returnNICE-study
1.研究の経緯・目的
糖尿病は高血圧・高脂血症とともに動
脈硬化および心血管系疾患の重大なリスクファクターであり、死亡率を高めることが明らかとされている。しかも、世界の多くの国々では糖尿病の罹病率が高
く、社会的な疾病負担は膨大である。
糖尿病の治療目的は、1)三大合併症である細小血管障害(腎症、網膜症、神経障害)だけではなく、2)動脈硬化の進展による臓器障害の発現を抑制
し、心血管系合併症と死亡を予防することにある。過去20年間、糖尿病の病因と病態に関する研究、治療効果に関する研究、及び疫学的研究が精力的に行われ
た結果、より効果的かつ効率的な生理的な血糖コントロールが重要であることが明らかとなった。そして、最新の血糖コントロールに関する情報は、世界保健機
関(WHO)、米国糖尿病学会
(ADA)などによる糖尿病ガイドラインとして、世界中の医師に提供されてきたところであり、わが国でも、日本糖尿病学会により日本人に特有の生活様式、
合併症の頻度などを考慮した糖尿病治療ガイドが作成されている。
調査によれば、糖尿病患者の最大の直
接死因は心血管障害であることが事実である。しかし、DCCT、UKPDS、KUMAMOTO-study等の研
究調査では、厳格な血糖コントロールが糖尿病性細血管障害の発症進展を防ぐことが明らかになったが、大血管障害に関しては有意な結果が得られなかった。最
近、DECODA-study、DECODE-study、Honolulu-study等で大血管障害には食後の高血糖が関与していることが明らかにさ
れてきている。そこで最近使用が可能となった超速効型インスリンによる食後血糖の改善が、糖尿病患者の大血管障害の予防をきたす可能性が示唆される。ま
た、たとえ欧米での結果が判明しても、日本人では生活様式、合併症の頻度などが異なることから、直ちにその結果をわが国で応用してよいかどうかについては
不明な点が少なくない。そこで、わが国においても大規模臨床試験を実施し、日本人を対象としたレベルの高いエビデンスを、患者数の多い臨床病院が中心と
なって確立する必要がある。
このような現状を鑑み、わが国におい
て、高リスクである糖尿病患者での心血管系イベントの発生を指標に、1)超速効型インスリン(インスリンアスパル
ト[ノボラピッド])、2)従来の速効型インスリン(R)による両者の強化療法の有効性を比較検証する目的で本研究の多施設・非盲検無作為群間比較試験
(Multicenter
Open Label Randomized Controlled Trial)が計画された。
2.研究対象薬剤
1)超速効
型インスリン:ノボラピッド
2)速効型
インスリン:ペンフィルR、ヒューマカートR等(バイアル、ペン、
キットは問わない)
ただし、必要に応じて中間型、遅効
型、持続型インスリンを併用しても構わない。
3.対象患者
3.1対象患者
下記の選択基準を満たす2型糖尿病患者
3.2選択基準
下記の1)〜3)の条件をすべて満たす患者を対象とする。
1)年齢20歳以上85歳未満の外来・入院患者で、性別は問わない。
2)日本糖尿病学会の診断基準に基づく2型糖尿病。
3)現在の治療は特に問わない、切り替え症例も認める。
3.3除外基準
1)1型糖尿病の患者
2)同意日前6ヵ月以内に脳血管障害(脳出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作、く
も膜下出血など)の既往のある患者
3)同意日前6ヵ月以内に心筋梗塞の既往のある患者
4)PTCA,CABGが予定されているか、同意日前6ヵ月以内に施行された患者
5)β遮断薬、カルシウム拮抗薬での治療を必要とする冠動脈疾患
(狭心症等) 患者
6)心房細動または心房粗動を有する患者
7)腎機能障害を有する患者(血清クレアチニン≧3.0mg/dL)
8)肝機能障害を有する患者(AST,ALT≧100IU/L)
9)同意日前5年以内に悪性腫瘍の既往のある患者、あるいはその疑いのある
患者
10)妊婦または妊娠している可能性のある患者
11)その他、担当医師が不適当と判断した患者(治療上患者コンプライアンス
等を含め、速効型インスリンや超速効型インスリンの頻回注射療法が使用
が困難な患者等)
4.患者の同意
担当医師は、登録までに、本研究につ
いて以下の内容を患者本人に説明し、参加について同意を患者本人より得るものとする。(各病院の倫理規約に乗っ取っておこなう。同意書類を作成するが、各
病院独自のもので可とする)
1)本試験
は心血管系合併症の発症(再発)をどのくらい予防できるかを調べるこ
とが目的であること
2)割付薬
剤投与期間は2007年12月までで、薬剤は超速効型インスリン(ノボ
