
★公的機関はどう見るのか?
さて…。
キヤノンにも少しは良心というものがありはしないものか、「申し訳ございませんでした。もう1度正直にご説明いたしますのでお聞き願えませんでしょうか?」とでも言って来はしないものかと、かすかな期待(?)を持って随分長い時間待ってみましたが(笑)、何も言って来ないので、「つまり、『このまましらばっくれてお終いにしよう』という姿勢なのだな」と結論することにいたしました。
そこで、「では、いったい第三者、あるいは公的機関から見て、こうした過剰な宣伝表現と、それに見合わない性能、品質。あるいは、不良品を平然と売りさばいて、その上ユーザーからの苦情、問い合わせがあってもその場その場でいい加減な言い逃れをしているメーカー、販売者というものはどうなのか?」という疑問を持ち、関係機関に問い合わせをしてみました。
すでに、国民生活センターには報告をしていましたが、具体的な回答はもらっていません。というより、同センターは、仮に具体的に争議になってさえ間には入らないという姿勢のようです(それならそれで、いつものような品質比較検証をして、キヤノン製品が他社製品と比べて、「本当に広告通りの優位性を持っているのか」と調べてくれればとも思いますが…)。
「景品表示法」によれば、広告等に不当表示があった場合、公正取引委員会が判断、指導し、さらに都道府県知事が必要な指示をできるということになっているようです。というわけで、キヤノン、キヤノン販売の本社がある東京都と公正取引委員会に事実関係を伝え、判断を聞いてみました。
東京都からは、以下のような回答を得ました。
○月○日付けで報告されたキャノン製品と宣伝についての件にお答えします。
この件については、全国展開している企業の広告であり、消費者への影響も大きいと考えられることから、都が調査を行うより公正取引委員会による対応が効果的であると判断し、当委員会と協議したところ、申出があれば対応したいとのことでした。
公正取引委員会では、電子申告システムでも申告を受けていますので、ご利用してはいかがでしょうか。
申告は、公正取引委員会HP → 公正取引委員会の電子窓口 → 申告関係→ 景品表示法違反被疑事実についての申告 です。
東京都
生活文化局消費生活部取引指導課表示指導係
これを受けて、公正取引委員会に、EOS-1Vについての、1.「高水準の剛性・耐久性・精度」などの表現、2.「かつてない防塵・防滴性能」などの表現、3.「15万回を超える耐久テストをクリアしています」などの表現、4.「あらゆる被写体パターンに対しAF能力を発揮」などの表現、そして、5.その後の同社EOS、EOSデジタルカメラシリーズのカタログ表現と、それらの実際についてということで問い合わせてみたところ、文書と電話による補足説明によって、以下のような回答を得ました。

まず4.については、広告表現に問題がある(広告に記載されているような性能を発揮しないので景品表示法に違反する恐れがある)と判断されたため、表記の改善を指示しました。それ以外の点については、今回キヤノン側が出してきた資料の範囲では確認できませんでしたが、そうした点も含めて「過剰な表現は慎むように」と厳重に注意しました。
公正取引委員会
取引部景品表示監視室
どうでしょうか?
私としては、そもそもの問題の「シャッター部品が不良のまま製造、出荷、販売し、ユーザーからのクレームに対し事実を隠蔽しようとした上、個人単位に対してははっきり認めてからも一般に状況を公表しておらず、未だにユーザー間の不公平が続いている」という状況についての客観的かつ具体的な判断が得られなかったことはやや残念です。しかし、これは「今回、委員会の求めに応じてキヤノンが出してきた資料」に基づいて判断されたということですから、キヤノンの言う「対策済み品」についての検証になってしまった可能性もあり、結果「シロ」ではなく「灰色」ということのようです(私にはすでに「不良部品がありました」と言ってしまっているにも関わらず、公正取引委員会には膨大な文書資料などを持ち出してきて煙に巻こうとしたような雰囲気もあり、そのため審査には随分長い時間がかかってしまったようです)。その辺で、『そうした点も含めて「過剰な表現は慎むように」と厳重に注意』ということで理解して欲しいというようなニュアンスの説明と受け止れました(景表法には都道府県の権限として、事実が事実なら「遡って指示もできる」というような一文もありますが…)。また、「不良品と知っていながら販売し続けた」ということであれば、それは景品表示法の範疇ではなくてまた別の…、という判断もあるのかも知れません。
一方、私が交換後の1Vの検証の中でも不具合を指摘した「オートフォーカスの性能、不良」という点については、そもそも「宣伝広告されているだけの性能を発揮しない」と客観的に認められたわけで、これは成果だったと思います。件のM氏には、この件について、まるで「そのくらいおかしくても当たり前」のような居直った説明と、まるで「こだわるお前の方が悪い」とでもいうようなとんでもない態度を取られたわけですが、これで「やはりおかしい」ということになり、更に全般的に「過剰な表現は慎むように」と注意されるにいたったわけですから、キヤノン、キヤノン販売には猛省を促したいところであります。
