
「遠ざかる花のように」
遠ざかる花のように
君は逃げてゆく
五月雨の中を走り
紫陽花が咲き乱れる丘に
君を捕まえようと
ぼくは走り出す
すべてを捨て 走り出し
君を捕まえようとしたとき
振り返ると なにもなくなっている
前を見ても なにもない
もう ぼくにはなにもない
そう
君さえも消える
「会いたい」
君は消えてしまった
ぼくの目の前から消えてしまった
声はまだ耳に残っているのに
気持ちはまだ心に残っているのに
君は消えてしまった
どうすれば会いに行けるんだろう
毎日そんなことばかり考えていた
そして今でも考えている
どうすればまた君に会えるんだろう
会いたい
会いたい
「遠い街の中」
遠い街の中
ぼくはしゃがみ込んでいた
ぼくの花と誰かの花が並んでいる
空を見上げたら
たくさんの星が出ていた
なぜ一人で見ているんだろう
星が綺麗だったから
そんなことを思った
君もぼくを見ているのかもしれないね
一人で
「メリーゴーランド前の道化師」
メリーゴーランドの前で
道化師がおじぎをしていた
メリーゴーランドの前は
黒山の人だかり
メリーゴーランドの前を
髪にリボンをつけた女の子が通った
メリーゴーランドの前に
死体がひとつ
女の子はもういない