ラピッド)と従来の速効型いずれかの2種類であり、中
間型、遅効型、持続型
インスリンの併用は随時可能であること
3)割付薬
剤は無作為に決められること
4)他の治
療方法もあること
5)本研究
への参加は自由で、参加しなくても不利益を受けないこと
6)本研究
へ参加した場合でも、いつでもやめられること
7)割付薬
剤を途中で中止した場合でも、その後の経過について調査されること
8)プライ
バシーは保護されること
9)本試験
は倫理委員会により審査、承認されたものであること
5.研究デザイン
下記2群の非盲検無作為群間比較試験(Open
Label Randomized Controlled Trial)とする。
1)UR(超速効型インスリン)群:ノボラピッド×3回/日
2)R3(速効型インスリン)群:*速効型インスリン×3回/日
*速効型インスリンはどの製剤を用いても構わない。
両群とも中間型、遅効型、持続型インスリンの併用をしても構わな
6.1登録
担当医師は、選択基準を満たし、除外
基準に抵触しない患者に関する以下の項目を大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科EBMセンターに、登録用紙、
インターネットまたはファックスで登録する。
1)登録票記載日、担当医師名、施設名・診療科名、同意取得日、カルテ番号、
患者イニシャル、性別、妊娠および
閉経の有無、生年月日、外来患者かど
うか
2)登録時の血糖、食後2時間血糖(可能であれば)、HbA1c、1-5AG(可能で
あれば)
3)選択基準の心血管系リスク因子
4)除外基準のチェック
5)患者背景:身長・体重、糖尿病を指摘された時期、割付薬剤投与前使用薬、
高血圧の家族歴、喫煙、飲酒の習慣、合併症、既往歴(選
択基準の心血管系
リスク因子以外)
6)検査:
7)〜8)に示した検査が登録前3ヵ月以内に行われ
ていない場合は登録時
までに実施する。9)〜13)は随時追加する。
7)臨床検査:
(空腹時血糖)、食後2時間血糖、HbA1c、(1
-5AG)、血清クレアチニン、
総コレステロールor
(LDLコレステロール),トリグリセライド、HDLコレ
ステロール、尿蛋白、尿中微量
アルブミン/尿中クレアチニン
8)眼底所見(NDR、SDR、prePDR、PDR)、レーザー照射の有無
8)心電図
9)胸部X線(*実施可能施設のみ)
10)頚動脈IMT (*実施可能施設のみ)
11)PWV(脈波伝搬測度), ABI(=API) (*実施可能施設のみ)
12)心血管系疾患(心筋梗塞、狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作、動脈硬化
性末梢動脈閉塞症)の既往または合併症を有する患者
については、登録時の
当該疾患の病状
13)神経障害の有無(MCV、SCV 、f波:左正中神経を基準 *実施可能施設
のみ)
6.2薬剤割付
割付は封筒法で、主治医がランダムに
割り付ける。予め、目標症例数を大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内・EBMセンターに報告し、その数に見合っ
た割りつけ封筒を主治医に送付し、主治医がランダムに割り付ける。
割付薬剤投与開始までの血糖降下治療
については従来治療を継続する。割付薬剤投与開始後は、他の血糖降下薬の併用は禁止する。(アカルボース、ボグリボース、チアゾリジン系薬剤、ビグアナイ
ド薬)
7.血糖コントロール目標と投与量
7.1血糖コントロール目標
空腹時血糖126mg/dl以下、HbA1c6.5%
以下を目指す。
超速効型群では食後血糖180mg/dl以下を目指
す。
7.2割付薬剤の投与量
上記コントロール目標に至るよう、投与量の変更に関しては主治医の判断
に任せる。
必要によって、インスリンのテーパリング・中止は構わないので、その
旨報告する。
7.3併用薬剤等
1)併用可能薬:上記の併用禁止薬および条件付き併用可能薬以外の
薬剤の投与は自由とする。
2)併用療法:標準的な食事療法、運動療法、禁煙等の併用療法については特に
制限しない。
8.調査期間
調査期間は対象患者が登録されてか
ら、2007年12月までとする。必要があればその時点で、協議の上延長を再考する。
9.評価
下記の評価項目については、イベント
評価委員会(「17.8」参照)が割付薬剤をマスクしたまま判定する。
9.1主要評価項目
心血管系のイベント(以下のうち最も早期に発現したイベント)
1)突然死:急性発症で24時間以内の内因死
2)脳
:脳卒中、一過性脳虚血発作(下記診断基準を参考)の新規発症また
は再発
3)心臓:急性心筋梗塞の新規発症または再発、心不全、狭心症(下記診断基
