成功しそうな気がしますね。「お達者ガンダム」 みたいになったら、マーケットが尻すぼみになるのとイコールだから。子供がストライク のファンで、父親がRX−78のファンで、どっちが強いかと親子ゲンカをしようもん なら、シメシメですね。 読者の方へのメッセージですか?あなたが平成生まれの方ならば、この作品はあなた たちのものだ、と。昭和生まれの方なら、この作品はあなたの子供たちのためのものです、 と。もし子供がいないなら……早く結婚して子供を作りなさい、ということかな(笑)。 |