「F-91大百科」に載ってる富野インタビュー MS小型化の理由 ───最初に、今回のF91で監督のされた具体的な作業をお伺いしたいのですが。 富野 「まずストーリーの大元をつくり、その後、作品を作る元になる脚本(伊藤恒久氏執筆)、 そして絵コンテ(キャラの動き方などを具体的に示す、映画全体の設計図)を作成。 そして以後は各スタッフから上がってきた絵のチェックですね。」 ───なるほど。では今回のF91という作品に関してですが、 今までのガンダムと比べて新しく試みられたことは? 富野 「皆さんも御存知のように、今回はガンダムのもうひとつの主役であるMSが、 グッと小さなサイズの物となりました。 これは小型化されたことで、逆に今までのMS以上の高性能さを見せたかったということがあります。 電化製品も進歩したら、より良い機能でコンパクトになるでしょう? そして一番大きな理由としては、模型にした時に、 同スケールで縮めた人間のモデルとからめやすい、 ジオラマなどの情景が組みやすいという点にあります。 もちろんこれは実際にプラモを発売するバンダイさんの了解もあったからできたことですが。」 戦争のカッコよさ ───最初のガンダムに比べて最近のガンダムは戦争ものらしさが へってるいるように思えますが、 わざとそうしているんですか? 富野 「いえ、そんなことはありません。ぼく自身、戦争ものっぽさ、 ミリタリーものっぽさは嫌いじゃないし、カッコいいと思いますから。 ただ言っておきたいのは、なぜミリタリーものがカッコいいのかを、 考えてほしいということです。実は軍服などがカッコよく見えるのは、 あれが死ぬ時の為の衣装、死に装束だからです。つまり、"あぁ、もうこれで最後なんだ。 もう帰ってこれないんだ"ということを意識してるから 少しでもカッコいい服を着て、自分の死を飾ろうとしているんです。 昔の合戦の時の武士とかが、特にそうですね。 だから軍服をきちんと着る時は、実は恐ろしい時なんだということは忘れないでください。 あとは、戦闘自体がカッコよく見えるのも、 必死で戦って勝った瞬間が美しいのであって、戦ってる人間はそうしようと思ってはいないし、 戦い自体がカッコいいわけではありません。 必死になって生き延びた瞬間こそがよく、見えるだけなのです。」 (映像の横のコメント) 人間はそんなに簡単に変われるものではありません。 宇宙へ行っても数千年前と変わらない理屈で戦争を起こすのです。 F91で監督が言いたかったこと ───監督がこの作品で言いたかったことというのはなんでしょうか? 富野 「テーマ……ではないですけが、"家族"というものが作品のベースにはなっています。 でもこれは現在の父親や母親の人に、"子供をちゃんと育ててきたか?"という 問いかけになっているので、若い人には とろあえず関係ないことですね。でも、いつか自分が父親や母親になった時 この作品を見返してくれて、 "あぁ気をつけなくちゃいけないな。"と思ってもらえれば、これほど嬉しいことはないです。」 ───では最後に、まだ映画を観ていない人の為に一言。 富野 「とにかく観てください。今までのロボットアニメのイメージが、完全に変わりますから。 アレ?こんなの今まで見たことないぞ、というような画面がたくさん出てきます。 ただ途中、少し絵が汚いところとか、簡単にすませているところがありますけど それは本当に申し訳ないでが許してください。」 (2月28日収録) (映像の横のコメント) もしも、またガンダムを作らせてもらえるのなら、今度はMSの能力や使い方、 さらにわかりやすいカラーリングなどいろいろ試してみたいですね。