彼はThe Cureのリーダーだ。と同時に、The Gloveの1/2で、パートタイムでBansheeもやっている。それにグウタラのクソッタレでもある。と言っても、これは彼が自分で言っていることだが。
Robert Smithは自分自身やバンドのレコードについては厳しい。その彼が、15回のショーを興奮のうちにこなしたあと、まだ1日12時間ベッドにいられるのはどうしてなのか、その秘密を明かしてくれた。
●シンガー
「僕は自分をシンガーとして見たことはないんだ。本当にね。初めの頃はパフォ―マンスのことも気にもしなかった。ただ歌に必要な心の状態に持っていくこと、それに相応しい状態にしようとしただけさ。僕の歌の中にはかなりいい出来のもあるけど、大半は調子っぱずれだったよね」
「歌をやろうと思った時点で、そんなことは充分に予想できることだった。で、以来、僕は色んな声で歌おうと心がけてきたんだ。それで分かったのは、自分の普段の声からかけ離れた声で歌うのはとても難しいってことさ。それをやると、作りモノみたいに感じられてしまうんだ」
「キュアーがスタートしてから、僕の歌も上手くはなった。でも、今の僕がどうかって考えると、そんなに大きく進歩したとは思ってないよ。もし選ぶとすれば、僕は多分、そうBilly Mackenzieみたいなのを聞きたいな。でも、僕以外の誰かがキュアーの歌を歌うなんてことは考えられないよ」
●ソングライター
「僕は今までに、完璧にいい歌をいくつか作ってきたと思うよ。それに、完璧に馬鹿げた歌も幾つかね。全体としては、今のチャートを賑わしている歌の99%は僕の歌よりひどいシロモノさ。もしそうしたければ、僕はWhamの歌よりひどいものだって書ける。でも、それが何になるんだい?最近の歌の多くはすごく浅いよね」
「僕はそこらのバンドが持ってる考え、ソングライティングに磨きをかけるって考えが嫌なんだ。僕は座ってるだけで、かなりいいシングルの歌を簡単に作れる。それは作曲ごっこみたいな感じさ。いわゆる"歌"の多くは、ホント、音楽の断片なんだ。みんなが曲を書くときのアプローチとは違いがあるね」
「正直に言って、僕は自分をソングライターに分類してはいないんだ。僕は自分のパスポートにはずっと音楽家(ミュージシャン)って書いてきた。これも可笑しいけどね」(1)
●ギタリスト
「これもやっぱり、僕はギタリストだって公言する気はないね。技術的にはいいプレイヤーじゃないし。でも少なくとも、ほかのプレイヤーとは違うものが僕にはある。僕にとって、ミュージシャンだってことと技術的能力とは、なんの関係もないんだ。ただし、自分のアイデアを音楽のなかに盛りこめるだけの技術は持ってなきゃ、って思うけどね」
「重要なのは、楽器と気持ち良く付き合いながらステージをやることさ。学ぼうとする気持ちも持たなきゃね。プレイヤーって、大体がずっと同じレベルでいるよね。そんなのを聞くのはウンザリだな」
「僕は自分の楽しみのためにギターを弾いたことはないね。そんなときはピアノを弾くんだ。僕にとってはピアノを弾く方がずっと面白いね。基本をマスターしてる唯一の楽器だから」
「バンドのドラマーやベーシストになりたいと思ったことはない、って自信を持って言えるね。
それは僕にとって最悪の選択だと思うよ」
●パフォーマー
「5年前は、僕はステージではまったく動けなかった。音楽に集中しなけりゃならなかったからね。今はずっと快適な感じさ。まだ全てが自然な感じじゃあないけどね。ステージでは自分を忘れて夢中になる必要があるんだ。時々、歌の最後まで行って目をあけるよね。すると目の前には僕を見つめてる顔がずらりと並んでるんだ。ほんと怖いと思うよ」
「ステージで完全にリラックスできるようにはなれないだろうな。そうなったら、僕はステージに座って居眠りをはじめると思うよ」
「ライブを見れば、たぶん、僕たちがどうやって強力なファンを作り上げてきたか分かるよ。僕たちはかなりいい線いってるって、僕はずっと思ってきた。今じゃ曲のレパートリーもすごく広がったしね。ライブもずっと楽になってる。わざわざ自分たちを売りこまなきゃならないプレッシャーを感じたことはないな」
「もし僕が若かったら、この国の3 つのグループのうちのどれかひとつにいたいと思うだけだったろうね。で、僕らはそのうちのひとつになってる。それは僕が与えることができる唯一の正当化だね。つまり、僕がしていること、なぜこれを続けているかに対するね」(2)
●ビデオ・スター
「ビデオってのはかなり面白いものと思うんだけど、でも、作るのは僕はまだ嫌いだね。僕たちが最後に作ったのは"In Between Days"の時だったけど、消耗したよ。だって、5時間もカメラを体に縛り付けてなきゃならなかったんだから」
「僕たちはもう1つ、シングルの為にビデオを作ったことがある。それは閉所恐怖症に関するもので、Tim Pope(監督)が出したアイデアは、僕らをワードローブの中に閉じ込めて、それを撮るってものだった。