準を参考)の新規発症、増悪または再発
4)ASOの新規発症、ASOに基づく足の切断、動脈硬化性末梢動脈閉塞症
(Fontaine
分類第2度以上:下記診断基準参照)
------------------------------------------------------------------
一過性脳虚血発作(TIA)の診断
1.TIAの局所経症候は24時間以内(多くは1時間以内)に完全に消失する。
2.発作の起こり方は急速(多くは2〜3分以内)である。
3.症候
a)内頸動脈系のTIA
(1)症候は身体の半側に現れる(運動・感覚障害、一眼の視力障害・消失、
失語など)。
(2)発作回数は少なく、発作毎の症候は同じ。
(3)脳梗塞を起こしやすい。
b)椎骨脳底動脈系のTIA
(1)症候は身体の両側、半側など多彩。
(2)脳神経症候(複視、めまい、嚥下障害、両側視力消失、半盲など)
(3)発作回数は多く、発作毎に症候は変動する。
(4)脳梗塞を起こすことは少ない。
4.単なるめまいのみではTIAと診断しない。
------------------------------------------------------------------
狭心症の診断:次の2つの基準をともに満足するもの
1.ニトログリセリンなどの即効性硝酸剤が有効な狭心痛発作(胸痛、胸部絞
扼感など)が労作時または安静時に起こる。
2.発作中または運動負荷時の心電図上、有意な虚血性ST変化を認める。
------------------------------------------------------------------
閉塞性動脈硬化症 Fontaine分類
第1度:四肢の冷感・しびれ感
第3度:安静時疼痛
第2度:間欠性跛行
第4度:指趾の潰瘍・壊死
------------------------------------------------------------------
9.2副次評価項目
1)糖尿病性網膜症の悪化
2)糖尿病性腎症の悪化:血清クレアチニンのダブリング(2.0mg/dL以下
はイベントとしない)、血清クレアチニン≧4.0mg/dL,ESRD(endstage
renal
disease:透析移行、腎移植など)
3)MCV、SCV、f波の変化
4)全死亡
5)総頚動脈のmean
IMTの変化
*max
IMT(a)の両側1cm(b,c)とすると(a+b+c)/3
6)脈波伝搬測度の変化PWV(rt
& lt baPWV), ABI
7)インスリンからの離脱率
10.調査項目
調査は以下の事柄について行う。
1)6ヵ月毎の調査
2)中止・脱落時の調査
3)心血管系イベントの調査
4)有害事象の調査
5)コメント他、連絡事項
10.1【6ヵ月毎の調査】
投与開始日
から6ヵ月毎に、以下の項目についてその期
間の情報をインターネット調査票に入力またはファックス調査票に記入し大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科EBMセンターに送信する。
10.1.1薬剤
割付薬剤
1)薬剤名、1日目投与量およびその投与期間、注射状況
2)併用薬:併用薬の有無、薬剤名、1日投与量、併用期間
*降圧薬、強心薬、抗血栓薬、抗狭心薬、抗不整脈薬、抗高脂血症薬、
副腎皮質ステロイド、痛風・高
尿酸血症治療薬などの経過に関与する
可能性がある薬剤のみ
10.1.2検査項目
1)空腹時血糖、随時(食後2時間)血糖、HbA1c、1-5AG
2)その他臨床検査:
血清クレアチニン、総コレステロール、トリグリセライド、HDLコ
レステロール、尿蛋白、尿中微量アルブミン/尿中クレ
アチニン
10.1.3有害事象
有害事象が発現した場合は以下の内
容を記した【有害事象調査票 自覚症
状・他覚所見】あるいは【有害事象調査票 臨床検査値異常変動】をインタ
ーネットまたはファックスで送信する(重篤な有害事象
は10.4、心血管系イ
ベントは10.3として報告する)。
有害事象名(自覚症状項目、他覚所見項目、臨床検査値異常変動項目)、重
篤であるかどうか、臨床検査値に異常
変動がある場合にはその値、割付薬剤
との因果関係およびコメント*
*:可能な限り、回復するまで追跡調査を行う。

有害事象とは、医薬品が投与された
患者に生じたあらゆる好ましくない医
療上のできごと(臨床検査異常変動も含む)を指し、このうち医薬品との関
連を否定できないできごとを副作用
とする。
〔因果関係判定とその基準〕
1)関連が否定できる:時間的に相関関係がない場合、または原疾患、合併
症、併用薬、併用処置など他の
要因によると考えられる場合
2)関連が否定できない:「関連が否定できる」の定義に該当しない場合(評
