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埼玉県所沢市
updated 2003/12/19
選挙通知はがきの性別欄を廃止/埼玉県所沢市 (公明新聞 2003/12/06)
所沢市は11月9日に行われた衆院議員選挙から、市内の有権者に送付する選挙通知はがきの性別記載欄を廃止している。心と体の性が一致せずに苦しむ性同一性障害者の人権に配慮したもの。
市議会公明党の谷口佳子議員は、今年9月の定例会で性同一障害について質問。行政文書と通知はがきの性別欄の廃止をはじめ、相談窓口の設置、小・中学校での人権教育の推進、当事者を招いた講演会の実施などを求めた。市側は、各種申請書・証明書と選挙通知はがきの性別欄の廃止について「早急に検討したい」と答弁していた。
市議会03年9月定例会本会議一般質問 (2003/09/11)
【 平成15年 9月 定例会(第3回)-09月11日−04号 】
○本橋栄三議長 市政に対する一般質問を続けます。
それでは、3番 谷口桂子議員
〔3番(谷口桂子議員)登壇〕(拍手する人あり)
◆3番(谷口桂子議員) 午後の最後から2番目ですけれども、頑張って行いたいと思います。
公明党の谷口桂子でございます。よろしくお願いいたします。
通告の順に従いまして一般質問をいたします。
最初の質問です。大きな項目で、だれもが普通の生活ができる社会にと題しまして、性同一性障害について取り組んでみました。
性同一性障害とは、心の性と体の性が一致しないために、そのギャップに苦しむ状態をいいます。どうしてそうなるのか、はっきりした原因は解明されていませんが、心理的、社会的要因とともに、生物学的要因として、胎児期の大体8週目ぐらいからホルモン作用があって性が形成されると言われています。体の性と同時に、脳に対しても影響を与えるということで、何らかの原因で体の発達とホルモンのバランスが崩れる、また異常に違うホルモンを浴びるということで、脳の性が出生後の性の発育や性行動に大きく関与すると指摘されています。専門的には、胎児期に脳の発達段階において男性か女性かに分かれる、いわゆる脳の性分化に異常が出るという言葉を使っているようです。
1998年に、日本では初めて性別適合手術が埼玉医科大学で行われました。そのニュースを見て、私は初めて性同一性障害ということを知りました。その前は、女優のカルーセル麻紀さんがモロッコへ行って性別適合手術をしたことは知っていましたが、それがどういうことなのかということを改めて認識したのは1998年の日本で初めての合法的手術でした。
その後、最近になって競艇の安藤千夏選手のことが記者会見で大変話題になりました。また、昨年春に放映されたテレビドラマの金八先生も性同一性障害をテーマに取り上げて大きな反響を呼び、特に中学生、高校生のように若い層の人たちが大変関心を持ち、認識や理解も深まってきたようです。
しかし、社会での性同一性障害のために受ける不利益、差別、不自由というものはまだまだ数多くあります。職場で名乗ったために不当な解雇を受けたとか、また公的書類が必要なために正社員になれず、ずっとアルバイトで働いている、キャリアがあってもアルバイトで働いている、職場で嫌がらせを受けている、そのために経済的には不安定で大変な状況を強いられています。また、部屋を借りる際も、住民票を見て断られることもあり、国民の義務であり、権利でもある選挙に行けない、行きにくいと訴える方もいます。パスポートはもちろん、戸籍の訂正以前の問題でも、数々の不当な扱いを余儀なくされているのが現状であります。
私も、この障害で苦しんでいる人から相談を受けたことがあります。自分が望む仕事につくことができず、隠れるように生活しているという話でした。当事者の方々はこう訴えています。「好きこのんで性同一性障害の当事者として生きているわけではありません。普通に男性として、あるいは女性として生活できるのであればどんなに楽でしょうか。でも、楽な生き方もあるとわかっていながら、魂の叫びには勝てません。私たちはいろいろな苦しい思いをしながら、この生き方を選択せざるを得ませんでした。『性同一性障害を抱える人々』とあえて言う意味はそこにあります」という訴えからも、苦しみにあえぐ深刻さをうかがうことができます。ほかの人と同じように「普通に」暮らせること、これが多くの当事者が願っていることではないでしょうか。
そんな中、去る7月10日、「性同一性障害者の性別の扱いの特例に関する法律」が国会を通り、1年後に施行されることになりました。この法律は「性同一性障害者」と診断された人に対し、特例として戸籍、性別の変更を認めるための特例法です。日本にとっては人権先進国へ大きく前進した、意義のある法律となりました。東京都小金井市、埼玉県新座市、草加市、千葉県市川市、神奈川県藤沢市、長野県飯田市、鳥取県鳥取市、倉吉市などは、行政文書の性別削除への取り組みが始まっています。