「あれは僕が過ごした中でも最悪の12時間だったね。最後はワードローブを落っことすんだ。僕らを中に入れたまま、1000ガロンの水を詰め込んだ水槽の中にね。見るほうは面白かったろうなって君も思うだろうけど、僕のほうは辛い死をゆっくり味わわされてるって感じだけだったね」
「僕たちはこの古い屋敷で"Lovecats"を撮ったんだ。夜のうちにね。この屋敷を買いたいってことを口実にして入り込んだんだ。フィルム・クルーを連れてって、中でパーティーをやってね、適当なとこでビデオを撮ったんだよ。翌朝の6時に、僕らはみんな外に座って、この屋敷の不動産代理人を待った。屋敷の鍵を返すためにね」
「僕がビデオを嫌うのは、こんなことの為さ。朝っぱらから待機しなきゃならないんだから。もし僕が天国に行けるとしても、それが朝の9時じゃなきゃ駄目なんなら、きっと僕はすごく不幸な気分になると思うよ」
「それにさ。いい感じに見えるようにするためには、ビデオには色んなものを詰め込まなきゃならないんだ。ほんとは半分昏睡状態で、家に帰ってベッドの中にもぐりこみたいって時にね」
●カルト・ヒーロー
「レコード会社から出てきたときなんか、僕はなんでインタビューなんかやって、写真まで撮らせちゃったんだろうって思ってた。それに、新聞や雑誌を売る会社に行って、音楽雑誌を手に取って見ると、なんで、って僕は思っちゃうんだ。馬鹿な記事で一杯だからさ」
「みんながどうして僕を仰ぎ見るのか、僕には理解できないね。でも、僕の真似をしたい、僕のサインが欲しいって気持ちは理解できるよ。僕は誰か有名人を追っかけたことはない。でも、1度、 たしかCyril Smithのサインを真似したことがあったな。どうやって彼と会ったかなんて大嘘の話も作ってね。あれは面白かった」
「バンドにいるからってだけで、なにか特別な反応を期待するファンに会うと、すごく居心地が悪い気がするね。僕はただ曲を書いて、それを歌ってるだけなのにさ」(3)
●スタイル・リーダー
「僕はその日に着たいと思った服をを着るだけなんだ。1度、同じスーツを一山買ってきたことがある。あれは当たりだったな。だって、何を着たらいいか考えなくて済むし、誰も見分けがつかないしね」
「よくレザーやブーツを身に付けてたとき。あれは実は、みんなの反応を見るためのスタンスだったんだ。もうあんなスタイルでいようなんて思わないよ。同じような服が好きな人にしかアピールしないし、趣味が違う人からはアホだと思われるだけだしね」
「僕は学校に通ってたころから化粧をしてたんだ。これも他人の反応を呼び起こすためさ。大抵は反感を買うだけだったけどね。バンドが進化するにつれて、それが激しくなっちゃってさ。それで少しトーンダウンすることにしたんだ。でもステージでは、やっぱりメーキャップしなくちゃ。だって、そうしないと、誰も僕の口がどこにあるか分からないだろ」
●初期のキュアー
「僕らの古い曲はなんであれ、今じゃ僕はほとんど聞かないな。歌っていうのは、いったん録音されてビニールに収まってしまえば、もう誰かほかの人たちのものなんだ、僕のものじゃなくてね」
「僕らは変わったと思うよ。でも、その変化ってのは論理的なものじゃないんだ。僕らはポップなレコードを作ることから出発した。たとえば"Boys Don't Cry"みたいなね。完璧な世界の中だったら、あの曲はきっとNo.1だったろうな」
「当時、僕らは成功しようなんて思っていなかった。だって、彼らはこれこれを歌ったグループだ、なんてふうに思いだされても仕方ないからね。僕らが最後にアメリカに行った時だったな。オーディエンスはティーンエイジャーの女のコばっかりでさ、みんな" Lovecats"が僕らの最初のシングルだと思ってるみたいだった。でも別にウンザリはしなかった。僕は何時も、オーディエンスにも変わっていって欲しいと思ってるんだ。同じオーディエンスと一緒に年取っていくなんて、それより最悪なことはないと思うよ」
●チャート
「最初から僕らが好きだったファンなら、ほとんどが"Lovecats"は買わなかったろうね。僕らを好きになった原点から言ってね。でも、あの曲は、僕らが作ったどの曲よりも売れちゃったんだ」
「僕らは他のバンドよりも正直に仕事をしてると思うよ。だって、何か前のと似たような曲を作ったり、同じような感じの曲を作ったりはしないからね。僕らの仕事のしかたは、とても自分本位なんだ。僕らがレコードを作るのは自分の楽しみのためなのさ」
「どんな犠牲を払っても有名になりたいなんて考えは、僕にはまったく興味ないな。僕は手に負えなくなる前に"Lovecats"の成功を葬ってしまおうと思って、ほんとに苦労したよ。あまりに大きな成功は、僕らが前にやってきこたとや、将来やろうとしてることを、むしろ覆い隠してしまうだろうからね」
