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解説
まずはじめに断っておかねばならないこととして、私はこの「オーラバトラー戦記」の角川スニーカー版をまだ読んでいない。
元々この「オーラバトラー」は角川ノベルスから新書版で発売されていたが、新書版の絶版から数年後、大幅(?)な加筆・修正を経て角川スニーカーに収録されたといういきさつがある。
このスニーカーへの収録は、たしか93年頃にも企画されたはずだったが、その時は何らかの事情(想像は大いにつくけど)で流れてしまい、8年もの歳月を経てやっと昨年実現したものである。
で、残念ながらこの「大幅加筆」されたらしいこのスニーカー版を私はまだ読んでないので以下の解説は左の写真とは裏腹に新書版に基いたものとなるのであしからず。
さて、この「オーラバトラー」 クソ長い上に最近まで絶版状態だったので読んでいる人は少ないと思うが、おそらくは「閃光のハサウェイ」に次ぐ、富野小説の傑作である(と、個人的には思っている)
まず第一に「ダンバイン」を観た方は分かるだろうが、「ダンバイン」は後半の、敵味方の軍が地上に出た後が面白くない。だが、この「オーラバトラー」は最後までバイストン・ウェルで決着がつく(「ダンバイン」でもあった「東京上空」のエピソードはあるけど)・・・そう、あの「ダンバイン」前半の緊張感のある独特の空気が、最後まで持続するのだ。 そして第二に、我等の愛する「富野イズム」が、地上とバイストン・ウェル二つの世界を比較した一種の「文明批評」として、もう「これでもか」っていうくらいたっぷりと味わえるのがこの「オーラバトラー」戦記である。特に「東京上空」のエピソードの描写は秀逸である。
そして最後にお待たせの「みどころ」は・・・ネタバレになるので多くは書きませんが、私はこの小説で「輪姦」という言葉を知りました(笑)
●オーラバトラー戦記 (全11巻)
86年(「ZZ」の頃)「リーン」終了を受けて今は亡き角川の小説雑誌「野生時代」に時々載っていた長期連載にして、富野小説最長・全11巻の大ボリュームを誇る(御大将自ら「小説には適度な<長さ>とうものがある」と述懐)バイストン・ウェル最大の物語。
その内容は平たく言えばこれら全ての「バイストン・ウェル物語」のはじまりと言える「聖戦士ダンバイン」の焼き直しであり、ドレイク、マーベル、バーン、ニー、ショット、そしてチャム・ファウ等の主要登場人物がほぼそのままの役どころで再登場し、ドレイク・ルフトがその野心を遂げるべく征服事業に乗り出すという後半の展開もまた、「ダンバイン」そのままである。
だが全体の約3分の1を占める4巻までの展開は「ダンバイン」にはないオリジナルの「オーラバトラー開発前史」ともいうべきものであり、主人公もショウ・ザマではなく城毅となっている(設定はほぼ変わらないが、ショウよりもかなりしっかりしたキャラになっている)
昨年発売された角川スニーカー版が現在でも入手可能。











解説
確か小5か小6の頃、月に一度か二度来る移動図書館(確か「ナウマン」っていう名前だった)の車中で、「あ、ガンダムだ!」と思って反射的に手にとったのが講談社版「ゼータ」の第二巻・・・借りたはいいが「ゼータ」の基本設定も何も知らないままに読み始めた(しかも2巻から)せいでさっぱりワケがわからず、でも文中に登場する「アムロ」「シャア」「カミーユ」という単語に反応して喜んでいた・・・それが私と「富野小説」の出会いだった(笑)
まあ、そんな思い出話はともかく、左でも書いたようにもっとも「アニメ版」に近い内容で書かれた(ああ、「ガーゼイ」もそうか、でもアレはなあ・・・)この「ゼータ小説版」。お陰様でいわゆる「ネタ」になるような描写は(アニメと被るところ以外)あまり見当たらない。
が、その反面、「それなりに読めるジュニアノベル」としては相当いい出来なような気もする。
特に一巻冒頭の閑職に回されたブライトや、スウィート・ウォーターで暗躍するシャアなどの描写は例えば「スパロボ」等の彼らの描写では決して得ることができない「ああ、これなんだよ、これ」というオリジナルならではの感動を味わうことが出来る。
これも左でも書いたが「ゼータ」は各話演出がダメな回が多く、(最終回のゼータハイパー化とか)その点を考慮してもこの小説版を(相対的に)評価してもいいと思う。
●機動戦士Zガンダム (全5巻)
TVの「Zガンダム」の放送に併せて出版された富野御大将自らの手によるノベライズ版。
いわゆる「富野原作小説」の中ではもっともアニメ版に準拠した内容になっているので、「ゼータのストーリー知りたいけど、ビデオ13巻観るのヤだな〜」という人にもお勧め。特にアニメ版の「ゼータ」は演出的に???な回(話は全般的に面白いと思う)が結構あるので、この小説版の方が雰囲気が出ているかもしれない。
何故か玄人筋からは評判の悪い(って、いうかあまり言及されない)この「ゼータ」小説版、写真はお馴染みの角川スニーカー版だが、85年の放送時に出版されたのは講談社からの新書サイズ(の変形)版で、表紙はあの永野護が描いていた!! 個人的には圧倒的に永野版の表紙が好きなのだが、取り込みが面倒なのでこっちに(リクエストがあれば差し替えますよ!)
