カドクラ節への熱い思い ガンダムF91監督・富野由悠季  映画音楽というものは、気にしませんと案外聞き忘れるものです。しかし、今回の作 曲は、門倉聡さんという若手の作曲家に依頼することができて、聞こえる音楽にしても らうようにお願いしました。  映画音楽の難しいところは、画面の邪魔をしてはならないものですが、それを意識し すぎた結果、日本の映画音楽が独自の地歩を築いたとはいい難い結果になっていること は、皆さん良くご承知でしょう。  その壁を少しでも突破したいものだという願いが、今回のような曲になって皆様の前 に表れたのです。  ぼくは、音楽のことは良くわかりませんが、ガンダムのような映画をより以上に支え ながらも、力強く情緒のあるものという要求に、門倉氏は答えてくれたと思っています。  惜しむらくは、もっと独自の旋律と日本人ならではのアレンジメントが為されれば、 ベターであったと言うことです。  しかし、これは、容易ならことではありません。なぜならば映画音楽というのは、一 見通俗的なものでありながらも、その技術はクラシック音楽の作曲の素養が要求される 高度なものだからです。  その点、門倉氏は、よく健闘して下さいました。ことに、このCD、カセットで音楽だ けを聞く方々は、氏のオーケストレーションを聞いていただけますので、日本人の映画 音楽も変わっていくだろうという予感を感じられるだろうと思います。これも、氏が、 ポップス系のアレンジを積極的に手掛けているレパートリーの広さの結果なのです。  残った楽しみは、氏が、次の坂本龍一になってくれる、ということでありましょう。 機動戦士ガンダムF91 オリジナル・サウンドトラック KICA55(1991/3/21)