「バンドとしては、キュアーはロックンロールの神話の延命に手を貸す気はないよ。すべてがお伽話みたいなもんだからね。バンドでいるってことは、とても面白いことなんだ。正しい理由でやってさえいればね。もし自分が"Top Ten"なんかにいたら、僕はインタビューなんかやめて、しばらく消えちまうね。僕は自分たちがビッグ・グループなんかになるのは許さない。そんなことになったら、僕はすぐにバンドを壊しちゃうと思うよ」(4)
●Siouxsie & The Banshees
「バンシーズの頃を思いだすと複雑な感じがするね。僕はあれを楽しんでたんだ。スージーとギターを弾くことをね。でも、終わりの方は少しゴタゴタしちゃって」
「少しの間だったけど、僕があれに参加した理由。それはキュアーをやってて、シンガーでいるってことに飽き飽きしてたからさ。ほかに理由なんてないよ。でも結局は、あれもフラストレーションの種になっちゃった。みんながしてることをコントロールできなくなってね」
「もともと僕はハズレてるところがある人間だからね。2つのバンドの間をクロスオーバーするのは難しいことじゃなかった。でも、僕は彼らにとってはいいギタリストじゃなかっただろうな。僕が関わったのは、ほとんどがSteve Severin(バンシーズのベーシスト)との友情からだったんだ。もちろん、僕は常に彼らのファンだったってこともあるけどね」
●The Glove
「僕が最初にバンシーズに参加したとき、スティーヴと僕はレコードを作ることにしたんだ。"芸術的な実験"としてね」
「このレコード作りじゃ、僕たちはとても素晴らしい時間を過ごしたけど、完全に消耗してしまってね。10才ぐらい年取ったような感じだった。僕が思うに、それは互いに最悪のものを持ち寄ったせいだったろうな。なんていうか、これ以上ないような過激なアイデアをね」
「僕たちはスタジオに12週間いたんだけど、実際にレコーディングにかかった時間は5日ぐらいだった。残りの時間はいつ終わるとも分からないパーティーに費やしたんだ。みんなを次々に呼んでね」
「まるで駅みたいだったよ。ある一団が駅から出てきて、どこかへ行ってしまうと、また次の一団がやってくる。そんな感じだった。その間に、はいピアノ、次はドラムっていうふうにレコーディングしてったんだ」
「スティーヴと過ごした時間が終わったあと、僕は肉体的に疲れて自分の歯さえ磨けないみたいになってね。すべてが非現実的な感じだった。夢みたいなね。すぐに繰り返してみたいとは思わない、そんな感じだった」
「ほとんどの時間、僕は本物のアホになってるんだ。ほかの人がどう考えるか、どれがいいことで、どれが悪いことかなんてことは、僕にはどうでもいいんだ」(5)
●The Cure
「僕たちの不動のラインナップで、唯一、"新しい"メンバーがBorisなんだ。彼はThompson Twinsにいて、3年も悩んでたんだけど、今じゃキュアーで自由を謳歌してるよ。このバンドで最高なことは、みんながホントに面白いヤツだってことさ。いつも鋭いユーモアが味わえるんだ。真面目なのか、そうじゃないのか、誰にも区別がつかないみたいなね」
「僕はしょっちゅう遅刻するんで、ほかのメンバーはいらいらするみたいでね。そのたびに色々と言われるんだ。みんなを待たせないように、僕だって頑張ってるつもりなんだけどさ。
僕らはバンドを離れると、あまり一緒につるんだりしないんだ。多分、みんながお互いに1平方マイル以内のところに住んでいて、同じような空気を吸ってるからだろうね」
「フェスティバルなんかで海外に出るときは、僕らは最悪のときでも英国らしい文化と礼儀作法は守ろうと努力してるんだ。ホテルの窓から家具を投げ落とすぐらいなら、僕らだったら仲間のほうを放り出すね。
一緒にプレイするほかのバンドの連中をさ、ボコボコにしてやったことも数えきれないくらいさ。それは僕の楽しみのひとつなんだ。特に、ホテルの玄関で互いに不機嫌な顔で睨み合ったときなんかね」
「どんなバンドだって、起こりうる最悪なこと。それはメンバーの誰であれ、本当に考えていることを言わないってことさ。僕らの場合は、皆とても密接だからね。誰かがなにかの理由で抑えてることがあるかどうかは、皆すぐに分かるんだ。人から何か隠してることを聞き出そうとするのは、ほんとウンザリすることだからね。殴り合いをして床にぶっ倒してでも聞き出したいことがあれば別だけどさ!」
「僕たちがすることは何であれ、6カ月を1つのブロックにして計画を立てるんだ。そうでもしなきゃ、考えるだけで恐ろしくなるだろ。もし僕が明日にはもう飽き飽きしてたとしても、この義務から逃げられるのもそう遠くない、って思えるからね。少なくともさ」
「僕たちは今でもまだ、ますます強力なバンドになろうとしてる。2年前は考えもしなかったけど、僕たちはこれから、毎年ベストのレコードを出していける。そんな風に感じてるんだ」(6-完)
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