ここで何点かお伺いいたします。
1点目、性同一性障害を抱える人々も含めて、すべての人々が安心して幸せに暮らすための身近な行政の責務として、性同一性障害を抱える人々をどう認識し、理解をしているか、御見解を伺います。
2点目、性同一性障害を抱える人たちが社会で安心して普通に生きていけるように、相談窓口の設置についての御見解を伺います。
3点目、時代とともに性の意識も変化する中での小・中学校における人権教育、性同一性障害も含めた人権教育についてどのように取り組まれているのか、お伺いします。
4点目、印鑑登録証明交付申請書など行政文書の性別記載を可能な限り削除できないか、お伺いします。
5点目、選挙の通知はがきについても性別記載を削除できないか、お伺いします。
6点目、性同一性障害者に対する理解を深めるため、当事者を招いて講演会や公開フォーラムなどを実施できないか、御見解を伺います。
この性同一性障害者にとって、安心して普通の生活ができる社会環境整備が必要ですが、各担当部長の前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。
(中略)
以上で1回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手する人あり)
○本橋栄三議長 答弁を求めます。
小澤総合政策部長
〔小澤 孝 総合政策部長 登壇〕
◎小澤総合政策部長 谷口議員の性同一性障害に関する御質問のうち所管部分の御質問にお答えをいたします。
まず、1点目の性同一性障害を抱える人々をどのように認識しているかとのことでございますが、性同一性障害につきましては、今日クローズアップされてきており、心と体の性が一致しないために苦しんでいる方々にとりましては切実な問題であると考えております。本市では、平成12年に人権意識の高揚を図るため、人権教育のための国連10年所沢市行動計画を策定いたしまして、人権に関する幅広い啓発活動を展開してきたところでございます。この計画の中では、人権問題に関する重要課題の一つといたしまして性同一性障害者について触れており、プライバシーに配慮した正しい情報の提供など啓発に努めるとともに、多様性を尊重しまして、本人や家族が安心して生活できる社会を実現していくために、人権擁護を積極的に推進してまいりたいとしております。
次に、2点目の相談窓口の設置に関することでございますが、その専門性から、現在相談に応じられない状況にありますこと及び相談に来られる方のプライバシーの配慮、既に専門の医療機関におきまして診断と治療が実施されておりますことを踏まえまして、それらの機関を紹介することで対応を図ってまいりたいと考えております。
次に、4点目の印鑑登録証明交付申請書などの性別記載を可能な限り削除できないかとのことでございますが、御質問の中にもありましたように、去る7月16日、「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」が公布され、また先進各自治体におきましては既に取り組みが進められているところでもございます。今後、法の趣旨によりまして、また個人の人権の尊重や個人情報の保護の観点等から、申請書等の性別欄の必要性につきまして早急に検討を行ってまいりたいと考えております。
次に、6点目の当事者を招いての講演会や公開フォーラムの開催につきましては、幅広い人権意識の高揚という観点から、この実現に向けまして検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○本橋栄三議長 次に、菊池学校教育部長
〔菊池義信 学校教育部長 登壇〕
◎菊池学校教育部長 谷口議員の御質問にお答えします。
まず、性同一性障害について小・中学校ではどのように取り組んでいるかということでございますが、小・中学校では発達段階に応じて性に関する指導を行っております。性同一性障害については、性に関する指導の中でもこれから考えていかなければならない課題の一つというようにとらえております。議員御指摘のとおり、今問題になっているのは、この障害を持った人たちが障害に対する無理解からさまざまな不利益や差別をこうむっているということでございます。そこで、この問題に関しましては、この障害に対する正しい理解と、障害を持つ人々に対する接し方等を学ばせていく必要があると思っております。ともに生きる人間として、お互いの個性を尊重する子供たちを育てていきたいと考えております。
