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1:対米戦までの道のり

14:付記3・対独戦を目論むアメリカ?

 よく言われる説として、こういうものがある。
「アメリカはドイツとの戦争を開始したかった。だから、ドイツの同盟国である日本を追いつめ、対米戦を開始せざるを得ないようにしたのだ。日本がアメリカを攻撃すれば、それでアメリカはドイツとの戦争を開始できるから」

 このように言う人は少なくないが、しかし、これは事実と相違する。
 つまり、日本がアメリカを攻撃したとしても、それはアメリカ対ドイツの戦争には直結しない。
 したがって、アメリカがそのような意図で日本を追い込むことも、あり得ない。少なくとも、論理的には。



 それでは、説明する。

 そもそも日独伊三国同盟とは、共同防衛を約したものである。攻守同盟ではない。
 したがって、アメリカの方から日本に対して宣戦した場合、ドイツ・イタリアはアメリカに対し宣戦する義務を負う。しかし、逆に日本の方からアメリカに対して宣戦した場合には、ドイツ・イタリアには宣戦の義務は生じない。
 歴史上は、日本が対米戦を開始した後、ドイツ・イタリアもアメリカに対して宣戦している。なのだがこれは、何ら条約上の義務がないにもかかわらず、いわば同盟国に対する好意として、行われたものにすぎない。

 故に可能性としては、日本が真珠湾攻撃を行った後も、ドイツ・イタリアがアメリカに対して宣戦しないこともありえた。そのような義務はないのだから。
 また義務があったとしても、当時のナチス・ドイツは、自国の都合でいきなり条約を破棄するような国だった。だから、例えば「日独伊三国同盟の平和的意図を踏みにじり侵略戦争を開始した日本」を非難して、真珠湾攻撃直後に日独伊三国同盟を一方的に破棄することもあり得た。

 つまりアメリカから見れば、日本がアメリカを攻撃しても、それはドイツとの戦争にはつながらない。



 同様に、「日本に攻撃させて、日本の同盟国であるドイツに戦争を仕掛ける口実とする」という策略も成立しない。
 理由は上記と同じ。
 そんなことをしたら、本当に戦いたい相手のドイツとは戦争できず、戦わなくてもいいはずの日本とのみ戦争するという、滑稽な事態に陥りかねない。

 そもそもドイツは、アメリカと戦争したくないが故に、日本と同盟を組んだのである。日本の軍事力を抑止力としようというもくろみで。
 しかるに日本が対米戦争を始めてしまったら、もはやドイツには、日本と同盟している意味は皆無である。故に、平気で条約を破る当時のナチスドイツなら、日本を平気で見捨てるだろう。
 合理的に考えれば、そういう結論になる。
(史実のナチスドイツは、その合理的な行動をとらなかったのだが)。

 そういう訳で、やはりこのようなアメリカの陰謀は存在しなかったと、作者は考える。






<以下、2004年3月30日・訂正>



 各国の単独不講和について。

 日本が、大東亜戦争を開始した後、日本・ドイツ。イタリアは、単独不講和と新秩序建設を誓約する協定を結ぶ。
 「日独伊共同行動協定(単独不講和及び新秩序建設に関する日独伊三国協定)」。1941年12月11日調印、12月16日公布。

 アメリカとイギリスから「強制された」戦争を完遂する。相互の完全な了解がなければ、講和・休戦は行わない。戦争が勝利に終わった後も、新秩序建設に協力する。
 そういった内容。

 外交的には、このような協定があるために、日本はアメリカへの和平を進めることが出来なかった。日独伊三国同盟そのものの規定からではなく。
 と、そういうことになる。



(以上、当初誤りを書いていました。お詫びして、訂正します)。






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