ちなみに「ZZ」小説版(スニーカーに収録)を担当したのはアニメ版メインライターの遠藤明範。御大将は「原案」となっている。
解説
「リストリー」とは「繰り返す物語」だそうです(笑)
解説も何も、古本屋で買ってすぐに一読して、そのまま今日まで手に取らなかった(その間約7年)ものですから。
文章はこのあたりからかなりこなれて来たが、はっきり言って話は面白くありません。似たような情況の話でも「オーラバトラー戦記」の東京上空エピソードはすごく面白かったのに・・・やはり御大将には花や蝶だという世界より、生首ブッとび腕がちぎれる世界の方が御得意のようです(笑)
●ファウ・ファウ物語(リストリー) 全2巻
「リーン」に続く「バイストン・ウェル小説」第二弾。地上(我々の住んでいるこの世界)に何故か飛び出してしまったミ・フェラリオ(妖精)のファウ・ファウと、人間の少女、エミコちゃんとの心の触れ合いを描いたハーフルな一作です(笑)
角川スニーカーに入っていましたが、現在はやはり絶版・・・。
解説
この「リーンの翼」、左で書いたように「小説作品」として今読むには相当な忍耐を要するだろう。なんせ、これを読んだ当時、私が一番面白いと思ったのは6巻のあとがき代わりのインタビューだったくらいなのだから。
が、しかし。
「富野御大将の爆発的な個性を堪能する」という目的に限定した場合、この「リーン」はまさに「宝の山」である。
まず一巻の冒頭から語られる主人公の「慰安所」での(!!)初体験、局部に蛇を突っ込まれた状態で初登場するヒロイン、海賊行為の末、相手の舟に乗っていた中年女性とその年端もいかない娘を輪姦してしまう味方兵たち、そして後半でまるでそれこそ「オモチャ」のように弄ばれ、悶絶死する主人公の相棒のフェラリオ(妖精の少女)・・・・!!
これで文章さえもう少し・・・と思わずに居られない富野中毒患者垂涎(色んな意味で)の展開は、数多き富野トラウマ作品の中でも屈指の破壊力を誇っている。
そんな「リーンの翼」、個人的には「イデオン」と並びコレクション時にもっとも苦労した作品としても思い出深い。最終6巻だけがどうしても見つからなかったのを、当時同じ高校に通っていた本サイトレビュアーの鬱田氏が部活の遠征先の古本屋で発見、お土産に買ってきてくれたのだ。その購入金額は僅か100円(笑)
諸行無常を感じました。
●リーンの翼 (全6巻)
「ダンバイン」の開始と同時に執筆が開始された初の「バイストン・ウェル物語」シリーズの小説。富野が本格的に小説を書き出すのはこの「リーン」以降である。
富野御大将にとってこの「バイストン・ウェル」シリーズはガンダムと並ぶライフワークと言われており、そういった意味でも重要な作品(のはずなんだけどね・・・)
内容は太平洋戦争末期、特攻隊員だった主人公の迫水が、米軍艦に突入と同時にオーラロードを通り、戦乱吹き荒れるバイストン・ウェルにワープするというもの。以降、異界から現れた「聖戦士」として活躍する迫水の姿が描かれる・・・が、前2作同様、小説としては相当辛い出来と言わざるを得ない。
アニメではまだまだ隠れている、富野御大将の「凄まじい部分」を知るためのテキストとしてはこの上なく有用なのだが。
角川ノベルスから刊行され、スニーカー文庫にも入ったはずだが現在は共に絶版。マメに古本屋を回るしかない。
解説
この「イデオン」小説版の見どころは何といってもコスモがキッチンを撃ち殺してしまうという衝撃の展開でしょう!!
