一度ネタで使わせてもらったけど、井上雄彦の漫画ってそんなに面白いのかね?スラムダンクもバカボンドも俺は好きじゃないんだけどな。妹が全巻持っているから一応読んだことはあるんだけど、やっぱり何か気に食わないんだよ俺は。
で、何が気に食わないってさ、やっぱり安西先生が気に食わない。
大体さ、奴は何様なんだ?流川とか三井とか優秀な選手が集まり出した途端に、ひょこひょこ現れて名監督面しやがってさ。自分の一番弟子が死んだだか何だか知らないけど、今まで引きこもってたジジイはすっこんでろよな。おまえが部活に来なかったせいで、赤木は三年も埋もれ続けていたんだぜ?赤木以外に大した選手がいなかったから、「こりゃ勝てないわ。」って計算があったんじゃねえの?勝てそうになった途端に登場して、今まで面倒見てもらえなかった選手の立場はどうなるわけ?
まあ、そう言っている俺も安西先生のこと言えた立場じゃない。俺も自分は大したことないのに、MやS野のおかげで名監督面していられるインチキコーチなわけで、虎の威を借る狐みたいなもんだからな。その意味では、多分この感情は近親憎悪みたいなものなんだと思う。自戒の意味を込めてね。こういう人になっちゃいけねえなと思うわけよ。本当に。皆も俺を見習うなよ。
俺の大学のコーチもさ、10秒6より速い選手じゃないと相手にしないみたいな感じでね。嫌な奴だったよ。東京都の強化の先生とかにもそういうのがいるらしいよ。速くない選手は人間じゃないみたいな考え方の奴がね。もちろん陸上の普及に精を出している立派な先生もいるんだろうけどね。一部の速い選手だけ相手にしてれば良い人は楽で良いよな。
まあ、確かにね、素質のある子がカワイイ気持ちってのはあるんだろうね。何より、良い動きしているから、怪我もしないし、高校のうちくらいまでは、順調に伸びるからね。相手にするのが楽。実際、MとかS野は、潰す方が難しいくらいに素質があったからね。楽で仕方無かったよ。
でもね、やっぱり、MとかS野とかさ、M田とかN澤みたいに全国を狙える選手がいなくてもね、コーチを続けてやるのがね、先生の仕事だと思うんですよ。ですからね、僕がいなくなっても、どうか生徒のことをたまには気にかけてやってほしいなと。顧問の先生には何卒今後は、もう少し部活のことも考えてほしいと思っています。中東の平和も大事なんだろうけどさ。
村上春樹は、マラソン好きで知られ、彼自身もフルマラソンを走る。その彼は、「マラソンは人それぞれ違ったゴールが持てるから良いんだ。」みたいなことを良く言っている。犬伏みたいな世界を狙う選手もいれば、7時間かけてなんとかゴールに辿り着く素人もいる。けれども、7時間かけてゴールする人も、何か走る意味みたいなものを感じてやっている。そこが良いみたいな感じの話をよくしている。
それはそうなんだと思うよ。だから、速くなければやる意味がないなんて俺は少しも思わない。
でも、それだけではないと思う。それ以上に、部活ってのは、嫌いな奴がいたりして、それでもなんとか仕方なく続けて、もういい加減飽き飽きしているんだけど、やっぱりやめるに忍びなくって、部という一つの共同体を、なんていうか平和に楽しく?っつうのかな?皆でなんとか協調して、うまく運営していくところが良いところでさ、そういうところから色々学んでいくことができる場所なんじゃないかな。まあ、少年ジャンプ的な意味ではなくね。もちろんそんな麗しいものじゃないし、気に食わないことが多いとしても。
だから、部活ってやっぱり、結果だけじゃないと思うよ。(前と言っていること違うし。)だから、K林もね、もう結果は無理だとしても、最後まで続けるべきじゃないかな。
前とまた違うこと言うとね。確かに、陸上なんて金にならないし、トップの選手になっても生活に保障があるわけではない。M田のところが典型だけど、ウチの学校の生徒の親はさ、良い大学に入れて、良い企業に入れてやりたいって気持ちが強いわけだ。
それはまあ、分からないでもない。生徒も、陸上で強いから良い女を抱けるなんて話は聞いたことないわけだから、M田みたいに電通の社員になってタレントと結婚する夢を見ているような生徒が、高二で部活をやめたとしても無理は無い。
でもさ、陸上がたとえどんなに馬鹿馬鹿しくて、下らなくても、どんなにウチの陸上部が駄目人間揃いだったとしても、最後まで、その汚辱みたいなものをね、自分のものとして愛して、見届ける。そして、それを継承していく。こういう心だけがさ、文化ってものなんじゃないの?でさ、そういう精神的価値を捨てて物質的価値にだけ意味を求めたとき、文明は崩壊するんだと思うんだよね。あらゆる歴史が繰り返すように。ローマ帝国が滅びたように。
バブルのときにさ、銀行の連中とかが浮かれていた姿。何か本当に未来も過去も捨てて、恍惚にひたってた連中の姿ってのはさ、何だったのかね?あんなものがずっと続くわけがないって分からなかったのかね?そういう、現在の自分の一瞬のエクスタシーみたいなものだけを追求していく姿勢ってのは、バブルは崩壊したけど、我々の今日の問題にも直結しているんじゃないかな。
薄情なウチの部員や親がさ、大学受験を控えてどんどん高二で部活を去っていく姿も、皆で徒党組んでサッカーやっている姿も、もちろん結果だけを求めて陸上部の監督をずっと続けていた俺の姿もさ、何か本当に現在のことしか考えていなかった気がする。今の自分が周囲から白い目で見られたくない、取り残されていくのが怖い。今の自分が楽しければそれで良いやっていう。まあ、それが人間らしいっていや人間らしいけど。
でも、最後に俺は気がついた。
本当に俺達がしなければいけなかったのは、大学に入るために陸上をやめることでも、メル友と会ったその日に交尾することでもなく、悪徳プロデューサーになってタレント食いまくることを夢見ることでもなく、ましてやインターハイに行く選手を育てることでもなく、この早稲田高校陸上部という場所、過去と未来をつなぐこの退屈な場所を愛してやることだけだったんじゃないだろうか?過去の先輩も未来の後輩達も、際限も無く繰り返す、砂を噛むようなこの退屈な現実。君達と同じように、下らないなと思いながらそれでも何かを求めて走り続けた先輩たち。そして、同じように繰り返される後輩達の現実。そういった、あたりまえの日常、過去から未来へと継承されていく平凡な日常を守っていこうとすること。それだけが、俺達がやらなければならなかった行為だったはずだ。
ぼくのチャームポイントは体だけ?君が、ぼくを気にいってる所ってそれだけ?
いやつまり 君が悲しかったら君といっしょに涙流したり いっしょに映画みに行って
その映画について あとでスペイン料理屋で語り合ったり
真夜中に二人でマンションの屋上で花火したりとか そういうのは?
・・・・・・
今日 学校どうだった?
(By 岡村靖幸)