★2台目というカメラ



 この2台目には、はっきり言って騙されました。一見何の障害もないように見えたのですが、実は大きな欠点が、しかもあってはならないはずのところにあったのです。
 1台目で既に8本分のテストをしていたことで、少々私の感覚も「こんなもの」と甘くなっていたこともあったかも知れません。しかし、それでは済まない大きな問題だったのです。

 それは、知人(CPS会員)から「1Vを使っているの?シャッター大丈夫?」と聞かれたことから発覚しました。彼曰く、「1Vの初期型にはシャッターの不具合があり、高速シャッター使用時に画面上部に白い光線引きが出てしまう」というのです。しかも、「最近のロットのものは対策済みなので問題ないが…」というオマケ付きです。
 つまり、キヤノンはこの同社一眼レフの最高級機である「EOS-1V」に、部品不良があるのを隠して生産を続け、それを買ってしまったユーザーには内緒にしていた。更に、気がついたユーザーにも、一部のプロ以外には、部品の不良であるとは告げずに修理をしていた、というのです。
 確かめなければ、所詮聞いた話は聞いた話でしかありません。しかし、そう聞いてしまっては確かめなければなりません。

 そこで私はこの点について、改めて自分の2台目のテストをすることにしました。
 すると驚いたことに、正に話の通りの症状が確認されたのです。しかも、高速シャッターどころか、通常使うような領域のシャッタースピードでも症状が出ている時もありました。
 まさか、「15万回の耐久テストをしている」と宣伝している最高級機のシャッターが、「部品不良」などという理由でこんな症状を呈するとは盲点でした。これでは、機会は少ないとはいえ、ノートリミングのプリントなどには使えません。

左1/250、右1/500
左1/1000、右1/1250
左1/1600、右1/2000
左1/2500、右1/3200
左1/4000、右1/5000
左1/6400、右1/8000


 自分が主に撮影するものがあまり早いシャッタースピードを使わないこと、スリーブよりマウント仕上げにしてしまうことがほとんどだったことなどの理由で発見が遅れたのですが、幸い、1V用のデータリンクソフトというものを使って、全ての詳細なデータを記録してあったため、それに基づいて過去に撮影したフィルムも再点検してみると、やはり使い始めの頃から症状が出ています。明らかに話通りの「初期不良」です。

 怒った私は、都内にあるキヤノンのサービス窓口に出向きました。そして、この症状が発覚した事情を説明し、「こんなに馬鹿にされた話はない。気分が悪いので、いっそ返品したい」と訴えました。
 すると、この窓口では、「保証期間が切れてしまっているから、修理は有償になる。実際の販売価格も分からないので、返金などは出来ない。どうしてもというなら販売店へ行って話をしてくれ」と言います。(この人の名前を記憶しておかなかったのは残念です)

 埒があかないので、仕方なくまた購入場所の大手量販店へ出向き、事情を説明すると、応対してくれた店員さんが「そんな不具合の話は、私も初めて聞きましたが、本当なら酷いですね。メーカーが初期不良だと認めれば、お引取りも出来るのですが…、ちょっと確認させてください」と言います。「もちろん結構ですよ」と言うと、この販売店からほど近い、私が最初に行ったのとは別のキヤノンのサービス窓口に問い合わせをしたようでした。すると、「こちらの窓口では、そんな不具合の話は聞いたことがないと言ってます。修理はするけど、やはり有償だそうです」と言います。
 「そんなはずはないでしょう。同じメーカーのサービスで、向こうは知っているけど、こっちは知らないなんて事があるんでしょうか?」と言うと、「じゃあ、ウチの担当営業マンにも聞いてみようか…」と言って、キヤノンの担当営業に連絡を取ってくれたようですが、するとこちらは「そういう不具合については知らないが、無償で修理することは出来る」という話だと言います。
 販売店の人たちも、「変な話だな」「何か妙だな」と言い始め、「一応、最初に行かれたサービスの方にも確認してみましょうか?」というので、「お願いします」というと、あろうことか、出てきた責任者と称する人が、「1Vについての問い合わせなんか受けてない。そんな不具合も報告されてない。修理するなら有償だ」と言ったというのです。

 「狐につままれたよう」とは正にこのこと。販売店の人たちは本当に誠意ある対応をしようとしてくれ、最後には高飛車なサービスセンターの応対に、私に代わって「それでは説明になっていない」とまで言ってくれていましたが、「メーカーが認めないのでは、販売店独自に対応は難しい」ということで、結局、この日の問題解決はあきらめざるを得ませんでした。

 窓口できちんとした対応が得られないと分かったため、私はキヤノンのサービス窓口を統括している、キヤノン販売のカメラ事業部の責任者Y氏宛てに直接、この件についての説明と対応を求めました。一連の経緯と、実際に撮影した検証写真を同封して送付したのです。これが2002年10月3日のことです。
 やっと反応が来たのが、10月8日でした。「川崎のサービスのW」と名乗るその人は、「この度はご迷惑をおかけして申し訳ありません。おっしゃる通り、1Vの初期ロットのカメラのシャッター部品の一部に不良があり、数例ではあるがこれを理由に修理させていただいた例があります。症状としては、シャッターの後幕がバウンドしてしまい、画面上部が露出オーバーになってしまうというものです。窓口ではこの件に関する認識がなく、誤ったご説明をしてしまったものと思います。初期不良であるので、無償で修理するから、それで納得していただきたいのですが」と説明しました。
 保証期間が過ぎてしまっているのに、非を認めて無償修理というのは、一見、誠意ある対応にも思えますが、逆に考えれば、そういう不良が複数報告された時点でユーザーにきちんと告知し、早急に対応するべきことだったはずの内容です。何しろ「部品不良」なのですから、クルマなら即リコールものです。そうしたするべきことをしなかったがために、ユーザーとしてみれば余計な、後々使えないコマを知らずに撮影し続けてしまったわけです。私の場合はそれほどの枚数でもありませんが、それでも海外で撮ってきたものも取り返しのつかないことになっており、全ての撮り直しを考えれば大損害です。
 また、窓口で「そんな初期不良はないから、修理は有償」と断言されたことについても軽く考えすぎであるという印象を受けました。私は事前に情報を聞いてから窓口に行ったので、有償修理に応じることはありませんでしたが、自分で独自に症状に気がついた人、それがたまたま保証が切れてしまってからだった人はどうしたのでしょうか。今、このページをお読みになりながら、「有料で修理しちゃったよ」と、怒り心頭に達していらっしゃる方もあるいはおられるのではないでしょうか。大体、メーカーが「部品不良」と認めるものが、「ほんの数例」ということがあるのでしょうか。