いやあ、さすが御大将、当時から「美少女殺し萌え」は全開ですな。
それも主人公自らの手でちゅど〜ん、とは(笑)
具体的にどういうシチュエーションでそうなるかは是非みなさんの目で確認してやって下さい。
まあ、更に「しろはた」風にポイントを挙げるなら1巻の冒頭でカララへの熱きリビドーを抑えきれず悶々とするギジェの内面描写でしょうか。
おそらくこのシーンを指して、当時まだ御存命だった「アニメック」のムックかなにかが「我が国の文化空間では本当に貴重な青春小説である」みたいな書き方をしていたのが思い出深い。果たしてあの記事を書いたライターは本気だったのだろうか、それとも、当時まだそう言う言葉は存在してなかったと思われる「褒め殺し」を時代に先駆けて行なったのだろうか? ・・・多分、本気なんだろうな、だって「メック」だし(笑)
追記しておきますと、アニメ版の「イデオン」の迫力を期待して読むとあまりにも悲しくなります。
高校の頃、3巻だけがどうしても見つからず、別の街に住んでいた友人に探してもらった記憶が(笑) 柴田、サンキュー!!
●伝説巨神イデオン (全3巻)
「ガンダム」のヒットに乗じて同じく朝日ソノラマから発売された「イデオン」のノベライズ。
TV版とストーリーの大筋は変わらないが、細部はかなりオリジナルの展開を見せている。
「ガンダム」同様後に角川スニーカー文庫に収録されるが、こちらのイラストはあの後藤隆之氏(「赤ちゃんと僕」や「ぼくの地球を守って」などの作画監督で有名なアニメーター)だったりする。
個人的には後藤版の方が好みだが、たまたま持っているのがこっちなのでこちらの写真を掲載。シェリルさんが怖いので帯付きです(笑)
現在は絶版だがブックオフでは結構見かけます。
解説
見所はなんと言ってもU巻でセイラさんに童貞を喰われるアムロでしょう(笑)
なんてったって、これで我等がアムロ君は神奈川クリニックのお世話になったかのように「自信」をつけてしまい、U巻の後半じゃあさっそく年上美人(クスコ・アル)を落としにかかっていますからね。
そんなアムロ君も御大将の「調子づいてんじゃねーよ」という親心からか、あえなくV巻で新兵に撃たれて戦死。
月に残されたフラウの、齢15にして3人の子持となってしまった姿はなんとも泣けます。
個人的には角川版U巻の岡田斗司夫氏の解説が秀逸。V巻の御大将自らのあとがきも併せて、「ああ、あの頃って、みんな本気だったんだなあ」と多少の憧れとともに痛感する。
80年代がはじまろうとしていた頃、「アニメ新世紀宣言」という「時代」があった。そういう歴史的資料として本書は貴重である。
●機動戦士ガンダム (全3巻)
記念すべき富野小説第一弾。
およそ20年の永きに渡り純真無垢な青少年にトラウマを与えつづける富野小説黒歴史はここからはじまったのだ!
ファースト・ガンダムブーム華やかなりし頃、当時殆ど唯一のジュニアノベル(って言葉はまだなかったけど)だった「朝日ソノラマ文庫」(当時はまだ緑色の背表紙でしたね〜)から全三巻が発売された(写真は後に発売された角川スニーカー文庫版)
TVとは全く違うショッキングな展開(解説参照)は当時話題に。御大将が後に述懐することには最初はSFマガジンに持ち込んで断られたとか。
でも、今の日本SFの悲惨な情況を考えるとこれでよかったのかもしれない。なんといっても現代日本のジュニアノベルの歴史は、角川の「ガンダム」収録によって大きく加速したことは紛れもない事実なのだから・・・。
現在も、角川スニーカー文庫で容易に入手出来る。ただ、「小説」としては内容以前に文章に難がありすぎて・・・。
「G3」や「シャア専用リック・ドム」など、「ギレンの野望」の元ネタとして読んでみるのもいいだろう。

〜接触編〜