A. しんかい6500の主な構造と機能
「しんかい2000」及び「しんかい6500」の最大潜行深度は、名前の通りそれぞれ、2000mと6500mです。概要などの詳しいデータにつきましては、海洋研究開発機構のホームページ等を参照してください。どちらの潜水調査船も、その運搬・支援には、母船という大型船が調査地点上に待機します。「しんかい2000」の母船は「なつしま」、「しんかい6500」の母船は「よこすか」です。
上の写真は、しんかい6500の模型と、各部分の名称をおおまかに示してあります。画像上段は、船体左斜め前から見た図になります。人間が乗り込む部分は、耐圧殻と呼ばれる直径2m前後のチタン合金製の球体で、この中に3名が乗り込みます。パイロット2名、研究者1名が一般的です。覗窓は3箇所あって、いずれもメタクリル樹脂を錘状に埋め込んだような構造をしています。水平スラスタは、いわば横スクリューのようなもので、調査船の位置を左右に細かく動かすためのものです。垂直スラスタは、画像左下にもありますように、船体中央の上下についており、これで潜行・浮上という細かな調整を行います。
画像上段と画像右下では、深海調査に必要な機器が装備されています。暗い海底を照らす投光器や、撮影用のライト類のほか、静止画像を撮影するスチルカメラ、位置の微調整が可能なカラーテレビカメラなどがあります。下にある二つのマニピュレーターは、海底での作業や、生物採取などに用いられるロボットアームのようなもので、船内から人間の手のように操作することができます。マニピュレーターは二種類あって、片方はグラバと呼ばれ、岩石の採取等、大きな力が必要な作業を行うことができます。マニピュレーターの下にある黒いものは、サンプルバスケットと呼ばれ、深海生物や、底泥・岩石などの試料を採取して入れることができます。
画像左下は、船体を横から見た図になります。後ろにある尾翼の下にあるのが、主推進器で、メインとなるスクリューです。また、尾翼の前に同期ピンガーと呼ばれる音波発信器があり、これは母船に向かって一定周期で音波を発信するものです。これを母船が解析することで、潜水調査船の位置などの情報を把握します。前部ハッチ上にあるのが音響測位受信装置で、これは母船があらかじめ調査地点におろした音響トランスポンダーと呼ばれる3本の音波発信器からの情報を受信するためのもので、トランスポンダーからの情報を調査船、母船が解析することによって、正確な調査船の位置などを確認します。また、CTDVというのは、Conductivity Temperature Depth Velosityの略で、電気伝導度から海水中の塩濃度、その他、水温、水深、流速などを測定する観測機器です。
しんかい6500は、母船「よこすか」からクレーンとワイヤーで海面に降ろされ、計器類等の点検の後、潜行していきます。海底面に近づくと、徐々にバラストを解離し、海水と同じ比重になるとそのまま海底を調査開始します。しんかい6500に積み込まれている浮力材は、微小な中空のガラス球(シンタクティックフォーム)を樹脂で固めたブロックのようなもので、調査船の全重量・海水の比重などを考慮し、絶妙なバランスを保つように設計されています。何も搭載しなければ、船体は海水に浮くよう設計されています。浮上するときは、バラストを全て取り去り、海面までゆっくりと浮上していきます。その後、潜水調査船は、母船に揚上されて甲板に格納されます。
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