価材料不足の場合も含む)
10.2【1年毎の調査】
6ヵ月毎の調査項目に加えて、以下の項目の検査を実施し、投与開始日から1年毎にインターネット調査票に入力またはファック
ス調査票に記入し送信する。
10.2.1 6ヵ月毎の調査項目に加える検査
1)心電図
2)眼底所見
2)IMT(実施可能な施設のみ)
3)PWV(実施可能な施設のみ)
4)胸部X線(実施可能施設のみ)
5)神経所見(左手正中神経のMCV,SCV,f
派:実施可能施設のみ)
10.3【心血管系イベント発生時の調査】
心血管系イベントが発生した場合、速
やかに以下の内容を記した【心血管系イベント調査票】をインターネットまたはファックスで送信する。また、イベント評価委員会の判定用に当該イベントが起
こったと判断した根拠を記した【心血管系イベント詳細調査票】をインターネットまたはファックスで送信する。
10.3.1心血管系イベント
イベント名、発現日、処置、転帰
およびコメント*
*:可能な限り、回復するまで、あるいは試験終了時(2005年12月)
まで追跡調査を行い、関連
する検査項目の値(推移)等も記載する。
突然死:急性発症で24時間以内の内因死
脳 :脳卒中、一過性脳虚血発作の新規
発症または再発
心臓 :急性心筋梗塞の新規発症または再発、心不全、狭心症の新規
発
症、増悪または再発
血管 :動脈硬化性末梢動脈閉塞症の新規発症または増悪
心血管系以外の原因による死亡
10.3.2心血管系イベント詳細
起こったイベント毎に、その判断
基準となりうる自覚症状、他覚所見、
経過、臨床検査値、X線所見、心電図、運動負荷心電図、心エコー、血管
造影所見、CT,MRIなど
10.3.3腎、網膜症イベント
1)
腎障害:血清クレアチニンのダブリング(2.0mg/dL以下はイベントとし
ない)、血清クレアチニン≧4.0mg/dL,
ESRD(透析移行、腎移植など)
2)眼底出血、レーザー照射
10.4【重篤な有害事象の調査】
発生した有害事象が重篤と判断された
場合、速やかに以下の内容を記した【重篤な有害事象調査票】をインターネットまたはファックスで大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科EBMセンターに送信する。
10.4.1重篤な有害事象
重篤な有害事象の定義:以下に示すあらゆる好ましくない医学的事象で、割付薬剤との因果関係は問わない。
1.死亡
2.死亡につながるおそれのあるもの
3.治療のために入院または入院期間の延長が必要となるもの
4.障害
5.障害につながるおそれのあるもの
6.1〜5に準ずる重篤なもの
7.後世代における先天性の疾患または異常
有害事象名、投与開始日、発現日、処
置、記載時の転帰、割付薬剤との因果関係およびコメント*
*:可能な限り、回復するまで追跡調査を行う。
10.5【中止・脱落時の調査】
割付薬剤の使用中止または患者が長期
にわたり不来院となった場合、速やかに以下の内容を記した【中止・脱落時調査票】をインターネットまたはファックスで大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌
内科・EBMセンターに送信する。
10.5.1中止・脱落
中止・脱落の分類、中止・脱落の理
由、中止・脱落日およびコメント
1)中止:担当医師の医学的判断、または患者の申し
出により割付薬剤の投与が中止された場合
2)脱落:患者の同意撤回または患者が来院しない場合
3)中止理由:(1)心血管系イベント、(2)有害
事象(過度の血圧低下含む)、(3)降圧不十分、(4)その他
4)脱落理由:(1)同意撤同、(2)来院せず(転院を含む)、(3)その他
なお、患者が来院しない場合には、電話もしくは手紙にて患者の現状を確認する。
その結果、有害事象あるいは心血管系イ
ベントの発生が確認された場合には該当調査票をインターネットまたはファックスで大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科EBMセンターに送信する。
10.6【コメント他、連絡事項の調査】
コメントや連絡事項のあるときには、【コメント他、連絡事項記載用紙】をインターネットまたは
ファックスで大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科EBMセンターに送信する。詳細は調査票を参照のこと。
【調査スケジュール表】
|
|
登録 |
6カ月毎 |
1年毎 |
… |
中止・脱落 イベント発生 |
|
患者背景 |
◎ |
|
|
|
|
|
薬剤調査 |
◎ |
◎ |
◎ |
… |
◎ |
|
HbA1c、 食後90分血糖 *空腹時血糖 *1-5AG |
