○伊集院光(いじゅういん・ひかる)

 タレント。本名篠岡健(旧姓田中・・・ムコ養子)。
 
 「一族の中ではボクは小柄な方ですから」と本人が豪語するほどローレル指数が高めな東京・下町の一家(父はライオン社員)の次男として生まれるが、基本的に家族とは不仲。(最後に実姉と交わした会話は 姉「クツ脱ぎっぱなし」 伊集院「死ねよ」 らしい)

 中学まで成績優秀だったらしいが、高校受験でまさかの失敗。付近では有名な××高校である都立足立新田高校に入学、高校球児として甲子園を目指すが(笑)あっさりと挫折。たちまちスクールエスケーパーと化して引きこもり、いろいろあった挙げ句に「一生古典落語」をやっていこう」と決心し、三遊亭楽太郎に弟子入り。時期に高校も中退し、「三遊亭楽大」の名前で修行に励んでいたが、これも挫折。
 だが、ふとしたきっかけで出たニッポン放送主催の「ギャグオペラ選手権」で優勝したのをきっかけにニッポン放送の若者向けラジオパソナリティとしてカルトな人気を博すことになる。

 以降、「はなきんデータランド」(笑)あたりをきっかけにTVにも進出し、「ホリプロのデブ担当」として無難な位置を獲得しつつあった伊集院だが、90年代半ばにスタッフとの不仲が高じて当時の看板番組「伊集院光のオーデカナイト」が打ち切り。
 事実上ニッポン放送から追放された所をTBSに拾われる。(現在放送中の「深夜のバカ力」はこのとき放送開始)

 こうして書くといかにもな「ただのデブタレ」な伊集院だが、その認識は甘い。
 伊集院の真価は「さんま御殿」あたりのヌルいキャラではなく、彼本来のフィールドであるラジオで発揮される。

 何かと「芸能界のオタ担当」的な扱いを受けやすい伊集院だが、そのラジオでのキャラ売りには多分に「オタクに成りきれなかった人間から観た、オタ的<ブサイク>への撞着」がかいま見え、さらに彼のラジオのファンの大半は紛れもなくオタ層である(投稿の内容や、ファンサイトの内容から考えてまず間違いない)
 
 例えば伊集院は自分が「田中君ってカブトムシのニオイがする」と好きな女の子から言われた記憶を平然と話す。
 半年に一回はうんこを漏らすことを誇らしげに告白する。
 そして、「タイタニック」で涙する人間を叩く、「笑う犬」で笑う人間を叩く、宇田多ヒカルや平井堅を「ケツの穴に棒アイスを突っ込んだような歌い方」だと罵倒する。
 伊集院のスタンスは基本的に「モテない・ブサイク・オタク」の立場から「モテる・オシャレ」な層を「自虐的に」ねらい打つことで成立しており、こういう「ボクはブサイクでモテないから」というスタンスは小中学をバイキン扱いで育ったケースが多いと思われるオタ層に絶大な支持をもって迎え入れられている。
 
 だがここで重要なのは伊集院光自身は明らかに「オタクではない」ということだ。
 ここでの「オタクではない」ということはどういうことかというと、流行のテキストサイトに行けばどこでも出会えちゃう「萌え」感覚を共有出来ることを前提とした連帯感・開き直りみたいなものをかなり嫌悪しているのではないかということだ。
 具体的にいうと伊集院は「オタク」層に愛情こそ持っているがおそらく「評価」はしていない。

 伊集院にとって「オタク・ブサイク」であることはやっぱり「負の価値」なのだ。
 それは伊集院のギャグが「自虐ネタ」としてしか存在し得ないこと。つまり「フツーの人・オシャレ」を「見上げる位置」に居ないと効力を発揮しないことから考えても明らかだ。伊集院のギャグはまず自分たちを「弱者」と規定することからはじめることを要求するギャグである。

 確かに伊集院はゲームに詳しい、アニメやマンガにもそこそこ詳しい。野球やアイドルに関しては相当なマニアだ。「オタ文化」自体にはかなり理解があることは明白だ。だがその一方で伊集院はギャルゲーやオタドルの存在に関して「童貞のタマキンを抜くようなことはやめろ」と、かなり批判的だ。
 これが何を意味するか?

 それは伊集院の「自虐ギャグ」を構成するヒエラルキーというのは実は「オタク・非オタク」の階層ではなく「モテる・モテない」の階層でできているということだ。伊集院にとって「オタク」というのは「モテナイ」要素の1形態に過ぎず、多分、世の中で一番大きな問題は「どう恋愛欲求を処理するか」だと思っているタイプの人間なのだ(ある意味間違っちゃいないかも)。伊集院が「自虐」の対象とするのは正確にはブサイクでもだめ人間でもなく「恋愛弱者」である。

 そんな伊集院にとって、自分が愛すべき「ブサイク」とは当然「モテたいなあ、でもモテないなあ、でもやるしかないか!」と果敢にアタックしていく存在(ヒエラルキーの中で、上昇を狙う存在)であり、やもすれば「どうせ現実にこんな娘はいないし、ホンモノの彼女つくるよりカネかからないし」みたいなヤセ我慢を口にするギャルゲーマー系のオタク(ヒエラルキーに組み込まれていることこと自覚できていない・したくない・かといって脱出もできていない存在・・・ってオタクの最大ボリュームだよね)は相当「可愛くない連中」なのだ。

 毎週月曜深夜、「ボクのようなデブチンのブサイクは」とうそぶく伊集院光。
 彼のスタンスに共感を覚えたオタは数多いだろうが、伊集院が使う「ボクたち」に本当に自分は入っているのだろうか一度真剣に点検してみることをお勧めする。
 元オタク、又はオタクに成りきれなかったオタクという立場から、「恋愛」のもつ強力なプレッシャーをギャグにし続けるアジテーター、それが我らの伊集院光であり、決して「ギャルゲーマー的な開き直りの擁護者」ではない。だが、この残酷なまでの「すべてはモテるためである」というスタンスが「自虐ギャグ」という形を取った途端、広くオタ層から支持を集めたことの意味は重要だ。やせ我慢してる「理論派」ギャルゲーマーのみなさん、本当は気づいているんじゃないですか(笑)

 個人的には伊集院のこの立場は条件付きで支持、といったところだろうか。
 「全てはモテるためである」という現状認識自体は間違っていないし、ギャルゲーマーに対する評価もほぼ同じだが、岡田斗司夫型でも小谷野敦型でも、恋愛自体を相対化して賢くやってく・・・みたいな方法はすごく難しいけどアリだと思っているので(笑)

 あと、蛇足かもしれないが彼の奥さん、篠岡美佳ことMIKAは和歌山のホテル王を父にもつ元B級アイドルである。(文責 地域通貨13オシリをもつ男)

 付記:ちなみに筆者はかつて(ほんの一時期)「深夜の馬鹿力」への投稿に凝っていた時期がある。「チャーチル」というペンネーム(当時飼っていた黒猫の愛称)で「中二病」や「だめ人間」などで採用された経験有り(自慢) お暇な人は某イジューインネットで探して見て下さい。

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