 私は、これまでに百万単位のお金をキヤノンのEOSシリーズに投資してきましたが、もはやこのカメラを信用する気にはなれなくなっていました。
 そこで、「これまで気がつかないで使い続けてしまったことによる損害は別途考えるとしても、このカメラについては返品させて欲しい。修理対応ということでは納得できない」と伝えました。
 すると、このサービスW氏は、「返品はご勘弁いただきたい。保証期間も過ぎているし、販売店さんのお手も煩わせることになるので」と言います。「そんなことは理由にならない。逆に気付かずに使い続けてしまい、使えないカットを貯めてしまう羽目になったのは、あるべき告知がなかったからでしょう。ユーザーに何の告知もせずにいて、『気が付かなかったのはお前が悪い』という論理なのか。撮り貯めてしまったものについての保障はどうなるんだ」というと、「それも出来ない」というので、「そんな説明では、腹が立ちこそすれ、全く納得できない。こちらの要望は第一に返品、返金である。あるいは最近の、対策後の部品を使ったロットの完成品との交換するくらいのことはして欲しい。何故ならば、これまでも他のEOSシリーズの件でサービス窓口には度々訪れているが、保証期間中に簡単なメンテナンスを頼もうとすると、『撮影に不都合が起きていないなら開けない方がいい』『1度開けてしまうと、やはり生産時と全く同じコンディションには戻せない』と言われてきた。そのくせ、こういう状況になったら、『修理すれば工場から出た時と変らないから大丈夫』などと言い出すのはどういうことか」と言うと、「ちゃんと外装のパネルなども新しいものと交換して、見た目も新品同様にします」と言います。「見た目がどうのこうのなど問題にしていない。自分はむしろ使っていて自然に出来てくる傷などあった方がいいと思うくらいなので、そんなことは要求していない。問題なのは、信頼性と安心感である。サービス窓口の対応といい、キヤノンでは聞く相手によってサービス内容が違うのか。だから信用できないということだ」と言うと、「返品や返金ということについては、私の一存では決められない」と言うので、「では上の人に相談して、再度連絡をくれるように」と言うことで話を終えました。

 その翌日9日に、また夕方5時半を回ってから電話があり、「やはり昨日と同じような条件で納得してもらいたい」と言います。
 「それでは納得できないとはっきり申し上げているのに、全くいな時話をされても困る」と言うと、また昨日と同じ言い訳をだらだらと言うので、「まず、少なくとも同じ部品の不良が認められた時点で、きちんと告知していれば被害は最小で済んだものを、なまじ隠すから不良撮影の被害を重ねることとなった」「サービスセンターでは『そんな例は知らない』と言い張り、しかも言うことが二転三転したため、販売店の店頭でも無用の時間を過ごし、まるでこちらが嘘をついているかのような恥をかかされた」「その上、『初期不良がありました』と認めながら、尚且つユーザーの納得の行くような対応を拒むというのはどういうことか」「同じ事を何度も何度も言わせないで欲しいし、聞きたくもない」と答えました。
 またこの日も、納得の行く説明が得られなかったので、「再度回答を求める」ということで電話を切りました。

 翌々日の10日、3時過ぎに電話があり、また同じ説明を繰り返し、「修理で勘弁してくれ」と言います。仕事時間中にかけてきて、2度も3度も進展のない話を繰り返す誠意のなさに我慢ができなくなり、「ならばもう結構。修理も何もしなくて良い。金輪際、キヤノンの製品は使わない!」と言って電話を切りました。

 こうして、数百万円分も費やしてしまったキヤノン製品の処分について考えていた、更に翌々日の10月12日、一昨日までのサービス氏の上司らしいM氏から電話があり、「やはり新品と交換でないとご納得いただけないでしょうか」と言うので、「もはや交換するしないの問題ではなく、今回の経緯と、普段サービスで言っていることや対応、その全てが矛盾しているから、もう信用できないと言ったのだ」と答えました。すると今度は、「今回の件で大きな不信感を持たれてしまったことは分かります。しかし、これまでもかなりキヤノン製品をお使いいただいているユーザーさんという事ですので、これからも是非お付き合いいただきたいと思いますので、今回は新品と交換させていただくということで、ご納得いただけないでしょうか」と言うので、「交換はいいが、それならこれまでの経緯もあるので、販売店に間に入ってもらって、店頭在庫と交換にして欲しい」というと、「販売店さんのお手を煩わせるのも何なので、また何かあったらきちんと対応するので、こちらから代品を出させて欲しい」と言います。もうこれ以上、話をするのも面倒になっていたこともあり、とりあえずその方法で代品をもらうことにしました。(後になって考えると、やはりこれは間違いだったのですが…)



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