◎ ◎ ○ ○ |
◎ ◎ ○ ○ |
◎ ◎ ○ ○ |
… |
◎ |
|
臨床検査** 心電図 |
◎ |
|
◎ |
… |
◎ |
|
胸部X線 |
○ |
|
○ |
… |
|
|
IMT PWV |
○ ○ |
|
○ ○ |
… |
|
◎:必須
●:登録前3ヵ月以内の検査値がある場合は不要
○:実施可能施設のみ(登録時に、3ヵ月以内の検査値がある場合は不
要)
*患者には
できるだけ90分になるよう病院に来院するよう話す。
*1-5AG
は可能な限り行う。
11.必要な対象者数
これまでに報告されている諸種の成績
から、R3群の心血管系イベント発生率を60イベント/1000人年と見積もった。UR群のイベント発生率減少効
果は40%と考える。
本試験で予定している登録期間1年間、登録期間終了後3年間の追跡、全試験期間における追跡不能者の割合を20%、アルファレベル両側5%、検出力90%
とすると、1群約250名、試験全体として500名の登録が必要となる。また、AM群のイベント発生率、CA群のイベント発生率減少効果等の見積もりを
誤った場合でも、500名を登録できれぱ70〜80%程度の検出力を確保できる。
以上より、登録期間1年半で最低500名、可能な限り
600名の対象者を登録することを目標とする。
早期動脈硬化指標としては、IMTに関しては、5年後
0.1mmの差(SD=0.2)で各群100例あれば充分な有意差(p<0.05)が得られる。また、PWVに関しても1000cm/s v.s.
900cm/s (SD=200)で各群100例あれば充分な有意差(p<0.05)が得られる。
12.解析
12.1解析対象集団
解析はintention-to-treatの原則に
もとづいて、実際に注射した薬剤の注射状況、途中での薬剤の変更等に拘らず、登録割付された全参加者を解析対象集団とし、割付通りに解析する。
12.2中間解析
登録が終了してから1年後に、主要評価項日(9.1項参照)である心血管系イベント発生率についてUR群とR3群の比較を目的とした中間解析を
実施する。中間解析結果は独立データモニタリング委員会のみに報告し、独立データモニタリング委員会は中間解析結果にもとづいて、試験運営組織に試験の中
止、継続、試験実施計画の変更、に関する勧告を行う。
検定を行う際のアルファレベルは両側5%を用いるが、
中間解析を実施する際の調整には、O'Brien-Flemingタイプのアルファ消費関数を用いる。
12.3主要な解析
12.3.1主要評価項目
主要評価項目(9.1項)である心血管系のイベント発生率をUR群とR3群で比較を行う。解析は割付に用いた糖尿病合併の有無を層として
行う。イベント発生率の検定には層別ログランク検定を用い、Kaplan-Meierの方法により生存曲線を描く。また、層別Cox回帰により単純な2群
のイベント発生率の比と信頼区間を求め、それをイベント発生率減少効果に変換して報告する。アルファレベルおよび信頼区間を求める際の信頼係数はアルファ
消費関数で調整した値を用いる。
12.3.2副次評価項目
9.2項に示す副次評価項目のうち、イベント発生率については主要言平価項目と同じ解析を行う。早期動脈硬化指標(IMT,
PWV)の退縮については、実施可能施設のみのデータであるため、探索的にUR群とR3群を比較するのみにとどめる。割付治療からの離脱率は2群で割合の
差と信頼区間を求める。いずれの解析もアルファレベルは両側5%、信頼区間は両側95%信頼区間を用いる。
12.4副次的な解析
主要評価項目および副次的評価項目の
うちイベントに関しては、性、年齢、および選択基準(3.2項)に記載した心血管系リスク因子で調整したCox同
帰を実施し、UR群とR3群との間のイベント発生率減少効果および95%信頼区間を求める。
12.5付随研究による探索的な解析
本研究のデータを有効に活用するため
に、本研究の関係者(諸委員会委員、研究協力医師など)にデータを公開し、付随研究(サブスタディ)を実施する。
ただし、本研究のデータから結論を強く主張できる項目は主要評価項目に限られるため、全ての付随研究は探索的なものと位置付け、解析は大阪府済生会中津病
院 糖尿病内分泌内科・EBMセンターが行う。
本研究データを用いた付随研究を希望
する場合は、検討したい内容をコンセプトシートにまとめ、大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内・EBMセンター
に提出する。大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科・EBMセンターは、提案のあった付随研究の内容と実施方法について、提案者とともに検討する。
