中国的天空 沈黙の航空戦史
発行 サンケイ出版 著者 中山雅洋
1981年7月10日 初版発行 更新 2月6日
恐るべきことに題名通りの本です(爆)。
本書は、これまでにほとんど取り上げられることがなかった中国における航空戦史を解説したものです。
おそらくこれは1巻に該当するのでしょうが、それでも内容は中国における航空機の始めての飛行から零戦登場までを克明に描いています。
中国における飛行機の初飛行は、日本より1年早く1909年(諸説あり)であったものの、当時の中国の混乱した勢力事情によって中国人による飛行や空軍の創設などは遅延。
たとえまとまった機体が手には入ったとしても軍閥同士の戦争に使われたりとロクなことがなく、国家的な意味での空軍の成立は1920年代後半になるまで達成されませんでした。
さらには上海事変や日中戦争の開始によって、せっかく作り上げた空軍も航空消耗戦で容赦なく撃滅されてしまいます。
さらにその再建も雑多(マイナー)すぎる機体の数々とパイロット層の薄さでままならず、最後にはソ連やフライングターガースの助けを得ることに。
まさに悲劇の空軍です。
この本の恐ろしいことは、以上のような中国の知られざる航空戦史を、時にはパイロット1人単位で描いているところでしょうか。
意外だったのが、日中戦争初期における中国空軍の強さです。
航空消耗戦の序盤であり、さらには後に猛威を振るうことになる零戦や96式艦戦が未登場であったこの時期(1937年)は、戦局の焦点であった上海上空で、双方互角と言っていい鮮烈な戦いが繰り広げられています。
このころの中国空軍は決して弱体ではなく、戦意も旺盛、エースパイロットすら輩出。
特に日本海軍側に96式陸攻の消耗はかなり激しく、大損害といっていい被害を受けています。
この損害が後に航続距離の長い戦闘機の零戦を生み出すきっかけとなるのですが、陸攻自体の防御力はふやさなかったところが日本らしくて泣けます(涙)。
他国ならば、絶対に防御力を増やしていたでしょうし。
それと、面白いのが日中戦争第1日(1937年8月14日の攻防)。
この戦いは戦場誤認によって双方が大戦果を主張するというよくある戦闘となったのですが、中国側はこの時の戦いを称え、中国空軍の記念日として今も祝われているそうです(爆)。
あとは、日本の船舶に体当たりした中国軍パイロットが仲間の夢に現れて死を予言した、日本がイタリアから買った80機の伊式重爆80機あまりがが数ヶ月で壊滅した、祖国では時計を買えないソ連義勇パイロット第1陣が腕時計を買い漁って行った(そのくせやる気がない)など、マイナーな話題がてんこもりです。
また、先ほど述べた上海での戦いでは中国側も積極的に日本の水上艦艇を攻撃しており、空母<加賀>もあやうく被弾しかけてます。
もしここで<加賀>が被弾でもしていたら、その後の日本空母は装甲化されていたかもしれませんね。
そうなれば太平洋戦争の空母戦ではもうちょっとマシな戦いが・・・・・・・って、それは「太平洋の嵐」ですね(爆)。