(中略)
以上でございます。
○本橋栄三議長 次に、関口選挙管理委員会委員長
〔関口達男 選挙管理委員会委員長 登壇〕
◎関口選挙管理委員会委員長 谷口議員の性同一性障害に関する質問の中の、投票所の入場券の中の性別を削除できないかということについて御答弁申し上げます。
投票所の入場券につきましては、投票日と投票所の周知をすること、また投票所において選挙人名簿に登録されている選挙人、本人を確認するために的確に、円滑に行うことができるように通知をしているわけでございます。その手段として性別を記載しているものでございますので、近隣市町村等の動向も調査して、削除することにつきましては早急に検討をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
以上でございます。
(中略)
○本橋栄三議長 3番 谷口桂子議員
◆3番(谷口桂子議員) それぞれの前向きな御答弁、大変ありがとうございました。
2回目の質問をさせていただきます。
最初の性同一性障害についてですけれども、私もこの問題に取り組むに当たりましては、先日私自身がこの勉強会に参加したのがきっかけでした。この問題で苦しんでいる人、2人の体験を伺って、少し理解できて、本当にそういう、私たちが外から見ていたのではわからなった内面の部分を切実に訴えている内容を聞きまして、これは非常に大きな問題であり、本当に真剣に私たちが取り組んでいかなければ、なかなか社会を変えていくことはできないということを感じまして、行政でできることということで今回取り上げてみました。
先ほど、文面にも紹介しましたように、テレビドラマで去年の春ぐらいですかね、金八先生の中でそのテーマを取り上げておりまして、たまたま先週から今週にかけて再放送を今夕方やっております。ちょうどその場面で、私は見ることができなかったんですけれども、それを改めて見た人が、本当にその内容を見て感動して、きのうもお電話いただいたんですけれども、ぜひ取り組んでくださいというふうに激励をしていただいたんですけれども、そういう意味では、これから皆さんに理解をしていただいて、本当にそういう障害で苦しむ人たちが安心して暮らせる、そういう社会をつくっていけたらというふうに思います。
先ほど、小澤部長の答弁にもありましたように、そういう体験者を呼んで公開フォーラムとか講演会とかというのを積極的に前向きに検討していただけるというふうにありましたので、これは市民の方はもちろんのこと、職員の方にもぜひその理解を深めていただくために、講演会とか、そういう機会を設けて、ぜひその人の話を聞いていただければ、本当に苦しんでいる内容とか、これは好きでやっているものではなくて、自分たちがずっと自分の生まれてきた性と違う性で違和感を持って生きてきた、それがやっとここでいろんな形で、勇気ある人たちがテレビの前で発言をしたり、それから法律までこぎつけたという、そういう苦労した過程がよくわかると思いますので、ぜひこれは積極的に進めていただきたいと思います。
それから、教育委員会の方ですけれども、これは平成14年3月ごろ、昨年の春ですけれども、東京都の教育委員会では独自に新たな性教育の展開ということで、先生に対する手引書というようなものを東京都が独自でつくって、そして現場の先生に配付をして、そういういろんな人権も含めて理解をするための手引書が配付をされたそうです。これに関連して、埼玉県においてはこういう先生に対する啓発活動というのを、認識を高めるためにどういうような取り組みをしているのかお伺いしたいのと、県でやっていなくても、例えば所沢独自で先生に対する、こういう人権を含めた性同一性障害に対するものがもしあれば、お示しをいただきたいと思います。
(中略)
以上で2回目を終わります。
○本橋栄三議長 答弁を求めます。
菊池学校教育部長
◎菊池学校教育部長 それでは、谷口議員の2回目の質問にお答え申し上げます。
まず、1点目の性同一性障害の件に関わる教員等の指導でございますが、今学校の現場はいろんな課題が出てきておりまして、教員が今までの経験や知識で指導していくということが非常に難しい状況のものが出てきております。例を挙げれば、ADHDもそうですし、それから今の性同一性障害ということもその中に入ると思います。これからの教育を進めていくのには、教育と医学、そういったことの連携も大変必要だと思いますので、医師会をはじめ、大学等とも連携をしながら、どのような原因から、指導についてどのようにしていったらいいかを今後教育センターを中心に進めていきたいというふうに思います。
(後略)