13.診療費用
本研究の検査費、薬剤費は日常診療の
範囲内であることから保険診療とする。
14.健康被害が起きた場合の対応
本研究で使用するインスリン製剤はすでに市販されている医薬品であるため、本研究に定められた
用量を担当医師の指示に従って服薬して重篤な副作用が発現した場合には、日常診療の場合と同様に医薬品副作用被害救済制度による救済給付申請の対象とな
る。
その他の副作用に対する治療は、保険診療とする。
15.研究実施期間
2002年
4月〜2008年3月(登録期間:2002年1月〜2003年3月)
16.プロトコルの修正
17.研究実施体制---計11施設--
17.1研究代表者
大阪府済生会中津病院 西村治男
(試験の運営に責任を持ち、試験を円滑に推進するため、各委員会間の調整を行う。)
17.2研究責任者
大阪府済生会中津病院 前
田康司
17.3特別顧問
京都国立病院
葛谷英嗣院長先生
17.4顧問
和歌山赤十字病院 西 重生 先生
和歌山赤十字病院 花岡郁子 先
生
淀川キリスト病院 馬場泰人
先
生
(試験の推進に関し、研究代表者に助言を与える。)
17.4運営委員会
和歌山赤十字病院
山本先生
福田クリニック 福
田先生
小
松病院
大橋先生
小
松病院
森先生
岸
和田市民病院 加
藤先生
奥
田医院
奥田先生
前
田医院
前田先生
大
阪府済生会中津病院 新谷先生
(プロトコル、調査票、同意文書等を作成し、試験の運営および管理を行う。試験の運営上必要な
最終決定はすべて本委員会が行う。)
17.5推進委員会
大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科 岡有紀江
(試験参加者の登録を円滑に進めるため、運営委員会と参加施設との連絡に
あたる。)
17.6プロトコル作成委員会
大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科 西村治男
大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科 奥田譲治
大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科 前田康司
大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科 新谷光世
(プロトコル案、調査票案、同意文書案等を作成する。プロトコル、同意文書等の改訂が必要と
なった場合には、運営委員会からの指示により、改定案を作成する。)
17.7イベント評価委員会
奥田医院
奥田譲治
(本委員会が定める「心血管系イベント評価基準」に基づき、薬剤群をマス
クしたもとで心血管系イベントの評価を行う。)
17.8試験統計家
本試験の統計解析は独立して同志社大学情報文化学科(Kyoto.Japan)に委託して
群をBlindにして解析をしてもらう。
大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科EBM研究セ
ンター
17.9大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内科・EBMセンター
(各委員会開催の日程調整、準備、資料作成、参加施設や委員の経理に関する事務などの中央事務
局機能を担う。患者登録や薬剤割付などの登録業務を行い、試験の進捗状況を把握して試験の質の管理・保証などのデータマネージメントを行う。試験の運営に
問題が生じた場合には改善策を指示し、運営委員会の指示により実施する。)
17.10独立データモニタリング委員会
大阪府北区医師会学術委員長・大歳内科 大歳誠先生
(第三者の立場から、プロトコルの科学的、倫理的妥当性について検討する。さらに、試験が適切
に実施されているかどうかモニターし、必要な改善等を運営委員会に勧告するとともに、中間解析により安全性・有効性の観点から試験の継続が倫理的に問題で
あると判断された場合、試験の中止を研究代表者に勧告する。)
------------------------------------------------------------------
連絡先
〒530-0012
大阪市北区芝田2丁目10-39
大阪府済生会中津病院 糖尿病内分泌内
科・EBMセンター
西村治男
TEL:06
-6372-0333(代表)
070-6286-7024(西村:院内ポケベル直接)
FAX:06-6372-0339
E-mail:
hnis@dai.meta.ne.jp
*EBMセ
ンターはあくまでもNPO団体で、営利を目的をしない。
*必要経費
は大阪府済生会中津病院および患者会等の援助による。