しかし、この文章を書いている現在までに、公正取引委員会の判断が出てから3週間ほどが経過しているのですが、キヤノンから私に対して改めて謝罪といったようなことは一切ありません。散々無礼千万な対応をし、実害をこうむらせてくれた上に、公的機関の判断が出たわけですから、「改めてお詫び申し上げます」くらいな事を言って来るのが“大人の態度”ではと思いもしますが、どうやら「うるさい客に引っかかった」「とりあえず会社としては儲かってるからいいや」「あとはほっとけ」くらいにしか思っていないようです。(苦笑)
これまで、同社の一眼レフタイプカメラの宣伝には、「1」という数字がそこここに配され、1V以外の機種の宣伝にも「あの1Vでプロからも高い信頼を得た○○の技術を用いた」とか、デジタル一眼レフの方でも「1の数字は伊達ではない」といったような表現がありましたが、その大元からコケてしまったわけですから、どうするのか見守りたいところです。公正取引委員会の指導を真摯に受け止めるならば、1Vのカタログに限らず、かなりの一眼レフカメラ、デジタルカメラ、及びカメラ関連製品の広告表現を見直さなければならないはずですから。
私としては今でも、キヤノンがきちんとこれまでの無礼非礼を詫び、納得の行く説明をしてくれることに期待しています(まあ、きちんと日本語の通じる人が来てくれれば、ですが(笑))。また、むしろ頼まれれば今後、製品及び広告宣伝の社外モニターにでもなって、協力してあげたいくらいです。あくまで例えばですが、向こうからそんな姿勢で来られれば、「キヤノンという企業も大人だな」と思ってあげられるのですけれども…。
逆に、これからもごまかそうとばかりするようなら、どうしようもないですね。
この一連の件では、随分と不愉快な思いをさせられました。真相解明のために時間も労力も使いました。その経験からいえることの1つは、こういう不愉快な思いをできるだけ避けるために、ユーザーもより「賢く」「強く」なる必要がある、ということです。「おかしい」と思っても、ユーザー側には各種計測器などがあるわけではないので、なかなかはっきり「不具合」という形での実証が難しいところもあります。しかし、全く方法がないわけでもありません。まず自分でもそれなりに勉強をし、その上でメーカー等の説明にやはり納得が行かなければ、きちんと調べる、あるいは調べてもらう方法はいくつかあります。ただ不愉快な思いをし、釈然としない気持ちのまま終わらせる、いわゆる『泣き寝入り』をすることはないと思います。(もちろん、ユーザー側が理屈の通らないことでゴネることをお勧めしているのではありませんので、誤解なきよう)
また、商品購入前の心得として、当たり前と言えば当たり前のことですが、広告を見て単純に「洗脳」されてしまうことにも気をつけるべきでしょう。
例えば、最近のパソコンのプリンターです。プリンターと言えば、エプソンと、これまたキヤノンが結構なシェアを持っています。それぞれの染料インク型プリンターで、出力物についてよく話題になる「保存性」を見てみると、一見エプソンカラリオシリーズの「色あせに強い“つよインク”」は「10年持つ」と言っているのに対し、キヤノンのピクサスシリーズは「100年持つ」と宣伝してあり、10倍も長持ちするように思えます。しかし、カタログ等をよく見ればエプソンは「耐オゾン性10年、耐光性20年」という意味で言っているのに対し、キヤノンの100年は「アルバム保存100年、耐オゾン性10年、耐光性30年」ということです(2004年末現在のカタログより)。つまり、エプソンの10年が「プリントしたものを見えるところに飾っておくこと」を主体にした計算になっているのに対し、キヤノンの100年は「光や空気に当ることをできるだけ少なくしておけば」という前提に立っているわけで、単純に数字が大きいから高性能とは言えません(キヤノンは「色あせしない高画質」などとも言っておりますが、はっきり言って「あせないわけはない」のです)。「いや、耐光性だってキヤノンの方がいいじゃないか」という方もいらっしゃるかも知れませんが、検証方法の条件自体も両者で微妙に違うのです。「せっかく自宅のプリンタで大きめに出すんだから、飾っとこうよ」という時の状態を考えた「耐オゾン性」についてはカタログ上どちらも10年(これも比べるなら検証条件まで詳細に見る必要があります)。更に、保存性だけを言うなら、エプソンには顔料インクの「つよインク」という物を使う、はるかに保存性のいい製品もあります(あくまで宣伝しているわけではありません)。そういったことを仔細に見ないで、単純にCM、広告のイメージや量で商品選択をしないように、「賢い消費者」になることを心がけたいものです。
まあ、「消費者も賢くならなければ」ということと、メーカーが「ウソ、大げさ、まぎらわしい」広告をうってもいいのか、サービスセンターでクレームに対してゴマカシをしてもいいのかという問題は全く別ですが…。
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